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来年3月に迫る下関市長選 放り投げの影響受け動き起こるか 林派は手打ちしたのか沈黙

前田市長

 来年3月に下関市長選挙が迫っているものの、今のところ表面上は無風状態で、現職の前田晋太郎(安倍事務所秘書出身)に対抗する動きは皆無となっている。このまま無投票で進むのか、はたまた2度目の放り投げの影響を受けて変化の兆しがあらわれるのか、残すところ僅かとなったなかで動きが注目されている。

 

 前回市長選では自民党下関支部の実質的な分裂選挙ともいえる様相を呈し、林派が推した現職の中尾友昭に対して、市長ポスト奪還に燃える安倍派が推した前田晋太郎(市議からの転身)、無所属の松村正剛(市議)が挑み、結果は

 

前田 4万8896票
中尾 4万5546票
松村 1万 958票

 

という結果に終わった。前田と中尾の得票数は3350票と僅差で、安倍派vs林派の全面戦争がくり広げられた結果、かつがつ安倍派に軍配が上がった。もともと市議会で中尾与党だった松村氏の出馬がなければ、前田当選も危うかったのが現実だった。投票率は47%と低く、半数以上の有権者がそっぽを向いた状態のなかで、安倍派と林派の基礎票が激しくぶつかりあい、プラスアルファの公明や連合といった組織の股割き常態が得票となって可視化された。選挙結果があらわしたことは、安倍派も林派も単独ではこの街の覇権を握れない現実だった。双方が持ちつ持たれつをすることで衆院・参院の代議士ポストは自民党のものにしつつ、市長ポストを巡っては小競り合いをして「オレのもの」争いをくり広げ、基礎票をご開帳することとなった。22~23万人いる有権者のなかで、双方ともに必死になって支持者固めをしてなお、4分の1に満たないのである。

 

 その後、今日までの変化を見てみると、中尾前市長は林派・合同ガス関連会社の顧問職をあてがわれておとなしく養われ、中尾体制で副市長だった吉川氏は前田体制のもとで新博物館の館長職を与えられるなどして、「前田が中尾グループに気を遣って対抗しないように配慮している」とも語られてきた。

 

 4年前の市長選以後、自民党下関支部では林派と安倍派所属の市議会議員、県議会議員たちのなかでしばらくしこりを引きずり、料亭で暴力沙汰を起こして骨折する者が出たり、バチバチのバトルもやっていたが、最終的には腹に一物背に荷物状態で安倍派市長をトップにした体制におさまってきた。林派としては衆院山口3区(現在は河村建夫)に林芳正参議院議員の転身が決まり、念願がかなったとかで、あえて下関市長選で矛盾を起こすことを回避しているとも見られている。「林派がおとなしい訳」としては、衆院ポストをあてがわれるのと引き替えに、下関市長選では手打ちしたという見方がもっぱらだ。

 

 今後は、この9月議会において、亀田博(元市長)市議の一般質問に応える形で前田市長が出馬表明するとみられ、その後に対抗馬が出てくるのかが注目されている。一部では、自称市民派の田辺よしこ市議が「市長選に出馬する」と周囲に豪語していることや、市長になるのが長年の悲願である香川昌則市議(自民党安倍派)がゴソゴソしている様子が話題になっている。ただ、過去の市長選での振る舞いなどを思い起こし、話半分として聞き流している関係者や、端から脈なしと判断している人々も多い。

 

 そして、前田市長については露骨に安倍晋三・昭恵夫婦のお気に入り選定人事であり、安倍政府倒壊後、あるいは代議士引退後の後ろ盾がなくなった時に、こうした配置を面白く思わない人々の動きがいっきに噴き出してくると見られている。「保護者」がいなくなってからが若い市長の正念場ともいえ、早速の放り投げが来年3月の市長選にどのような影響を与えるのか、大いに注目されている。

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