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顔ぶれ刷新求められる下関市議選 崩れつつある安倍派の牙城 台頭する林派とのせめぎ合いも 本紙記者座談会

 下関市議会は2月の改選を前に任期最後となる12月議会を終え、この年末年始を経た1月からは一気に統一地方選モードに突入していく気配を見せている。地元選挙区の政治構造のトップに君臨していた安倍晋三元首相が、統一教会に怨みを抱く信者2世に射殺されて急逝し、山口4区からの安倍事務所撤収、後援会解散が動くなかで、抑えがなくなった下関市議選もまた微妙な空気の変化を反映したものとなっており、その行方に注目が集まっている。年末まできた下関市議選情勢について、記者たちで情報を持ち寄り、争点について論議してみた。

 

下関市議選立候補予定者たちの後援会リーフ

 A 統一地方選の前哨戦にもなることから、2月初旬の下関市議選もおおいに注目されている。12月初旬におこなわれた茨城県議選で自民党現職が10人も落選するなどしたが、春の統一地方選は全国的にも世論の変化を反映していくことになる。

 

 この間、岸田内閣は防衛費増大(今後5年で43兆円)や原発新増設への回帰など、もはや米軍需産業に貢いだり、コロナ禍や物価高騰にあえぐ国民を置き去りにしてやりたい放題だが、安倍逝去後の内政はそれ以前にも増して混迷を深めているのが実際だろう。大臣が次々と更迭に追い込まれたり、瀕死状態といっても過言ではない。唐突に防衛費増大を打ち出したのも、バイデンを大喜びさせ、宗主国のトップにかしずくことで権力の座を得たいという魂胆がありありだ。

 

 7月の参院選で勝利すれば「黄金の3年間」を手にして好きにできるといわれ、確かに好きにやっているが、既に政権基盤はズタボロではないかと思わせている。3年待たず、政権が崩壊する可能性も秘めている。この地方選でも各政党の足腰の弱さ、強さの実態が地方ごとの特色をともなって露見することになる。

 

  目下、下関市議選については過去最多ともいわれる候補者たちが挨拶回りを熱心におこなっている。定数34に対して50陣営を上回る立候補になると見られている。こんな選挙はかつてない。街の各所で「○○(候補者)がこんなことをいっていた」「どこそこの企業が○○(候補者)についた」「(現職議員の)あいつは横着だ」とかの話題が飛び交い、選挙の到来を感じさせる。

 

 現職による「市政報告」と称したチラシのポスト投函(自己アピールのプロモーション戦略)がやられたり、政策リーフもあちこちを飛び交っている状態で、いよいよ顔売り名前売りも佳境に入っている。少しでも顔を知ってもらおうと顔写真入りの名刺を配り回したり、道路縁に辻立ちしている候補者もいる。下関市議会議員選挙の定石としては、盆以後のこの10~12月が後援会活動を押し上げていくピークで、1月に入ってから慌てても遅い。

 

  どの陣営にとっても後援会員集めが一つの目安にはなるのだろうが、候補者なり陣営の質によっても会員数や確率はまちまちだ。保守系のなかにはどぶ板の成果なのか、企業動員によって2万~3万人もの後援会員を集めても1割くらいしか票につながらないのもいる。一方で、後援会員数に対して5割以上の確率で得票に結びつける候補だっている。あるいは現職のなかには1期目の後援会員に依存して2期目、3期目は上乗せや新規開拓・更新に力を入れておらず、選挙の度に得票を減らしていく者もいる。やはり議員の日頃の活動なりが街のみんなから見られているし、シビアに有権者から採点が下されるのが選挙だ。地方選ならなおさらで、地に足を付けて議員活動しているのかが問われる。

 

