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自粛要請で窮地の飲食業 緊急事態宣言下の北九州市の実情

 緊急事態宣言が発令された福岡県下の繁華街では、飲食店や居酒屋、料亭などの営業が自粛に追い込まれ、地域経済に甚大な影響を及ぼしている。北九州市小倉駅周辺の飲食街も3月末頃から休業する店が増加しはじめ、7日の緊急事態宣言発令でほとんどの店が休業した。だが国は新型コロナの危険性とともに外出や人との接触の自粛を呼びかける一方で、休業補償や赤字補てんの支援策が皆無であるため、「このままではコロナで死ななくても、生活苦で死人が出る」と現実味をもって語られている。緊急事態宣言下の北九州市内の実情を取材した。

 

各店舗に貼られた臨時休業のお知らせ(北九州市小倉北区)

 北九州市内では、小倉駅前の商店街や歓楽街をはじめ、大手デパート、大型スーパー、ショッピングモールなどでも営業自粛があいついでいる。大手の休業措置にならうように、各店舗には「臨時休業」の貼り紙が貼り出され、コロナ終息のめどが見えないため「当面の間」「しばらくの間」などの不確定なものから、緊急事態宣言の効力が続く5月6日まで1カ月間の長期休業が目立つ。居酒屋やバー、ナイトクラブなどの深夜営業の飲食店が密集する鍛冶町、堺町の歓楽街はほぼ「全滅」となり、昼夜を問わず人通りは皆無となった。営業自粛によるマイナス影響は、アルバイトなどの従業員、酒屋や食品卸業者などの関連業種、運送業からタクシー、ホテルに至るまで広範囲におよび、地域経済全体に打撃を与えている。開店していても売上が半減や10分の1になった店もあり、まるで地域全体が兵糧攻めにでもあっているかのような状態だ。なかには「自粛自粛と中途半端な呼びかけのおかげで私たち居酒屋の人間は生殺しの状態。もう外出禁止にして補償して欲しい。毎月の売上でやりくりしている居酒屋はどうすれば生き残れるのでしょう…」といった抗議の貼り紙も見られ、同業者の共感を誘っている。

 

 魚町商店街の炭火焼き鳥屋店主は「今週に入ってから客足が減っていたが、緊急事態宣言が出た夜からは人通りそのものがなくなった。3月だけでも売上は前年に比べて半減した。団体予約もすべてキャンセルだ。飲み歩く行為そのものがタブーになり、チラシ配りは禁止。お客さんに来店を呼びかけることもできず、このままでは休業せざるを得ない。炭火を使うだけに、中途半端に開店してもランニングコストでのロスが大きい。だからいまは昼間だけ店を開けて弁当の販売を始めた。ワンコインでも10個売れたら5000円になる。少しでもお金を動かさなければ店が維持できない状態」だという。

 

 JR小倉駅前付近の魚町商店街は北九州市内でも最も地価が高く、好立地であればテナント家賃も1坪あたり4~5万円と高額だ。4坪程度の狭い店舗でも毎月20万円、大きな店舗になると数十万円の支払いが待ったなしで迫ってくる。「このままでは家賃も支払えず、従業員の給与もままならない。でも諦めて店を畳んだらこれまでの努力が水の泡だ。できるだけピンチをチャンスにしようと社員で知恵を絞り、弁当販売で次の営業再開時のステップアップに繋げようと思っているが、それにも限界がある。政府が“飲食店の個別補償はしない”と明言しているが、このままでは力尽きていくところは多いと思う。コロナで死ぬか、生活苦で死ぬかが現実問題だ」と訴えた。

 

 また「個人事業主には200万円の補償があると聞いたが、受給基準があいまいであてにできない。たとえ200万円もらっても1カ月分の経費にもならないが、補償がまったくなく、このまま先の見えない営業自粛が続けば飲食店はバタバタいくのではないか」と話した。

 

 周辺の商店街では、緊急事態宣言で店内での飲食が難しくなったため、夜営業の居酒屋、焼き肉店、割烹料亭などが昼間営業に切り換えて店頭にテーブルを並べて弁当を売っている。その多くが未体験の挑戦だが、「大量に余っている食材を無駄にできない」「少しでも赤字を減らしたい……」と考えたうえでの苦肉の策だ。それでも通常の売上には到底及ばず、学生や主婦、フリーターなどのパート、アルバイトは契約解除になっているケースが大半だ。

