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武力で平和はつくれるの? 元米兵・元自衛官が語る戦争のリアル

戦場体験を語る元米兵のローリー・ファニング氏(右)とマイケル・ヘインズ氏(右から3人目)

 広島市中区土橋のソーシャル・ブック&カフェ「ハチドリ舎」で6日、退役軍人らでつくるNGO団体ベテランズ・フォー・ピース(平和を求める元軍人の会・VFP)による「武力で平和はつくれるの? 元米兵・元自衛官が語る戦争のリアル」と題したイベントが開催された。米軍兵士としてのイラクやアフガニスタンでの戦闘経験から米国の戦争政策に異議を唱えてきた元米兵たちが、メディアでは伝えられることのない戦場や軍隊内部の現実を伝え、国境をこえて戦争に反対する運動を広げていくことを訴えた。(資料写真はVFPからの提供)

 

「テロリストは僕だった」 イラク戦争の従軍体験

 

 ベテランズ・フォー・ピースは、1985年、米国で従軍経験のある元軍人(ベテランズ)と軍人の家族、その賛同者によって結成された国際的な平和団体で、世界に140の支部を持ち、会員は約8000人。紛争各国での反戦アピールや、戦争による経済構造の真相などを米国内や世界各地で訴えており、広島での講演は今回で2回目となる。本イベントでは、元海兵隊のマイケル・ヘインズ(42歳)、元陸軍レンジャー部隊のローリー・ファニング(43歳)の2氏が講演した。

 

 冒頭、自己紹介を兼ねてマイケル・ヘインズ氏を特集した番組『テロリストは僕だった―沖縄・基地建設反対にたちあがった元米兵たち―』を上映した。

 

 ヘインズ氏は、高校時代に学校に軍隊志願の勧誘に来た採用係の制服姿に憧れ、卒業と同時に米海兵隊に入隊。幼い頃から教えられた「国への自己犠牲は最高の奉仕だ」の言葉を信じ、国を守る愛国心に燃えていたという。

 

 入隊後の新兵教育では、完璧な殺人者になるための訓練の毎日。ステップを踏みながら「ワンショット、ワンキル(一撃必殺)」の掛け声をくり返し、徹底的に頭に刷り込む。感情なく命令に従うことが優秀な兵士とされ、どんな狂った命令にも従うことが求められた。

 

 米軍の採用所は全米各地の街中にあり、「入隊すれば医療や教育、住宅などで手厚い特典が受けられる」とうたって、貧困家庭の若者たちを誘い込む。だが一方、退役後の兵士には住居も仕事もなく、ろくな教育も受けられないまま路頭に放り出される。多くは一般企業には就職することができず、ホームレスとなって町に溢れている現実がある。

 

 2003年3月、ブッシュ政府は「テロとの戦い」を掲げてイラク戦争を開始した。ヘインズ氏も派遣軍の一員としてイラクに向かった。そこで現実を目の当たりにしたヘインズ氏は語る。「この民家には敵が潜伏しているから襲撃しろと命令を受け、ドアに爆弾を仕掛け、爆発後に室内に突入する。そこには普通の家族がいるだけだった。おばあさんをつかんで壁に叩きつけた。幼い子どもたちが泣き叫び、恐怖のあまり失禁していた。その泣き叫ぶ声が今も頭から離れない…」「イラクの人人にとってテロリストは僕ら自身だった」。

 

イラク戦争で空爆から避難する親子

 ヘインズ氏は、次のように続けた。「私が軍隊に入った動機は、たくさんの人たちの共通の利益のために奉仕したいというものだった。だが、実際にイラクに行き、戦場の現実を見て、結局自分が操作されていたことに気がついた。それ以来、ありとあらゆるものに疑問を持つようになった。イラクから帰還後、精神を病み、自分をとり戻すのに10年かかった。もっと違ったものに自分を賭けてみたい、他の帰還兵も私と同じ事を考えており、彼らと団結すればもっと大きな力になるはずだと思い、VFPに入り、沖縄辺野古、韓国、済州島にも行った。その地の人たちと一緒にたたかうことで、自分の賭けるべき道が見えてきたように思う。

