いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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軍需産業のためイラク戦争  税金食い殺人で儲ける 

 ブッシュ米政府は、イラクやアフガニスタンでぬきさしならない泥沼に陥っていながら、その侵略戦争を止めようとしない。「反テロ」を名目にした「新しい型の戦争」は、戦争に次ぐ戦争で超大国にのし上がったアメリカの軍事的覇権主義の現段階での追求であった。それがめざす「世界一極支配」は、アメリカ政府の内外政策を実質上動かしている軍部と軍需独占企業の「軍産複合体」野望である。イラク戦争を軸に軍産複合体がどれだけ血のしたたるドルを稼いできたかを見てみたい。
 アメリカのイラク戦争と占領で、イラク人民約65万人が死亡、約220万人が難民として海外に移住した。傷つき、家を失い、家族離散した人は数知れない。他方、米軍兵士4000人余りが死亡、3万5000人が負傷、心身障害から自殺したり、犯罪に走るものも多数出ている。世論調査でも、アメリカ人の72%が米軍の撤退を望み、イラク人の86%も米軍の早期撤退を要求している。
 イラク戦費は公表されているものが約6000億㌦、ノーベル賞受賞者でコロンビア大学教授のスティグリッツ氏は約3兆㌦との試算を出した。クリントン前政府で黒字になっていた国家財政は、その後毎年4000億㌦前後の赤字となっている。独占大企業への減税、医療・福祉など民生予算の切り捨てなどで貧困層が激増している。2006年の貧困人口は全人口の12・3%で、01年より0・6%も増加した。
 加えてこの間、ITバブルに続いて住宅バブルもはじけ、黒人やヒスパニック系が家を失った。サブプライムローン(低所得者向け住宅融資)の焦げ付きで金融危機が世界を巻き込み、ヘッジファンド(国際投機集団)などは原油や食糧に投機、物価高騰に抗議する暴動が世界各国で頻発する事態となっている。

 米軍需産業は利益増大 軍事費の拡大で 
 こうした世界の人人の苦難を尻目に、アメリカの軍需産業はイラク・アフガン戦費の増額で利潤を大幅に増大させた。05年の世界兵器産業「トップ100社」のなかで、アメリカ企業は1位のボーイング、2位のノースロップグラマン、3位のロッキード・マーチンをはじめ40社が入り、100社の兵器総売上2901億㌦中、その63・1%に相当する1830億㌦を懐にした。それは対前年度比9・4%増であった。
 軍事費拡大の最大の要素は「9・11テロ事件」以来のアフガン・イラク戦費の増額である。米議会調査局によれば、01年度から08年度までのアメリカの戦費は、累計総額で7000億㌦と見積もられている。うち4分の3にあたる5259億㌦がイラク戦争によるもので、アフガン戦争をはじめとした「対テロ戦争」にかかわる経費が20%、国内の国土安全保障向けの経費は5%となっている。イラク戦争の動向が軍事費の推移を大きく規定したのである。
 ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオンといった軍需産業がイラク攻撃で使用された兵器を製造し、シュルツ元国務長官のベクテル社とチェイニー副大統領が最高経営責任者であったハリバートンがイラク「復興」にかかわった。
 ロッキード・マーチン社は、イラク戦争で使用されたF117ステルス爆撃機を製造し、センサーで標的を狙う新鋭の「ぺーヴウェイⅡ爆弾」もイラクで使われた。さらにイラク戦争の直前に米軍は同社に212基のPAC―3パトリオット・ミサイルを発注し、その購入額は1億㌦だった。同社の元副社長であったブルース・ジャクソンは、みずから「2002年イラク解放連合」という組織を設立し、その指導者としてブッシュのイラク戦争を熱心に支持した。ドイツ、フランスがイラク戦争を支持しなかったのに対し、「新しいヨーロッパ」の10カ国によるイラク戦争支持の声明づくりを助けたほどだ。ロッキード・マーチン社は、アメリカ国民1人当りから平均して105㌦の税金をかすめて、武器を製造している。
 ボーイング社は世界第2位の軍需産業で改良を重ねたB52爆撃機を製造している。B52は、イラクでスマート爆弾、精密誘導ミサイルを使用したが、ボーイング社は旧式爆弾をスマート爆弾に変える試みをおこなった。開戦当初イラクで使われた爆弾の80%が精密誘導爆弾であったと見られる。ボーイング社のスポークスマンは01年9月から02年10月までのあいだ、「合同直接攻撃兵器」プログラムの国防総省との契約で10億㌦余りの収益を上げたとのべた。また同社は、C―17輸送機を製造しているが、イラク戦争で戦車、ブラドレイ装甲車の輸送に使われた。その後同社はさらに、60機のC―17輸送機の注文を受けている。
 レイセオン社は、4000もの兵器製造プログラムにかかわっている。レイセオン社は、1基60万㌦のトマホーク・ミサイルを製造しており、それがイラク戦争で使用された。同社によれば、AIM―65マヴェリック空対地ミサイルをはじめ、精密誘導の各種ミサイルもイラク戦争で用いられた。レイセオン社は、たいていのアメリカ製の戦斗機に使用されるレーダー、監視、標的システムを製造しているほか、地下構造物攻撃用のGBU―28を製造している。
 これら軍需産業が製造している兵器は、ハイテク化、宇宙化、省力化などの特徴がある。これは、旧ソ連崩壊後の世界を軍事力で「一極支配」しようとしてきたアメリカの「軍事革命」路線にそったものである。イラク戦争に代表される先制攻撃戦争の強行と、世界的規模の米軍再編・同盟再編を推進することが核心である。具体的には、ますます精密・高性能化する新型兵器、宇宙をも利用した攻撃・輸送手段の強化、軍事情報網の最新鋭化を活用して、より規模の小さい戦力による遠征侵攻型軍隊として米軍を再編することだ。進行中の在日米軍の再編、米軍と自衛隊の一体化もその一環である。

