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横野町反対の会が決起集会  安岡沖洋上風力発電 子や孫のためにたたかう

 安岡沖洋上風力発電建設計画(事業者・前田建設工業)をめぐって、反対運動が全市に広がり、6万9000筆に達した反対署名をはじめ各種団体の反対表明や陳情、前田建設の環境調査の阻止など、さまざまな場所や地域で人人が行動している。そのなかで、横野町の住民有志が「反対の会」をたちあげ、20日に横野公会堂で「安岡(横野)沖洋上風力発電建設反対」決起集会がおこなわれた。集会には120人をこえる横野町自治会の住民が詰めかけた。建設地の正面にあたる横野町の住民として、組織だった反対運動を展開していく出発点として意欲にみなぎる画期的な集会となった。

 自治会から120人結集 安岡と連携し運動を展開

 午後6時から集会は開かれた。開会30分前には横野町全域にスピーカーで呼びかけがされ続続と住民が集まった。
 初めに、同会の事務局長の村上彪氏より決起集会の目的が語られた。村上氏は、「今回“反対の会”を横野町有志でたちあげた。設置予定地から一番近く、健康被害も一番懸念される横野町が今、目にみえる活動をしなければ、最悪の場合、自分自身が後悔することになるし、先祖にも申し訳なく、子子孫孫まで迷惑をかけることになる。やれることはやって、悔いを残さないために会をたちあげた」と述べた。
 続いて挨拶に立った反対の会会長の新井萬氏は、風力発電建設計画について「安岡沖というよりも横野沖だ。(計画が)世界で初めてで、横野の人間がモルモットにされるということだ。すでに風車ができたところの住民によると、低周波により不眠、吐き気などが起き、治そうと思えばよそに逃げるしかない。また生態系も壊され、低周波によって山からイノシシなどが逃げる被害もあらわれている」とのべた。そして「霜もふらない、大雪もふらない、暮らしやすい横野を人の住めないような横野にしたくない。そして、“もうできるのだから何をやっても無駄だ”“どうせできる”といった噂話が流れているが、これは前田建設の、参加する人を少なくするための策略ではないかと思う。目に見える活動をして住民に知らせ、市議、県議、市長、知事などにも安岡、横野のみんなが反対していることを知ってもらわないといけない。そしてこの計画をボツにしないといけない。これからの活動は、噂話に負けず、あきらめさせるまでやっていく」と力を込めて述べ、会場は大きな拍手に包まれた。安岡病院の斎藤理事長は、「一私企業の利益のためにみなさんが犠牲になってよいのか」と述べた。
 その後、「反対の会」の発起人となった歴代自治会長、前・現農事組合長、浜山組合役員、農水役員、自治会役員15人が紹介され、環境調査を阻止していくためになにかあれば役員に連絡してほしいという旨が伝えられた。また決起集会に至るまでの経過として、3月の住民アンケートでは横野町は8割以上が反対だったこと、8月におこなった反対署名は1700人に上ったことが自治会関係者から報告された。浜山組合としては、前田建設から送電用のケーブル敷設の申し入れがあったが、総会で79人の組合員全員一致で反対を決議し、5月2日に書面をもって前田建設に提出していることも報告された。
 ここで、役員より「洋上風力発電に反対する理由」「風力発電の低周波による健康被害―医学的知見」が説明された。
 反対理由として、「国内最大規模の風力発電を実証実験もなしに、一民間企業が商業施設として建設することは、事業主がなんといおうと、われわれは実験台にされている」とし、なかでも低周波・超低周波に対する国の規制がなく、健康被害についての因果関係を示す科学的根拠が確認されていないということで、国の基準(環境影響調査)においても重要な判断の根拠にされていないことをあげた。しかし専門家の多くは低周波の健康被害は生理学・医学的な問題であり音響工学と騒音測定器だけで評価できる問題ではないと指摘していることをあげた。二つ目に、「低周波音は自然界にもあるが、長期の連続音ではないので低周波音症候群にはならない。人工的につくりだし24時間連続的にそそがれる風力発電にはあまりにもわからないことが多すぎる」とした。三つ目の理由として、「海岸から近い風力発電という巨大な建造物は、洋上の景観を著しく阻害するものである」とした。
 健康被害の実態の説明もされ、騒音からくる不眠、低周波音による健康被害は転居以外に解決策はないこと、健康影響に関する疫学的研究の必要から、現在国が実態調査を大学に依頼している段階にあり、「今の時期に強行する風力発電建設計画は無謀というほかない」と締めくくった。
 このあと、風力発電による健康被害の実態についてのDVDが上映され、最後に、「これからの目にみえる活動」について論議は移った。「15人だけではどうにもならない。横野のみんなが大きな声を上げていかないといけない」と組織として行動していく意義が訴えられた。
 まず、この日の決起集会を出発点とし、23日におこなわれる、安岡沖洋上風力発電建設に反対する会が主催するデモ行進に横野町の反対の会も幟をもって合流すること。JRで行く場合、バスで行く場合の駅・バス停と時間が伝えられ、どちらにも反対の会の役員が引率し、会場のゆめ広場まで行くことを報告。参加者たちもすぐにメモをとり、「車で行ってもいいのか」などの質問が出された。三つ目の行動として、毎月1回、土曜日の午前と午後に分けてみんなで横断幕と幟をもって国道沿いに立ち、反対を呼びかけていく。そのさい大きな横断幕と幟を持つのに30人は必要で、合計60人余りの人出が必要でみなで協力していこうと伝えられた。そのほか、他の反対の会や団体とも連携した反対運動をおこなっていくこと、関係先への陳情、広報もしていくことが確認された。そして、先日(14日)、会として初めて安岡の反対の会とともに環境調査の阻止に参加した経験が語られ、「会があることで一緒に行動できる」とくり返し強調された。
 このあと、でき上がったばかりの横断幕と幟が披露された。「安岡(横野)沖洋上風力発電建設反対 横野町」と力強く書かれた横断幕が発起人15人の手で広げられると拍手が起きた。参加者全員で横断幕に刻まれた言葉を読み上げた。
 最後に、自治会役員のかけ声のもと、「風力反対!!」とみなで拳を突き上げ、大きな拍手のなか閉会し、みながやる気に満ちた表情で語りあいながら会場をあとにした。
 発起人となった農家の男性は、「民間企業をやめ、親の後を継いで専業農家をやっている。だから風力発電は死活問題になる。横野町では反対の会を立ち上げるのが遅れたが、今日はたくさん参加してもらってうれしい。今後、安岡の反対の会と一緒に頑張っていきたい」と語った。集会に参加した20歳の男性は、「地元の人たちが声を上げていかないと、企業の思い通りにされてしまう。声を上げて動いていくことで、知らない人たちにも知らせることになると思う」と語った。
 農家の婦人は、「横野町は昔は野菜栽培の先進地で、戦時中は中国や朝鮮にたくさんの人が行き横野から野菜や果物を送っていた。しかし最近は農業が廃れ後継者がいないことが悩みの種だ。そのうえ目の前に風車が15基も建てば住むことができなくなる。若い世代が反対運動を頑張っているのでうれしい」と話していた。

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