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佐賀空港オスプレイ配備阻止までたたかう 地権者らの裁判を支援するキックオフ集会 防衛省が民間共有地を略取する全国的大問題

 佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備計画は、現在地権者たちが土地を売ることに合意していないにもかかわらず、防衛省九州防衛局は強引に建設工事に着手した。このオスプレイ配備計画を阻止するため、地権者たちは国を相手として建設差し止めを求める訴訟に踏み切ることを明らかにした。オスプレイ配備計画は、現地の漁業者や地権者だけの問題ではなく、佐賀市民をはじめ日本全国の大きな平和問題であることから、この裁判を支援するための市民の会が立ち上げられ、7月29日に「私たちは、命とくらしを守る ストップ! 佐賀空港オスプレイ配備 裁判へのキックオフ集会」が佐賀市のメートプラザで開催された。会場には佐賀市をはじめ県内、九州各地、全国から400人もの人々が集まり、地権者とともにたたかっていくことを誓った。

 

地権者裁判をともにたたかうことが確認されたキックオフ集会(7月29日、佐賀市)

 初めに佐賀のうたごえ合唱団が、宝の海、有明海を朗々と歌った「宝の海よ」「空を 海を いのちを」の二曲を歌い上げ、これまでのオスプレイ反対運動をおこなってきた古賀初次氏らの運動を記録した「オスプレイ佐賀空港配備反対の闘い~はっちゃんのオスプレイ反対日記~」を上映した。

 

 その後各界からの報告がおこなわれ、最初に原口一博衆議院議員が登壇した。原口議員は、災害視察として佐賀を訪れていた岸田首相と県有明海漁協の西久保組合長が二度の密会後におこなった公害防止協定の見直しは無効であるとしたうえ、「佐賀空港の計画は自衛隊のオスプレイ基地ではなく米軍の基地になる。イランとサウジアラビアが歴史的な和解をするなどG7以外の世界は平和になろうとしているところで、戦争を起こそうという台湾有事や日本有事に悪ノリしているのは日本だけだ」と指摘した。

 

 そして米軍がオスプレイの欠陥を認めたことに対して「1機220億円の欠陥機を17機、そして維持管理費だけで20年間に4800億円もかかる。私たちの命を守るために、欠陥機のオスプレイを絶対に返上しようではないか。防衛省は嘘ばかりいう。米軍基地が垂れ流したPFAS(有機フッ素化合物)の存在を何年間も隠し、騙(だま)していた。今回の佐賀空港オスプレイ配備も米軍配備はほかの自衛隊基地と一緒に考えているといっているが、そんなのは嘘だ。みなさんこの騙しとたたかっていきましょう」とのべた。

 

 オスプレイに反対する地域住民の会会長であり、地権者でもある古賀初次氏は「私たち地権者はこの運動、またこの裁判を最後まで一生懸命頑張るつもりでいる。9年間住民の会の会長として頑張ってきた。防衛省や県、漁協に対して幾度となく抗議してきたが、私たちの声は最後まで届かなかったと歯がゆい思いだ。しかしまだ私は諦めていない。弁護士の先生たちと勉強しながら、最後の手段として裁判で頑張りたい。私も74歳になりあと何年生きるかわからないが、私の最後の仕事だと思って頑張っていくのでよろしくお願いします」と支援を訴え、会場からは大きな拍手とともに声援が飛んだ。

 

訴訟の弁護団長 日本の平和を守る問題

 

集会後に記者会見を開いた地権者たち(7月29日、佐賀市)

 訴訟の弁護団長である東島浩幸弁護士は「国を被告とし、地権者の方々を原告として佐賀空港自衛隊駐屯地建設工事差し止めの仮処分と本裁判をおこなう」とのべたあと、オスプレイの佐賀空港配備問題の性質について以下のように訴えた。

 

*     *

 

 オスプレイは欠陥機であり、墜落の危険性や低周波、騒音などさまざまな問題がいわれているが、何よりオスプレイの佐賀空港配備というのは、南西諸島へのミサイル配備による敵基地攻撃など軍備増強のなかで、佐世保の水陸機動団の島嶼(しょ)奪還作戦の一環として人員や武器を南西諸島まで運ぶ要としての基地になるということだ。これは佐賀空港が敵国からの攻撃目標になるということでもあり、敵基地攻撃能力や南西諸島への自衛隊増強、台湾有事など緊張が高まる時代のなかでは現実味を帯びてくる話だ。これは漁師や地権者だけの問題なのだろうか。佐賀周辺、有明海周辺に住む人たち、もしくは佐賀県をこえた周辺に住む人たち、日本全体の平和にもかかわってくることだ。佐賀空港へのオスプレイ配備を許さないということが、軍備を増強させない、戦争への緊張を高めないということにも繋がっていく。

