(2025年12月17日付掲載)

全国の税理士たちが開いたインボイス制度廃止を求める国会集会(3日、東京)
先の参議院選挙では多くの政党が「消費税減税」を掲げ争点になったにもかかわらず、消費税をめぐる議論は置き去りにされている。「それはすなわち私たちの仕事・生活が置き去りにされていることにほかならない」と、インボイス制度の廃止を求める税理士の会(菊池純代表、655人)が3日、東京の参議院議員会館で「消費税減税・インボイス制度の廃止の実現を求める国会集会」を開催した(協力・インボイス制度を考えるフリーランスの会)。税の専門家であり、中小企業の生業を支えてきた全国の税理士が、日本経済を圧迫する消費税の問題点とインボイス制度廃止を訴えるため国会に集結した。
各業界が訴える導入2年後の実情
集会の冒頭、同会は国会議員でつくる「インボイス問題検討・超党派議員連盟」(会長・末松義規衆議院議員)に対し、インボイス廃止法案の提出を求めて1万5711筆の署名を提出した。これは同会が7月の参議院選挙に向けて各政党に公開質問状を送付したところ、国民民主党、立憲民主党、参政党、日本共産党、れいわ新選組、社民党の6党が「インボイス制度は廃止すべき」というスタンスを明らかにしたことから、具体的に廃止法案の提出を要請するものだ。
そこではインボイス制度廃止法案の骨子として次の三点をあげている。
①この法律は、現下の物価の高騰による国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するとともに、税負担の公平の確保、経済的格差の是正、経済の活性化等を図る観点から、消費税の税制の見直しについて定めるものとする。
②消費税の仕入れ税額控除に関する適格請求書等保存方式に係る制度(インボイス)は廃止するものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を速やかに講ずるものとする。
③本廃止法案成立後、速やかに消費税法等の関連条文の整理・見直しをおこない、2026年4月1日から施行すること。
2023年10月にインボイス制度が導入され、今年10月で2年が経過した。現在、激変緩和措置として、免税事業者から課税事業者になった小規模事業者の納税額を2割に軽減する「2割特例」と、免税事業者と取引した場合に支払った消費税分の80%を控除できる「8割控除」という二つの軽減措置が実施されている。しかしどちらも2026年9月30日に終了する予定(8割控除は5割控除に縮小、2029年9月30日に終了)で、来年10月1日以降は消費税負担がより大きくなり、小規模事業者の倒産や廃業が急増することが見込まれ、その前に一刻も早い制度の廃止が求められている。
インボイス制度の廃止を求める税理士の会は、来年にもインボイス廃止法案提出の実現に向けた集会を開催することを企画している。
集会では、建設業、運輸業、漫画家、作家、税理士、医療、農業、声優など、さまざまな業界の事業者から、インボイス制度導入以降の実態について発言があった。以下、いくつかの発言を紹介する。
■仲間同士を分断し廃業に追い込む制度
東京土建一般労組税金対策部長 土橋弘典
東京土建は、都内の建設業で働く約10万人を組織している建設業の労働組合だ。零細事業者も多く、消費税を払わない免税事業者もたくさんいる。私は文京区で塗装の事業所をしているが、非課税事業者との取引で、消費税をどう負担していこうかという話も出ている。今は軽減措置で2割に収まっているので、やりとりをしながら相殺したりしているが、軽減措置がなくなると、その負担をどうするかが問題になる。東京土建は仲間のつながりで仕事をしていく。建設業は1人ではできないので、さまざまな業者と一緒に工事をし、建物を完成させたり修理をしたりする。インボイス制度がそうした仲間との分断を招き、また本当に廃業しようかという仲間もたくさんいる。
高齢化もあり、3Kといわれる建設業界は若い人が入ってこなくなっている。日本の衣食住のうち「住」を担っている建設業が疲弊してしまうということもあり、絶対にインボイスは廃止、消費税についても廃止を訴えて10万人の力で一緒に運動していきたい。
