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首都圏を自由に飛べない国

 東京五輪に向けて外国人観光客4000万人を受け入れる策として、羽田空港の国際便の発着便を増やし、新宿や渋谷といった東京都心の上空を通過する新たな飛行ルートを設けようと日本政府が実現に向けて動いていた。ところがこの飛行ルートが首都圏上空に設定されている在日米軍横田基地を中心とした航空管制空域・横田ラプコンに接触することから、アメリカ側が「上空通過も日本側が航空管制をおこなうことも認められない」と拒絶していることが明るみに出ている。

 

 西日本から飛行機で東京に出かけると、着陸に向けて高度を下げ始めた機体は伊豆半島を越えて、相模灘を行き交う船舶が目視できるほどの高さを飛行して進んでいく。しかし、そこから首都圏上空に進入していくのではなく、一旦千葉県の房総半島側に抜けて眼下にゴルフ場だらけの景色を眺めながらグルッと左旋回し、羽田空港目指して引き返していくのが常だ。わざわざ大回りするのは横田ラプコンがあるためだ。

 

 この高度7000㍍に及ぶ米軍占有空域は一都八県にまたがった広大なもので、厚木や座間、横田基地所属の米軍機が飛び交うために、日本の航空機を排除して設定している。おかげで羽田空港に着陸する航空機は大回りを余儀なくされ、離陸する機体も一気に高度5000㍍以上に上昇するか、太平洋側に逸れて飛行しなければならない。横田ラプコンを避けて飛ばなければならないからだ。

 

 首都圏上空を他国の軍隊に握られ、自由に利用できない国など日本をおいてほかにはない。沖縄で嘉手納ラプコンが機能しているのと同じく、東京の空もまた占領軍が引き続き支配しているのである。

 

 東京都内には7つの米軍基地があり、その総面積は東京ドーム340個分にも及ぶという。首都圏は沖縄につぐ米軍施設の密集地帯でもある。トランプや米政府高官、CIAや軍人・軍属が成田空港ではなく横田基地に我が物顔で乗り付け、そこから六本木ヘリポートに移動したり勝手に出入りするのも、日米地位協定でその出入国手続きを必要としないと定めているからだ。犯罪米兵が日本の法律で裁かれることなく本国へ送還されるのもそのためだ。

 

 沖縄県知事選に際して、「沖縄県民、頑張れ!」の連帯の声は本土側でも熱いものがあった。その思いに対して、沖縄の人人は島ぐるみの力で勝ちとった選挙結果を持って「本土も頑張れ!」「否、本土が頑張れ!」と返しているように思えてならない。対米従属の鎖に縛られ、横田ラプコンに限らず日本列島が丸ごと不沈空母として占領されている現実から目をそらして、基地問題を沖縄問題に切り縮めたり、本土は独立しているかのように思い込むのは錯覚である。    武蔵坊五郎

 

 

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