いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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箱物利権やめ市内に雇用作れ 消費落ち込み緊急事態の下関

 師走を迎える下関市内では、消費の落ち込みが尋常でなくなっている。リーマン・ショック以後、市内経済は回復することなく落ち込む一方だが、今年は異常なほど物が売れない。商店はもちろんだが、大型店でも10月以降冬物衣料品が売れず、早朝に牛乳とパンを配って客引きをする店が出てきたり、安売りをするけど売れない。さらに生活必需品である食料品の買い控えもめだっている。「下関は緊急事態だ」という実感が語られる一方、中尾市政のハコモノ利権暴走の姿勢に強烈な怒りが巻き起こっている。
 
 食料品の買い控え目立つ 高齢者特に厳しく

 敬老の祝いが現金からカタログに変わって2年目の今年、カタログが届いた高齢者から「現金にしてほしい」という意見が強烈に出されている。市担当課にも昨年にも増して要望が殺到しており、対象者で亡くなった人に配られる「お掃除券」を「せめて商品券に変えてもらえないか」とか、敬老の式典参加者に配られるカステラを「500円でもいいから現金にしてほしい」という意見が出ている。高齢者の生活が尋常ではない厳しさとなっている。
 長府商店街でも高齢者がまったく買い物に来なくなったと語られている。例年なら、2、4、6、8、10月は年金が入るから高齢者が買い物に来る月だが、今年は10月からぱったり来なくなり、11月に入ってからさらに減っている。八百屋の店主は、「ちょっとお金を持っている人なら、100円の白菜が120円になっても買っていくが、お金のない人は20円の違いでも絶対に買わず、メニューをその場で変えていく。物が100円で安いというが、みんなが買えないからどんどん安くせざるを得ない。そんな事態になっている」と話す。魚屋で300円で魚を買い、隣の八百屋で野菜を200円買ってワンコイン。それで買い物は終わりという高齢者が増えているという。
 唐戸商店街、唐戸市場内の食料品店、長門市場などどこも同じ状況になっていることが異口同音に語られている。商品を仕入れても今までのように見通しが立たず、「店を閉じた方がいいが、次の仕事がないから続けていくしかない」「どうしていったらいいのか」と切実になっている。
 ある美容室の婦人は、美容業界でも客が来なくなったと話題だと語る。昨年、売上が相当落ち込んだが、今年はそれと比べものにならないくらいの落ち込み。年間何度も来ていた人が、回数を減らして年3回にしたり、カットだけにする客も多い。60代、70代の顧客も多いが、「息子や娘が関東方面で首を切られて帰ってきて、下関で職を探すけどないから、親の年金で暮らしているという人が何人もいる」という。大手自動車メーカーでアジアへの転勤を断ったら首になった人、震災の影響で整理されて首になって帰ってきた人など、「30代でも非正規雇用がかなり多いのにびっくりした。雇用問題がすごく深刻。なんとかするべきではないか」と話した。

 失職し住居追われる若者も 職安は求職者溢れる 

 商店だけでなく、病院も外来が今年とくに減っており、インフルエンザの予防接種も今年はしないという人が出ている。不動産関係者のなかでも、正社員を切られてローンが回らなくなり、家をたたき出される30代、40代が増えている。現役世代が家を買うときにも、新しい家ではなく1000万円前後の中古物件を買うのが最近の傾向になっていると語られている。
 一番の問題は働く場がないこと。リーマン・ショックで派遣切りで落ち込んだ状態から、数字上は若干回復したかのように見えるが、今でも月5000人が職を求めてハローワークを訪れている。
 年末が一番忙しい水産加工も、例年なら11月には夜中の12時頃までフル稼働して、年間の売上の5割、6割を売り上げるが、今年は10時には仕事が終わり、中国人研修生は8時に帰らせる状態になっている。ある業者は「下関のフグは関西方面の出荷で7割くらい行くが、大都市圏の消費活動が後退しているのが影響している。100年に一度というから、去年1年辛抱すれば持ち直すかと思っていたが、こう何年も続いてもらったら困る」といった。水産加工のなかでは、消費が落ち込むなかで同業者同士の競争が激しくなり、つぶれていく業者も出てくることが危惧されている。

 中小企業では倒産や夜逃げ 大手さっさと海外へ 

 中小企業関係でも、年末にはかけずり回っているのが「師走」なのに、餅代も出せない状態。建設関係では倒産したり、夜逃げしたという話、元請が切り下げた単価で仕事を押しつけるのに代金を払わないから、回収するだけでもおおごとになっている状況が語られている。仕事がないなかでよくわからない会社が持ってきた仕事に飛びついたらそういう状況で、連鎖倒産したり、中小企業同士の訴訟が起こったりと殺伐とした状況になっている。
 大手企業は、国内の生産を縮小して海外移転を始めている。リーマン・ショック後に、三井金属・エムシーエスで1000人前後が放り出され、神戸製鋼も下請の日新運輸の労働者を大量に解雇した。神戸製鋼では最近、正社員もかなり減っており、社員が住んでいた住宅地で売りに出された家が増えたり、社宅は民間に貸し出してアパート業で稼ぐ状態になっている。不景気ななかでも唯一忙しそうだった日清製粉も、最近東京から新しい工場長が来て正社員の面談を始め、やめていった人や頭がおかしくなった人が出ていたり、ラインの労働者の数も減らされ労働者のなかで「閉鎖するための布陣ではないか」と語られ始めている。
 下関で大いばりしてきた大企業であるが、円高、TPPというなかで、さっさと海外移転などして下関にとってはもっともあてにならない姿をさらしている。

