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朝鮮半島で一触即発の事態 米韓軍事演習や金融制裁

アメリカは朝鮮半島で一触即発の緊張状態をつくり、戦争を挑発している。米「韓」の外相と国防相は21日、南北軍事境界線を視察したが、60年前に米国務省顧問ダレスが視察して朝鮮戦争を発動したことを想起させる。そのあとの会談では、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)への「抑止力を誇示する」として25日からの日本海での米「韓」合同軍事演習を皮切りに一連の演習をおこなうこと、アメリカが金融制裁を含む新たな制裁を実施することを決めた。菅民主党政府もその尻馬に乗って、制裁強化措置を出したり、拉致問題でまた一騒ぎしようとしている。イラク・アフガン戦争の出口がなくなり、経済恐慌が二番底に陥ろうとしているなか、オバマ政府は一か八かの冒険に乗り出そうとしている。
 アメリカは60年前の朝鮮戦争に敗れてから、朝鮮を敵視しその政府転覆をはかる戦争計画をいくつもつくり、それにもとづく軍事演習を1年間に大小100回余りもやってきている。朝鮮の求める休戦協定を平和協定に変えて戦争状態を終結することにも反対。自分は地球を何千回も破壊できる核兵器を持てるが、朝鮮が核開発することは許さない。そして国連なども動員して制裁を加えてきた。
 今回の新たな戦争挑発は、3月の「韓国」哨戒艦沈没事件が「北の魚雷攻撃だ」と断定したことに始まった。国内の民主団体が「証拠に乏しい」と再調査を求め、ロシアの専門家調査団も否定的な結論を出した。国際世論のあいだでねつ造とする意見が圧倒するなかで、国連安保理も沈没事件は非難しながら、朝鮮の「関係はない」とする声明を併記するなど、奇妙きてれつな議長声明に終わった。
 世界中で恥さらしをしたオバマ政府と「韓国」政府は、恥の上塗りに出た。それが「北の無責任な行動を制裁する」とした米「韓」合同軍事演習や、初めての2プラス2にヒラリー・クリントン米国務長官とゲーツ米国防長官が出席、最前線の南北軍事境界線の視察であった。
 当初、米「韓」合同軍事演習は事件のあった黄海で実施するとしていたが、中国が庭先で原子力空母ジョージ・ワシントンを含めた演習をやることに強く反対したため、まず大規模演習は日本海でやり、のちに黄海でもやるとなった。
 25日から4日間、日本海で実施する演習は、アメリカから原子力空母ジョージ・ワシントンやイージス艦ジョン・S・マケインなど第七艦隊の艦艇20隻と最新鋭のステルス戦斗機F―22が参加。「韓国」からも大型揚陸艦「独島」ほか艦艇八隻とF―15K戦斗機が参加。航空機約200機と陸海空三軍と海兵隊約8000人が各種の演習を展開する。その規模は2年に1度おこなわれる「環太平洋合同演習(リムパック)」に匹敵するという。
 しかも米「韓」国防相の会談では、日本海の次に黄海で対潜水艦訓練を実施するほか、今後数カ月内に一連の合同演習をおこなうことで合意している。その口実は「北に敵対行為を止めさせる」ことで、米「韓」軍事同盟の強化を目的にしている。2プラス2会談でも在韓米軍数の現状維持、戦時作戦統制権の米軍から「韓国」軍への移譲は2015年末まで延期することで合意した。要するにアメリカはこれまで以上に、「韓国」を属国として支配し、戦争となれば鉄砲玉にしていくことである。同一民族が六五年も分断され、憎しみ合い、殺し合った経験を持つ朝鮮南北の人民に到底許されるものではない。