 

夜営業の飲食店が昼間に弁当を店頭販売(北九州市小倉北区・魚町商店街)

 食堂街に店を構える70代の女性店主は「先月の売上は4割減、今月に入ってからは6割減だ。20年営業してきたが、これほどの落ち込みは初めてのこと。夜営業したくても周辺が休業しているので、自分だけ開けるわけにはいかない。それでも常連さんの頼みもあるので、注文をとって昼の弁当だけ作っている。この食堂街も20軒のうち10軒は休業した。明日になればさらに増えるだろうし、いずれうちも休業しなければならなくなる。先月の家賃15万4000円が払えず、いま家主に値下げ交渉しているところだ。年齢を考えると新たな借り入れの返済ができないし、借り入れしたところで何カ月持つかわからない。かわいそうだが、アルバイトの学生たちも契約解除せざるを得なかった。半年以上も続けば廃業を決断しなければいけなくなる。“補償をするから休め”といわれたらすぐにでも店を閉めるのだが、休まなければ補償はしないという。発想の順序が逆なのだ」と国の政策に憤りをぶつけた。

 

 「30万円の個別補償も税理士からは対象外といわれ、収入は年金6万円しかないのにどうやって生きていくのか……家でじっとしていたら病気になりそうだ。早く補償をしないと孤独死する年寄りが増えるのではないか」と指摘した。

 

 炭火焼き鳥店を1人で切り盛りしている男性は「店舗面積が広く、従業員の多い店ほど、お客よりも従業員の方が多い状態になり、一足先に休業した。うちは1人で回しているからまだマシだが、それでも1日の客は1、2組程度になった。これまでは平日のマイナスを週末で補っていたが、週末の外出自粛が呼びかけられて壊滅的になった。各企業からは社員に“夜出歩くな”という指令が出ており、もし感染でもしたら解雇されかねない雰囲気のようだ。大手百貨店でさえ今年はボーナスなしといわれ、給料が5万円落ちたという声も聞く。コロナの感染防止のためには外出規制をする必要はあると思うが、そのための国からの補償がなければ小規模事業者は息の根を止められる」と実情を訴えた。

 

 別の飲食店主は「うちは2店舗でアルバイトが16人いる。解雇してしまったら彼らは家賃も払えなくなる。10月に採用され、多忙な年末年始をへてようやく1人前に育った人ばかりだ。飲食では次の求人もない。だから早い時間帯の予約だけを受け付け、少しでもお客さんの要望に応えるようにしながら、時短にしてでもアルバイト雇用を維持している。だが客はガタ減りし、店舗家賃も含めると膨大なマイナスになり、損益分岐などのレベルではない。法人の場合、大家も簡単には家賃減免には応じてくれない。消費税が上がってギリギリでやっているところに営業自粛の波が来て、新たな借金をしても返済めどがないので、より赤字が少ないうちに店を畳んでしまう人も多い。“外に出るな”というだけでは、私たちは毎日首を絞められているようなものだ」と話した。

 

 「大半の店は先月分の支払い(食材費や家賃)を今月分の売上で支払う。今月が無収益だと、ストックがあっても1カ月しかもたない。自転車操業で回していた店では支払いが滞って夜逃げした経営者もおり、踏み倒された卸業者が泣いていると聞く。国が支援金を何十万円支払うという発表はあるが、いまだに手元にはマスク2枚すら届いていないのだ。ドイツでは申請の3日後に数十万円が振り込まれたという。政府がモタモタしてこの状態があと1カ月続いたらお手上げだ。首をくくる人が出てくる」と切実に語った。

 

旦過市場も深刻な打撃 売上5分の1の店も

 

開店しているが人の往来が激減した旦過市場

 「北九州市民の台所」と呼ばれ、安価で良質な食材を飲食街に供給し続けてきた旦過市場でも売上半減の事態に直面している。市場では今も平日は多くの店舗が開店しているが、人通りは極端に少ない。いつもは昼時には、買い物客や食堂客、観光客などで賑わっているが、いまでは午前中に買い物客が少し訪れ、昼過ぎになると歩く人がほとんどいなくなる。市場内の商店主は「50年近く旦過市場を見てきたがこんなことは初めて」と話す。