 5年で1000人ずつ人口が減少 旧郡部の豊北町 

 旧郡部の豊北町では、5年に1000人ずつ人口が減少しており、2、3年前から婦人会や各地区の老人会などもなくなるなど、地域生活が成り立たない状態が深刻となっている。一番の問題は働く場がないこと。商店もつぶれ、病院もなく、済生会や中央病院、インフルエンザの予防注射に角島から旧市内まで通わなければならない状態になっている。人が住めるようにするのではなく、逆に来年度から高齢者の足である生活バスについて、利用率が10%を切る路線の見直しがうち出されるなど、もっと住めない状態にしてしまおうとしていることへの怒りが語られている。
 さらに、欧州金融・財政危機が進行し、そのなかでTPPや消費税増税をやるといい、大企業は海外移転をやるという。また多少の金持ち層も、銀行からだまされて投資信託や外債などを買わされ、スッカラカンにされる例も増えている。郵便や銀行がかかえる国債の暴落で預貯金が紙切れになることも心配されている。この先日本はどうなるのかという不安が強まり、生活防衛の意識は強まらざるを得ない。
 下関市内にお金が回ってこない。その根源は、富をつくり出し現金収入をつくり出すモノづくり、つまり水産業、農業をはじめ製造業が寂れ、それを担う働く人たちが人数も収入も減っているからである。現金収入をつくり出すモノづくりが動かなければ、流通にもあらゆるサービス業にもお金は回らない。
 金融機関は、国や地方自治体に貸し付けて無理矢理ハコモノ事業をつくらせて、税金にまでたかって、モノづくり、地場産業には金は回さず、踏みつぶすようなことばかりしている。

 税収減るなか差し押えを強化 中尾市政 

 こういう下関市民の緊急事態のとき、中尾市政は、野田政府が消費税増税を叫び、国内産業をつぶして国の主権を売り飛ばすTPPをやるのと歩調を合わせて、市財政までつぶしてしまうハコモノ利権をなおもすすめようとしている。
 東日本大震災が起きても、その前に決めていた消防の埋め立て地移転を改めようともしないで、地盤改良工事を強行している。市庁舎の移転工事もすすめ、疲弊する郡部では総合庁舎を建て替えることを自慢して回る有様。市内業者を追い出して山銀とJR西日本だけがにぎわう「駅前にぎわいプロジェクト」にも臆面なく市民の税金を投入する。
 ある飲食店の店主は先日差押えの通知が届いたと話す。国民健康保険料で19万7000円。11月30日までに払わなければ差し押さえるという内容だった。「前段で、分割させてくれないかと相談に行ったら、そのときはいいですよといったのに、こんな通知が来た。分割すればなんとか払えるから、そのつもりだったのに、市民や商売人の実情を知らない。中尾は本当にひどすぎる」と怒りを語った。
 市民が貧乏になっているからにぎわいがなくなり、市の税収も下がっているのに、市税も国保料も給料や貯金、年金、保険まで片っ端から差し押さえて巻き上げる。若者はますます嫌になって下関から出てゆき、市税収入がますます減るようなことをする。
 事実、来年度の予算編成が進行しているが、「30億円足りない」との騒ぎとなっている。自分が食いつぶしているのに、人に「無駄な事業は見直すように」「とれる物は回収するように」という指示を各課に下ろしている。それでも新市庁舎建設や消防庁舎、駅前にぎわいプロジェクトなど大型箱物事業の予算は確保したまま。

 議員は市税使い飲食費散財 視察旅行と称し 

 議会の腐敗も市民の怒りの的となっている。市議選挙の宣伝カーで実費は20万円ほどしかかからないのにタクシー会社に一括契約したら45万円もらえるという条例を作り、「もうかる方法がある」といって11人がそれをやった。自分たちが作った条例なのに、総務省にお伺いを立てる有様で、返事が来てもほったらかしのまま。議員の視察旅行に行ったら、夕食代に飲み代を入れた9000円と、総額からの残金として1720円が各議員に配られたことが、市民の中では猛烈な怒りとなっている。議員どもは、市民の怒りのすごさもわからない。市民のこととか、下関の将来とか、まったく関心がない。自分の金もうけ業になっている。
 中尾市長は、自分は社長であり、市職員は複式簿記を勉強して経営者視点を身につけるようにと説教してきた。要するに、市民のため、公共のため、公益のためという意識がまるでない。特定の者の金もうけのために市役所はあるという意識を露骨なものとしている。こういう男をのさばらせるのが、イカサマ・バクチが専門業になった銀行を中心とする当節のグローバリズム、新自由主義なのだ。
 ちなみに下関市立大の先日のシンポジウムで、東大や慶応大の先生が来て、公共性の原則とか、新自由主義がいかにデタラメかという講演をやると、「私は経営者出身だが、公共性を一番大切にしている」とシャーシャーとしゃべっていた。市職員の中では「開いた口がふさがらない」という感想が一番多かった。民主党野田といい、うそつき、二枚舌が今どきの首相や市長の条件なのかと、政治の信用はがた落ちとなっている。
 下関はいまや緊急事態にある。ハコモノ利権事業は即刻やめて、市内に仕事をつくり雇用をつくることが第一級の課題となっている。

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