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祝島 法務局の供託金 中電への返還に大対数が賛成

 上関原発計画とかかわった祝島の漁業補償金受け取りを巡る問題で、4日に祝島支店の組合員集会がもたれた。反対派の組合員らは「祝島は受け取りを認めない。県漁協が中電に返還するよう決議を求める」と連判状を提出。多数による決議が確実となったが、組合員集会では県漁協側が再度「(受け取りを認めて)税金を納めろ」「広島国税からも指導された」の説明を繰り返し、流会にしてしまった。
 反対派の組合員は事前に会合を持ち、「決議を求める」連判状に署名捺印していた。反対派の組合員がほぼ応じていると見られ圧倒的な多数は確実。
 その内容は「祝島支店として供託金の受け取り拒否を総会で決議したのだから、税金問題は発生しない」として、「県漁協としても供託金を受け取らず、そのままにしておくこと(5月15日で国による没収)を求める」とした。また、昨年度、中電から山口県漁協に支払われた補償金の残り半分について「県漁協で仮受け状態にある。この金については直ちに中国電力に返還するよう求める。中電が受け取らない場合は法務局に供託するよう求める。仮に税金分の負担名目で祝島支店組合員に支払いを求めることがあっても、いっさい応じないし、場合によっては法的措置も考えることを決議する」と求めたものだった。
 この日の組合員集会がはじまる前に「組合員有志の提案」として県漁協幹部に手渡され、集会がはじまると県漁協側が「これでいいのですか?」と参加者に確認。みなが「はい」と答えるやりとりとなった。
 その後、県漁協が一方的な言い分を説明。「漁業補償金10億8000万円はまだ祝島支店としては受け取っていないが、受け取る受け取らないにかかわらず、本年3月末までに組合員に配分されない場合、収益保証部分の6・9%について、法人税を納めなければならない」「広島国税局より指導を受けたが、組合員に配分されていなくても、1回目、2回目分の全額をいったん県漁協本店が平成21年度末で取りまとめ、同年度の所得として申告時に法人税を納めなければならない」とすでにウソがばれた説明を繰り返した。また「祝島支店分の権利として入金された補償金なのだから、発生する法人税は祝島支店の責任で対応していただく必要がある」と念を押した。組合員集会は県漁協側が主張しただけで散会となった。
 組合員集会は、「中電への補償金返還」が組合員の多数の意志であることを示すものとなった。決をとったならば可決が確実となり、中電と祝島の漁業権交渉は最後的な決裂となるところであった。その力関係を見て県漁協側はあわてて流会にすることとなった。それは県漁協側が何を言おうと「祝島の補償金返還」が最大のダメージになることをあらためて証明するものとなった。
 祝島の補償金受け取り拒否、中電への返還要求が圧倒的多数であることが明らかなのに、その議決を妨害し、県漁協が勝手に補償金を受け取り、勝手に法人税を納め、しかも受け取っていない祝島に税金を負担させるのは、県漁協の責任問題となる。
 祝島が補償金の返還と決めたら、そう実行するのが県漁協でなければならない。ところが逆に、現地の組合員は県漁協の意志に従わなければならないという態度である。それを県漁協の雇われ職員がしゃにむに強行する。しかも瀬戸内海漁業を壊滅に追い込み、県漁協をつぶすことになる原発推進である。それは県漁協の全組合員の同意がない暴走である。県漁協は漁協組合員の組合ではない中電や二井知事の道具だという全県漁民が共有する怒りを呼んでいる。
 いずれにしろ祝島の補償金受け取り拒否は大きな流れとなり、二井県政、県漁協の側は何度説明会や総会をやっても打ち負かされ、窮地に追い込まれることとなった。祝島の漁業権問題が解決しておらず、条件がないのに出した二井知事の埋め立て許可は無効であることがますます浮き彫りとなっている。

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