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中尾市長の修士論文不合格 報道受け全国から注目

下関市の中尾友昭市長が市立大学に提出していた修士論文が不合格判定を受けていた問題とかかわって、9日の定例記者会見で「納得がいかない。嫌がらせとしか思えない。仮にそうであれば、学問の自由という点から見て問題があるのでは」とし、「名誉回復のためにできることを検討する」と情報公開請求を考えていることを明らかにした。学位取得のために判定を受けている側が、判定する者よりも上に身を置いて暴れ始め、全国から注目を浴びる事態に発展している。
 
 高まった市立大学の評価

 10日には朝日新聞が社会面で報道したほか、読売新聞も地方版で市長の主張を報道した。インターネット上ではヤフーニュースにも登場するなど、全国にその名が知れ渡った。盛り上がったのがツイッターで、この問題に対する意見がさまざまに飛び交った。


 「“自身の人生なども盛り込んだ”。そんなの論文にいらない」「1人の学生が書く論文としてはA4550枚相当という分量は違和感ありすぎ。そんなに1人で書けるはずがない」「下関市長の分権をテーマにした修士論文は、市長が行政上の権力を使って市立大学から修士号を盗もうとしたところ、大学の教授会という学問上の権力がそれを阻んで、分権の意義を示したところまでで一つの作品で、これは並の修士論文よりはるかに価値のある業績だと思う」


 「大学院に抗議するくらいなら論文を一般公開して市民に判断を仰ぐべき」「世間に訴えたいのなら550ページもの論文をみずから公開するのが一番手っ取り早いと思う」「理想的な市長のコメントを考えてみた。“不合格なのは残念ですが、勉強し直します。今回、私を落とすことに大変な葛藤があったと思う。それにもかかわらず学問の分権を守った教授陣には敬意を表したい。設置者なので自画自賛になりますが、素晴らしい大学だと誇りに思います”」「大学側は偉かった。権力に関係なく学術的に審査した点で評価が上がったと思う。早稲田より全然良い」


 「550ページも読まされるなんて何の罰ゲームだろうか」「単位を落として弁明の機会なんてあるものか。この人は権力を振りかざして修士をとるつもりなのか」「3分の2以上の賛同を取れない論文を出しておきながら文句つけるなんて、学問をなめている」「市長におもねらない健全な大学といえるかも」「名誉回復のためにできることは“もっとがんばる”じゃないかと…」「“名誉”を第一に考えている時点で学問をやる意味はないように思う。恥をかく準備のない人は新しいことを学ぶのはよした方がいい」「えらい。学問の府たることを守った」「僕は読んだわけじゃないから知らないけど、きっとおかしなこと書いていたんだと思う」など、次次と思いがつぶやかれていた。とくに全国の大学人が反応している事に特徴がある。

 市長周辺の指導責任も重大

 毎日新聞が6日付朝刊で不合格を報道した後、市長みずからがその日のうちに市立大学に乗り込み、学長はじめ関係者を怒鳴り回したことが関係者のなかで話題にされている。休みが明けた9日の市長通信(別掲)では全職員にあてて「学問的にはパスしている論文だと自信があります」「論文をしっかり読み込まず、市立大学改革を進める中尾市長が嫌いだと判断されるようなことが仮におこなわれたのなら、学問の府が大学の自治というみずからの権利を弱めたこととなります。私に対する嫌がらせであります」と大学側を非難していた。


 下関市立大学の運営を巡っては、何年にもわたって政治家の介入による私物化が問題にされてきた。今回、全国区で名前を轟かせたのはある意味幸いで、大学が学問の府として尊厳を守ったことについては評価が高まった。今後、教授VS市長の抗争が過熱した場合、郷土の恥さらしになるのは中尾市長である。ここは「努力が足りなかった」と態度を改め、奢りを反省することが求められている。


 市長周辺の仲間たちや代議士事務所の指導責任も重大で、こらえきれない自慢癖、威張り癖についていさめる対応が求められている。市長の仕事はみずからが受益者になることではなく、よりよい大学として評価を高め、学生たちが集まってくる状況をつくり出すことである。


 ◆市長通信での主張

 市立大学に提出した修士論文が認められませんでした。
 私の努力は否定されました。一晩、寝苦しい夜を過ごしました。
 特徴はユニークな論文ではありますが、それこそが社会人入学者が書きうる内容だと思います。学生にも先生にも書けない体験的要素を多く含んだ内容です。
 学問的にはパスしている論文だと自信があります。
 市長、設置者という権限を一度も振り回したことはありません。
 一研究生の立場を4年間、誠実に貫きました。
 論文をしっかり読み込まず、ちまたで言われるような、市立大学改革を進める中尾市長が嫌いだと判断されるようなことが仮に行われたのなら、学問の府が大学の自治という自らの権利を弱めたこととなります。私に対する嫌がらせであります。
 特に白票(反対したのと同じ扱いとなる)を投じた教員は自らの責任を放棄したと思います。様々な点で、不合格は誠に残念です。納得がいきません。

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