 

 10軒程度の飲食店に魚介類を卸していた鮮魚店は「売上が通常の5分の1に下がった」という。納入先は料亭、寿司屋、居酒屋など多様だ。3、4月は祝い事やイベントが多いため、年間でもっとも売上が伸びる時期だった。ところが3月後半から新型コロナ対策で「イベント自粛」の嵐が吹き荒れ、取引先の飲食店からの注文が激減。「前日の夜に注文を受け、翌日に仕入れて届けるというサイクルだったが、最近の電話はキャンセルばかり。“飲み会の予約がキャンセルになった”“開けていても客が来ないから休業する”“なんとか頑張ってきたけどこれ以上は続けられない。本当にごめん…”などの悲痛な声とともに注文量が減っていき、ついに注文先は1軒だけになった」という。

 

 店頭で活きたエビやカニなどを販売する店主は「いくら営業自粛になっていても飲食店には急きょ予約が入り、大切な客が来る場合もある。そのときに品物がそろわなければ、店側は大切な客を失う。ただでさえ大打撃を受けている飲食店にこれ以上厳しくなるような思いはさせたくないので、少しでも仕入れて飲食店がいつでも再開できるようにしている。でも家賃、冷蔵・冷凍施設、魚を生かしておく装置、光熱費をみな合わせると1カ月の経費は50万円近くになる。固定費は売上がなくても払わなければならない。休めといわれても国の補償がなければ潰れる。自分たちで頑張るしかない」と話した。

 

 別の鮮魚店は、さまざまな魚をまとめて仕入れ、低価格で販売しており、年金暮らしの高齢者や子どものいる家庭、外国人労働者が客として訪れる。この日も「開いていてよかった」「スーパーにいったら魚が高すぎるから本当に助かる」と幾人も客が訪れていた。

 

 店主の男性は「旦過市場には料亭の客だけでなく、生活が厳しい年金生活者も大勢くる。店を閉めてしまえばそういう人たちが魚を買う場がなくなる。政府の緊急事態宣言でも“スーパーでの買い物はできます”と宣伝するが、小売店はまるで開けていないかのように無視されている。密閉空間がいけないのなら、地域の小売店や吹き抜けの市場や商店街で買い物をすることを呼びかければいいのに、なぜ大型店の宣伝ばかりするのか疑問だ」と国のコロナ対策に思いをぶつけた。

 

出荷先失う卸や生産者 「国は国民生活を守れ」

 

 「外出の自粛」は、飲食店にとどまらず関連産業や生産者にも壊滅的な減収をもたらしている。

 

 仲卸が売上の大半を占めるチェーン酒屋の従業員は「取引先の大半が夜営業なので、1日の注文数が半分以下になった。バイトは15人いるが取引先が休業して配達もないので収入がない。いずれ私たちもクビになるのではないかと危惧している」と切迫感を語る。パートの女性も「百貨店勤務の夫も収入が半減して、私が稼がないといけないけれど、このままでは解雇は時間の問題だ。コロナも怖いけど、私たちは働かなければ食べていけないことを政治家はわかっているだろうか」と訴えた。

 

 別の酒屋店主は「緊急事態宣言が出てから自粛ムードが強まり、次々に取引先が休業した。夜は私とバイト2人で回してきたが、配達先もない状態だ。売上はゼロに等しく、家賃支払いがあるから借り入れの算段をしなければならない。繁華街だけでなく、個別売りが主な郊外店も売上が下がっている。リーマン・ショックのときのように一時的ではなく、先が見えないことが一番の不安。“休んで下さい。後は知りません”では個人商店は切り捨てられたようなものだ」と話した。

 

 生産者と直接結びついて多様な野菜を販売している旦過市場の八百屋店主は「売上が5割減ったが、自分たち以上に生産者が苦労している」と話した。無農薬野菜など質にこだわる農家と独自の仕入れルートを築いてきたが、一斉休校のため学校給食への納入はなくなり、花見などのイベント自粛や飲食店の営業自粛で出荷量はガタ減りしたという。

