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論壇 二井知事は知事同意を撤回し上関原発断念せよ

 二井関成山口県知事は、中国電力の上関原発計画について、埋め立て許可の延長を認めないとの態度を示唆した。埋め立て許可は08年10月に出したが、1年間着手できずに、09年10月にブイを浮かべるだけで許可とり消しを免れていた。3年間で埋め立て完成をしなければならないが、この間海の工事に手をつけることはできず、期限となる来年10月までの埋め立て完成のめどはなくなっていた。
 埋め立て工事ができなかったのは、漁業権放棄が完了しておらず、二井知事が出した許可が条件を満たしておらず無効だったからである。二井知事は水産行政の権力を使って漁協を籠絡する役を担当し、関係8漁協のうち7漁協とのあいだで漁業権交渉を妥結したことによって祝島の漁業権も消滅したといって許可を出した。そのあとに祝島の漁業権放棄の議決をとってつじつまを合わせようとしたが、祝島はこのインチキを暴露して補償金の受けとりを断固拒否した。こうして30年たって、祝島を落とすという最大問題はなんの進展もなく振り出しに戻っていた。
 二井知事は福島原発事故を受けた原発見直しの全国先端のような振る舞いだが、01年の「安全前提」という「知事同意」のインチキや、埋め立て許可の無効をもみ消す口実となった。その言い方も、自分の責任で白紙撤回して混乱させた上関町を立て直すというのではなく、「国の原子炉安全審査を待って知事の埋め立て許可は検討すべき」とか、後任の知事にゲタを預けて放り投げるという、相変わらずの小役人方式である。
 上関原発計画は、平井前知事と二井知事の主導であったし、かれらが旗を振らなければ一歩もすすまなかった。二井知事は自分の失敗、自分がつくった混乱は自分の任期の間に解決するのが責任である。埋め立て許可の撤回だけではなく、知事同意も撤回し、商工行政や水産行政などをつかって裏からやった推進策動を反省しなければならない。そしてさんざんに混乱させ衰退させてきた上関町の立て直しの道筋をつくってやめなければならない。
 菅首相の浜岡原発停止も2、3年の期限付きであり、二井知事の埋め立て許可対応も原発の中止ではない。福島原発の大事故が起きたが、ほとぼりが冷めたら「大地震、大津波に耐える世界最高技術の原発」などといってオバマの「原子力ルネサンス」の道を突っ走ろうというのが原子力勢力である。
 福島原発事故は、東電やGE、東芝、日立などのメーカー、政治家や官僚、専門学者らが原子力というものを管理し運営する能力がまったくないことを暴露した。事故が起きたら収束させる能力も、住民を避難させ、賠償も復興させる用意もない。金もうけ目的でコスト削減に目の色を変えて安全性を切り捨てるというのが無能の根本的要因である。かれらにこの反省ができるわけはなく、さらに原発を動かすなら何度も「想定外」がやってきて大事故を連続させることは明らかである。
 今回の「想定外」は大地震と大津波であったが、それは東海、東南海、南海地震をはじめ日本中の原発が同じ環境にある。さらに日本を盾にして朝鮮、中国などと核ミサイル戦争をアメリカがしかけており、日本の原発がミサイルの標的になることも「想定外」ではない。また日本は火山国であり、阿蘇山噴火の火砕流は人吉や四国まで及び、富士山噴火の灰は江戸の町に積もった。これも想定外ではすまない。
 福島原発事故に照らした場合、上関原発がいったん事故をしたら、光、柳井市はもちろん、周南から米軍基地のある岩国という30㌔前後の範囲は立入禁止の都市機能壊滅となる。山陽道、山陽新幹線という大動脈はマヒする。影響をうける100㌔圏となったら、避難区域、農水産物の出荷・摂取禁止区域は、山口県全域のほか広島市、大分市、北九州市近くまで及ぶ。外洋に面した福島と違って、海水の入れ替えが200年かかる閉鎖水域の瀬戸内海漁業は壊滅となる。
 原発立地の手続きは、立地町、地権者、立地海域の漁業権者だけという限定された人たちだけの同意で認めてきた。いまやそれは無効である。上関原発の承認を得る対象は、少なくとも50㌔、100㌔範囲の市町村の同意がいる。漁業権者でいえば直接に深刻な影響を受ける山口県、福岡県、大分県、愛媛県はもちろん、全瀬戸内海漁業者の同意がいる。
 新規立地である上関原発計画を真っ先に断念に追い込むことは、対岸の伊方原発をはじめ全国の原発を廃止する突破口になる。エネルギーは食料の自給とともに、国内で自給できる多様なエネルギーに転換させなければならない。国を滅ぼす原発は、政府や電力会社に期待しているだけではなくならない。現地、全県、全国を結びつけた大衆的な世論と運動を巨大なものにしなければならない。

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