■消費税、憲法変えれば戦争税
消費税をなくす全国の会事務局長 上敷領千恵子

円安による物価高が四年以上続いて毎年食料品を中心とした値上がりが続き、「買い物のたびにとられる消費税の負担が重い」「なんとか減税をしてほしい」という声が広がっている。その声を受けて、国会内でも消費税減税が必要ではないかという議員や政党が増え、参議院選挙では消費税減税、廃止が争点になった。今、国会では消費税の廃止、減税を求める議員が多数を占める状況になっている。消費税減税を実現する絶好のチャンスだと捉えている。
消費税減税・廃止を掲げる政党が八政党になっているが、五%減税、食料品ゼロ%、「時限的に」「恒久的に」など内容はさまざまだ。ともかく野党がまとまって減税法案を国会に提出しろという運動を強めることにした。参議院選挙では、消費税減税・廃止を掲げた国会議員127人に要請書とアンケートを送り、6会派16人から賛同が寄せられた。
会は「消費税、憲法変えれば戦争税」というスローガンを掲げている。消費税が導入された1989年の翌年6月に結成され、これまで150万人が活動に携わってきた。高市政権は危うい動きを見せているが、消費税が導入される前の軍事費は3兆円だったのが今や11兆円だ。GDP2%を前倒しするだけでなく、トランプ氏が要求する3・5%も否定していない。もしその要求をのめば年間21兆円の財源が必要になる。その財源には消費税増税が狙われると思う。だから、絶対に戦争税にさせてはならないと決意している。
米ニューヨーク市で民主社会主義者を掲げるマムダニ氏が当選したが、それは草の根の力で、10万人のボランティアが300万戸の個別訪問をして対話を重ねたといわれている。私たちもこのたたかいに学び、消費税減税で対話を進めていきたい。
■すでにサイレント取引排除が始まっている
漫画家 大須賀こすも
日本のアニメ、ゲーム、漫画などエンタメやクリエイティブ産業の海外での売上は、2023年時点でも5・8兆円と、半導体をこえて第二位の大規模な市場となっている。しかし、実際に手を動かしてそれらをつくり出しているクリエイターにはそんな巨大な数字はほとんど関係ないといっていい。『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』などの超有名誌で連載されているような名前を知られている先生方はご自身のスタジオを企業化するが、それ以外の多くの漫画家、アシスタントはほとんどフリーランスだ。大作家でも連載を終了すればアシスタントを解雇せざるを得ない状況になる。どなたでも知っているような作家のアシスタントが解雇され、無名の私の元に来られたこともあった。契約社員としての漫画家という働き方もあるが、ほぼ下請の中小企業とフリーランスで漫画界は構成されている。
また連載を持ち、月々の原稿料が入る作家でも、大多数がインボイス発行事業者として登録できるほどの年収は望めない。経費がかかりすぎてアシスタントをお願いできない方もおられる。こうしたフリーランスへの負担が大きすぎて廃業の選択をよぎなくされるのがインボイス制度だ。
すでに起こっていて負担になっているのが、インボイス未登録者であることによるサイレント取引排除だ。作成の発注の打ち切り、仕事量のカット、原稿料から差し引かれていることも多くある。発注者側は下請法や独占禁止法に抵触しないように取引中止の理由を明確にしないため、自分の実力を疑ってしまい、漫画家の下積み自体を諦めてしまいかねない。そうやって書き手の層が薄くなってしまった漫画界に発展の余地はないのではないだろうか。中長期的に見ればかえって大きな損失になるのではないかと思う。
漫画家、アシスタントともに、体力に応じた税金を毎年納めている。さらにインボイス制度によって、体力のない者ほど苛烈な消費税まで課して、ぎりぎりで保っていたクリエイターの体力をマイナスまで削り、漫画界を土台から切り崩し始めているのが現状だ。8割控除、2割特例などでやっと延命できている状態だと思う。
