いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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【寄稿】下関市議会の公用タクシー券問題について――12月議会にむけて 下関市職員OB有志の会 

 下関市議会の12月定例会が12月2日に開会するにあたって、市議会議員たちの一般質問の事前通告(内容等を議長に通告する)が1日に締め切られる。任期最後となる今回の定例会において、本池涼子市議(本紙記者)は当選からこの方追及してきた議長・副議長による公用タクシーチケットの使用に関して、議会事務局に対する質問通告を11月29日に提出した。この問題を巡っては、令和2年に同議員が一般質問をおこなおうとした際、急遽質問を制限するために先例85-1「一般質問等の質問における議会に対する発言通告は、これを受理しないものとする」なる新先例が議会事務局の提案と議運の審議を経てできあがり、議長や副議長が飲み会帰りに公用タクシーチケットを使い放題であるという問題について、本来公費の予算執行に説明責任を負う議会事務局に対して質問してはならないという下関市議会独特のルールを作って今日に至っている。こうした事態について、公用タクシーチケットの不正使用を許さない下関市職員OB有志の会が「行政が歪められてはならない」として、以下のように問題点を整理しているので紹介したい。なお、こうしたバックアップのもとに、本池市議は12月議会ではあえて本来の説明責任者である議会事務局を指定して質問通告を提出した。受理するか否かは締め切り期限でもある12月1日には判明する。

 

◇    ◇

 

左上から時計回りで、戸澤元議長、亀田前副議長(現議長)、吉田前副議長、林元議長

先例85-1の問題点について

 

 12月議会は先例85-1(一般質問等の質問における議会に対する発言通告は、これを受理しないものとする。以下「新先例」という)の問題点を洗い出すチャンスです。また、この新先例が法律的にも理論的にも成り立たない先例であることを立証するよい機会です。
 質問通告の場におけるやりとり、あるいは議会の場での質疑応答が、万一、争いになったときにごまかしようのない動かぬ証拠となります。そういう意味でも12月議会は質問通告でのやりとりから重要な場であるといえます。結果的に質問ができなくても、新先例によって一般質問ができなかったという事実は、今後、重要かつ有効な意味を持ってくると思います。

 

 新先例があってもこの新先例を無効と考えている議員の側が、質問を自ら制限する必要はありません。それは過剰反応であり、市議会正副議長や議会事務局の狙い通りの結果となってしまうだけです。議員の側が無効な新先例であると主張し質問通告をしたが、市議会事務局はこの新先例を根拠、理由として一般質問を受理しなかった。その事実はごまかしようのない事実として残ります。

 

 議員には本会議で執行部に対して一般質問をする権利があります。
 市民の間では、本件の公用タクシーチケットの扱いについて、市民のお金を使ったのに市民への説明はしないのか、市民の疑問の声を封じるのかという声が満ち溢れています。公金の不正使用疑惑だといわれているこの問題について、市民に代わって執行部に対し一般質問することを市民は望んでいます。


 議会費の予算執行について、執行部に対する質問を誰も止めることはできません。
 ましてや本件は、市議会正副議長による公金の不正、不適正使用の問題です。疑問点はどんどん質問すべきです。質問に対して誰が、どう答えるかは、市長をトップとする執行部の考えることであり、執行部の責任です。市民に納得してもらえるよう説明責任があるのは、執行部の長である前田市長です。公費の支出(予算の執行)の責任は、一義的には決裁権者が負うことになりますが、市民に対して最終的全責任を負うのは市民の負託を受けた市長です。

 

 今回のケースでいえば、まず市議会事務局に説明責任があります。しかし、先例によって執行部の一部局である市議会事務局が答弁できない(しない)ために、市民への説明責任が果たせないということになれば、それは最終的には市長の責任です。

 

 市長の責任において説明責任を果たさなければなりませんし、市議会事務局に公金使用の説明責任を果たすよう指示しなければなりません。市議会で執行部の説明責任が果たせなければ、市長の指揮監督能力の不足という批判と責任につながる問題です。

 

 また、質問に対して市議会が効率的に機能するよう執行部に対し的確に答弁するよう注意するのは亀田議長の責任です。亀田議長は本件公用タクシー券使用4議員の1人であり、亀田議長自身が市民への説明責任を負っている立場です。市民の疑問を解消するよう議長としての職務を適正に果たすべきです。

 

 本件支出の責任は前田市長に、説明責任は前田市長と亀田議長にあります。前田市長と亀田議長が本来の職責を果たすかどうかも注視しておく必要があります。

 

「質問通告」をめぐって

 