 

 VFPには、①戦争のコストに対する国民の意識を喚起する、②米国政府が、公然とあるいは水面下でおこなう他国への内政干渉を阻止する、③軍拡競争を終わりにし、核兵器を減少させ、最終的に廃絶する、④元軍人や戦争の犠牲者のため、正義を追求する、⑤国家政策の手段としての戦争を根絶する、の5つの目標がある。

 

 その目標実現のために沖縄に行って、現地の人人と一緒に基地建設反対のたたかいもやっている。“核兵器の廃絶”は、現在の国際政治の流れを見るにつけ、とくに声を大にして訴えていかなければならない。そのために広島を訪れて、対話ができることは貴重な体験であり光栄だ」。

 

戦いたくない!と宣言 今は子供に体験話す

 

 続いて、元陸軍兵士のローリー・ファニング氏が「米国民を代表し、我が国による広島と長崎への原爆投下、さらに東京大空襲について謝罪したい。原爆投下にはいかなる正当性もない。私たちは米国民としてこの行為を恥じている」とのべた後、以下のように語った。

 

 私の軍人への道は、9・11ニューヨーク同時多発テロ事件から始まった。あの惨状を見て、「このようなことが二度と起こらないようにしたい」という気持ちで軍への入隊を決意した。同時に、大学を卒業したばかりの私は、多額の学費(奨学金)の返済を抱えており、固定給のある軍隊への入隊は一石二鳥だった。米国の学費は非常に高く、奨学金返済のために入隊する人は非常に多いのだ。

 

 早期に出世できるコースとして、陸軍のレンジャー部隊を選んだ。この部隊に入れば、新兵レベルでも高度な要求をされ、通常の人が嫌がるような戦地に行かされる。だが、クリントン政権のときのソマリア戦争を描いたハリウッド映画『ブラック・ホーク・ダウン』に強い刺激を受け、軍の一員になることに憧れをもった。飲まず食わずの行軍など非常に過酷な訓練を経て、晴れてレンジャー部隊に入ることができたときは内心誇らしくもあった。

 

爆撃で荒廃したアフガニスタン

 最初に送られたのがアフガニスタンだった。当初、自分がどんな世界に足を突っ込んだのかわからなかったが、現地は極端なほどの貧困が蔓延していた。アフガンは80年代にソ連の侵攻を受け、その後は国内紛争に陥り、国中が疲弊していた。


 実は私たちがアフガンに入る前、すでにタリバンは降伏していたという事実を知らされていなかった。2002年のことだ。私たちの任務は、すでに降伏している相手との戦闘だった。なるべく戦闘状態を長期化させ、9・11の仕返しとして相手の血を流させるという意図もあったと思う。その裏には、年間1兆㌦という膨大な軍事予算を正当化するという大きな目的があった。

 

 真夜中にヘリコプターで民家に降り立ち、その家の親であろうが、子どもであろうが、従軍可能な男には頭から黒い袋を被せ、問答無用で収容施設に連行することが私たちに課せられた任務だった。施設では、水の中に頭を突っ込むような拷問が日常的におこなわれ、連れて行かれたら帰ってくることはできない。だが、押し入った家庭の9割はごく一般の普通の家庭だった。そんなことを続けていれば、仕返しも来る。私たちが寝ている軍のキャンプには、夜中にロケット弾が投げ込まれる。どこから飛んでくるのかわからないが、その度に空軍が無差別的な空爆をやる。このくり返しだ。

 

収容所送りとなり黒い袋を被せられた父親と子ども(アフガニスタン)

 9・11テロ以後の戦闘ですでに100万人以上の人が亡くなっている。8割が民間人だ。私は、9・11のようなテロ行為を終わらせるために入隊したはずなのに、自分はそれ以上に劣悪な状況を作り出すことに加担しているということに気づき始めた。その犠牲になるのは無実の一般市民だった。

 

