いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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リーマンショック上回る大破綻 欧州危機巡る記者座談会  ブロック化で世界争奪戦 

 「100年に1度の経済危機」といわれたリーマンショックから3年がたったが、この夏場過ぎから世界経済がもう一段の変調を来し、深刻な様相を帯び始めている。ギリシャの債務危機を発端にした欧州の財政危機と金融危機が叫ばれ、世界の株式市場や通貨が日日安値を記録し、経済活動が縮小している。このなかで日本ではTPPや大増税、普天間など強硬路線があらわれている。日本の諸現象を理解するためには、世界が今どう動いているかを見ざるを得ない。世界の情勢、とくに経済情勢はどうなっているのか、世界はどっちに向かって動いているのか、記者座談会を持って論議した。
  世界中が欧州ソブリン危機で大騒ぎを始めている。今あらわれている変化の特徴から見てみたい。
  ギリシャの財政危機は昨年からずっといわれていた。いよいよ債務不履行・デフォルトが避けられないところへきて、九月くらいから慌て方が尋常ではなくなっている。ヨーロッパの金融機関が抱えてきたギリシャ国債が焦げ付く羽目になるから、欧州各国やIMFなどがさんざんもめた末に金融支援をして、債務の50%を削減して収拾する提案をした。これを「50%毀損だから債務不履行であるが債務不履行ではない」という金融財政秩序などふっ飛んだ形のなんでもありのやり方だった。
 しかしギリシャ国内でも緊縮政策に反対してストライキが連続している。パパンドレウ首相が「国民投票で支援受け入れを決定する」とやったことから、世界の株式や通貨がいっせいに下がって、ドイツやフランスが飛び上がっている。ギリシャが破綻するとポルトガルやスペイン、イタリアといった南欧五カ国にも飛び火する。これらの国国が借金踏み倒しの債務不履行をやると、大量の国債を購入してきたヨーロッパの金融機関が倒れる。すでにギリシャ危機で大手銀行のデクシア(仏系ベルギー)が破産したが、次次と倒れたら世界中がリーマンショック時の金融危機どころではなくなる。
  夏場以降、中国やブラジル、インドといった新興国の通貨や株価が急激に下がり始めた。手持ちの資金に困ったヨーロッパの金融機関が新興国から資金を引きあげ始めたからだ。新興国の通貨は平均で二割くらい落ち込み、株式も急降下してバブルがはじけ始めている。株も証券も通貨も国債も危ないというので投機資金も行き場を失い、ヘッジファンドもつぶれたりしている。そのなかで、各国の通貨がみなヤバイというので投機資金が円に投機して円高がひどくなっている。円高でやっていけないというので海外移転だと騒いでいる。
  新興国からマネーを引きあげているが、石油や金といった現物市場に流れているかというと、こっちも下降線をたどっている。不景気で売れないからだ。世界的に経済が縮小していることをあらわしている。ヘッジファンドも株や証券、国債などが暴落のすう勢になって業績悪化や破綻があらわれている。
  全世界的な危機が進行している。ヨーロッパの経済が縮小しているから、中国も輸出が伸びない。ヨーロッパ依存がもともと強いからだ。企業業績が落ちて倒産するのも出てくる。パナソニックが薄型テレビから撤退したが、モノが売れないなかで製造業も競争が過酷で、弱い部分から淘汰され始めている。
  欧州ソブリン危機は、リーマンショック以上の危機になると予想されている。世界的な金融恐慌、世界大恐慌だ。
 