 次に具体論に入りますが、先ず「質問通告」の問題です。議員が市議会でどのような内容の一般質問をするかを、あらかじめ執行部に知らせておく「質問通告」という制度ですが、質問通告の現状を見ているとそもそも質問通告は何のためにおこなうのか、誰に対しておこなうのか、質問通告を受理するか否かは誰が決定するのかという問題があります。

 

 質問通告は本来執行部に対しておこなうものではないでしょうか。議会が質問通告に介入するのはどのような法的根拠、あるいは規程に基づいて介入するのでしょうか。ましてや質問通告の受理、不受理を決定する権限が法的に議会に認められるのか。この点もはっきり確認しておく必要があります。

 

 質問通告に対する主要な決まり(議会ルール)は、先例85(一般質問の通告内容は質問の件名、要旨、関連する部局及び聞き取り希望日〔略〕とする。以下「旧先例」という)と、令和2年に制定され今問題となっている新先例があります。

 

 旧先例では、質問通告の通告内容等が規程されています。この規程では通告内容は「件名」「要旨」「関連する部局」等となっています。
 新先例では「議会(議長、議員、議会事務局)に対する発言通告は受理しない」となっています。
 公用タクシー券に関する一般質問通告での関連部局については、違法あるいは違法性が強く無効と思われる新先例に関わらず、本件の質問と答弁が市民に解りやすいようにするために、次のようにすべきだと考えます。

 

 本件公用タクシー券の私用疑惑は、執行部の一部局としての市議会事務局の経費支出関係にミスがあったことが大きな原因です。公用タクシー券を市議会正副議長に渡し、タクシー会社からの請求に基づいて支出手続きをしたのは市議会事務局です。タクシー券使用について市民への説明責任が果たせないような疑問点があれば、そのタクシー券を使った本人に問いただし、市民への説明責任が果たせることを確認したうえで支出手続きをしなければなりません。しかし、その確認事務を怠っていたことは明らかです。どうして確認しなかった(できなかった)のか。多くの市民が疑問に思っているところであり、これらのことを必ず質問する必要があります。

 

 その質問に答える義務があり答えられる部局は、支出手続きをした市議会事務局以外にはないのだから、関連する部局を記載しないといけないのなら、市議会事務局とすべきです。当然のことです。

 

 それが新先例を根拠にどうしても通告を受理しないということなら、「新先例によって本件の市議会事務局への一般質問を受理しない」ということ及び「質問通告書のどの部分が新先例に抵触するのか」、「質問項目」が抵触するのか、それとも「要旨」が抵触するのか、あるいは「関連する部局」が抵触するのかを、明確に確認する必要があります。さらには「この決定は市議会議長の決定である」ということを確認しておくことが必要です。先にのべたように、そうすることによって、ごまかしようのない事実として、今後に必ず活かされるはずです。

 

 なお、新先例については、議会運営委員会(以下「議運」という)でどのような審議経過を経て、このような法律的にも理論的にもおかしい先例ができたのか理解できませんでしたが、このたび議運の議事録を見ることで、その経緯が分かってきました。この点については、別の項で詳しく説明します。

 

 質問通告が「質問内容」の抵触を理由に不受理となった場合は、新先例の規程は「議会に対する発言通告は」となっており、質問内容での不受理はあり得ないので、関連部局を市議会以外として、次のように質問の努力を続けるべきでしょう。

 

 関連する部局が市議会事務局では受理しないということなら、市議会事務局以外に誰が的確に答弁できるのか質問者側には分からないことなので、公費支出の最高責任者である市長の責任において、執行部の中で的確に答弁できる部局が答弁してくれということで答弁者は執行部に任せるか、質問通告のときに的確に答えられる部局を執行部に聞けばよいのではないでしょうか。市民の負託を受けた議員が市民の負託に応えるためにはそれしか方法がありません。
 ここでも受理しないということなら、その理由、根拠を市民にも分かるように確認しておく必要があります。
 「執行部」での質問通告も受理しないということになれば、「市長」を指定する以外に本件について分かる部局は他にはありません。

 

 市長には公費支出とその説明についての最高責任者という立場とともに直接的な責任もあります。市長は以前の市議会で、本件タクシー券の使用とその支払いは適正である旨の答弁をしています。この答弁に対して多くの市民は疑問を抱いているので、この答弁をあらためて確認するとともに、公金管理、支出の責任者としての市長の考えを聞く必要があります。

 