たかが漫画、イラストと思われるかもしれないが、企画・立案、読みやすく漫画の形に変換する、ペンで線を引く、それぞれが時間をかけて築かれた技術だ。アニメや漫画は一大芸術産業として成立しているといっていいと思う。そのような文化の多様性、生き方の多様性、技術の継承をみずから失いかねない制度は完全撤廃を求める。また、ただでさえ限界に来ている庶民の働きに甘えた税制自体をいい加減見直していただきたいと思う。
■消費税はコメ農家を苦しめている
農民運動全国連合会 長谷川敏郎
今、コメの問題は令和の米騒動から続いて毎週のようにコメの値段が新聞で発表され、5㌔4000円をこえている、銘柄米は5000円だ、こんな高いコメは買えないと悲鳴が上がっている。政府は「農協がもうけている」「農家がもうけている」と、消費者と生産者を分断させる政治を続けている。事実、これまで農家は数十年にわたって生産費を償えない生産者米価を押しつけられてきた。やっと一息つけるとなった途端に、たとえばコメを3町歩~4町歩つくっている農家は、今年急に1000万円をこえる収入になるわけだ。売上が1000万円をこえたら2割特例は適用除外になるから、いったい税金はどうなるのか。今そういう形で農家は消費税で振り回されている。
国産米が高いので、一部には備蓄米を買う人もいるし、イオンなどが関税を払ってでもアメリカからコメを輸入している。それを買わざるを得ないという人たちが出てくる。そうしたなかで新米の売れ行きが止まり、今コメの動きが止まっている。京都では農協が9月に60㌔3万円で買っていたコメを12月から2万7000円に引き下げるという、かつてない状況が起きている。
農家は今年の田植えをするときに、「今年はコメが上がるかな」といっていた。7月、8月には石破首相が増産だといい、新しい政府ができると今度は減産だといった。つくれ、つくるなと振り回される。売上も高くなったり、今度は地獄のように低くなったりと振り回される。これにさらに輪をかけているのが消費税だ。消費税は、いわばコメ作りが続けられなくなっていく税金だと思っている。それはつまり国産米を食べられなくなる税制だ。
たとえば、愛媛県に百姓百品という、高齢の方々が小さな農業を頑張って産直をしているグループがある。300人が出荷し、8割特例を使って消費税分を産直組合がなんとかかぶって支えている。これが5割になり、いずれなくなれば、産直組合といえども経営が成り立たなくなるから、高齢の生産者に「あなたたちも課税業者になってインボイスをとって」(=消費税を払って)ということになる。これは農業をするなということになる。
日本のコメ作りの85%は2町歩から3町歩の農家だ。圧倒的に国産米は小さな農家がつくっており、売上は1000万円以下だ。消費税、インボイスをなくしてほしい。厳しい農業だが、一生懸命頑張ろうという新規就農者がいる。アメリカなどは消費税がない。新規事業を始める人には最初の年から税金をかけないという考え方だ。日本では新規就農者は、売上があれば最初から消費税も所得税も奪われる。新規就農を今しっかり支えなければ、日本からコメ作りの農家がいなくなってしまう。食料を守るためにも消費税をなくす、減税させるために頑張っていきたい。
■アニメ界の若きクリエーターたちの夢砕くな
漫画家 池沢理美
インボイス制度を日本に導入した方、今現在これを推し進めようとしている政府や官僚の方々は人の心をお持ちなのだろうか。
11月23日、林総務大臣が顧問のMANGA議連に出席し、挨拶したそうだ。X(旧Twitter)で「日本が世界に誇るマンガ・アニメ・ゲーム産業は、今後さらに大きな成長が期待される重要な産業分野であり、その潜在力は測りしれない」「我が国の将来の産業競争力を支える分野として、引き続きその振興に取り組んでまいります」と投稿していた。
私はこの投稿に非常に腹が立ち引用リポストした。するとその投稿は4・1万いいね、1・5万リポストされ、約268万人の目に触れることになった。投稿内容は「この産業を担っていく若いクリエーターたちの夢を砕くな。最悪な税制であるインボイス制度を廃止してくれ。夢を持ってこの世界に入ってきた食うや食わずのたくさんの若いクリエーターたちのなかに唯一無二の才能が潜んでいる。その裾野全体を守り育てなければ、あなた方がもくろんでいる世界で大もうけできるような作家も作品も生まれない。稼ぎが少なかろうが赤字だろうが、とにかく消費税を払えといって若いクリエーターをつぶすのはやめてくれ。ベテラン作家の心からのお願いだ」というものだ。