 1980年からイラク戦争開始までの23年間で、世界中で343件の自爆テロがあった。その1割が反米意識によるものだ。ところが米軍のイラク侵攻後の13年間で、すでに3000件以上の自爆テロが起きており、その9割以上が米国をはじめとする連合軍への反感によるものだ(シカゴ大学ロバート・ペイプ教授調べ)。つまり「テロとの戦い」を掲げて攻撃を仕掛けた米国のおかげで、世界はさらにテロが蔓延する危険な状態になったということだ。

 

 私は、軍にいるうちに反戦主義者になり、「もう戦闘に参加したくない」と意思表示をした。それからの6カ月は地獄の毎日だった。組織的ないじめや妨害、過酷な仕事などに従事させられ、いずれ刑務所に送られることを待つ日日を送った。軍は一般職のように簡単に辞めることはできない。だが実際に、9・11以来、約5万人の米軍人が現役中に「戦いたくない」と意思表示した。

 

 私は故郷のシカゴに戻り、銀行に再就職したが、軍での経験を話すことはできなかった。家族も友人も、コミュニティも自国の軍隊を信じて疑わないからだ。だが、自分を喪失した状態で仕事をしていることに耐えきれず、私の大切な友人が戦死したことをきっかけに、8カ月間かけて東海岸のバージニアから西海岸のサンディエゴまでの3300マイルの道のりを行脚の旅に出た。野宿しながら歩く旅の途上、あらゆる人が私を助けてくれた。米国人の親切に触れるなかで私は自分をとりもどし、米国の人人による抵抗運動についての歴史や自分の体験を織り込んで本を出版した。

 

 今は、米国内の学校を回り、軍のリクルーターの勧誘によって入隊する可能性のある子どもたちに軍の現実について話をしている。子どもたちは、米国の歴史について教えられておらず、軍の仕事はビデオゲームと同じように思っている。最もポピュラーな戦争ゲームは「コール・オブ・デューティ(理想を求めた叫び)」というものだ。

 

 子どもたちは「軍隊はこのゲームと同じようなものなの?」と聞いてくるが、「そのゲームから殺される人たちの叫びが聞こえるか?」「女性や子どもや赤ん坊の泣き叫ぶ声が聞こえるのか?」と問うと「聞こえない」という。「そのゲームは、ボタンを押しただけで消えるか?」と問うと「うん。消えるよ」という。私は「戦場にはボタンはないんだよ」と教える。

 

 米国がアフガンに侵攻したのは、アフガン国内にいるテロリストを掃討することが目的だったはずだ。だが、あれから16年たっても戦争は続いている。毎年1兆㌦という膨大な戦費を投資し、すでに100万人以上を殺している。

 

 2016年の1年間だけで7カ国も空爆している。シリア(1万2192回)、イラク(1万2095回)、アフガニスタン(1337回)、リビア(496回)、イエメン(34回)、ソマリア(14回)、パキスタン(3回)、合計2万6171回だ。さらに米国は、2011年以来、アフリカ大陸の54カ国のうち49カ国と戦闘状態にある。

 

米軍の爆撃で破壊された街にたたずむイラクの少女

 昨年、日本の自衛隊が南スーダンに派遣されたが、戦争に踏み込めば南スーダンで終わるわけがない。「アフガンだけ」といって軍を派遣し、すでにアフリカ49カ国に戦禍が広がった米国を見ればわかる。雪だるま式に戦費が拡大し、国内のインフラ整備、社会福祉など、現在当たり前に支出されている一般予算がどんどん削られ、軍事費だけが拡大していく。私たちは逆に、社会インフラがまともに機能し、豊かな日本から学びたいと思っている。一昨年は国会前の集会にも参加したが、多くの人たちが憲法9条を守ることを盛んに訴えていた。日本で憲法を守り、戦争阻止を求める運動の広がりは、米国民を刺激し、同じような動きが生まれるだろう。

 