 新興国も危機波及 破綻のたびに経済危機拡大 米金融機関も

 B
 リーマンショックの後、米欧は量的緩和で札を刷りまくり、その投機資金がアメリカやヨーロッパからBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国の新興四カ国)といわれる新興国になだれこんだ。サブプライム破たんのあとは新興国がバブルを引き継いで世界経済を牽引するのだといわれていた。しかしこれが3年も保たなかった。
 この間、ターゲットになった新興国では、通貨高や急激なバブルに頭を抱えていた。しかしこの1~2カ月で今度はいっきに資金が引きあげられ、通貨安、株安、バブル崩壊の危機がもたらされている。90年代末のアジア危機のときと同じように、すさまじい量のマネーがいっせいに引きあげられている。中国もヨーロッパ経済が縮小して、輸出が停滞している。
  今度の欧州ソブリン危機は、リーマンショックの延長線上にある。返済能力のないサブプライムローンなどを組み込んだ証券をつくり、それを格付け会社が優良証券と評価し、世界中に買い込ませて、アメリカの住宅バブル崩壊で、イカサマ金融が暴露された。イカサマ証券をかかえた金融機関がマヒしたが、それをアメリカもヨーロッパも量的緩和による紙幣の大増刷や膨大な財政支出で金融機関を救済して破たんを回避してきた。
 しかし今度は各国の財政危機となってあらわれた。それは国債を買い込んでいる金融機関の危機となってあらわれた。財政危機が原因で金融危機になっているのだが、それを財政支出で回避する、つまり金融危機の原因をもっと大きくするという絶望的なことになっている。どうしようもなくなっているのだ。
  欧州危機はもっぱらギリシャのせいのようにされているが、問題はそれだけではない。デクシアの破綻に際して、同社が抱えていたギリシャ国債は4000億円程度だった。しかしフランス政府がデクシア解体で出した政府保証は9兆5000億円にものぼる。ほかにもっと大きな問題があったわけだ。ヨーロッパの金融機関はサブプライムなどのボロ債権を大量に抱えたままのようだ。この総額が相当のものだと見られている。
  米国の金融機関も欧州各国の国債を抱えている。破綻したMFグローバル(米ヘッジファンド)は欧州の国債が原因とされた。米国の金融機関もサブプライムその他の焦げ付きを大量に抱えているのが実際だ。CDSの保証率を見たら、欧州の一部銀行よりもゴールドマン・サックスの方がはるかに上回っている。マーケットで破綻が噂されるような事態だ。ヨーロッパが噴いたらアメリカも危ないし、決して対岸の火事ではすまない。サブプライム危機、ギリシャ危機といって破綻が繰り返されるたびに火に油を注いで、ますます炎上していく。
  サブプライム・ローン債権はヨーロッパの金融機関も大量に抱えていた。それをいったん量的緩和でしのいできたが、弱い部分のギリシャから噴いた。EUに統一してギリシャからすると強いユーロになった。ドイツから見ると弱いユーロになって競争力が強いうえに、安いユーロだからもうかった。ところが競争力のないギリシャからしたら、独自の通貨であれば通貨切り下げで対応できたが、ユーロ全体を守らなければならないためガタガタと崩れた。そして食い物にしてきたフランスやドイツも青ざめている。しかも、ギリシャがゴネていうことを聞かないから、確執もひどくなっている。
 
