いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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沖縄県知事選挙 批判票分裂仕組んだ謀略選挙 基地撤去の県民世論統一を

 11月16日に投開票を迎える沖縄県知事選を巡って、奇奇怪怪な動きがあらわれている。1月の名護市長選で、安倍政府はかつてないほど金力、権力を動員して辺野古基地建設推進派を支援し、干渉したものの、沖縄県民の断固たる斗争によって打ち負かされた。その後も「知事が埋め立てを容認したのだから、反対しても手続きは進む」といってボーリング調査を強行したり恫喝を加え、あきらめを煽ってきたが、戦後六九年におよぶ米軍支配に対する沖縄県民の斗争は、ひるむことなく発展している。沖縄を最前線基地にしてアジア近隣諸国との武力衝突の道を突き進んできた安倍政府にとって、今回の県知事選は番頭役である現職・仲井真弘多をなんとしても勝たせることが至上命題となっている。そのもとで仕組まれた選挙は、誰がどう見ても仲井真勝ち抜けを意図した批判票分断の構図となっている。全国的な注目が高まるなかで、本紙は沖縄現地に記者を派遣し、その底流に流れる世論をつかむべく取材を開始した。
 
 全県全国と連帯した運動が力

 今回の沖縄県知事選には、現職で自民党本部がテコ入れする仲井真弘多、前那覇市長で保守系の一部と革新政党が支援する翁長雄志、土建屋出身の元自民党員で国民新党時代には郵政民営化担当相を務めていた下地幹郎、音楽家で民主党沖縄県連代表だった喜納昌吉の4人が立候補を表明している。
 名護市長選の敗北を受けて狼狽していたところから再び息を吹き返し、真っ先に立候補表明したのが現職・仲井真弘多だった。それに対して、辺野古基地建設に反対する世論の高まりのなかで翁長擁立論が持ち上がり、水面下で様様な動きが活発化していった。すると、続いて手を上げたのが国民新党出身の下地幹郎だった。辺野古基地建設については「県民投票で意志決定する」と主張し、推進も反対もうち出さない玉虫色の戦略となった。そして、いよいよ告示が迫った10月になって翁長擁立が確定的になると、今度は民主党県連代表だった喜納昌吉が、「埋め立て同意の撤回を確約しないのなら翁長氏は辺野古反対の受け皿になり得ない」と主張して登場し、翁長陣営と時を同じくして立候補を表明する運びとなった。
 翁長、仲井真、下地の三つ巴なら「5・3・2」と見なしていた選挙通たちの評価は、批判票が3陣営に分散することで「3・3・2・2」に近い形となった。投票率が下がって組織票が威力を発揮する選挙になればなるほど、公明党が「どっちに転ぼうかな」の揺さぶり作戦でなにがしかを求め始め、仲井真陣営に浮上のチャンスが広がる展開となっている。
 前回衆院選挙で有権者の2割弱の得票しか得られなかった自民党が国会の3分の2以上の議席を確保した手法と同じで、批判票が分散することと合わせて、有権者が失望するような誹謗中傷等の飛びかう選挙構図にすることによって、他陣営の得票を下げて自民党現職がポストを得ていく狙いが暴露されている。
 現状では、安倍政府&仲井真連合のチーム自民党が直接の脅威と見なしているのは、誰がどう見ても翁長陣営である。ここに現職打倒の県民世論が雪崩を打っていくのに照応して、「勝てないとわかっているのに選挙に出る不思議な候補たち」が諸諸あらわれ、政治勢力間でさまざまな主張を展開している。その理屈がどうであれ、結果としてもたらされたのは批判票の分散選挙で、もっとも安倍自民党を喜ばせる行動となっていることは疑いない。
 嫌われ者の「日共」集団が宣伝カーを走らせて「翁長氏を支援します!建白書の実現を!」と叫んでまわったり、アメリカ大統領選挙かと思うような誹謗中傷ビラがあらわれたり、ツイッターなどネット上で怪しげな情報が拡散されたり、ネガティブキャンペーンの矛先が翁長陣営に集中しているのも一つの特徴となっている。
 こうした状況のなかで安倍政府と対決して基地建設に反対し、米軍基地撤去を望む県民世論をどう統一して示していくのかが真剣に論議されている。翁長をして基地反対を表明させ、圧倒的な大差で勝利させて沖縄県民の強烈な意志を突きつけること、全国と連帯して下から基地撤去斗争を組織し、沖縄だけでなく日本社会全体の政治構造を揺り動かしていく力をどれだけ見せつけるかが、選挙の最大の注目点となっている。候補者個人の良心に何かを期待したり、選挙や議会の小さな枠組みのなかで政治が変わるのではなく、大衆運動によって候補者を締め上げながらいうことを聞かせ、裏切り者は叩き落とし、その力関係を圧倒的なものにすることがもっとも重要な課題となっている。当選後もその力を強めることが知事なり政治家どもを縛りつけ、基地問題にせよ、県政にまつわる問題にしても解決を迫る原動力となっていく関係にほかならない。