 

 「ただ野菜を買うだけではなく、どのようにして育て、毎日どれだけ厳密な管理をするかを一緒に考えながら仕入れているので、生産者が作物にどれだけ手間をかけているかをよく知っている。3、4月は一番の稼ぎ時なので、そこに出荷の照準を合わせて育ててきた野菜もある。刈り取らないと大きくなりすぎて売り物にならないので出荷する農家もあるが、出荷先が少なく、運賃の方が高くて元がとれないから廃棄処分せざるを得ない。個人の努力だけでは限界があるのだ。生産者が潰れてしまえば野菜は入らなくなり、小売店が再開する基盤がなくなる。そんな危機に直面しながら“マスク2枚配ります”としかいわない国の対応には呆れるしかない。緊急事態だからこそ、まず生産者を守る手当てをすることが一番大切な対策ではないか。それができないような政治家は退場させなければ日本は潰れてしまう」と思いをぶつけた。

 

対象狭く給付時期未定 国の緊急支援内容

 

 緊急事態宣言による営業自粛や所得減が広がるなかで、国の支援策はその条件が非常に複雑であり、自分が対象となるかを判断するのは難しい。しかも、給付時期は早くても数カ月後の場合が多く、すぐに資金がほしいならば返済が必要な貸付制度に頼らなければならない。

 

 個人向けの支援として「一世帯あたり現金30万円」とうち出した生活支援臨時給付金(総務省担当)は、今年2~6月の間のいずれかの月に「世帯主の収入が感染が発生する前と比べて減少し、年間ベースに換算して住民税非課税となる水準」まで落ち込まなければ支給対象にならない。水準は全国一律とし、単身世帯なら月収10万円以下、3人世帯では月収20万円以下、4人世帯なら月収25万円以下に収入が落ちた場合という「狭き門」になっている。

 

 もう一つのケースは「世帯主の収入が半減し、年間ベースに換算して、住民税が非課税となる水準の2倍以下となる世帯」というわかりにくさだが、要するに収入が半減したうえに、単身世帯なら20万円以下、3人世帯なら40万円以下、4人世帯なら50万円以下の水準まで減少したことが条件だ。

 

 3人世帯の場合、50万円あった月収が25万円に落ちた世帯は「収入が半減」として支給対象になるが、月収45万円だった世帯が25万円に下がっても、「20万円以下に達していない」として対象にはならない。

 

 さらに「世帯主の収入」しか判断基準にしていないため、共働き世帯で配偶者の収入がなくなって世帯全体の収入が半減しても給付の対象にはならない。そのため、その厳しい条件を満たすのは全世帯(5800万世帯)の2割以下とみられている。

 

 申請には、収入の状況を証明する書類(前年の確定申告)を市町村区に提出することが必要で、しかも感染拡大を防ぐために窓口申請はできず、電話相談とオンライン(インターネット)での申請を基本としている。ネットとは疎遠な環境にいる人や高齢者は申請すら難しい。

 

 さらに、これらの緊急経済対策は、補正予算案を国会採択した後、支給する市町村区での議決を必要とする。早くても6月議会での審議・採択を待たなければならず、申請方法や受給可否の判断、給付の手続きを、誰がどのようにおこなうのかも決まっていない。実際に困っている人たちの手元に振り込まれるのは早くても7月、8月ごろになるとみられている。

 

 子育て世帯支援では、0歳から中学生までの児童手当を受給している世帯に、子ども1人につき1万円を1回限り支給する。その他、学校一斉休校にともなって仕事を休まざるを得なくなった保護者の賃金補償として日額8330円を企業に支給するとしたが、対象は小学生以下に限られ、対象期間も2月27日~3月31日の約1カ月。しかも、業務委託を受けて働くフリーランスへの支給額は日額4100円と半減させ、在宅勤務者や有給休暇を使った人は対象外となっている。

 