  今回の市議選には新人が多数立候補するのが最大の特徴だが、一つには安倍晋三の死によって安倍事務所・後援会が解散に追い込まれ、抑えが効かないもとで権力基盤がフワフワしたなかでおこなわれる。地域でバッティングしたからといって、出馬抑制みたいな力が働いたとかもあまり聞かない。フリーなのだろう。ある意味、選挙をコントロールしていた司令塔がこれまでのように機能しないもとで個人戦がくり広げられている。保守系議員が得ていた組織票は基本的にこれまでの踏襲として動くとしても、絶対のものではない。企業、病院、団体票の奪い合いも一部では加熱している。やれ、どこそこの企業票を獲った、獲られたとかの話もゴロゴロしているのが実態だ。

 

  自民党は自民党の基盤を中心とした奪い合いになるし、地方選においては同じ政党は身内での争奪戦をよぎなくされる。毛並みの異なる候補者との地域単位の競合もあるが、似たようなスタンスの者は似たような者との争いになる。そのなかで旗幟鮮明に市政に対するスタンスをうち出して支持を訴えるほかない。現職はこれまでのどぶ板その他の活動が採点基準になるのだろうし、ふんぞり返って怠けていたようなのは振るい落とされるのだろう。

 

 安倍・林代理市政の飼い犬が何匹いても役に立った試しなどないわけで、街のなかでは「ガラガラポンせよ!」(総入れ替えせよ)の世論は強い。しかし、現職は企業、団体などの利害の代弁者として組織票を回してもらっている者もいて、そこに新人が何の組織も後ろ盾もなく食い込んでいくのは至難の業だ。しかも今回の場合、50陣営以上が出馬するということは当選ラインが下がることを意味する。余計にでも組織票を有する現職が有利な展開になる。

 

 かつての下関市議選は3000票が安泰ラインといわれ、2000票でも当選は厳しかった。しかし、近年は当選ラインがぐんと下がって、前回選挙では1700票台でも当選したのがいた。50陣営が出てきて得票が分散した場合、果たして当落の分岐点はどうなるのかだ。恐らく下がると見られている。

 

 C ただ、当選ラインが2000票以下に下がるとはいえ甘くはない。新人のなかには後援会員集めをろくにしていない陣営も見受けられるが、ネットその他のプロモーション戦略みたいなもので、果たしてどれだけ1票1票を積み上げていくことができるのか、これまた蓋を開けてみなければわからない。小学校のPTA会長その他の役職に就いて、世間に少しだけ広く顔が知られているからといって勘違いしたら悲劇だろうし、そう甘くはないことはこれまでの落選者を見ても歴然としている。

 

  結局のところ、現職では小熊坂が亡くなって、共産党の江原が引退して別の人間に交代し、吉田真次が衆院選の当て馬として鞍替え、86歳議長の亀田博が12月議会の終盤になってようやく引退を表明した。亀田本人はまだまだやる気だったようだが、同じ地盤に安倍派から新人が出馬することになり、泣く泣く諦めたともっぱらだ。ただ、夏には自民党の公認が降りて県連や支部から軍資金として25万円が支給されている。このカネを返すのだろうか?と話題にされている。公用タクシーチケットを巡ってもカネに対する執着が強い印象が広まっており、最後まで引退を表明しなかった意味って何? 25万円にもしがみつくの? と語られている。本人がどうするかだ。

 

 地元の有力な支援者も「今回はやらない」と言明していたし、西高の同級生たちも「86歳にもなっていい加減にしろ」と以前から話していた。最後は引くほかなかったのだろう。ある意味、議長就任が引退の花道として用意されたポストだったのだ。ここにきてやる気を出されても…というのは周囲にもあっただろう。

 

衆院山口4区補選 吉田真次擁立の背景

 

  吉田真次については、春以降の衆院山口4区の補選に自民党がワンポイントリリーフとして擁立しようとしている。10増10減の煽りで山口4区としては最後の選挙となり、次回衆院選からは新3区となる。この新3区に林芳正が戻ってくるのが順当と見られているが、この間のつなぎとして誰が補選に出馬するのか? が注目されていた。安倍昭恵が断り、ならばと前田晋太郎(下関市長)や江島潔(参院議員)の名前もあがっていたが、ワンポイントリリーフの短命代議士がわかっていながら貧乏クジを引き受ける者はおらず、最後は「夢は防衛大臣」の吉田真次を乗せて押しつけた格好だ。