 公務には関係のない飲み会からの帰りのタクシー代、それも友だち送りまで公費で負担することに市民は誰一人として納得する人はいないはずです。それでも市長は適正使用であると認めるのか。是非再確認すべきです。多くの市民からも市長の考え方はおかしいとの声が上がっています。市長はみずからが使用したことではないので他人事のように考えているかもしれませんが、市長には大きな責任があることを自覚していただきたい。

 

 公用タクシー券の使用、支出関係の事務手続きをした市議会事務局以外の他部局が答弁しても答弁とはいえませんが、一応、以上のような質問通告が考えられます。

 

 以上三者がダメで、その理由が、「質問要旨」ということになると、議会費の予算執行については質問をさせないということであり、市民の希望する質問はできないこととなります。

 

 ただ、新先例は「議会に対する発言通告」となっており、「議会に関する発言通告」とはなっていません。従って、「発言要旨」によって不受理にすることはできないはずです。

 

 これも今後の争点の一つです。

 

 それでも新先例を根拠に、どうしても公用タクシー券に関する質問を受理しないというのなら、それに従うしかありません。ただこの場合、議会費の執行に関する一般質問が新先例によって質問できなかったという事実が残ります。このことは新先例の違法性を実証するとともに公金支出についての一般質問をさせなかったという違法行為が実証できたことになります。

 

 三者への質問がダメな場合、質問をとりやめるのも一方法ですが、市民からの質問要望が強くとりやめることができない場合は、適当に質問要旨を書き、それに合わせた関連部局を書いて質問するしか方法はないようです。

 

 しかし、市民が希望する質問ができないし、市民が納得する答弁が期待できないことが最初から分かっていながら、内容のない形だけの質問をすることには問題があるでしょう。そのような市民の要望に応えられない形だけの質問をすることが、下関市民にとってどれほどのメリットがあるのでしょうか。市民にとってメリットはないし、市議会、市政をダメにするばかりではないでしょうか。このまま違法、不適正な行為がまかりとおる市政、市議会で在ってよいのか。そのような疑問を抱かざるを得ません。

 

 なお、私ども(下関市職員OB有志)の会の議論の結果としては、ここまで堕落した議会、しかも自浄能力がない下関市議会に対しては、形だけの質問は止めて、この問題に毅然たる態度をとるべきだ。その方が結局、市民のため、議会のため、市政のために良いのではないか。そのためのバックアップをしていこうということでした。

 

予算執行の質問への説明責任

 

本池市議(手前)の一般質問を聞く前田市長と三木副市長

 全国のどこの地方公共団体でも、役所のどこの部局であろうと、どの予算費目であろうと、予算の執行、経費支出に関する一般質問を禁止するというような違法行為はしていないはずです。予算執行等に関する質問への答弁は、市長の責任であり、市長の責任において執行部内で答弁できる者が答弁するというのが原則です。

 

 答弁予定者が質問に答えられない場合は、公金支出の責任者であり、その説明責任の責任者である市長に聞くしかありません。市長をはじめとする執行部で市民への説明責任が果たせないなら、それは市長の責任です。議会における執行部の答弁の最終責任者は市長です。また、この場合どうしてこのようなあいまいな答弁しか得られないようなことになったのか、その理由、経過等を市民に説明する義務が質問議員にはあります。質問議員は質疑を期待していた市民によく説明することが必要です。

 

 そういう点では、この新先例は執行部側の答弁を制約する先例で、市長が困る結果となる先例です。市長と議会にとっては自縄自縛の先例となるように思われます。

 

 これまでに明らかにされた状況を考えると、どのような言い訳をしようと飲み会帰りに使ったこの公用タクシー券の使用はおかしい。元来、おかしい不適正な使用を「正しい使用だ。質問は許さない。問答無用だ」としたところに迷走の根本原因があります。負のスパイラルに陥っています。

 

 この新先例決定は瑕疵(かし)ある決定であったとして、早急に廃止すべきです。なぜなら何度も指摘するように、市議会事務局が議員にタクシー券を渡し、そのタクシー代支払いの手続きをしたのは、執行部の一部局としておこなったものだからです。

 

 公費を支出した執行部に対して、議員が一般質問することができないということはあり得ません。即ち、公費を支出した市議会事務局に対して、議員が一般質問することを禁止することはできません。

 

 また、別の角度から考えると、市議会事務局という執行部の一部局に対する一般質問の禁止を、議会内の組織である議運で決められるはずがないのです。そのようなことができるのなら、例えば議運で「総合政策部への質問は禁止する。答弁しなくてよい」ということも決定できることになります。なんでも適当に、好き勝手に質問禁止ができてしまいます。一般質問の形骸化、骨抜きの第一歩となる先例なのです。このことを考えてもこの新先例が如何に無茶苦茶な先例であるかが分かると思います。この新先例は法律的にも理論的にも認めることのできない先例です。

