いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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力量問われる社会の指導層 

 新型コロナウイルスによって世界各国で外出規制や入国禁止措置がとられるなどパニックが拡大している。高齢化や医療体制の脆さが追いうちをかけたイタリアでは中国よりも死者数が上回り、アメリカではもともと保険や医療体制の歪みによって貧困層は医療すら受けられないなかで感染が広がるなど、新自由主義によって蝕まれてきたその国、その国ごとの社会構造を映し出しながら、コロナが猛威を振るっている。感染が社会全体に拡大した場合、上級国民だけが守られるという代物でもなく、カネがあればどうにかなるというものでもない。国民の暮らしや安全を守るべき指導層はいかに対応するのかが問われているし、このような危機に対してミサイルや核をどれだけ保持していようが、感染症から自国を守るためには何の役にも立たない。むしろ先進各国でないがしろにされてきた医療体制の大切さが改めて浮き彫りになっているようにも思う。

 

 一方で世界経済が停滞するのを見越して金融市場も暴落に歯止めがかからず、各国が大慌てでリーマン・ショック時期以上の財政出動を表明し始めるなど、コロナ・ショック対応に追われている。アメリカではトランプ政府が景気刺激対策として最大2兆㌦(220兆円)を注ぎ込み、企業への手当や給与の肩代わりなどを実施すると表明した。そうなると日本政府も何らかの手を打たなければ間違いなく超円高になって、しわ寄せは日本経済も直撃することになる。「アメリカがくしゃみをしたら日本が風邪をひく」ではないが、トランプの破れ口からある種のコロナ・パニックが飛び火してくる可能性だってあるのだ。金融崩壊に恐れおののいての財政出動ではあるが、もともとリーマン・ショック以後にFRBやECB、そして日銀など各国の中央銀行が実施した異次元の量的緩和によって膨れあがっていた虚構のバブルが、コロナ・ショックを契機にはじけ飛びそうな瞬間を迎えているのである。

 

 このなかで、日本政府が心配しているのはもっぱら東京五輪なのかと思うほど、「中止か」「延期か」ばかりがニュースを賑わせ、本当にいい加減にしてほしいと思う。「僕が任期中に安倍マリオをしたい」だけなのか--とつい思ってしまうのである。感染症対策で検査をやらない国など聞いたこともないが、今のところ検査実施数を見ても不真面目といえるほどコロナ対応には怠慢で、まるで東京五輪開催のために患者数や死者数をアンダーコントロールしているのではないかと思うようなことをやっている。こうしてあるがままの実態や感染規模がつかめないまま、感染者はあっちからもこっちからも連日のように出てきて、感染経路がわからないケースも出てきている。隠れコロナがマスクも買えずに、今日もどこかの街を歩いている可能性だってあり得るのだ。そして自粛の嵐で国民生活が萎縮し、経済がガタガタになろうかというのに、国民1人当り1万2000円支給であるとか、いや2万円の支給であるとか、あるいは旅行代金の補助(自粛を求めながら旅行を求める具愚策)を延々と決めかねている有様だ。消費税10%ではるかに巻き上げられているのに、たかだか1万~2万円を返金するなどといわれて「ありがたい」と思う人がどれだけいるというのだろうか。

 

 新型コロナウイルスはその社会の脆さをさまざまな意味で突きつけている。為政者がどう対応するのか力量が問われているのはいうまでもない。全国一斉休校のように、一緒になってパニックになっている等々、現実的にはあり得る話である。また、パニックにならざるを得ないほど医療改革の名を借りて大なたを振っていた--等々の問題点もある。また、海外では食料品を我先にとスーパーへ購入に走り、食料難的なパニックが起きていることも問題になっている。これが食料自給率が4割にも満たない日本で起これば、それこそ影響はトイレットペーパーの比では済まないし、6割を輸入に依存していることの恐怖を考えさせられる。輸出入の往来になにかしらの理由がついてストップしてしまうと、たちまち1億2000万人の胃袋を満たすことはできなくなるからだ。マスクの国内自給率が2割でこの有様(どこにも売っていない)なわけで、決して悠長な話ではない。

 

 神頼みで解決できる問題ではない以上、科学的に対処すること、社会の脆さについてもあるがままの現実を捉えてメスを入れ、安心安全が担保された社会をつくっていくことが求められているように思う。

            吉田充春

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