いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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神道を騙る汚れたちの暗躍

 瑞穂の國記念小學院の設立と関わった国有地払い下げ問題は、神道とか「愛国」を叫ぶ輩のなかにとんでもない汚れ勢力が存在し、それらに関係省庁や行政機関が軒並み屈服して、常識では考えられないような手続きを進めていたことを暴露した。

 学園トップが日本会議の関係者だったことも明らかになったが、国有地をタダ同然でもらい受け、私有財産として我がものにするような行為は、果たして愛国者がやることなのだろうか。


 昨年来から『日本会議の正体』(著・青木理)『日本会議の研究』(著・菅野完)といった研究本がいくつか出版され、安倍政府を支える宗教団体の姿がおぼろげながら明らかになってきた。生長の家の信者・活動家だった人物たちが神社本庁や政治家ともつながって組織する国内最大の右派団体で、既に政教分離の原則もどこへやら、四割近い国会議員が参加しているといわれている。この日本会議を支える国会議員懇談会の特別顧問をしているのが安倍晋三で、防衛大臣の稲田朋美は生長の家の信者であり、首相補佐官の衛藤晟一も生長の家の活動家出身だという。今回の国有地払い下げを考えた時、首相夫人が名誉校長として名前を連ね、これらが賛美して設立する学校の認可や土地払い下げだったから、役人たちは恐れをなして粛々と手続きに応じたのではないか? というのが率直な見立てであり、疑問視している点だ。


 神道を信仰する人のなかにも様様いる。その思想信条を十把一絡げにして捉える気などさらさらない。地域のなかでみなから尊敬されているような素晴らしい人物もたくさんいる。なかでも上関原発計画と関わって、神社地売却に反対したために神社本庁から解任された林春彦宮司(室津賀茂神社)の生き様は、記者として関わったなかでも忘れ難いものがある。氏子の誰からも慕われ、その未来にとって譲れない問題として身体を張った末に亡くなられたが、最後まで清貧を貫き、人を欺いたり侮蔑するような世界とはまるで無縁の人だった。あのような尊敬すべき人物がいる一方で、氏を解任するために暗躍したのは当時の山口県神社庁の腐れ神主どもであったし、経産省や中電の意向に沿って解任したのは神社本庁の総長・工藤伊豆だった。末端でもがいた林宮司の死は、そのような金力や権力に群がる汚れた者たちへの痛烈な抗議の意だったのだと思えてならない。

 

 だからなのか、神社庁の有名どころが日本会議なるものと手を握って「愛国」の旗を振っているのを見せられても、みな陳腐なものに思え、反吐が出るような感情しか出てこない。今回の神道を標榜した国有地払い下げもまた、似たような腐臭がプンプンと漂っている。愛国にも本物と偽物がある。     武蔵坊五郎

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