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中電が六度目の着工延期を発表

 上関原発建設計画をすすめる中国電力は、2年連続、6度目となる着工延期を発表した。上関町内では、町内四漁協の合併・解散問題につづき、町そのものも国が見捨てて合併・解散に追いこんで、町をまるごとつぶすことに深い怒りがまき起こっている。原発計画が持ちこまれてから23年、中電と国は「町の振興のため」などといってきたが、結局のところ町民を切り裂き、愚ろうして、町をつぶすというものであった。国策として推進してきた原発であるが、かつての戦時と同じような「お国のために死んでくれ」というものである。当初40代であった人なら60代から70代となる人生のおもな時期を、原発でもてあそばれたことへの深い憤りが語られている。これは中電という大企業と国や県の犯罪性を暴露している。かれらの犯罪的な原発計画を撤回させ、23年の傷跡を回復するために責任をとらせ漁業を中心とした上関町の発展のために、町民と全県、全国の力を結集することが求められている。
 中国電力は、2005年度電力供給計画のなかで、1号機の着工を2009年度、2号機を12年度へとそれぞれ1年延期することを明らかにした。白倉社長は、「慌てず、あきらめずしっかりやっていきたい」「周囲の状況判断をしっかり見きわめながら、対応したい」ときびしい表情でのべた。詳細調査の実施時期については、「いついつとはいえない」と明言を避けた。
 詳細調査に関連しては、中電は昨年、「1月にもおこなう」と公表した。その後「年度内には」という雰囲気をつくり、町内の室津地区に、鹿島建設・中電技術コンサルタント共同企業体の地質調査事務所を開設した。しかし、県教委による田ノ浦遺跡の調査が長引いたという理由で、今度は「5月末まで」に変わった。現在、土木工事の届けを受けた県教委が、本格的な発掘調査が必要かどうかなどを審査中とされている。
 これまで「神社地が解決すればすぐにできる」と中電はいっていたが、今度は以前から知られていた縄文時代の田ノ浦遺跡を理由に延期となった。詳細調査をするといっても、まだ裁判中の共有地、神社地問題があり、漁業補償問題も残っている。そのうえに着工にいたるには、電調審上程では計画除外した反対派の虫食い土地の買収が不可欠であり、埋め立て沖合1000㍍以上の漁業権消滅による海域の占有が必要であり、中電がいってきたようにいまだ「登山口にきた」段階であって建設のメドはない。
 中電の詳細調査騒ぎとそのとん挫は、二井県政がすすめる1県1漁協合併に期待を寄せたものであった。漁協合併は原発とは関係がなく、まるで「時代の流れ」というような顔をして、上関町とくに祝島漁協を解散させ、漁民の権利をはく奪することに期待を寄せたものであった。上関の漁民の権利を奪ってしまって、あとは好きなようにできるともくろんだのである。それは、全県の漁民の力と結びついて、肝心の祝島で拒絶された。
 上関原発計画は10年以上まえに破たんしていたものを、地先漁場にあった共同漁業権を祝島漁協が放棄したことで、90年代の環境調査と埋め立て合意の道を開き、計画を10年以上も長引かせてきた。これも、県水産部が奔走して、「漁業のため」という顔をして、実際には原発推進のための決定的な策略としてすすめたものであった。平井前県政、二井県政は何度もそのような陰険な手口を使ってきた。
   