 

 このことが地方自治行政に長く携わっている亀田議長、岡本事務局長にも解らないとは思えません。我々の会員ではない市職員OBからもこの問題に対する懸念の声とともに、亀田議長、岡本事務局長に対する批判の声が多く寄せられています。

 

先例85-1の議運での審議過程を検証

 

 新先例が議運でどのような審議を経て成立したのか。市議会事務局が議運でどのような説明をしたのか等について、議運の議事録を基に検証してみます。

 

 新先例を決めた議運は、令和2年6月5日と6月8日に開かれています。

 

 6月5日の議運で、岡本事務局次長は「一般質問の取り扱いについて」という議題で、次のように説明しています。なお、この議運での岡本事務局長の説明と審議は、一般論としての審議ではなく、本池議員の「下関市議会の公用タクシー券の使用について」を対象としての審議です。そのことは、議運で同氏が審議の具体例として、本池議員のこの一般質問をあげていることから明らかです。このことは重要です。

 

 ①「(略)一般質問の対象となる市の一般事務は、執行機関の事務を指すものであり、議会は執行機関ではないため、議会の事務は一般質問の対象となる市の一般事務の対象外と考えられている。しかし、議会の予算については、議長に予算の執行権がないので、事務職員が市長部局の職員との兼務をおこなって予算の執行をおこなっている。このため厳密にいうと議会の予算の執行などについては市の一般事務に含まれ、一般質問の対象になろうかと考えている。ところで、議会事務局の任命権者は議長であり、『議会の内部事務については議長が事務統理しているということもあるので、解釈によっては議長に対しての一般質問という見方もでき』、『この場合は行政実例を踏まえた解釈のとおり、一般質問をすることができないものと考えている(略)』」

 

 ここで問題なのは『』の箇所です。私どもが予想していたとおり議運の委員(議員)に対して、間違った結論に導くよう虚実とり混ぜ巧妙に話しているような感じを受けます。そのごまかし説明と感じられる部分が『』の箇所です。

 

 まず、議会の予算の執行について「議会の内部事務については、議長が事務統理しているので、解釈によっては議長に対しての一般質問という見方もできる」と説明しているが、議会費の執行については市長が統理しており、議長は統理していません。従って、どのように解釈しても「議長に対しての一般質問になるという見方」は全くできません。
 次に「この場合は行政実例を踏まえた解釈の通り、一般質問をすることができないものと考えている」と説明していますが、議会費の予算執行に対して一般質問ができないという行政実例はありません。行政実例を踏まえれば議会費の一般質問はできるという結論になるはずです。

 

 ②『議会に対する質問』は本会議の場でしなくても、議会事務局に来てもらえば議会事務局職員が答えられると考える」と説明していますが、これも事実に反します。
 公用タクシー券問題の一般質問は、「議会に対する質問」ではありません。執行部の一員として予算執行事務をおこなった議会事務局への質問です。

 

 また、「議会事務局が説明する」ということも事実に反するということが、その後の事実によって証明されています。実際にどうであったかは令和4年8月29日の長周新聞に詳しく載っています。その概要は次のとおりですが、この事実関係を見れば岡本次長(当時)の説明がその場限りのいいかげんな発言であったかが分かります。

 

 令和四年八月に本池議員が亀田議長に新先例の廃止申し入れをおこないました。しかし亀田議長は不誠実な対応をくり返したあげく、議会における質問に適用される新先例を、議会外での質問にも適用し、結局、回答しませんでした。このため本池議員が亀田議長に説明を求め面談しましたが、亀田議長は明確に説明できませんでした。このため岡本事務局長を呼び寄せ、面談に同席させました。

 

 しかし、事務局長は説明するどころか一言も発しませんでした。先の議運での説明に照らせば「私が詳しく説明する」というべきです。説明のために呼ばれたのなら、なおのこと本池議員の質問に積極的に答えるべきです。この事実一つをとってみても、「議会事務局が答えるから」という発言は、その場しのぎの発言ではなかったのかという疑念はぬぐえません。

 

 議会という市民が見聞できる公開の場での質疑応答でないと、議会事務局も真剣にこの問題と向き合うという態度にはならないようです。

 

 新先例の見直しの申し入れに対する亀田議長と議会事務局長の対応を見ていると、本会議における対応とは比較にならないほど軽視しています。本会議場以外での質問は、実質「無視」です。議運での説明と実態とは全くかけ離れています。

 