 円高の中TPPも 日本市場奪い中国と対抗する米国 軍事と連携

  日本国内では「超円高」があらわれて経済を直撃している。大企業の海外移転に拍車をかけるものになっている。タイの洪水で「日系企業400社が被災」というニュースを見て、みんなが「そんなに海外移転していたのか!」と驚いたが、この調子で産業が空洞化したら仕事はなく、国民生活が成り立たないのは当たり前だ。
 A 世界的にはリーマンショック後に通貨戦争が熾烈になって、自国通貨の切り下げにムキになってきた。このなかで通貨が上昇しているのが円だ。円高というのはドル安だ。つまりアメリカは必死に量的緩和をやってドルを刷りまくってきた。自分のところの債務を棒引きさせ、輸出をテコ入れするのに躍起になってきた。その結果、日本は円高に直面している。そしてTPPを持ってきた。
 TPPはオバマがいっているように、単純にいえば対日輸出を二倍にするためのものだ。大きく見ると経済のブロック化がある。大恐慌のなかで、経済のブロック化を進めて、大抗争をやろうということだ。アメリカは日本を完璧な隷属下において市場を奪ってしまうとともに、中国と対抗するためだ。ヨーロッパはEUでブロック化し、中国・アジアがもう一つの大きなブロックだ。そうしたなかで中国との緊張局面が出てきている。TPPは単純に農業だけの話ではない。中国はASEAN各国との関係で独自に東アジアとつながりを求め、日本も鳩山・小沢ラインがそっちに進もうとした。ところがアメリカから恫喝されてTPPにつながれた。
  TPPで輸出産業をテコ入れするといっても、自動車でいえばすでに現地生産が主で輸入関税は今二・五%だから、これがゼロになってもたいした輸出増にはならない。輸出の障害の一番大きいものは円高だ。TPPは中国排除のブロック化だから、それに対抗して中国が欧州と関係を強める方向に行ったら、日本はアジアのもっとも大きな市場を失うことになる。貿易相手国はアジアの方が大きいのに、その関係を断ち切ってアメリカになびいても、良いことなどないのはわかりきっている。大変な輸出激減だろう。
 TPPは経済の問題だが、軍事・戦争の問題と密接につながっている。危機に立ったアメリカが徹底的に日本を隷属下に置いて、他のブロックと競おうとしている。戦争接近の要素を持っている。中国が空母を動かしたと騒いでみたり、普天間問題を動かそうとしたり、次期戦斗機の整備など軍事的な動きが慌ただしい。
 C TPPにベトナムやシンガポールが入っているが、中国を中心に動くアジア市場を分裂させてアメリカに取り込む狙いが露骨だ。これと南シナ海を巡る騒動などがセットで軍事的緊張ができている。中国封じ込めをやりながら、人民元の通貨切り上げを再再要求しているのがアメリカだ。金融面での衝突も鋭いが、それは軍事面での衝突でもある。
  世界のブロック化による争奪戦が激しくなっている。だからTPPを気狂いのように推進したりする。やることが強引になっている。リビア侵攻を見ても、NATOが軍事介入してカダフィという一人の指導者を撃ち殺してしまう。イラクでもそうだが大義名分もなにもなく戦争を仕掛け、国としての統一を破壊して大混乱させ、それこそ「外資の自由」で資源を奪っていく。まともな神経ではない、ならず者時代だ。文明が発達した結果、史上最悪の野蛮時代になっている。口を開ければ「民主化」というが、アメリカの民主化とは独裁という意味だ。
 
 金余りと貧困拡大 世界の冨牛耳る0・5%の億万長者

  アメリカ経済も後退がすごい。住宅需要も悪いし、失業率も回復せず9%台で高止まりしたまま。ウォール街占拠デモのような行動が始まり、「格差をどうにかしろ!」というのが世界的な要求になっている。「1%の富裕層と99%の貧乏人」というのが一つの言葉になっているが、この間の金融資本主義で一方では富が有り余るほど蓄積され、もう一方ではとことん搾られて食料さえ満足に得られないような貧しさが広がってきた。これに対して反撃が始まっている。矛先が金融資本そのものに向いている。金融支配に対して立ち上がっている。
  資本主義のなかで富を作らない者が生産者が作った富を収奪して成り立っている金融。これが世界中で荒稼ぎをしてきた。その結果が今につながっている。先進国だけでなくエジプトやチュニジアでも「アラブの春」が起きた。
  クレディ・スイスが昨年発表したレポートを見てみると、世界の富の38・5%、およそ4割を0・5%の億万長者(100万㌦以上の資産を保有)が握っていると分析している。大王製紙のドラ息子ではないが、持っている奴は持っているのだ。しかしこれをもっと細かく見てみると、「ビリオネア」と呼ばれる10億㌦(約7800億円)以上資産を持っている人間が約1000人。その下に「超富裕層」と呼ばれる5000万㌦(約390億円)持っている金持ちが8万人いるといっている。世界人口は70億人突破というが、「ビリオネア」は700万分の1、つまり0.00000014%ということになる。「超富裕層」は7万分の8、つまり0.00011%にすぎない。「1%と99%」どころではない。
  みんなは金がない、国家財政も危機、金融機関も危機だというが、持っているヤツは持っている。日本の大企業は250兆円の内部留保を抱えている。世界的にもそうだ。世界に金がないのではなくて、あり余り過ぎているのが世界の現実だ。あり余る金を抱えている奴らがいるから、圧倒的な大多数が貧乏になっているのだ。富裕層との格差も、80年代からすごく広がっている。経営者と労働者の賃金格差は以前は数十倍くらいだった。それが今は、年収200万円の非正規雇用がいる一方で、大企業のCEOというのが10億円以上報酬をもらっていたりする。単純計算でも500倍だ。
  資本主義の矛盾が暴露されている。一方の側にあり余る富が蓄積され、他方に貧困がすさまじい。世界にはあり余る金がたまり、商品があふれかえっているのに、貧乏人があまりにも増えすぎて買えない。企業が大競争でもうけるために労働者を失業させ、働く者もパートかアルバイト派遣のような奴隷状態にして、消費購買力がどんどんないようにして、つくった商品が売れずにパンクしている。働かない者が富裕層で、働く者が貧困層という世の中だ。働かずにあり余る金を抱える人間の金を政府が巻き上げて、働くみんなが買い物ができて、食っていけるように変えないと解決できない。