 今最も重要なことは国際的な団結だ。一般的な米国人、そして北朝鮮の人人、中国、日本の人人は、違いよりも共通項の方が多いのだ。それぞれの国の為政者は違いを強調して戦争にもっていこうとするが、それとは比べものにならないほど共通項の方が多いということを理解し、連帯しなければいけない。

 

日本の米国化を危惧 参加者と論議深める

 

ハチドリ舎で語り合う参加者たち(6日、広島市)

 元米兵2人の講演の後、海上自衛官としてソマリア沖の海賊退治に派遣された形川健一氏(VFPジャパン副代表)が、自衛隊基地のあったジプチでの体験を語り、3人を交えて「武器で平和が守れるか?」をテーマに参加者との対話に移った。

 

  北朝鮮が危ないということでトランプが武器を売りつけに来て、安倍首相が「買いますよ」と即座に答える日米関係をどう思うか?

 

 ヘインズ 今の日米の関係は、なにもかも米国の要求に従う関係だ。そこには日米安保条約があり、そのなかに日米地位協定がある。つまり米国との約束が、独立した国の憲法の上にある。それは宗主国と植民地の関係にほかならない。憲法第9条の解釈をめぐって論争があるが、今後は自衛隊が海外の紛争に登用されることが予想される。武力が平和を生むのではなく、武力によって緊張が高まっている。現実に、北朝鮮を囲むようにして米軍が威嚇を続けている。北朝鮮の動向は、それに対するリアクション(反作用)だ。

 

 武力による攻撃や威嚇は、その後、予想しなかった事態を生む。イラクに侵攻する前に米国はイスラム国などというテロ組織が誕生することを予想もしていなかった。自分がイラクで見た現実は、米国の軍産複合体が暗躍し、彼らにとって大きな利益をもたらす資源(石油)の争奪だ。そのために多くの人が命を失い、自国民も富を奪われている。

 

  米軍の兵士の反戦機運はその後も表面化しているのか?

 

 ヘインズ 現役兵士が「戦争に加担したくない」と表明することは非常にリスクが大きく、通常は刑務所に連れて行かれる。退役後にも、軍の名誉を損ねるような事実を語ると家族も村八分にされてしまい、友人も失ってしまうのが常だ。

 

 現在の米国は、徴兵制ではなく志願制を採用している。そのために国を挙げてプロモーションをする。兵士はヒーローであり、「戦場に出向くことは、世界に自由と民主主義をもたらすためだ」というストーリーで固められ、それに異議を唱えることはタブー視される。だがそのプロパガンダによって軍に入り、派遣された戦地で実際に目にするものはその逆だ。帰還後も社会的な発言の場は与えられない。疑問を持っている人は多いが、家族や仕事のために真実を語れないというのが現状だ。だからこそ、このような場を広げていくことが重要だ。

 

 ローリー 米国にはヒーローという概念が強くある。「ヒーローは、法に反する戦争はしない」「ヒーローは、無実の一般市民を殺したりはしない」「ヒーローは、他国の天然資源を侵したりしない」と、「ヒーロー」という言葉を乱用して口を封じていく。米国の公立高校では毎朝、星条旗に向かって国家に忠誠を誓うという儀式をやる。米軍が国外でやっていることはよいことだという観念を植え付ける。

 

 私たちは、「平和と自由を得るために武力で戦うべきだ」という文化のなかで育ったが、戦地に行きその間違いを知った。平和とは、分断ではなく、みなが助け合い、持続可能な生活を目指すことであり、そのうえで日本の憲法9条は世界が学ぶべきものだ。日本の国のリーダーの動向に注意を向けてほしい。彼らには、みなさんの気持ちを操作し、他国への憎しみを生み出し、他国にある資源を争奪しようという思惑が根底にあると思う。米国でも国民の恐怖心を煽って、戦争へ導いている。私も「大量破壊兵器」「テロリスト」という恐怖心を煽られ、戦争へ駆り立てられた。現在では「核兵器」という単語をキーワードにして、国民を動員しようとしている。

 