 強烈なシグナルと公言 ゲーツ長官が境界で 

 アメリカの意図を象徴したのがヒラリーとゲーツの2人が軍事境界線を視察したことだった。ちょうど60年前の朝鮮戦争が、ダレス国務省顧問の軍事境界線視察で始まった。その後、何人かの米大統領が視察したことはあるが、今回のように国務長官と国防長官が「韓国」の外交通商相と国防相を従えて視察したのは初めてだ。しかもその場で、ゲーツは「われわれが今日ここにいるのは、朝鮮に対し、全世界に対して強烈なシグナルを発するためだ。それはわれわれは断固として“韓国”の安全を守るという約束のことだ」と、攻撃開始命令とも思える挑発的な言葉を吐いた。
 2プラス2の共同声明にはないが、クリントンは会談後の記者会見で、新たな制裁措置を検討していると語った。その内容としては、朝鮮の核計画や核兵器に関連した資金活動を阻止するとしている。朝鮮を支持する企業や個人資産の凍結、銀行による朝鮮への不法な金融業務の禁止、朝鮮外交官が外交特権を乱用した不法活動の阻止などをあげている。
 オバマ大統領は「敵対国との対話と融和」を掲げてきたが、ここにきて化けの皮がすっかりはがれてしまった。イラクやアフガンからの米軍撤退期限を示しながら、「テロ撲滅」のためにタリバン勢力掃討というブッシュ前政府と変わらぬ政策である。朝鮮政策でも、昨年の核実験に対する国連制裁に始まって、朝鮮半島非核化のための六者協議の扉を封じてしまったうえ、米朝の平和協定締結への呼びかけを無視し続けている。そして今回の哨戒艦沈没事件を「北の魚雷攻撃による」と、見えすいたでっち上げをやり、戦争機運を盛り上げている。オバマ政府の新国家情報長官に指名されたジェームズ・クラッパー国防次官は20日、上院の公聴会で「韓国への直接攻撃を通じて北朝鮮が再び、国内外の政治目的促進を狙う危険な時期に入りつつある」と証言している。
 アメリカは第二次世界大戦で超大国にのし上がり、世界を一極支配できるドル帝国をつくることを世界戦略としてきた。欧州やアジアを中心に米軍基地網をつくり、当時の社会主義諸国に矛先を向けた戦争を起こした。50年の朝鮮戦争、60年代なかばのベトナム戦争などがそれであった。ソ連が解体し二極構造が崩壊したのちも、91年の湾岸戦争、01年のアフガン戦争、03年のイラク戦争と、やはり世界一極支配をめざし、資源確保と戦略要地占領を狙ってきた。
 現在、イラク戦争とアフガン戦争は深い泥沼にはまり込んで、にっちもさっちもいかなくなっている。英国など同盟国が撤兵をいい出し、かさむ戦費で毎年一兆㌦の財政赤字が出るが、金融機関への注入でカネもない。恐慌で失業者は増える一方で、イラクやアフガンからの撤退を求める大衆デモが激発している。オバマ政府が軍事力の優位を過信して冒険に走る危険性は十分にある。
 だが、アメリカの新たな戦争を許さない力が南北朝鮮でも世界中でも強まっている。朝鮮政府の機関紙は米「韓」演習について、「敵があえて戦争の火をつけるならば、総力をあげて朝鮮の気概を示す」と警告をしている。「韓国」でも六月の地方選挙で、朝鮮の脅威を煽った李明博政府の与党・ハンナラ党が惨敗した。人民は同じ民族同士の戦争を二度と許さない意志を示した。
 そのなかで、ひたすらアメリカに従っているのが、日本の売国政府と商業マスメディアである。民主党政府は、鳩山前首相が「韓国」哨戒艦事件で「北非難の先頭に立つ」と公言。菅首相になって「船舶検査法」つまり朝鮮船舶の臨検を強化する法律を改悪したほか、経済制裁も強化した。さらに、今年10月に「韓国」が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)にもとづく海上封鎖訓練を釜山近海で実施するのに、海上自衛隊が参加するとしている。
 先日、大韓航空機事件で「韓国」で死刑宣告を受け、服役したことのある金賢姫を菅政府はチャーター機で日本に運び、鳩山前首相の別荘にかくまって、拉致事件の被害者らと会わせたりしている。だれが見ても異常である。彼女は法的にも日本入国さえ許されない人物である。しかもアメリカの今回の対朝鮮挑発と軌を一にしている。明らかに連動した動きの一つであり、朝鮮包囲攻撃の仕組みが活発化しているあらわれといえるであろう。
 民主党政府は、哨戒艦沈没事件をみずから調べたのでもなく、ひたすらアメリカの誤情報を受け売りして、「北制裁」をわめきたてているが、主権国家ではありえないことで、アメリカ51州の政府と揶揄されて笑いものとなっている。

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