 新自由主義が破綻 戦後資本主義の結末

  A
 リーマンショックの延長としての欧州ソブリン危機だが、大きく見て80年代からの新自由主義の破たんとしてあらわれている。もっといえばアメリカを頂点とした戦後資本主義世界の破たんだ。
 戦後最強の帝国主義となったアメリカだったが、ベトナム戦争の戦費が増え、ドイツや日本の復興でドル危機となり、1971年の金・ドル交換停止のニクソン・ショックとなった。その後変動相場制になったが、金交換をしなくなったドルはその後刷りまくってきた。そのためどんどんドル価値を下げてきた。基軸通貨だから世界中がドルを使わなければならない関係だ。1㌦=360円だったのが今や1㌦=75円まで下がり、60円台までいくと見られている。
 そして80年代レーガン、サッチャーからの新自由主義だ。アメリカは産業の競争力がなくなったが、情報通信と金融の技術革新で、軍事力とセットにして世界支配の再編に乗り出した。金融工学と称して金融詐欺師的な商売をやるなど、生産に投資できない膨大な資金を使って金融マネーゲームでもうけることをおもに追求する経済構造にしてきた。
 産業資本は株価至上主義が迫られ、短期の業績を上げなければ企業買収にさらされるという状況で、生産原理を無視した大競争が強いられた。金融資本の利潤獲得の自由のためにあらゆる社会的な規制を撤廃する市場原理、新自由主義改革、各国への市場開放が強制された。
 人人が働いて富を生産する産業、食料生産も医療も、教育も文化、メディアも、そして行政機構も、社会性、公益性、公共性が否定されて、個別企業の金もうけの道具とされた。市場原理とは、ヘッジファンド原理、資本の金もうけの自由原理であった。
 世界は腐りきった利ざや稼ぎどもが好き放題に支配する転倒状態となった。それでは世界は成り立たない。人間の社会は、働いて物を生産することが基本であり、金融資本がもうける原資も生産活動から生まれた利潤からだ。働く者に寄生する者が、生産活動を破壊して社会がやっていけなくする。世界にはガンどころではない巨大な悪性腫瘍ができた状態なのだ。これをとり除かなければ世界はやっていけない。
 B 新自由主義は社会主義の転覆とセットであらわれてきた。ソ連、東欧の社会主義崩壊の90年前後、西側は「資本主義の永遠の繁栄」と叫んだ。ところが資本主義世界のこの結末だ。今の新自由主義支配の下での、貧富の格差、社会の崩壊の状況を見ると、社会主義の存在が世界中の人民の生活にとってひじょうに大きな意味があったことを示している。それはソ連、中国だけの話ではなかった。社会主義が帝国主義と対決している条件のなかで、資本主義国内でも労働者、働く者への譲歩があったということだ。「社会主義よりいいんだ」と思わせないと帝国主義の方がもたなかった。
 