 財政破綻が大問題 町消滅で動く
 そして現在、町民のなかで重大問題となっているのが、町財政の破たんであり、町の倒産、合併、解散が現実問題となって迫っていることである。
 町財政は、国が昨年まで7億円出していた「電源立地地域対策交付金」を期限がきたとして6500万円に激減させた。来年度以降は8000万円しか入らなくなる。地方交付税も毎年のように1億円以上、他市町村と同じように減額している。
 上関町は20年来、同規模の自治体から見れば、国、県は驚くほどの規模の予算を組み、大型事業をさせてきた。財政は、「国策」として原発を推進する国、県の原発関連交付金・補助金によって支えられてきたが、そのような特別扱いをしなくなった。
 17年度の予算編成過程では、これまでもぎりぎりまでカットされていた各課に五%の予算削減の指示がおろされ、総務費や土木費、商工費などが10%以上削られた。来年度以降、新規事業はむずかしく「統合小学校建設が終われば、事業はほとんどなくなる」といわれている。
 町内の婦人会、老人クラブ、観光協会、花グループなど、原発推進をしてきた各種団体への補助金も昨年同様二割カットとなった。「加納さんがやっていた花グループは、数百万円単位だったが、苗事業だけで60万円あったものがゼロ」「水軍祭りは1000万円近くから半分の500万円」「150万円近くあった特産品センターへの助成はゼロになった」などいわれている。助成金・補助金にかんしては、来年度が半額、再来年度にはゼロになるだろうと伝えられる。
 さまざまな予算カットだけでは足りず、これまで積み立ててきた基金は残りが四億円になるまでとり崩し、町民の借金となる町債を約八億円まで増額してどうにか形にした。しかし、これまでの借金が、特別会計もふくめて60億円をこえており、来年度以降の財政運営の見とおしはまったくたたないものとなった。
 すでに今度の市町村合併の流れのなかで、1昨年国と県は原発計画のある上関町を特別扱いしなかった。それまで、予算の大盤ぶるまいをしてきたが、ストップさせ、中電も片山町長と約束していた36億円の寄付も出さなかった。そして片山町長は捨てられた。しかしそれだけではなく、中電が仕かけて町長選は推進派3人乱立の抗争となり、それを調整するとして登場した加納氏は、当選したものの選挙違反を摘発されて失職。町内推進派のおもなメンバーをのきなみ失脚させた。
 そして中電が登場させたのは、「中電に責任を問いません」と約束した町長、町議であった。柏原町長は、最近では柳井市に出入りすることが多くなっているが、上関町の合併・身売り・解散をすすめることが国や中電から与えられた役割とみられる。
 漁協でも、推進の中心となった上関漁協の大西組合長、平生町漁協の山根組合長らは、漁協解散をしゃにむにすすめ、漁業と漁民生活を売り飛ばす、まさに売町の推進派であって、大多数の漁民と利害を対立する位置にいることを暴露した。祝島の山戸組合長も、漁業権裁判が決着するまでの「不本意ながらの合併拒否」といっており、現在の力関係ではできなかったが、本音は漁協の売り飛ばしという意志を表明している。
   
 町の地道な発展へ 全町民の力束ね
 20年以上反対を貫いてきた婦人は、「国の交付金が6500万円までへらされた。“国策”といって原発をやらせておいて最後は、町がなくなって終わりでは、20年間なにを騒動してきたのかとなる。中電が町をつぶした。原発にのって、推進・反対だけをいって給料をとった議員も、もうけた町長も同罪。町のためになんとかしないと」といった。
 四代の漁師は「原発交付金を国がへらすのは、上関を捨てたのと同じだ。詳細調査というが、10年後に人が住めなくなってから原発をやろうというのだ。上関は好むと好まざると吸収合併に追いこまれる。予算はすべて中心部へ持っていかれる。漁協も合併させられれば、四代にはなんのとりえもない。こんなはずではなかった」と腹立たしげに語った。
 「町の発展のための原発誘致」として本気になって推進してきた商業男性は、「原発の交付金も、町民に役立つものには使われなかった。室津の埋め立てや栽培漁業センター、城山の開発、小学校などの箱物になった。町議や土建業者の泡のような利権事業にすべて消え、実を結んだものはない。そのあげくに、国からも予算を切られ、60億円もの借金をかかえた町になった。中電や国、県が上関をほうり出すのなら、みなで押しかけなければならない」といっている。
 団体関係者の1人は、「補助金がなくなれば、上関の団体は自然消滅する。集まりがなくなれば、中電や町にたいして住民の声を上げる場はいっさいない。町の財政がつぶれ、町民のつながりを自然消滅させれば中電や国にとって、邪魔者がなくなり都合がいいのではないか」と怒りを募らせている。
 二十数年もてあそんで、あとは切って捨てるというデタラメなやり口は、ちょうどアメリカが狂牛病肉を、自分の国は輸入しないくせに日本には輸入せよといって脅している、そのようなアメリカ型のならず者政治のあらわれである。またイラクにたいしても、大量破壊兵器があるから先制攻撃をしたといい、あとでそんなものはなかったとわかっても、まちがいだったと謝罪するのではなく、開きなおっているというような、デタラメなやり口とも共通している。
 中電と国、県をして、原発計画をきっぱりと白紙撤回させ、上関町に与えた傷跡にたいする償いをさせることは、この社会の正義をとりもどすことであり、それはアメリカ型のデタラメが時代の先端のような顔をしてはびこることへの痛撃である。そのために上関町民のなかで、これまでの推進、反対でつくられた行きがかりを捨ててその怒りを一つに結びつけ、漁業を中心とする町の地道な発展の道を開く力に結集することが求められている。それは、国策との対決であり、全県、全国の団結した力の結集が不可欠である。

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