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議長・副議長選めぐり紛糾する名護市議会 官邸采配の市政運営に危惧高まる

与党会派は副議長の選出を拒否 市長の「助言」を受け

 

名護市が公開した渡具知市長による首相官邸への要請書

 辺野古への米軍基地建設問題を抱える名護市議会では20日、市長選後初めての臨時議会が開かれた。新たに就任した渡具知市長が提案する副市長、教育長の任命について議論をする予定だったものの、空席となった副議長選挙が与党議員のあいつぐ「辞退」によって4回もおこなわれるなど空転。議会運営をめぐる攻防が激化している。


 名護市議会の構成は、渡具知市長の与党側が自民党(11人)、公明党(2人)の13人、対する野党側(稲嶺前市長の与党)は14人。稲嶺前市政では野党側が議長と副議長を務めていたが、市長選後、副議長が辞任(議長が受理)し、野党側は「与党になった自民・公明が副議長を出して市政を支えるべきだ」と主張している。選挙後に「辺野古容認ではない」というものの、これまで市議として「容認」の立場をとってきた渡具知市長が辺野古移設推進へと暴走することを見越して、議会採決における多数を確保することで「稲嶺市長の意志を引き継ぎ、辺野古基地建設にブレーキをかける」(野党市議)ためだ。


 だが、午前10時からはじまった議会では、選挙で選ばれた与党議員らがあいついで「諸般の事情により辞退」をくり返したため、副議長は4回選挙をおこなっても結論が出ないまま閉会時間を迎えた。会派代表による調整で、自民党会派が「このまま空転はさせられないので副議長は与党側が受けるが、議長はこれまで通り野党側が留任してほしい」との条件を出したため、閉会時間を延長したが、与党議員らは「会派による協議」として渡具知市長のもとに助言を求めにいった。その「助言」の結果、与党会派は先に出した条件を撤回して「副議長の選出拒否」の振り出しに戻り、審議は28日の臨時議会に持ち越しとなった。


 野党の市議らは、「自民党会派は、稲嶺市政時代に何度も議案に反対して否決に持ち込もうとしてきた。市長選で与野党の立場は逆転したが、今度は頭数で上回る野党が結束して市長提案に反対することを恐れているのだろう」「稲嶺市政時代には、与党側が正副議長を出していたが、採択では公明党会派とも協議をしながら是是非非で対応してきた。市長の意見を聞いて会派方針を撤回する姿一つを見ても、市議会としての独自の判断よりも市長の考えを追認する姿勢が透けて見える。市長が国のイエスマンになり、市議会まで市長のイエスマンになってしまえば、市政のチェック機能はなくなってしまう」と指摘する。これまで自民党会派は、代表だった渡具知市長自身が現議長の不信任案を2回も提出しており、「いまさら“議長はこのまま続けてほしい”では筋が通らない」とも語られている。


 渡具知市長が初めて議会に登場するのは3月5日からはじまる定例会だが、22日におこなわれた議員への議案説明には出席予定だった。ところが、市長は「急な体調不良」により欠席した。

 

 この日、野党議員らの請求によって、渡具知市長が上京して菅官房長官に提出した「要請書」が秘書課から全議員に配布された【写真】。


 先に出回っていた「要請書」【既報】とほぼ同じものだが、配布された文書には「名護市長渡具知武豊」の署名が入っており、「公約実現のため国から優秀な人材を複数名確保(総務省、経済産業省、国土交通省等)」することを官邸側に要求したことを市が認めたことになる。国が配置する官僚を市の部長や政策調整官ポストに就けることを意味しているが、地方自治の主体性を放棄し、市役所を「官邸の出先機関」にすることへの市民の反発は強く、3月定例会では大きな焦点となることが予想される。


 その他、「給食費の無料化」「保育料の無料化」「市独自の奨学金制度の創設」「ロングビーチ構想の着手(大手リゾートホテル誘致等)」など14項目の要望事項を揚げているが、これらの計画が市の財源ではまかなえきれないことは明確であり、「稲嶺市政でコツコツ積み立ててきた72億円の基金を切り崩して借金財政にすることで、国に依存する体質へ逆戻りさせる可能性が高い」「身の丈にあわない大型開発を先行させ、それを維持するために手をさしのべる形で国が交付金や補助金を増額し、辺野古基地建設に反対できない状況をつくるのではないか」とみられている。


 同じく米軍厚木基地からの空母艦載機部隊の移駐を突きつけられた山口県岩国市では、県と市が、米軍基地の沖合埋め立ての土砂を搬出するために愛宕山開発を進め、それを「赤字」とすることで、防衛省が米軍住宅地として買い上げるシナリオがつくられた。また、市長はすぐに「容認」とはいわず、「移転容認の見返り」として民間空港、野球場やサッカー場をつくることを先行させて艦載機移転を既成事実化させた事例がある。


 なお、名護市議会では、これまで「中立」の立場をとってきた公明党も自民党会派と一致した動きを見せており、市長選の連携体制はそのまま議会でも継続していることを示した。9月に予定される市議選では「公明党はもう一人新人を出してくる」との話も広まっており、「平和の党」「与党内のブレーキ役」といいながら、辺野古移設に道を開く市長選における「大活躍」の功労賞として議席を確保してもらう、なりふり構わぬ姿に市民の嫌悪感が高まっている。

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