 

 また漁業者がいっているように、排水問題で漁業環境が悪化していく危険も当然ある。それに対して国は、排水をどのようにするのかという具体的計画を示さず、ただ「きちんとやる」「丁寧に説明する」というばかりだ。事故時、平常時の水汚染の問題、騒音や下への振動、風圧などで魚が逃げてしまうのではないかとの心配もある。そしてそれ以外の佐賀の環境の悪化も当然ある。バルーンが飛ぶ空に、といった問題や有明干潟の保全の問題、そして子どもたちが平和に暮らすという問題、そういったものすべてが問題になってくる。

 

 「豊かな大地と海のもとで人々が豊かに暮らす。これこそが国の富だ」と原発を止めた裁判長がいったが、オスプレイ配備問題はそれと同じだ。これは本日の集会に参加した皆さんの思いでもあり、古賀さんたち地権者の思いでもある。だから地権者の方々とみなさんが団結して佐賀空港のオスプレイ配備や軍事空港化を阻止することができる。

 

 特に強大な国を相手にする裁判であるため、どんな裁判形態をとるにしても市民のなかに支持を広げていくことが必要だ。ただ理屈が正しければ勝つというものではない。力ある正義、つまり圧倒的多数の人々に支えられている正義こそが、裁判のなかでも非常に重要だ。国を相手にする裁判というのは、住民側が正しいと思っていても判決が歪められることもある。それをさせないための圧倒的な人々の力が必要だ。地権者、それを支えて一緒にたたかう人たちの力を強大化していく。そういったことを弁護団もとりくんでいきたいと思っている。

 

*     *

 

 そして裁判について「各地権者に土地の所有権、土地の共有持分があり、土地全体を売却するには地権者全員の同意が必要だ。それにもかかわらず、全員が同意していないのに国と売買契約をしてしまった。これは無効であり、無効ということは、古賀さんたちに所有権、共有持分が残っているということだ。自分たちの土地であり、国の土地ではないのだから国は出て行け、工事をやめろ、というのは当たり前だ。地権者だけの問題ではなくみんなの問題であるならば、みんなが原告になれる裁判という形がとれれば理想的だが、そのための法的根拠をどうするのかという問題がある。そのためまず第一弾として、近代法のなかではもっとも確固とした権利である所有権、共有権でたたかう」とのべた。

 

 自衛隊駐屯地予定地の権利は、もともと地権者254名の共有であるが、登記上この土地は、国から佐賀県に払い下げられ、佐賀県から昭和63年に南川副漁協に移転され、現在は漁業の合併によって佐賀県有明海漁協になっている。

 

 昭和38年、佐賀県知事と各漁協との間で漁業補償に関する申し合わせがあり、佐賀県知事は「南川副漁協の漁業権者のなかの入植増反希望者(田んぼが欲しい人)に100㌶配分し、そのうち平和搦(がらみ)に40㌶、残りは国造干拓が完成したあと(に配分する)」という申し合わせをしている。昭和56年にそれを確認する漁業補償に関する覚書を県知事と各漁協のなかでおこない、南川副漁協に関しては佐賀県知事は「南川副漁協の漁業権者の入植増反希望者に対して、国造搦60㌶を配分することとする」と再度確認がされ、さらに昭和60年に協定書で農林省が増反者に農地として払い下げるという契約が結ばれている。

 

 このことから東島弁護士は「何回もされている確認から見られることは、漁協が権利者ではなく、地権者、つまり古賀さんたち一人一人が民法上の地権者だということだ。漁協の登記というのは便宜的なものであり、本当は地権者らの所有であるということになる。漁協の登記というのは一種の嘘の登記だ。さらに南川副の地権者たちは管理運営協議会をもうけており、それに関して、譲渡は相続の場合と地権者相互の場合、そして協議会への譲渡だけで、第三者への譲渡はできないとなっている。国への譲渡はできるのだろうか」とのべた。

 