 大統領選の頃から動き NYテロ前に暗躍 
 これは不特定の敵を想定した「新しい型の戦争」と呼ばれてきたが、「9・11テロ事件」を機に始まったものではない。すでに1998~99年の大統領選出馬準備過程で元政府高官ら軍事・外交専門の側近グループが、ライス現国務長官とウルフォビッツ元国防副長官を中心にチェイニー現副大統領、ラムズフェルド前国防長官、アーミテージ元国務副長官らを交えて検討作業を開始していた。そして「9・11事件」を「巨大な好機」(ライス)ととらえて、アフガンへの無法な報復戦争を開始するとともに、先制攻撃によるイラク戦争を発動したのである。
 ブッシュ政府が重用したウルフォビッツ元国防副長官やボルトン元国連大使ら新保守主義(ネオコン)者は、チェイニーやラムズフェルドとともにイラク戦争を主唱した。彼らはいずれも巨大軍需産業の利益を代弁し、戦争のための政策決定に影響を与える「国防政策委員会」のメンバーであるかもしくは深いつながりがある。この委員会のメンバー30人のうち9人は、01年から03年のあいだに760億㌦にのぼる武器契約をとった軍需産業の関係者たちだった。また4人のメンバーは、ロビイストとして登録されており、政府に戦争を決断させるロビー活動をおこなっている。
 ブッシュ政府がイラク開戦の口実とした大量破壊兵器の保有、国際テロ組織への支援が真っ赤なウソだったことはあまねく暴露された。元テロ対策大統領特別補佐官だった、リチャード・クラークなど多くの側近や高官もあばいている。
 チェイニーはイラク開戦前にイラクの石油資源に関する調査をおこない、その報告書にはイラクの油田、パイプライン、製油所、石油ターミナルの地図が含まれていた。また、開戦以前にアメリカの6企業に9億㌦のイラクのインフラ復興のための入札が依頼されていた。
 そのなかでも、ベクテル社は最大の恩恵を被った。開戦後の18カ月間に6億8000万㌦の契約を獲得した。その内容は、発電所、高圧送電線網、病院、学校、輸送網、空港施設、上下水道システムであった。その後、さらに3億5000万㌦をプロジェクトのために受領した。ベクテル社は100年以上にわたって建築事業をおこない、140カ国で2万のプロジェクトを手がけているほか、最初の原爆を製造したマンハッタン計画にも関与した。
 チェイニーとゆかりの深い、ハリバートンの子会社、ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)は、陸軍の工兵部隊から70億㌦の契約を受領した。それは、油田火災とイラクの油田再建に備えるものだったが、契約を結んだ時点では火災はすべて鎮火されていた。
 また、KBRはイラクの米軍基地建設の契約もしている。アメリカはイラクの米軍基地に半永久的に米軍を駐留させ、中東軍事支配の拠点にしようとしている。

 血税吸いとるならず者 米軍産複合体 
 アメリカの軍産複合体と呼ばれるものは政府や軍部の高官と軍需産業の一体化した代物だ。それにはベクテルやハリバートンなど建設業その他業種も含まれており、イラク戦争で石油利権を確保しようとした石油メジャーもある。
 先に米紙が暴露したところではブッシュ一家と縁の深いエクソン・モービル、ロイヤル・ダッチ・シェル(英・蘭系)、英ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)、仏トタルのメジャー4社がイラク石油省と最終的な開発契約締結で合意したといわれる。
 イラク戦争5年余りできわめて明白となったことは、石油利権確保以上にアメリカが「新しい戦争」という軍事覇権主義で世界を支配するためにイラクをその実験場にしたことである。確かに戦争は泥沼化し、アメリカの威信はすっかり地に墜ちてしまったが、ブッシュが戦争をやめないのは軍産複合体があくなき利潤の増大を求めているからである。もはやアメリカの政治、経済を牛耳る軍産複合体も、人民の血にまみれたドルを稼ぐことのみにきゅうきゅうとするならずものになっている。
 日本の自衛隊は、アメリカに身も心も売り渡した売国政府のために、アメリカの軍産複合体に命を奪われようとしている。

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