11月28日、岸田元総理も映像産業戦略推進研究会のなかで、「アニメの世界で稼ぐ力の強化のために官民連携しよう」的なことを投稿された。2人とも世界でもうける気満々だ。この2つの投稿に対して驚くほどたくさんのコメントがついた。「だったらインボイス廃止しろ」「消費税を廃止しろ」という声がほとんどだった。
この声を見て今、「インボイス残酷物語(仮)」の漫画を描こうと思っている。多くの方から取材をしてショートストーリーにし、一話ごとにSNSで発表するつもりだ。
取材したある内装業者は、家の修理などの発注を請け負い、職人を集めて仕事をしている。インボイス登録をしている職人もいれば、カツカツで免税事業者のままの人もいる。しかし親方は区別せず、免税事業者の職人の消費税を肩代わりしたりしているそうだ。しかし来年9月、軽減措置が縮小されたらどうなるかわからない。インボイス制度は雇っている者と雇われている者に消費税の押し付け合いをさせる。
税金の話だが一人一人の人生の話だ。この制度によって人が追い詰められ、町で小さく商売をしていた方々の灯りが消され、涙すら涸れてしまうような、そんな話を取材で聞くたびにインボイス制度、消費税の悪税ぶりを痛感している。インボイス制度に直接関係ない一般の方たちにも読んでいただき、そうだったのかと共有し、寄り添ってほしい。制度がよくわかっていないというフリーランスも案外多く、税理士に丸投げという方も多い。本当に複雑な税制だ。専門家と連携しつつ、読者のみなさんにもわかりやすいように描いていきたい。来年9月30日に激変緩和措置が終了する前に、なんとしても国民の声を大きくし、インボイス制度を廃止しよう。
■消費税負担増え、医療機関の倒産は過去最多
全国保険医団体連合会事務局次長 工藤光輝
当会は全国で51の県協会、所属会員10万6000名を要する医師と歯科医師の団体だ。消費税については廃止をめざしつつ、当面5%への減税、インボイス制度廃止を掲げ、医療機関の経営と権利を守り、国民の医療の向上に努めている。
この間の予算編成の時期、医療機関にとっても重要な診療報酬の改定があり、報道等でも医療に関するさまざまな話題が上がっている。少し前には高額療養費制度の改悪を突如、厚労省がうち出した。これは患者の大きな反対の声により今政府で再調整がおこなわれているが、予断を許さない状況だ。直近では12月1日に従来の保険証が使えなくなり、マイナ保険証に切り替わることがあった。マイナ保険証のトラブルが多くの医療機関で発生していることも主張しながら、従来の保険証を使い続けることが国民の医療を守ることになるということを掲げ、とりくみを強めている。
また、もう一つの大きな問題としてOTC類似薬の保険給付の見直しがある。さすがに厚労省も保険適用から外すことは無理だということで、追加徴収する方向になっているが、いずれにしても患者の薬の費用をさらに上乗せすることは絶対に許せないというのが医療者の声であり、難病を抱える患者とともに反対の声を強めているところだ。ものによっては数倍から数十倍の負担増になるひどい改悪が年末の国会で議論されている。
このように社会保障はズタボロな状況にもかかわらず、政府はいまだに国会答弁などで社会保障の財源として消費税をあげている。それが間違いであり、嘘であることをもっと広く国民に訴えていく必要があると思う。
また、医療機関の倒産が過去最高になると報道されている。病院関係の6団体が夏頃、このままではある日突然病院がなくなるという声明を発表した。この5年間で病院の控除対象外消費税負担は50%増と報じられている。「控除対象外消費税は補填されている」と厚労省はいうが、最近の報道では、その補填の集計に誤りがあったということも厚労省は認め、謝罪した。ただ、診療報酬に対する上乗せはしない。