 全国的政治斗争へ 生産原理、公益優先の社会に活路

 社会主義を転覆させたのも新自由主義だが、これを崩壊させることによってムキツケの新自由主義、金融資本原理が大手を振ってきた。しかしここまできて、資本主義の下では生きていけないし、世の中がもたないところへきている。その打開の方向が求められている。
  生産を破壊する資本原理とたたかって、生産を発展させる働く者の原理が支配する社会だ。働く人民が家畜のような扱いを受ける社会ではなく解放される社会だ。個別競争、個別利害優先ではなく、社会的な利益、公益優先の社会、働く者の共同でつくる社会だ。戦争ではなく平和、対米隷属ではなく独立した日本社会だ。
  東北復興を見ていても、生産活動を回復しなければみなは生活できない。大企業やゼネコンが乗り込んで、ガツガツ利権をあさっている始末だ。それで放置されたのでは地元の被災者は生きていけない。強欲だが、社会を維持できない支配勢力なのだ。失業、貧困と戦争の接近、資本主義の極だ。たたかわなければ生活はできない。
 B 世界資本主義がここまで来て、帝国主義間争奪が激化し、戦争の危機が迫るとともに、革命が迫っているというのが情勢の根本的な特徴だ。民主党政府は、自民党政府がやった新自由主義改革による日本社会の破壊に対する国民の怒りによって自民党が倒されたことによって登場した。鳩山から菅とアメリカよりにすすみ、野田民主党政府は東北被災地は住民は難民にして外来資本の収奪の場にしながら、TPP参加、大増税、普天間移設を強行しようとしている。大恐慌・資本主義の危機が深刻になり、世界的な争奪戦が激化するなかで、アメリカを救うために日本を食い物にし、戦争の盾にするというものであり、これとの全国的な政治斗争が求められている。
 C TPPというが、日本は既に相当巻き上げられ、食い物にされてきた。アメリカはドル札を刷りまくってドル安にし、この円高によって日本政府や金融機関が山ほど抱えていた米国債は、1㌦=120円くらいの時期と比較すると4割近く吹っ飛んだことになる。ドルのインフレ政策によって紙切れだ。8月末に続いて今度もいれて13兆円ほどドルを買ったというが、それは一時的なもので円安にはならない。投機資金の方が膨大なので太刀打ちはできないのだ。これはアメリカ国債を買うもので、アメリカに寄付をする意味しかない。アメリカがそれをやれと強制している。野田政府は飛び上がってやったのだ。まことに売国政府だ。東北の被災地復興のために大増税というが、アメリカへの寄付は躊躇がない。それが日米関係だ。TPPによって日本は身ぐるみはぎ取られるというものだ。アメリカも余裕がなくなってムキになっている。
  野田政府は消費税の10%への増税をやる気だ。非正規雇用ばかりで若者はまともに生きていけないようにし、農漁業もボランティアの勤労奉仕のようになり、中小商工業者も必死でやっているなかで、そして消費購買力がどんどん下がっているなかで、なにが増税かだ。アメリカ国債を売り払えばいいし、大企業の250兆円の内部留保を取り上げたらいいんだ。
 C 野田政府は、普天間基地の辺野古移転を固執し、岩国の愛宕山の買収による米軍住宅建設に道を開こうとしており、ソマリアや南スーダンへの自衛隊派遣をやろうとしている。とくに中国との戦争体制を強めている。ひじょうに危険な情勢だ。

 大衆世論は大転換進行

  大恐慌で危機だというのは一つの面であり、もう一面では大衆世論のすばらしい転換が始まっている。礒永詩祭の反響も5年前とは様変わりになっている。被爆者、戦争体験者はもちろん、小中高生の反響が鋭いし、労働者とか商店のおばさんとか、働く大衆が衝撃的に受け止めている。無私の奉仕をする精神とか、自分の命を捨てて人のために尽くすとか、大衆に学んで自分を鍛えていくとか、そういう人民の根底に流れる精神が発揚されている。「極限の場で鑑賞にたえる芸術」というが、みんなの生活自体が極限的になっている。とりわけ子どもたちには極限社会の実感が強い。資本主義の展望などだれも感じていない。このなかで展望を見出している。劇団はぐるま座の『原爆展物語』の反響もどんどん鋭いものになっている。
  たたかう人民のなかに新しい時代を担う力があり、未来の展望があるということだ。世界的には大恐慌という極限状態が進行している。その下での大恐慌の深刻化であり、帝国主義的な争奪戦の激化だが、そういう敵の方ばかり見ていたら絶望的になるだけだ。そうではなく働く人民の方を見たら展望が出てくる。そういう人民の力を全国的に結びつけていく政治集団を結集していくこと、そういう私心なく人民に奉仕する思想の新しい政治集団を結集していくこととともに、全国的な政治斗争がまきおこる、そういう急速な発展が始まる情勢だと思う。みんな黙ってはいないし、行動を求めている。

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