 

 安倍派の関係者は「ちょうどいい人選」などと話す人もいるが、つなぎ役がおらず誰でもいい感が滲み出た人選で、ほかに適任者がいなかったのか? と思わせている。というか、4区のほとんどの人間が「吉田って誰だよ!」状態で、公用タクシーチケットを使い放題だったほかにはあまり知名度もない。いわゆる日の丸ボーイというか、無理したような右巻き風情が特徴の市議だったが、これが国会議員として地元に君臨するほどの実力を持っている政治家とは誰も思っていないのだ。しかし、若い市議が困っている自民党支部なり安倍派の御大たちに恩を売るということは、なにがしかの見返りのポストも用意されているのだろう。そう見るのが至って自然だ。山口2区で短命代議士を務めた福田(元市議)が市長ポストを得たように――。

 

  安倍派としては後援会解散、安倍事務所撤収とはいえ、安倍家の都合とは関係なく地元グループの繋がりや結束を保ちたいという願望が当然あるだろうし、完全に空中分解してしまったのでは利権の系統まで含めてグチャグチャになりかねない。安倍晋三に投機してできあがった利害で結びついた牙城があるのだ。驕る平家の末路みたく、じわりじわりと影響力を失っていくのだろうが、あくまで過渡期だ。

 

 林芳正が新3区というのも現段階では確定した話ではないし、安倍派との微妙な空気のなかでせめぎあっている状態だ。林派が「これからはオレたちの時代だぜ!」みたく飛び跳ねてもまとまらないのは目に見えている。いなくなったのは安倍晋三だけで、安倍後援会が解散になったからといって、その支持者やグループは右往左往しつつもそのまま生き続けているからだ。それらの人々からすると、新3区は林芳正ではなくグループから担ぎたいという願望も存在するようだ。

 

 ただ、補選の吉田真次立候補の過程について見てみると、急場凌ぎ感が満載で器ではないというのもあるが、やれ伊藤会長(安倍後援会)と本人が話をして最終決定するとか、安倍昭恵が「(前田晋太郎等に断られて)あなたしかいない」と指名した等々の飛び交っている情報が事実なら、後援会を解散しといて何が「あなたしかいない」だよ! とは思うし、「あなたたちは何様の立場から指名してるんだよ!」とは思う。

 

 安倍事務所もあの事務所は撤収して、秘書たちも再就職先がぼちぼち見つかってきているようだし、“ただの人”になっていく。安倍家の雇われ私設秘書たちはいなくなるなかで、どこまで安倍派の影響力とやらが維持できるのかは疑問符がつく。ジリジリと後退していく過程なのだ。しかし、安倍派としてのまとまった力をバックに我が世の春を謳歌してきた人々にとっては、安倍派が解体しては困るという焦りがあってあがいている。逆に冷や飯を食ってきた面々の造反も起こるだろうし、これらは虎視眈々と次の局面を睨んでいる。安倍派も林派も感情は様々だ。持ちつ持たれつしながら、机の下で手を握ったり、ひねりあいっこをしたりしている。

 

  林派としては今回の市議選では構えて頭数を揃えにくる印象がある。それは新3区を見越したら当然の動きだろうし、前回落選者とか新人についても関連企業群が後押ししているのが何人かいる。市議会でベテラン組の現職たちに加え、中堅どころも配置して、新人についてもテコ入れしている風だ。前回選挙では市長選の絡みで自民党下関支部で制裁をくらっていた安岡克昌に組織票を全力注入した印象だったが、今回は散らし気味にして頭数をしっかりと揃え、改選後の市議会における影響力を保持しようというのだろう。

 