 無利子・保証人不要の生活福祉貸付制度(厚生労働省担当)では、新型コロナの影響で、「休業により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のための貸付を必要とする世帯」を対象にし、貸付条件は「学校の休業、個人事業主等の特例」の場合は20万円以内、その他は10万円以内で、1年の据え置きで返済期限は2年以内としている。同じく失業した場合は、2人以上世帯で月20万円、単身なら15万円以内で、1年据え置きの返済期限は10年以内だ。申請窓口は市町村の社会福祉協議会だが、感染拡大防止のため社協そのものが閉鎖しており、電話対応も人員不足でパンクしている自治体も少なくない。あくまで貸付であり、返済の重荷がのしかかる。

 

大半が企業向けローン 将来的に返済の義務

 

 事業者や企業向け支援(経済産業省)では、「返済不要の現金支給」として、中小企業などの法人に「最大200万円」、法人化していない個人事業主には「最大100万円」とうち出した。「今年1~12月のいずれかの月の売上が前年同月比で50%減少の場合」が条件だ。だがあくまで「上限額」をうち出しているだけで、個別具体的な計算方法などの制度内容、支給方法に至るまで一切決まっておらず、12日現在まだ申請の受付も始まっていない。対象者も金額も、給付時期も不透明であるため、直近の支払いに充てることはできない。

 

 さらに雇用維持のための雇用調整助成金(厚労省)による支援策は、「1月24日~6月30日までに一時的な休業などによる従業員の休業手当などの一部を助成する」とし、中小企業には現行の3分の2から5分の4に助成率を上げ、解雇をおこなわない場合は10分の9にまで引き上げるとしている。本来、助成金支給の基準となる従業員は、雇用保険に6カ月以上加入していなければ対象にならず、未加入の短期雇用やパート、アルバイトは含まれない。厚労省は今回「雇用保険被保険者でない労働者も対象」と発表しているが、これも制度の詳細が決まっていないため、窓口となる自治体行政で困惑が広がっている。

 

 日本政策金融公庫による特別融資制度(無利子・無担保の貸付)も、売上が前年か前々年の同期から5%以上下落した中小企業や個人事業主などに、上限6000万円で貸し付けるとし、上限額の3000万以下の部分のみ金利を一律0・9%下げ、15年以内に返済すれば今後3年間は低金利で融資するとしている。売上が15%以上下落した場合は、当初3年間は利息分を国が補てんするため「実質無金利」としている。だが、いずれの金利も債務者が一旦公庫に返済しなければならず、3年後に国(実施機関は未定)から補給されるという回りくどい制度になっている。

 

 ただでさえ多くの店が貯蓄がない状態にあり、いますぐ手元に資金が必要であるため、少しでも営業して現金を入れるか、諦めて倒産の道を選ぶかという瀬戸際に立たされている。政府が打ち出す政策のほとんどが制度の詳細が未定であり、大半は返済が必要な貸付ローンであるため、「緊急」にも「支援」にもなっていないのが現実だ。給付金の支給先も事業者ごと、世帯ごとであり、個人に対する直接補償はみられない。

 

 数十万円の直接補償や賃金全額補償などを実施している各国政府と比べてもあまりにも拙(つたな)く、国民を救済する意志も能力もない姿を見せつけている。

 

 政府は「人との接触を最低7割、極力8割の削減をめざして、外出自粛を」(安倍首相)などと呼びかけ、メディアでは「罰則規定がないため実効性が乏しい」などの論調も見受けられる。だが、必要最低限の生活保障政策がないことが新型コロナの封じ込めを阻害していることは明白であり、私権制限にだけ熱心で危機対応に対してあまりに無能な「安全保障」の内実とともに、国民の生命に対する軽薄な態度を露呈している。

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この記事へのコメント

  1. 北九の名無し says:

    「当面の間」を言い換えると「無期限に」「永久(永遠)に」でもあります。よって店舗によっては「当面の間」を「廃業(廃店)=倒産」を前提にしている店舗もあります(特に有限[●月○日まで休業]から当面の間に変更した店舗に多い)。でも、現実は残念な事に本当に「当面」が「永久(永遠)」に休業つまり廃業になってしまった店舗は多数発生しました。いわゆるコロナ倒産(破綻)と言われるものであり、日本はもちろんの事、世界中で問題になっております。少しでも「当面の間」が短くなる事と、「永久(永遠)に閉店」にならない事を願うことばかりであります。

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