医療経済実態調査で、病院だけでなく診療所も厳しい経営状態が報じられている。診療所は患者の初診の8割、外来の7割をみている実態があり、その7割が経営悪化している。歯科の医療機関はさらにひどく、ワーキングプアの歯科医師・医療機関も増えているのが実情だ。その厳しい経営の背景には物価高騰があり、その背景には消費税、税率なき増税であるインボイス制度の導入があるのは明らかだ。社会保障をよくするためには大企業に応能負担をしてもらうのが筋だ。消費税は今すぐ減税、インボイス制度は廃止と声を上げていきたい。
■4割の土建業者が身銭切り増税分負担
千葉土建一般労組書記次長 小野陽寛
千葉土建は全建総連に加盟する建設の組合で、県内を中心に2万2000人が加盟している。今年1月から3月にかけて、すべての組合員を対象にインボイスの影響について調べることを目的にアンケートを実施し、2514件の回答があった。
約2500の回答のうち74・3%がインボイスに登録していた。制度開始前に免税事業者だった人では64・4%がインボイス登録しており、「取引先にいわれて」が60・7%ともっとも多く、ついで「自主的に」が32・1%だった。税理士にいわれて登録した方も少なからずいた。
新たに課税業者になった方が消費税や事務負担をどう対応したかを聞いたところ、意外なことに「変化なし」が4割近くあった。一方で、「身銭を切って補填」が37・3%と大きな割合を占めている。記述式の設問では、「税負担が重い」「申告が複雑で大変」「税金が高くて生活がきつい」といった回答が多く見られ、組合員の深刻な実態がわかってきた。「負担軽減の特例措置が終了すると、もっと大変になる」という回答もあった。
一方、インボイス未登録者に対する設問では、制度開始後も「変わらず取引できている」という回答が56・3%でもっとも多い結果だった。しかし「値引きされた」「取引を断られた」という方も9・3%おり、小さい数字ではないと思っている。
アンケートで大きく二つの問題点が明確になった。一つは「自分たちが課税業者になった」という自覚を持たない、いわゆる未申告の問題だ。もしこの方々が申告して支払わなければ、遅れれば遅れるほど深刻な事態になり、生活そのものが破綻する影響も出てくる。もう一つは消費税の負担が厳しいことだ。4割が自分の懐からお金を出して対応している。この間、千葉土建の仲間の調査で、建設業で働く人の賃金も単価も上がっていないことがわかっている。国の公共工事の設計単価は大幅に上がっているが、じつはもらっている金額は変わらない。そのなかで税負担が高くなれば、その分だけ生活が厳しくなる。インボイスがなければ払う必要がなかった税金だ。今回のアンケート結果を通じて、改めてインボイス制度は廃止するべきだと考えている。
■低所得の個人事業主に消費税増税強いる制度
日本SF作家クラブ理事 大澤博隆
日本SF作家クラブはSF・ファンタジー分野の職能団体だ。2022年にインボイス制度と消費税の納税免除制度の縮小、登録事業者のデータベース設計に不安を持った会員の声を受けて勉強会を開き、同年4月に理事会と会員有志からインボイス制度反対声明を発表した。
実際の制度では本名や住所の公開は任意になり、データベースの不正利用を禁じる一文も表示されるようになった。また、優越的な地位を利用して免税事業者に消費税を支払わないことを決めた事業者への指導も入った。インボイス制度反対の活動には一定の効果があったものと考える。
当クラブは昨年の春、インボイス制度導入から1年の時点で、会員たちがどのように向き合っているのかを調査するアンケートを実施した。その結果を紹介する。
構成員は作家、翻訳家、批評家、画家、実演家からなり、アンケートに答えた会員の9割は個人事業主だった。その8割が控除の対象となる仕入れをおこなわず、外注しない業態で作家業をおこなっている。回答した会員の80%は売上が1000万円に届かないことを理由にインボイス事業者登録をしていない。登録した20%の半数は売上が1000万円に届かないにもかかわらず、クライアントに要請されてインボイス事業者になっている。追跡調査をおこなったところ、これは出版企業ではなく、ソフトウェア開発やコンサルタント業に関するところから要請されたものであることが判明した。