 候補者や現職のなかでも、安倍事務所の影響力が陰りを見せるのとセットで、一部には林派に渡り鳥をしようという流れも起こっているようだ。この辺りの微妙な空気の変化というのが随所に感じられ、市議選とか4区補選でなにが起こっているのかを見極めていくうえで興味深いものがある。いずれ市長選にもつながっていく話だ。自民党のなかにおいてもバランスが微妙に傾き始めており、一方で親分を突然失って困惑しつつも対応をよぎなくされている安倍派がおり、もう一方には本音では「これからはオレたちの時代だ」と思っている林派がいる。表だって角が立つようなことはしないものの、白か黒かはっきりしないもやっとした霧に包まれつつ、事態は進行しているようだ。

 

  歴代の下関市議会議員を見てもわかるように、どいつもこいつも安倍派、林派の紐付きで、この代理市政の承認機関にほかならない。その覇権争いも当然起こるだろうが、それでは林派が牛耳る市政及び市議会か、安倍派が牛耳る市政及び市議会かの違いでしかない。市民のなかで「ガラガラポンせよ!」という世論が強いのは、それらを含めて私物化も大概にせい! というのがある。安倍政権になってからこの方、安倍派が随分と大いばりで市政を牛耳り、市長も議長も安倍派で握りしめてきたのは事実だが、だからといって林派がまともな市長や議長だったかというと似たようなもので、第三者からするとどっちもどっちなのだ。

 

 下関の政治構造では、そうしたトップにかしずく格好で公明党がタッグを組み、野党の連合とか共産党までもが平身低頭してぶら下がっている。国会よりも先んじて総翼賛化してしまい、議会としてはとてもではないが行政のチェック機能など果たし得ていない。馴れ合いと惰性で市役所最上階にとぐろを巻いている状態だ。おかしいことをおかしいと正面から指摘して、たたかう議員、市民生活のために粉骨砕身する議員がほとんど存在しない。このできあがった構造をぶち壊していくのが市議選の重要課題だ。新人についても、議員になったら「下関市議会の非常識」に染まっていくような中途半端な人間ではなく、一人でもいいからまともなのが当選して欲しい。バッチをつけたくらいで横着になるような人間は議員にさせてはならない。

 

公用タクシー券問題 是正できぬ下関市議会

 

前回選挙後の前田市長(二列目中央)と下関市議会議員(2019年2月)

 A ところで、この間、下関市議会については紙面でも公用タクシーチケットの問題を連続して扱ってきた。街の行く先々で読者から、「あの問題は結局どうなったのか」と聞かれ、「4人の議長・副議長経験者たちは不正使用したタクシー代を返金したのか」等々の問い合わせも多い。最後まで追及して欲しいという要望をたくさんいただいている。「吉田真次や亀田博はタクシー代を身ぎれいにしてから引退しやがれ!」という声もある。

 

 全国の読者の皆さんからすると下関という地方都市における些末な問題かも知れないけれど、「飼い慣らされる二元代表制の片側」を端的に映し出した問題で、世間に問題を提起した以上曖昧に済ますわけにはいかない。街のみんなのなかでは市議選も近づくなかで余計にでも「あの問題はどうなってんだ」の世論が強まっている。飲み会帰りのタクシー代を連日のように税金に寄生していたなんて、どう考えても世間常識から外れているし厚かましい話だ。しかも、問題点は整理されて詰んでいるのに、見苦しい言い訳に終始している。調査チームには本紙記者や本池涼子(市議、本紙記者)も含まれているが、市職員OBもそうそうたるメンバーが加わっていて、あくまで匿名で連携しながら調査分析にあたってきた。

 

 B はっきりいって、この問題については「公用タクシーチケットの扱いが不適切で不正な使用が散見されました。すみません」と正直に非を認めて、議長・副議長経験者たちが返金すれば話は終わっていた。ところが開き直って、「何をいうか! 生意気な!」といわんばかりに誤魔化し続け、正当化してこじれている。下関市の行政対応としては論理的にも破綻している。「ごめんなさい」ができず、潔く改めないから選挙直前まで引きずることになった。これはまず初動が誤っているし、議会としても自業自得のように思う。まさに下関市議会の品格こそが問われている。飲み会帰りのタクシー代を行政にたかって良いのか? という単純な問題なのだ。

 