  日本でも学生の就職難や低収入につけこんで、米国の「落ちこぼれゼロ法」のような教育改革をおこない、奨学金の免除などの特典を付けて若者を自衛隊に誘導する動きがある。

 

 ヘインズ 私の故郷では、軍に入るというのは最高の栄誉だった。テレビや映画、学校や教会でも美化した軍のイメージしかいわない。スポーツ観戦でも軍のプロモーションばかりがおこなわれる。私が18歳の高校卒業間際に受けた勧誘では、リクルーターが「教育」「海外旅行」「冒険」「エキサイティング」「給料」「女の子にモテる」等のカードを見せ、「このなかで君が優先するものを選びなさい」という。それをキーワードにして、巧妙に説き伏せていく。勧められるまま入隊した結果、ほんの数年後に私はイラクにいた。

 

 イラクやアフガニスタンで亡くなったのは20代の若者たちだ。生きて帰ってこれたとしても精神は蝕まれ、簡単に再就職先は見つからない。常に戦争が追いかけてくるのだ。退役軍人のなかでは自殺率が高く、1日平均22人の元軍人たちがみずから命を絶っている。その数は、戦死者よりもはるかに多い。

 

 ローリー 国に忠誠を尽くすために入る人と、物凄く貧困で軍隊に行くしかない人たちがいる。私の住むシカゴは、毎年1万人の高校新卒者が入隊する。非常に貧しい地帯だ。

 

  米国は、シリアやイラクなどの泥沼化した惨状をどのように収束しようとしているのか? 現状を変えるためにどのように行動すればよいか?

 

米国内で増え続けるホームレス

 ヘインズ もっと安く教育が受けられ、まともな仕事が得られる状況を作れば戦争に動員されることを防ぐことができる。米国の人口は世界の5%だが、世界の4分の1の資源を消費している。その米国内でもものすごい貧富の差がある。企業の利益追求の社会を目指せば搾取が起こり、資源が公平に使われていなければ、武力紛争が起きるのは当たり前だ。そのために経済格差、人種差別、性差別ともたたかい、抗議活動やストライキもしなければならない。

 

 国際紛争は、武力による圧力ではなく対話をすることだ。一般市民が声を上げ、政治家にその声を反映させなければならない。イスラエルのパレスチナ侵攻については、イスラエル製品の不買運動やイスラエル系金融機関からは預金を引き出すなど、パレスチナから撤退させるために一般消費者の立場での国際的な運動もある。

 

 ローリー 子どもたちには、戦争に命を賭けることがいかにバカげているかを知らせたい。私は軍隊の経験から、退役後も地下室にこもったまま外に出られない兵士たちをたくさん知っている。そうした現状を伝え、兵隊になる人がいなければ戦争は続けることはできない。

 

  無関心な人にはどのように広げればよいか?

 

 ヘインズ 地球上には、たくさんの人がいて長い歴史を持っている。答えは必ずそのなかにある。自分の考えを誰かに伝えれば、影響を与えることは可能だ。だが一方的に「変えられない」と思ってしまったら、そこからは進歩はない。お互いを尊重し、対話が成り立てば理解も深まるのではないか。過去から学び、情報を密に交換していくことによって自分の価値観を変えていくことが必要だ。このイベントの前に、この場で被爆者から学生たちが広島の経験を学んでいたことに心打たれた。同じ悲劇をくり返さないためには、過去から学ぶことが学習の基本だ。とくに若い人たちは、与えられた枠の外側で起きている現実を見なければならない。

 

 間違った情報に左右されないために、私ははじめにテレビを捨てた。情報は、政府や財界のしがらみから独立したメディアから得ることだ。歴史を勉強すれば、世界にはさまざまな変革をもたらした人がいることがわかる。8時間労働制の実現に努力した人、奴隷制度を廃止した人、アパルトヘイトを廃止した人たち、みんな小さな組織から始まって国や世界を動かした。一度で大きな運動にならなくても、少しずつ組織を広げていくことだ。このように戦争を憎み、平和を求める人人が世界共通の使命に向かって手を繋ぐべき時だと思う。

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