 そして「今回管理運営協議会は、総会で“3分の2以上あれば売却できる”ということで売却してしまったが、反対は49名もいた。全員の同意がないから共有地を売ることはできない。予定地は地権者らの共有であって民法上の狭い意味の共有という可能性が高いと考えている。共同の所有には、狭い意味の共有以外に、合有とか総有という形態があるが、狭い意味の共有というのが法律上で規定されている完全な一般形態だ。本件の共同所有は、合有といわれる民法上の組合というのを協議会は形成していないため、狭い意味の共有といわざるを得ない。そのため全員の同意がなければ、民法251条という法律で土地自体の売却をすることはできない」とした。

 

 一方で現在国が、「漁協の登記を信用して売買してもらった」と主張していることに対し、「国は漁協の登記が嘘の登記であり、地権者らの共有権の土地だということを知っている。なぜなら二年前に地権者それぞれに対して直接国はアンケートをとっているのだ。本当に漁協が所有者だと思うなら、漁協だけにアンケートをとればいい。また今年になって防衛局は南川副に事務所をもうけ、地権者一人一人を回って土地を売るよう説得活動をしてきた。そして売買契約が終わった今になって古賀さんたちを地権者と呼ばなくなり、“関係者”と呼ぶようになった。知らなかったふりを急に始めている。こういった国の態度というのは、嘘の登記を知り、そのことを誤魔化しながらやろうとしているといわざるを得ない」と指摘し、「今日これだけたくさんの人が集まった。この力をもっと強大にしていこう」と訴えた。

 

 そして今後のスケジュールとして、8月29日に仮処分の申し立てをおこなうため、午後1時に佐賀県弁護士会館に集まるよう呼びかけた。

 

柳川や木更津市民も 欠陥機は日本にいらぬ

 

 九条の会・柳川の田中房子氏は、佐賀空港のある川副町に隣接する柳川市でも、これまでオスプレイ反対の運動をおこなってきたとのべた。そして今年5月30日におこなわれた住民説明会で、質問や発言を求める参加者がいたにもかかわらず突然緞帳が降ろされて市民説明会が打ち切りになったことに対し、再度の説明会を要請するなかで9月3日に市民説明会が再び開催されることになったと話し、「九条の会・柳川はこれからも市民の会のみなさんとともに粘り強くオスプレイの配備に反対していく覚悟だ。共に頑張りましょう」とのべた。

 

 現在、陸自オスプレイが暫定配備されている木更津市(千葉)から駆けつけた野中晃氏は「木更津は5年間の暫定配備ということで、5年経ってオスプレイがどこかに行けばいいという運動をしているわけではない。木更津の運動の大きな目的は、日本の空にオスプレイはいらないということだ。みなさんと一緒の思いだ。日本にオスプレイはいらないという運動を津々浦々から立ち上げよう」と訴えた。

 

 そしてオスプレイが飛び回っている木更津では、最大の観光資源である潮干狩りのときにはオスプレイを飛ばさないよう住民も市も訴えているにもかかわらず飛び続けている現状を報告し、「どれだけ危険性や騒音を訴えても自衛隊のいうことは“努力します”と“ヒューマンエラー”の二つだけだ。オスプレイが欠陥機であることが報道され、武器で平和は守れないことが明らかになった。そして日本では憲法の上にアメリカがいる。これをひっくり返さないといけないということを木更津で実感している。木更津は1945年9月に米軍が来て占領され、占領されたまま基地になっている。沖縄と同じで占領されたままだから、常にアメリカのいうことについて受け入れる。これについてもメスを入れなければならないと思っている」と語った。

 

市民の会設立総会 住所国籍問わず参加を

 

「オスプレイ来るな!」のプラカードを掲げる参加者(7月29日、佐賀市)

 その後「佐賀空港オスプレイ等配備に反対する裁判を支援し、地権者とともにたたかう市民の会」の設立総会がおこなわれた。オスプレイ裁判支援市民の会への参加が呼びかけられ、要旨以下の訴えが読み上げられた。

 

*     *

 

 2014年7月に国から佐賀空港の自衛隊使用要請(目達原駐屯地所属ヘリコプター50機の移駐と陸自オスプレイ17機の配備)がおこなわれた。

 

 佐賀空港は、建設に際して漁業環境や生活環境の悪化等の懸念から漁業者をはじめ地元住民の激しい反対闘争がおこなわれたが、建設同意の際に当時の地元の8漁協は佐賀県との間で公害防止協定を締結し、その覚書付属資料のなかで、県は「自衛隊との共用はしない」と明記した。

 