  事の発端は、街のタクシー運転手の知人たちから「下関市議会の議長たちがタクシーチケットを使いまくっているが、あれは税金ではないのか?」「夜の歓楽街から毎晩のように自宅まで公用タクシーチケットで帰って、おかしいのではないか」という声が寄せられたことだった。それで、意識してタクシー運転手さんたちへの聞き込みと実態調査を開始したところ、ある議長経験者は特定の個人タクシーが御用達であるとか、唐戸の某スナック(議員どものたまり場)から夜な夜な帰っていくのだとか、様々な実態が浮き彫りになってきた。抑えておくべき公文書については情報公開窓口で請求し、タクシーチケットの写しのみならず、公務証明についても調べ上げていった。そして明らかになったのがデタラメな使い方だった。

 

 C 議会事務局の経験者曰く、要するに50枚綴り1冊を議長・副議長に持たせていて、その都度いかなる理由でタクシーチケットを使うのか確認もしていないし、議長・副議長たちが好き放題に使っているわけだ。それはおかしいから「やめろ!」と本池が議場で追及しようとすると、おかしな先例をつくって発言を封じ、12月議会のような答弁拒否連発と副市長による必死の誤魔化しになった。結局のところ浮き彫りになったのは、この程度の問題すら是正しないという驕りだろう。

 

  予算執行すなわち当時のタクシーチケットの不正使用に関与していた議会事務局の庶務課長がその後、次長となって先例集追加(一般質問の制限)についても関与し、局長となって今日に至る。そして答弁から逃げて、関係ない部局が議会答弁を押しつけられて困惑している。こんなのがよくも役所のなかで部長クラスとして大きい顔ができるものだと呆れる。

 

  日頃から本人がいないところでは「亀田議長」ではなく「亀」呼ばわりしているのを亀田本人は知っているのだろうか。そりゃ、議長でござい! と威張られれば腹が立つこともあるだろうし、議員なんて所詮「先生、先生!」とおだてりゃ世話ないのはわかるけれども、てのひら返して裏では「亀」呼ばわりってどうなんだろうかとは思う。プライドの高い亀田本人が聞いたら腹を立てるだろうからあくまでここだけの話にしてもらいたいが、議会事務局長がそんな感じで大丈夫なのだろうか? という気はしないでもない。先例集の追加は明らかに違法性があって今後の裁判で白黒はっきりするのだろうが、恐らく議会事務局の職員たちも同じことを思っているのではないか? 知らんけど。

 

  誰がどう見ても先例集の追加による議員の質問制限など論外だし、タクシーチケット問題については予算執行に責任を負う議会事務局以外には答弁のしようがない。

 

 それを総合政策部長に丸投げして議会事務局長は答弁から逃亡するわけだから、「オマエ(議会事務局長)が答弁しろよ」という空気が庁舎内で広がるのも無理はない。しかも、デタラメな使い方をしていたときの庶務課長でもあったわけで、いわばもっとも責任を問われるべき当事者なのだ。なんだかいろんな意味で詰んでいると思う。しかし、「議会を守った功労者」ということで、4月の退職後のポストも用意されているんじゃないか? と市職員たちがヒソヒソ話している。議会が是正すべき汚点を隠蔽し、タクシーチケットの使い放題を幇助した者が天下りポストを用意されるのだそうだ。

 

 C とはいえ、もっとも問題なのは飲み会帰りに公用タクシーチケットを使い放題だった議員本人であって、彼らが返金にすら応じていないことだ。むしろその後の態度を見る限り開き直っている。こちらもまた悪質だ。

 

 そしてさらに問題なのは、こうした問題について現職議員のなかで本池涼子以外に誰一人として「おかしい!」と声を上げる者がいないことだ。共産党も社民党も誰一人として議長・副議長の公用タクシーチケットの不正問題について声を上げないし、むしろ議会運営委員会において言論封殺に加担するのまでいた。総務委員会には共産党看板の西岡がいるが、所管の委員会でありながら一言も問題にしない。社民の山下なんて、本池が一般質問でとりあげようとしたさい、先例集を追加して質問制限するという議会事務局の提案に乗って賛成する始末だった。そうやって執行部に恩を売って、支持者からの要望について行政に話をつけて世話になる――得票になる――のループで議員暮らしができるのだ。