 最大争点は日米「安保」 日本盾にする米国 

 安倍政府の対応としてはこの間、菅義偉官房長官が「埋め立てについては沖縄県の仲井真弘多知事から承認を頂いている。支障は生じない」と述べるなどして、辺野古基地建設のゴリ押しを進め、安倍首相も「基本方針にのっとって進める」として、名護市長選で示された民意におかまいなく、あくまで日米合意、つまり米国側の要求を丸呑みした辺野古移転の強行をはかってきた。「移転」といっても日米合意の内容は曖昧で、米国側が普天間を返還すると確約したことなど一度もない。最近でも安倍政府が勝手に「19年までの返還を目指す」と発表し、米国側が「何の話だ?」といって叱る一幕を見せつけたばかりである。
 知事選は、単純に辺野古移転に賛成か反対かという問題以上に、安倍戦争政治を覆す全沖縄の意志を鮮明にあらわす場となる。安倍政府登場によって特定秘密保護法や安保基本法の改悪、集団的自衛権の行使など戦時国家体制作りが強まり、尖閣では武力衝突すら起きかねない緊張が激化するなかで、沖縄の米軍基地が直接ミサイル攻撃の標的にされかねないという切迫した戦争情勢のなかで、米軍基地の存在が大きく問われている。
 沖縄では保守、革新入り乱れた選挙が幾度もくり返され、「国の安全保障のため」といって反対し難い状況をつくり、長年にわたって世論を抑え込んできた。ところが今や日米安保のもとでの「安全保障」というのが、いったい誰を守るのかという問題は極めて鮮明なものになってきた。米軍の下請になって地球の裏側まで自衛隊が出動して鉄砲玉になり、米国や独占大企業の権益を守るために日米同盟の軍事力が展開されていく。その出撃基地である沖縄なり日本列島は米国の盾として利用され、米軍が財政的にも人員的にも確保困難な状況のなかで、「オマエらジャップが行ってこい!」といってアフリカや中東に奴隷のように引きずり出され、戦斗要員として使われる関係である。出撃拠点がミサイル攻撃の標的になるのは当然で、沖縄は米軍がいることによって狙われる関係に他ならない。
 いい加減な米軍再編対応をくり広げた民主党が自滅し、その自爆劇のおかげで再び政府与党ポストを握ったのが安倍政府である。これも登場以来、憲法改定を叫んで尖閣問題でも大騒動をくり広げ、アジアの近隣諸国にも軍事挑発をくり返しただけでなく、さらに一歩踏み込んで、集団的自衛権に関する憲法解釈変更、すなわち米軍のために日本の若者の命を差し出し、日本列島全体が武力攻撃の標的になるような道を進めた。沖縄がもう一度ミサイルの標的にされ、命を失わなければならないという事態まできて、カネの問題ではなく命の問題であり、いったい誰を守るための基地なのかが鋭く問われている。選挙の最大争点は日米安保であり、そのなかで基地撤去世論をどう統一した形であらわし、米軍やその下請である安倍政府に打撃を加えるかが問われている。
 前回選挙で「辺野古移設反対」を表明して裏切った仲井真知事が、安倍政府のテコ入れを受けて懸命に生き残りをはかっている。衆議院選挙で同じく「辺野古移設反対」を叫んでいた沖縄選出の自民党国会議員五人も、すっかり裏切って容認に舵を切り、選挙とか民意というものをなめきった振る舞いをした結果、次回選挙で叩き落とされる運命にさらされている。聞く耳のない民意無視の横暴といっても、民意がついていかず、支持を得ることができない権力は宙に浮き上がり、支配基盤は崩壊するしかない。有権者の2割の支持しかないくせに国会を独占した自民党も同じで、その他の八割に包囲された権力基盤は脆弱で、横暴であると同時に実は権力にしがみついているだけである。
 名護市長選に続いて、沖縄全県民の基地撤去を求める揺るぎない力を示すこと、政府や国家機構上げてつぶしにかかっている選挙で、金力や権力をはねのけて県民世論を統一し、完全勝利するなら、それは快挙となる。基地問題は歴代政府が執拗に、かつ暴力的に推進してきた。沖縄県民をあきらめさせるために、あの手この手で懐柔や恫喝を加えてきたが、実際には政府があきらめるほかなく、事実、歴代政府の方が先に倒壊して脆くも姿を消していった。
 今や国会内は抑えられても民意は抑えられない。米軍基地を撤去し、独立と平和、民主主義を勝ちとるたたかいとして、全県、全国と団結した統一戦線の運動と世論を発展させることが待ったなしである。安倍暴走政治を頓挫させる突破口を切り開くたたかいとして、全国的な注目が高まっている。

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