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カタルーニャに思うこと

 カタルーニャの民衆が「300年の歴史を持つ独立運動」をたたかっているのを前にして考えさせられるのは、第2次大戦から72年を迎えてなお植民地状態に置かれている日本社会の姿だ。対米従属の鎖につながれた植民地であるのに、そうした現実からは目をそらすようにして独立国であるかのように偽装しているが、一枚皮をめくってみると、独占資本や統治機構にいたるまでがすっかり隷属しきっている。この72年でアメリカを忖度する習性が染みついてしまい、民族的利益などお構いなしに市場開放や資金提供、軍事行動の肩代わりまでするようになった。

 

 カタルーニャのプッチダモン州首相は、独立を牽引したことでスペイン国王や政府から睨まれて解任された。かたや日本では、首相が私物化政治への批判から逃げ回って国会を機能停止してしまい、宗主国たるアメリカの大統領を招いてゴルフを楽しむのだそうだ。独立を犯されている国なり地域の政治リーダーとして、この違いは何だろうか? と思わされるものがある。大国に屈服してへりくだっていく者と、そうでない者の違いは大きい。

 

 日本の為政者が情けないのは敗戦前からずっと変わらない。それが今日にいたる植民地的退廃をもたらした根源でもある。72年前、彼らは国体護持と引き替えにみずからアメリカに占領される道を選択したし、一発の銃弾も飛び交うことなく武装解除がおこなわれたのも、天皇や軍部を筆頭に抵抗する者がおらず、旧支配勢力がみな対日占領の協力者に成り下がったからにほかならない。日中戦争を見ても然り、そしてベトナムやイラクを見てもわかるように、占領統治は屈服させなければできるものではない。たたかい続ける限りにおいては敗北ではないし、通常ならば延延と武力衝突なり抵抗がくり広げられ、泥沼化するものだ。しかし日本はすんなり単独占領された。そして、アメリカでは日本の為政者たちの完全屈服をもって、この占領統治がモデル扱いまでされているのである。

 

 世界には300年かけて諦めていない民族がいる。72年などまだまだ歴史が浅い部類なのかもしれない。為政者たちのへっぴり腰とは対照的に、沖縄をはじめとした基地闘争や安保法制、TPPなどの諸課題で抗っている人人の根底には「72年の歴史を持つ独立運動」の遺伝子が脈打っているのも事実だ。それは主権のない日本社会の有様に対する民衆の異議申し立てでもある。対米従属もまた永遠不変のものではない。

 

 カタルーニャを見て思うことは、為政者が率先して占領支配に加担する異常こそが独立を阻害し、世界でも稀なる植民地状態をもたらしている要因だということだ。身も心もアメリカに売り渡していることについて、日の丸を振り回したくらいで偽装などできないし、誤魔化されるわけにはいかない。 

                                                                 吉田充春

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