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社説 上関原発建設のメドを断った祝島島民の快挙

 上関原発に反対して28年の長きにわたってたたかってきた祝島島民は、1月29日に招集された漁協総会で、補償金の受けとりを43対15の大差で否決した。補償金の受けとり拒否は漁業権の放棄を拒否することである。供託金の国による没収期限は5月15日であり、残る半金を県漁協が抱きしめているにせよ、中電と祝島との漁業権交渉は最後的に決裂することになる。
 これによって、旧107共同漁業権海域は祝島の漁業権が維持され、二井知事が1昨年10月に出した埋め立て許可の無効が確定することになる。漁業権を変更できるのは漁協総会だけであり、第三者のだれもできない。埋め立て海域が四代、上関の単独漁業権の海域といっても、埋め立て工事は隣接する祝島の漁場に影響があり、祝島の同意が不可欠である。これによって、中電が出した原子炉設置許可申請も条件を満たすことはできず、中電が起こした工事妨害の訴訟も逆に中電による祝島の漁業権を侵害する違法行為となる。
 県水産部と県漁協は、漁業交渉の手順をひっくり返して補償金を受けとらせたのちに、総会による3分の2の議決による漁業権放棄の形をとるというペテンを仕組んだ。中電や県農林水産部は長い経験のなかで、「漁民はいくら反対といっていてもカネを目の前に出せば必ず落ちる」というのが神話となってきた。その一方で「受けとらなくても税金はかかる」というウソ、中電の数千万円という工事妨害損害賠償のこけ脅しをやり、もう一方では中電が原子炉設置許可申請を出して、祝島の総会当日には新聞各紙に全面広告を出したり、町内各地で説明会をやり、二井知事は民主党政府要人と会って上関原発推進の確認をとったりのパフォーマンスをやって、「原発建設は既成事実」であり、「祝島が反対しても無駄」との大芝居を演じた。このように中電と国、県、裁判所、国税、マスコミなどの金力、権力総動員でウソと脅しをやったのに対して、祝島島民は断固としてはねつけた。
 この国策をはねつけた力は、祝島島民のたたかいの質が変わってきたことをあらわしている。それは自民党政府を倒した全国の力に共通するものであり、単に祝島の漁民の経済要求の問題だけではなく、島民全体の生存権を守るという使命感、さらには瀬戸内海の漁業をつぶしてはならず、国土を廃虚にしてはならないという、真の国益を守る使命感が強まったことをあらわしている。そして県漁協の漁業・漁協破壊に怒る全県の漁民、全瀬戸内の漁業を守る漁民、核攻撃基地に反対する岩国、核戦争に反対する被爆地広島、さらに地方生活、人民生活の破壊に怒っている全県全国の人人との共同のたたかいを強め、そういう大きな団結を進めるものとなった。
 そして中電という大企業であろうと、県、国や最高裁、国税という権力であろうと、断固としてはねつける力は大衆のなかにあり、大衆が下から立ち上がって団結を広げることによって勝利することを証明した。これは、30年ほど前に豊北原発をつぶした豊北町民の運動の質と同じである。祝島が、島民大衆が主導して国、県とたたかう力を強めたことは、中電や二井県政としては容易に崩すことができない態勢になったことを示している。上関原発計画は祝島島民の快挙によってまったくメドがないものとなった。
 祝島の漁業補償金問題における勝利は、14日投開票の町議選に甚大な影響を与えることになる。町議選は、どの候補が当選するか以上に、祝島島民とともに原発を断念させ、中電を町から追い出して、町政を町民の手に取り戻し、漁業を中心に地道な発展を図るという町民の力を強めることが最大の課題である。町議選は、中電と町民の力関係でいうなら確実に推進派と反対派逆転の情勢である。全町的には原発騒動の28年を経て、一握りの売町勢力だけがいいことをして、大多数の町民はさんざんに分断・抗争にさらされ、利用されて町は寂れる一方となった。そのなかで「原発は止められる」という確信を与えた祝島の快挙の影響は計り知れないほど大きい。
 しかしいまの選挙構図で見ると、議席争いでは「反対派」選挙が惨敗する可能性が高い。「反対派」の候補者の問題点は、原発反対を正面から訴えておらず、原発に反対する全町民の大衆的な運動を強める姿勢がとぼしいことである。祝島の快挙を広く伝え、原発を断念させることを正面から訴えず、原発という争点をボカしたのでは選挙のサマにはならない。
 原発という国策を抱え、中電と国、県などあらゆる権力、金力が総動員で町を支配しているなかで行われる選挙で、原発を断念させるか、ズルズル延長させるかという原発をめぐる現在の争点を鮮明にせずに、大衆斗争としてやるのでなければ勝利する可能性はない。豊北では、海側から3000人もの人人が山側に繰り出し、全町的な大衆的大運動によって権力、金力の力を封じ込め町長選に勝利した。
 町議選での最大の注目点は、祝島の補償金受けとり拒否、原発のめどが断たれたという情勢のなかで、原発を断念させ、中電を撤退させる全町の大衆的な力を、町民のなかでいかに強めるかである。選挙は候補者が主役ではなく、町民が主役である。すべての候補者は、町民の意志に合致するかどうか、町民によって点検され選別されることになる。不適格と見なされたものは退場となり、最後的な決着に向けた政治再編を準備することになる。

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