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祝島「漁業補償中電に返せ」と決定

 上関町の町議選は終わったが、最大の焦点として祝島の漁業補償金問題の動向が、上関原発を終わらせるかどうかの最大の注目点となっている。祝島では18日に県漁協が招集して組合員集会の開催を予定していたが、急遽「県漁協側の都合」として延期となった。集会の協議事項として、漁業補償金にかかる税務申告及び納税額の手当てについてと運営委員選出に関する問題についての議決、報告事項として平成22年3月末収支見込と負担金についてが予定され、委任状付きで招集がかかっていた。県漁協側は延期の理由として「協議内容である税務申告や納税額について先に提示した内容に変更が生じた」としている。
 先立つ17日には祝島の反対派の漁民の集まりがもたれた。それは「漁業補償金の取り扱いについて」で、弁護士との協議の結果として報告され、みんなに承認された。
 補償金のうち供託金は、「祝島が拒否したのに、県漁協が受け取ろうとしているから税金問題が発生する」「だから県漁協には受け取らず流すことを求める」とした。2回目の補償金は「中電から県漁協に支払ってきた。祝島は受け取りを拒否しているので、中電に返すよう求める。中電が受け取らないというなら、供託するよう求める」とした。また「何か(税金の発生等)あったら、県漁協役員・幹部職員に(支払い等)責任を持ってもらうことが法的にも可能」とした。
 また「祝島支店が受け取らない限り、漁業権者の同意は得られていないということになり、工事の強行は過去に例のない事態となり、“社会問題”として大きく広がるし、今の裁判にも大きく影響する」とし、「この場合は、中電に対する損害賠償及び慰謝料請求もありうる」とした。
 祝島は断固として補償金は受け取らないことを確認した。したがって祝島の漁業権は生きており、四代、上関の地先漁業権範囲が埋め立て海域といっても、工事によって漁場に影響を受ける祝島の同意なしに強行することはできない。それは超法規的な行為、前代未聞の違法行為であり、二井知事の一昨年末の埋め立て許可は条件を満たしておらず先走りの無効となる。
 18日に県漁協が招集した組合員集会を延期したのは、もし開催して、補償金の中電への返却要求が決議されたなら、原発が終わりになることを恐れたものと見られる。中電に返したなら、県漁協が補償金を抱きしめ、税金のことを「心配」する必要もなくなる。
 原発は国、県、裁判所や国税、県漁協やさまざまな政治勢力を動員したペテンと脅しの陰謀を使った国策として推進してきたが、原発を阻止し全瀬戸内海の漁業を守り、日本人の魚食を守ることの方が真の国益であること、さらにミサイルの標的にして国土を廃虚にさせないことが真の国益であり、岩国、広島をはじめ全国民の利益に合致することだとの確信が全島民世論として勝利していることをあらわしている。
 祝島の補償金受け取り拒否、中電への返却によって、漁業権交渉は最後的に決裂となる。疑いなく中電の上関原発建設は終わりとなる。

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