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「既に700店が閉店」 広島流川・薬研堀で聞くコロナ禍の実態 深刻な飲食店の廃業

 新型コロナ感染の「第二波」が全国各地を襲うなかで、広島市中区の流川・薬研堀などの繁華街では飲食店を中心に閉店や廃業が加速している。「すでに700軒が店を畳んだ」といわれ、感染収束の見通しが立たない状況に見切りをつけるように老舗料亭やカラオケ、中小零細の居酒屋などがあいついで営業をやめている。感染防止のため自粛ムードが覆うなかで、行政の対策はいぜんとしてマスクや消毒の励行など個人的防護策にとどまっており、検査体制や休業補償などの足踏み状態が続けば、「耐えている店も年末まで持たない」と語られている。

 

約3000店が軒を連ねる流川の繁華街

 広島市の感染状況は9月3日時点で累計287人(退院279人、入院8人)。1日の感染者数が30人台を記録した4月なかばがピークとなった。その後の緊急事態宣言による休業要請もあり、5月初旬から7月初旬にかけては感染者ゼロが続き、繁華街も客足をとり戻した。だが、7月半ばから「GoToキャンペーン」が始まる8月にかけて再び感染者が増加しはじめ、累計感染者が第一波をこえた。市内中心繁華街の流川では、7月末にクラスターが発生したことで外出自粛が強まり、客足がぱったりと途絶えた。

 

 流川で15年営業してきた割烹店主は、「5月の休業要請で1カ月間休み、6月は感染者が出なかったので客足が戻っていたが、第二波が始まってからはまた客が減り、昨日もお客はゼロだった。第二波の打撃の方が大きい。常連客から“やめないでくれ”といわれているから頑張っているが、この状態が年末まで続けばうちも店を閉めなければいけなくなる。1~2月は例年売上は低く、一番のかき入れ時の12月に閑古鳥が泣くようであれば赤字をとり戻すことはできない」と語る。

 

 市内の企業では社員に「夜間の外出自粛」の指令が出ているため、接待や会食などの団体客はおろか個人客も激減。持続化給付金100万円は2カ月分の支払いで消え、家賃補償で3分の2が免除されても、従業員などの給料を支払えば毎月30万円の赤字になる。近隣ではカラオケ、スナック、割烹料亭、串カツ店、中華料理店、薬局など馴染みの店が8月までに次々と閉じ、「先が見えないのに借金だけを膨らませるわけにはいかない…」と口々に語っていたという。

 

 「閉店するにしても、冷蔵庫や設備などを廃棄し、店内を改装しなければならない。広島では西日本豪雨以来、粗大ゴミ処分の料金が3倍に値上がりしているから大変な出費になる。GoToキャンペーンで県外から客が来ても、もし感染していたら他の常連客に迷惑がかかるので来店を断るようにしている。拙速に旅行を促す経済対策よりも、検査体制を拡充し、感染状況を目に見える状態にしなければ安心して営業ができない」と切実に語った。

 

 料亭の女性経営者は「今年初めに店舗を拡大した矢先のコロナ禍で、宴会などの団体利用が減って大打撃を受けている。7月末からの第二波で、とくに流川で感染者が出たことが負のレッテルになり、一気に客足が途絶えた。4~5月は休業したものの、持続化給付金の審査に2カ月もかかった。家賃補償も2カ月前に申請したが、まだ返事さえもらえないから低金利の借り入れをして凌いでいる。同業者では、数十年やっていた日本料亭やお寿司屋など、年配層を対象にして古くからやってきた老舗があいついで廃業し、“なかなか下りない給付金を待っているわけにはいかない…”といっていた。間口が広く、従業員が多いところほど早期に諦めている。バイトは休業支援を受け、給料を保障しながら休ませているが、貯金を切り崩すのも限界だ。国には迅速な給付をお願いしたい」と語った。

 

例年の5割以下の売上続く

 

 地場居酒屋チェーンの店長も「売上が例年の5割以下の状況が4カ月間続き、今もお客が少ないので通常午前3時までの営業を午後10時までに短縮している。とくに第二波後の8月は、店を開けても誰も来ない“どん底”状態だった。昼営業に切り換えるといっても、夜の街は昼間の人通りが少ないので意味がない。5~6人いたバイトも半分に減らした。9月からはウーバーやウォルツなどの宅配アプリと契約してテイクアウトをやろうと思っているが収支は未知数だ。先が見えないのが苦しい」という。

 

 定食屋の男性店主は「税理士の話ではこの地域ですでに700店が廃業したという。廃業は3~6カ月前に家主に申告するのが慣例なので、12月末から年明けにかけてさらに多くの廃業店舗が出ると予測される。一度やめてしまえば立て直すのは難しいし、その影響は仲卸や生産者にも広がっている」とのべた。また「感染者が一人でも出れば知事が記者会見するほどの大騒ぎをするのに、どうして保健所や病院での検査体制を充実させ、誰でも気軽に検査を受けられるようにしないのかが不思議でならない。個人ができることは除菌シートやアルコールを置く他に手立てがないのに、県は感染防止のポスターを送ってきただけ。宮島でもGoToトラベルで観光客が押し寄せたが、お年寄りも土産物店は感染者が出るのを恐れて店を閉めているという。こんなことを続けている間に流川は廃業店舗だらけになってしまう」と厳しい表情で警鐘を鳴らした。

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