 これは当時戦争体験者である漁協の指導者らの「自衛隊が使う=軍用空港となるのであれば攻撃目標になる。それは絶対に許されない」という思いが結実したものだ。その平和への思いは、長年引き継がれ、2010年の米軍普天間飛行場の佐賀空港への移設に反対する県議会や佐賀市議会決議でも上記公害防止協定の精神を根拠としていた。

 

 ところが昨年11月にその公害防止協定を佐賀県有明海漁協が見直し、本年5月には地権者の団体である国造搦60㌶管理運営協議会が全員合意ではなく3分の2以上の賛成の決議で売却を決定し、国と漁協との間で売買契約を締結した。

 

 この度の佐賀空港に隣接した自衛隊の基地の建設は、水陸機動団のオスプレイ配備にとどまらず、南西諸島防衛・台湾有事も見越した強い攻撃性をも有する軍用空港化そのものだ。自衛隊と米軍との一体化が進む現在、「米軍は常駐しない」といっても日米共同訓練で米軍が来ることは必至だ。

 

 佐賀空港への自衛隊基地の建設は、漁業者・地権者の問題であるだけでなく、広く佐賀平野(筑紫平野)及びその周辺住民の生活にも多大な影響を及ぼす問題だ。平和を願う日本中の人々の問題でもある。私たちは、佐賀空港のオスプレイ等配備及び軍用空港化に反対し、土地を売らないといっている地権者の皆さんの思いを知っている。それら地権者の方々は、平和への思い、諫早干拓で傷つけられた有明海及び筑後川周辺流域の漁業環境のさらなる悪化の防止、平和を基礎とする佐賀の生活環境の確保等の思いで行動し、この度裁判に立ち上がっている。

 

 佐賀空港の軍用空港化がまさに私たち自身の問題であるとの当事者意識を共有するからこそ、地権者の方々の思いに共鳴して、その裁判を支え、ともにたたかう市民の会を結成する。佐賀空港の地元に居住し生活・生業をする地権者の皆さんが国に対して裁判をすることの苦労や苦悩が多大であることにも私たちは思いをいたし、ともにたたかう決意だ。住所・国籍を問わず、多くの皆さんの市民の会への参加を呼びかける。

 

*      *

 

 その後、市民の会の規約案や共同代表などが承認され、共同代表に選出された佐賀大学の吉岡剛彦教授は「この1カ月くらい九州防衛局のゼッケンをつけたトラックが走っている。工事が進んでいる様子に胸がつかれる思いだ。私は大学で外国人の子どもを支援するサークルの顧問をしている。そこには中国やオーストラリア、ブラジルなどさまざまな国籍の子どもがいる。オスプレイは水陸機動団と一緒になってとくに中国を念頭に置いているとされる。そのなかで私が感じるのは、本当に国を守るというのは、外国人の子どもたちを支援するなかで、子どもたちが日本に対して友情や愛着を感じるというような地道な活動のなかにあるのではないかということだ。裁判を支援する市民の会として、地権者の皆さんを支え、市民の良心と正義を示していく活動をしていきたい」と挨拶した。最後に全員で「オスプレイ来るな!」のコールをおこない、これからおこなわれる裁判をともにたたかっていく決意を固めた。

 

 その後おこなわれた記者会見では、原告団に加わっている地権者であり漁師の男性が「米軍の報告書で欠陥機となっているオスプレイをわれわれの住んでいる川副の上空で飛ばす、ノリ師が仕事をしている海の上で飛ばすということは断じて許されない。撤回して白紙に戻さなければならない。防衛省は住民説明会のなかでも“安全ですよ”としかいわない。このままでは“国がすることだから”といって何でも進められる。これはどんどんエスカレートする。私たちの命が危ない。防衛省にもこれを訴えてきたが全部無視で納得のいく答えは返ってこない」と憤りをのべた。

 

 共同代表で医師の太田記代子氏は、「戦争を知っているのはこの場では私だけだ。国は嘘をつく。騙されてはいけない。日本は絶対に勝つ、アメリカ兵を竹槍で突けと習ったが、見事に負けた。あの戦争の犠牲者は310万人だ。東条英機1人が絞首刑になっても310万人の犠牲者は生き返らせられない。男性の若者が230万人、一般人が80万人も死んだ。これが私がここに座っている理由だ。戦争を知っている世代として、オスプレイは絶対に配備させてはならない」と強く語った。

 

防衛省が重機を入れているオスプレイ配備予定地(7月6日、佐賀市川副町)

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