意外かもしれないが、アンケートでは8割をこえる免税事業者の会員が、制度の導入後も消費税を請求していることがわかった。つまり出版事業者はインボイス登録を強制せず、免税事業者にも消費税額分を払い続けている。これを可能にしているのは、免税事業者への税支払いを一部控除できる減免措置だ。回答者の8割は「売上が規定額の1000万円をこえるか、発注をやめられるなどの状況にならなければインボイス事業者登録をしない」と回答している。登録した会員の7割は事業継続が可能なら登録事業者をやめると回答し、忌避されていることがわかる。
インボイス制度が導入されて2年が経った。インボイス制度で可能になるはずだった軽減税率はいっこうに広がらない。食料と新聞に限らず、家賃、エネルギー、教材、医療介護の関連費用、書籍などの消費税減税をインボイス制度は可能にしたはずだ。ひとつもおこなわれていない。インボイス制度は所得の低い個人事業主に消費税分の増税を強いるだけの制度になっている。私たちは仕入れ税額控除の減免制度の延長と、制度の周知徹底、そして生活に必要な分野での消費税削減を要請する。(インボイス制度調査担当・藤井大洋氏の挨拶の代読)
■軽減措置終了による増税でドライバー激減必至
建交労軽貨物ユニオン執行委員長 高橋英晴
私たち軽貨物ユニオンは首都圏で軽貨物ドライバーを組織し、それぞれが個人事業主として1人1台の軽貨物車を所有し働いている。今やアマゾンやウーバーイーツ、日本郵便、ネットスーパーなどあらゆるところで軽貨物ドライバーが昼夜にわたってみなさんの荷物やフード、郵便物を配達している。このような軽貨物ドライバーが増えた背景には、荷主や運送会社が直接ドライバーを雇用するよりも、社会保険料負担や消費税の転嫁などで低コストに抑えられ、雇用していないので長時間労働をさせることができ、いつでもやめさせることができる使い勝手のいい労働力として、荷主や運送会社から見て利用価値があるからだ。
昨日電話があった女性からの相談では、口頭契約で365日休みもとれず働いている。病気になり、12月に医師の指示で四日間休んで診療しなければならなくなったが、取引先は休むことを許さず、休むなら会社で用意した台車の1日分の支払いをしなさいといわれたそうだ。また、別の方は取引先に物価高騰の分の単価の値上げ交渉を申し入れたが、取引先の社長から「仕事をもらっている以上、荷主に要求はできない。あきらめろ」といわれた。一つの取引では食べていけないので、休みの日に別の仕事をして毎日休まず働いている。それでも貯金を崩して生活せざるを得ない状況だ。
国は自由な働き方という聞こえのいいうたい文句で軽貨物ドライバーのような労働者以下、奴隷のような働き方に誘導しておきながら、さらに「適切な納税」といってだまし討ちにしてインボイスを導入した。インボイス番号の取得と売上1000万円以下の事業主への課税、これは本来別のものではないだろうか。
インボイスが本格導入された令和6年分の確定申告(今年2月、3月)の実態調査の結果では、平均売上は469万円、ここから経費を引けば所得は約半分の230万円程度。月にすれば20万円弱の所得だ。そんなワーキングプアの状態でインボイスが本格導入されたことで、平均8万5000円の消費税納税を強いられた。「そんなに払えるお金が残っていない」「申告をしないで逃げるしかないのか」と、驚きと悲鳴が聞かれた。燃料代や車両経費などさまざまな経費が値上がりするなかで、今年はますます厳しい状況になっているものと思われる。さらに現在の軽減措置がなくなれば、軽貨物ドライバーの場合、簡易課税で2・5倍の消費税の納税となる。8万5000円の2・5倍なので、21万2500円の納税額になる。つまり所得の1カ月分以上を国に納税しなければならない。
こんな大増税が待っている業界にいつまでも携わってはいられないと、ドライバーをやめていく仲間もいる。インボイスを続けていけば、アマゾンやネット通販で買った商品や大事な郵送物や手紙が届かなくなる。倉庫から薬品を薬局に届けているのも軽貨物だから、薬品が薬局に届かなくなることもあるかもしれない。これを打開するにはインボイスの廃止が当然必要だ。そして早期に消費税を廃止することだ。軍事予算を大幅に削減し、社会保障や教育、物価高に苦しむ国民生活を支える予算に転換すること、これが今まさに国会でやるべきことではないだろうか。





















