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NHK籾井会長発言騒動 米国への奴隷根性が同居した過去の遺物

 維新の会・橋下徹に続いて、同じく安倍ブレーンとしてNHK会長に就任したばかりの籾井勝人(元三井物産副社長)が従軍慰安婦問題について開き直った会見をやり騒ぎになっている。「公共放送」を標榜してきたNHK(日本放送協会)では、安倍政府登板にともなって経営委員に「きれいなオネエチャンを食べたい!」等等とネットで発信する作家の百田尚樹や、長谷川三千子などそのブレーンたちが多数送り込まれてきた。320万人を失った大戦の痛ましい教訓を経て、戦後は大きな顔をすることがはばかられてきた勢力が「美しい国、日本」を叫んで亡霊のように登場し、国内だけでなく世界に向かって排外主義思想や居直り発言を披露していく異様な状態があらわれている。
 籾井勝人については、安倍首相の九州人脈として登用されたことがとり沙汰されている。25日におこなわれた就任会見のなかで記者から従軍慰安婦についての認識を問われ、「戦時だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭ないが、このへんの問題はどこの国にもあった。慰安婦そのものは今のモラルでは悪い。しかしドイツやフランスにはなかったのか? そんなことはない。欧州にはどこでもあっただろう。なぜオランダに今も飾り窓(売春街を示す)があるのか。会長の職はさておいて、韓国は日本だけが強制連行したようにいうから話がややこしい。お金よこせ、補償しろといっている。しかしそういうことはすべて日韓条約で解決している。なぜそれを蒸し返されるんですか」などとムキになって答えた。
 英国の公共放送・BBCなどがアジアや世界に向けて発言を紹介し、反発が高まるなかで、籾井自身は即時に発言を撤回して、謝罪することとなった。ところがおさまらないのが周囲の「お友だち」で、同じくNHKの経営委員にとり立てられた百田尚樹がツイッターで「毎日新聞では、籾井氏の発言に対し、『経営委員側からは“外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる”と失望の声がもれた』とあるが、少なくとも経営委員である私はなにもいっていないぞ。だれが失望したんや! 名前書けや」と反発。維新の会・橋下徹も「まさに正論。その通り。籾井さんがいったことは僕がずっといい続けていることで、きちっと反論できる人なんていない」とのべるなど、「戦争を知らない子どもたち」が盛り上がっているのも特徴となっている。
 慰安婦問題では公共放送に対する政治介入・番組改編問題を起こしたことがある安倍首相も、「NHKはどんな政治的圧力にも屈せずに公正な放送を続けていってもらいたい」と籾井会長を激励。みずからの政治思想、すなわちA級戦犯の祖父・岸信介から引き継いだ、第2次大戦における日本軍国主義の侵略を肯定する世界観こそが公正で、籾井発言を問題にする側こそ政治的圧力を加えていると見なす思考回路を披露した。
 いまや日本放送協会(NHK)が公共放送というより、安倍グループにハイジャックされたかのような印象となっている。

 国際的な信頼揺るがす事態 外交面も機能不全に

 安倍晋三が強固なナショナリストといわれながら登板して以後、ブレーンといわれる面面にしても、恥ずかしげもなく排外主義的な思想を披露し、ますます世界の孤児になる道を進み始めている。中国、韓国、北朝鮮をはじめとした近隣諸国との緊張が激化し、その最中に靖国参拝をやってさらに関係をこじらせ、外交面でも機能不全と孤立化が際立ったものになってきた。国内に対する強面とは裏腹に世界で笑いものにされ、戦後六九年かけて積み上げてきた国際的な信頼をも揺るがす事態を招いていることについて、お粗末というだけで済ませるわけにはいかない。
 昨年、「従軍慰安婦は必要だった」「なぜ日本だけがとり上げられるのか。慰安婦制度は世界各国の軍が活用した。朝鮮戦争やベトナム戦争でもあった。銃弾が飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的に高ぶっている集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのはだれでも分かる」「みずからの意思でそういう職業に就いた人もいたでしょうし、現代社会だって風俗業が職業としてある」「沖縄の米軍は風俗を利用してもらいたい」と発言して世界を驚かせたのが橋下徹で、国内での放言癖丸出しで世界に向かって恥をさらしたばかりだった。橋下徹や維新の会はその後、急速に凋落への拍車がかかったが、今回の騒動もその延長線にある。
 慰安婦問題が焦点になっている直接の発端は、日本の植民地支配と侵略を謝罪した村山談話や河野談話の見直しが進んでいることとかかわっている。第1次安倍政府が、政府や軍が国を挙げて慰安婦を暴行脅迫拉致したという証拠はないと閣議決定したのを受けて、世界や国内世論に対する挑戦がはじまった。暴れ回っているのが安倍晋三の仲間たち、戦後生まれの戦争知らずや、あるいは終戦当時に赤ん坊だったような者ばかりで、「戦後レジームからの脱却」というのが、69年歴史を巻き戻しして、要するにかつての大戦を正当化するものとして収斂している。
 戦中、借金に追われて前借り証文で売買された貧乏人の娘たちや朝鮮人女性たちが、慰安婦としての運命を歩んだ事実は消し去ることができない。それだけでなく、国内市場が狭隘化するなかで大陸に侵略し、中国で撃退され、欧米列強との市場争奪に敗れて原爆まで投げつけられたこと、散散国民の生命や財産を犠牲にした挙げ句、戦後は米国に隷属して植民地状態を続けてきた事実についても、誤魔化すことなどできない。
 69年前に既に大破綻し、長らく日陰暮らしをよぎなくされてきた過去の遺物が、半世紀以上が経過し、当時を知っている戦争体験者が少なくなっているなかで亡霊のようにあらわれている。戦犯の孫が往生しきれぬ爺さんの思想を引き継いで、大戦の反省もなく時代錯誤をやりはじめた。彼らが「あの頃の日本は良かった」という原点が六九年前の戦時体制にあり、同じように日中戦争すら辞さないようなことを臭わせて世界から唖然とされ、しかし本人たちは得意気になっている。
 一連の過程で、靖国参拝に「失望」したとか批判めいた振舞をやり、一方で日本を対中、対北朝鮮の全面に立てて緊張関係を持たせながら、いいとこどりをしているのが米国で、この狡猾さについて無視するわけにはいかない。特定秘密保護法や集団的自衛権の行使にせよ、安倍体制で進行している政策は軒並み米国から突きつけられてきたものであり、今用意している戦争は米国のための戦争にほかならない。カネも人もすべて身代わりになり、武器は米国の軍需産業をもうけさせるために法外な値段で売りつけられ、地球の裏側まで米軍の下請で出かけ、きれいにカモにされている。69年たった戦争政治は、みな米国の国益のために日本社会を差し出す、売国性に貫かれたものとなっている。
 戦後は進駐軍に日本中の売春婦を集めて提供したが、橋下徹などは「米軍のみなさんには沖縄の風俗を利用してほしい」と媚びる。アジアに対する横暴な振舞と、奴隷根性の同居を特徴としている。平和憲法を捨て、戦後六九年間で先人たちが培ってきた世界各国からの信頼を投げ捨てて、ひたすら米国の属国として暴走する政治との斗争が迫られている。

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