 

 本池が12月議会でタクシーチケット問題について一般質問でやりあった後、共産党の西岡が議場入口付近で執行部の部長らに媚びを売って「(議会事務局ではない部局に)こっちにいうな(質問するな)って話ですよね!」等々とにじり寄っていたのは市職員のなかでも引き気味に話題にされていた。西岡については、共産党支持者の人たちは本当に適任なのかよく考えた方がいいと思う。自民党所属の市議たちを議場入口でお迎えして「お疲れ様です!」等々と平身低頭でゴマをすり、執行部にゴマをすり、ゴマすり名人かと思うほど媚びへつらっていく様を見て、他の共産党市議たちも何とも思わないのだろうか。「共産党の看板を外した方がいいのではないか?」「何がたたかう政党だよ!」と評判だ。あれは傍から見ていて相当に情けないものがある。反射神経であのようになるのだろう。

 

  タクシーチケット問題については自民党所属の議員たちもこぞって黙殺する態度を貫き、市民のなかで「タクシーチケットの使い方はひどいじゃないか」と問い詰められたら、「あれは、ほんとうに問題ですよね」と相づちを打ったりしている。しかし、議会のなかで問題にしようとはしない。それはすなわち「自分が議長になったら使い放題できる」という性根をあらわしている。議長・副議長の特権を聖域化することを良しとし、是正しようと動かないのだ。

 

 市民の前では「ほんとうに問題ですよね」といい、議会及び執行部との関係では本池の追及について「鬱陶しいですよね」をやる。この二枚舌についても問題にすべきだろう。何度もいうように、野党も含めて誰一人として問題にしないし、触れようとしないのが実態だ。だから、開き直って今日まできている。こんなのが何人いても議会はまともにならない。まさにガラガラポンが求められる所以だ。せめてカネ、税金に対して清潔なのが当選して欲しいものだ。

 

  街の衰退が著しいなかで、産業振興であったりとりくむべき課題は山積している。「太いパイプ」を叫んで前田晋太郎が市長になったが、パイプが太かろうが細かろうが、下関の街は衰退まっしぐらで人口減少や少子化はすさまじいものになっている。安倍派、林派が私物化政治に勤しんで、議会もそれに右へ倣えで安住しているもとで、多少の利害を巡る暗闘こそすれ、根本的には何も体質は変わらず閉塞した政治状況がある。その肝心要のパイプもなくなったなかでぽっかりと空洞化してしまい、安倍派の牙城が崩れかかっているもとでの市議選になる。

 

 風穴を開けるためには、一人でも多く物申す新人が台頭してほしいし、やはり是々非々で政治に向き合うことが大切のように思う。当選したら多勢に無勢でとり込まれていくのが大半ではあるが、一人でもそうでない存在が必要だ。本紙としては本池涼子の2期目に本気で挑まなければならないし、安倍・林の代理市政に与せず、あくまで独自性を貫いていくことが要になる。れいわ新選組の竹村かつしもこの市議選に出馬するが、互いに全力で健闘して「議場で会おう!」を実現したいものだ。

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この記事へのコメント

  1. 夜明け前 says:

    正直言って、タクシーチケット代の問題が市議会で議論されるかどうかは本質的なことではない。議員の資質や意識のレベルとして、それが妥当なこととも思えない。それを看過している市民各位のお粗末さに過ぎない。

    市議会議員の地位というものが市民を支配し、各種の利権や情報を得るためのものと勘違いしていないか。そのような政治家の存在意義などないのであって、選挙で票を確保したからなんだというのか。
    ガラガラポンというなら、こういう議員政治家の構造そのものであって、同じようなムジナが顔ぶれを変えても大した違いはない。
    議員報酬は限りなくゼロでよい。百歩譲って、時間給1万円でよい。真剣に市政を議論しようとする人間が集まる議会であってほしいし、それで十分である。

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