いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

ふてくされて林透議長が無所属に 下関市議会議長選巡る珍事 亀田博議長体制への力動く

 下関市議会の林透議長(自民党)が1月14日付で突如、所属会派の「みらい下関」を脱退して無所属になるという珍事が発生し、市役所内外で話題にされている。昨年下旬から、2月定例会最終日に予定されている次期議長選をめぐる自民党内の揉め事が、現役議長の会派脱退まで行き着いたようだ。

 

 下関市議会の議長といえば、4年前の市長選で安倍派が前田晋太郎(現市長)を、林派が中尾友昭(前市長)を担いで争いをくり広げたさい、中尾友昭と手を組んだ関谷博元議長(自民党・志誠会)がひきずりおろされる一幕があった。その動きの中心になったのが志誠会を脱会して新たに立ち上げた「みらい下関」であり、林透だったといわれてきた。その後、戸澤昭夫、林透と、4年にわたり「みらい下関」が議長の座を温めてきた。

 

 下関市議会の自民党会派は三つあり、林透が会派を離脱する前の構成をみると、前田市長の出身会派である「創世下関」(7人)、「みらい下関」(8人)、関谷前議長が所属する「志誠会」(6人)となっており、「みらい下関」は最大会派だった。東城しのぶ(国民民主党の支援を受けて前回市議選で初当選)を「市民連合」からひき抜いて最大会派になった経緯がある。この動きも「次期議長選を見込んでのことだった」と指摘する者もいる。

 

 ただ林透が議長に就くさいに、自民党内で「次は亀田博(創世下関、84歳)で」という申し合わせがあったと、その他の自民党市議たちは主張しており、林透がここにきて「もう2年やりたい」といい始めたのだとかで、「話が違うじゃないか!」と自民党市議団のなかで紛争が勃発していた。

 

 会派脱退までに至った経緯については、再出馬の意向を聞いた同会派の田中義一(現在「みらい下関」会派会長)や木本暢一、戸澤昭夫らが本人を説得しないまま、知らないところで志誠会メンバーの一部に、「ポストは用意するから亀田に入れてほしい」と根回ししていたことが発覚したことが原因なのだといわれている。

 

 そのほか、「林議長は以前から会派について“自分がいわなければ勉強会もしないし、飲んでばかりだ”と不満を漏らしていた」とか、副議長(現在は吉田真次)の任期を1年から2年に延長したことについて、「会派全体の同意があったわけではなく、メンバーのなかに議長に対する不満があったようだ」など、会派内部に以前から隙間風が吹いていたことが話題にされており、議長選をめぐるいざこざが決定打になった模様だ。戸澤・林透は同じ豊浦町を地盤としており、選挙になれば敵対関係になることも無関係ではないとみられている。

 

 「みらい」と「創世」の二会派(計14人)は「亀田博議長」の方向で動いているとみられ、志誠会も近々方針を決定する見込み。「公明党市議団は強い方につくので、今の状態では林透には入れないだろう」という憶測もあり、このなかで無所属になった林透が、次期議長選に立候補するか否かに注目が集まっている。

 

 林透については2年議長をやってきたとはいえ、公用タクシーチケット問題一つ解決しきれずにここまできており、「もう一期やりたい」といったときに支持がないということは、議会内での実力もそれだけのものだったということを示している。

 

 かわって自民党が担ぎ上げるといわれている84歳の亀田市議については、高齢ということもあり、委員会の場で同じ質問を何度もしたり、近頃は心配になる場面が見られるようになっており、役所関係者たちは少々気にしている。そのような心配がある人物が議会全体を束ねていく実力を持っているのか? は疑問点で、市役所内外で「また天の声か?」「引退のはなむけという意味か?」と話題にされている。

 

 4年前に、全国市議会議長会の会長までしていた関谷博をひきずりおろした(中尾友昭を応援したため)のは、安倍事務所の配川筆頭秘書の意向だとだれもが話題にしていた。林透や戸澤昭夫は、配川が豊浦町担当だった時代の腐れ縁でつながってきた子分たちであり、彼ら自身にそれだけの実力があるとみなす者はいなかったからだ。

 

 元をたどれば、みらい下関の面々は、新人を除き元志誠会のメンバーだ。4年前には元親分の関谷博の寝首をかく形で「みらい下関」という別会派を立ち上げ、今度は林透という現親分の梯子を外す―。林透や関谷博の良し悪しは別として、傍から見ていて同じ会派や自民党のなかで簡単に仲間を裏切ったり、嵌めていく体質には少々驚かされるものがある。

 

 かくしてコロナ禍で市民が大変な目にあっているときに、議員たちがもっとも情熱を注いでいるのは狭い議会内でのポスト争いである。

 

 この議長選を巡る騒動が物語っていることは、下関市議会のなかに誰もが一目置くような議長にふさわしい人物がいないという現実である。「小物揃い」といわれて久しいが、何年か毎にポストを順番に回しあって、その間はタクシーチケットをふんだんに使ってステータスを味わったり、いざ2年が過ぎると、「まだやりたい!」といい始めたり、終いにははぶてて会派を飛び出したり、子どものケンカかと思うようなことをしている。誰が議長になっても大差ないのなら、いっそのこと恨みっこなしでジャンケンでもして決めたらどうかという声もある。

 

 バイデンより高齢な84歳の亀田博を誰が議長にしようとしているのか、背後の力に注目が集まっている。

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。