 ③「以上、説明が長くなったが、本市議会で、『議会に係る事項』については一般質問の対象としないことを明確にするため、この際、新たな申し合わせをしてはどうかと考えている」と説明していますが、ここでのいい回しも巧妙です。

 

 先例の対象とする範囲について、上記②では「議会に対する質問」としていますが、ここでの結論的な説明では、先例対象範囲を「議会に係る質問」として対象範囲を広げています。この先例の対象範囲に議会事務局を入れやすいような文言に変えています。

 

 ④「(略)今後も議会に対する一般質問の通告等が出る可能性があるので、衆議院の先例427『議長に対する質問書はこれを受理しない』を参考にして、お手元に配布している『一般質問等の質問における議会に対する発言通告はこれを受理しないものとする』という先例を追加して、議会に対する一般質問を行わないことを明確にしてはどうか」と説明し、あたかも国の先例に準じるもの、同じようなものを本市先例に追加するのだというような説明をしていますが、これもごまかし的な説明です。

 

 議会事務局が参考として出した衆院の先例427は「議長に対する質問書はこれを受理しない」だけですが、衆院の先例は「議長に対する質問書はこれを受理しない」とともに「議員の質問は、国政に関して内閣に対して問いただすものであるから、議長に対する質問書は受理しない」という先例の趣旨が載っています。国の先例は「議員の質問は内閣(行政機関)に対して行うものである」となっています。議会事務局は国の先例の趣旨は見せず、自分たちにとって都合良く利用できるところだけを議運の委員に見せています。

 

 この国の先例の趣旨を見れば、行政機関(執行部)の一員である議会事務局への質問通告禁止という新先例は作れないはずです。
 むしろ国の先例は、本市の新先例は違法、無効であるということを証明する先例です。
 この議運の議事録を見ると、議会事務局は違法性が強いと分かっていながら、この新先例を議運に諮ったようにみえます。
 この議事録によって、どのような経緯で議会制民主主義を否定するような新先例ができたのかが分かりました。また、この議事録によって、令和2年6月議会での本池議員の公用タクシー券についての一般質問を不受理(質問させなかった)としたことも違法性が強いことが確認できました。

 

令和2年6月議会での質問通告不受理の問題

 

9月議会で一般質問する本池涼子市議

 令和2年6月議会では一般質問通告締切日を6月4日としており、本池議員は質問通告を6月3日におこなっています。しかし、市議会事務局は6月3日の質問通告を保留とし、6月4日の締切日にも保留のままでした。

 

 質問通告締切日の6月4日現在、質問通告に関する決まり(議会ルール)は旧先例しかありませんでした。この旧先例では関連する部局を書くようになっており、議会事務局と書いて提出すれば受理しなければなりません。しかし、市議会事務局はこの質問通告を何の根拠もなく保留とし、6月8日の議運で新先例を新たに決めて、この新先例を根拠に不受理としました。

 

 これは違法な行政行為です。本池議員の質問通告が旧先例上疑義があるので一時保留とし、議運に諮った結果、旧先例を適用して不受理としたということなら法的に問題はありません。本池議員の質問について適用されるのは旧先例であって、質問通告日を過ぎた6月8日に決定された新先例は適用されません。それにもかかわらず新先例を適用し、不受理としたことは、法律適用の原則である「不利益不遡及の原則」に違反する違法行為です。元来、この新先例は違法と考えていますが、その違法な新先例を遡及して適用したことは二重の違法行為です。

 

 以上のべたように、


  新先例は違法性が強く、理論的にもおかしい。そのうえ上記のように議運での決定に虚偽や瑕疵があった。従って、新先例は廃止すべきである。
  公用タクシー券の私用問題については、一般質問で議会事務局が答弁し、市民への説明責任を果たすこと。
 が絶対に必要です。

 

 なお、それでも市民への説明責任が果たせない場合、市民の理解が得られない場合は、タクシー代の返還について具体的に検討すること。多くの市民もそれを望んでいるのではないでしょうか。

 私たちは市職員OBとして、行政経験のある私たちが市政の間違いを指摘することにより、市民に開かれた市政、市民の声が届く市議会にするために多少でも貢献でき、その結果まじめな市職員の応援になればという思いで、市政について協議しています。

 

 下関市議会が市民のために役立つ議会になるのか、機能しない、むしろ市民にとって迷惑な議会になってしまうのかは、最終的には前田市長と亀田議長がその権限を行使しうるか否かにかかっています。12月議会は下関市議会の存在意義と名誉が保たれるのか、下関市政は公正に運営されるのかの分岐点になるのではないでしょうか。

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