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涙、涙の離任式…… 梅光学院中・高校 生徒に深い印象残す

 「財政難」を理由に多くの教師が解雇された下関市の梅光学院中・高校で18日、離任式がおこなわれた。どの教師が学校を去るのか、この日まで生徒たちは知らされていなかった。講堂が涙で包まれるなかで教師たちが残した言葉は、子どもたちの心に深く印象を刻み込むものとなった。

 満身の怒り語る教師 担任の退職初めて知る生徒も

 離任式が始まり、校長の「今年やめる先生を紹介します」という言葉で並んだ教師は16人にのぼった。残る教師の方が少ないほどだったという。そのなかには噂になっていなかった教師もおり、また担任教師がやめることを初めて知るなど、衝撃を受けたことを生徒たちは語っている。高校1年生の担任は全員が退職。体育科も専任教師全員、英語科は昨年と1昨年に採用された2人を残し、古参の教師はほぼ全員だった。国語科も4人のうち3人など、生徒たちが長く信頼を寄せてきた教師たちだった。
 「本当はやめたくないのに、やめさせられた」「腹が立って腹が立ってしかたがありません」「パワハラに負けてやめるような人間ではないことをわかってほしい」。教師たちが一人一人発言を始めると、講堂中が涙で包まれたという。
 ある教師は、「この学院を愛してもいない人たちによって学院が踏みにじられている」といい、またある教師は、「教師を6人やめさせて4人採用するなら、やめさせる教師は2人でよかった。この学校が数学の足し算・引き算ができる学校かどうか、あなたたちが来年確かめなさい。私たちは確かめられないから」とのべた。
 一人の教師が、「古い教師がいたら今の梅光がなくなる」といわれ希望退職に応じたこと、生徒会などが署名するのを見て「やっぱり梅光に残りたい」と思い取消を求めたが、受理されなかった経緯を涙ながらに語るのを聞き、慕っていた高校2年生たちは大泣きしていたという。
 また、昨年秋頃から突然姿を見せなくなり、生徒たちが心配していた宗教主任も出席。離任式への参加も迷ったが、生徒たちから寄せ書きが届いたり、自宅に押しかけてきたり、同僚の教師たちに後押しされて出席したことを語り、「学校を見るだけで苦しかった」と思いを語ったという。
 教師が語る内容は、「私たち生徒にとってはびっくりすることばかりだった」という。悲しみと同時に教師たちの満身の怒りにふれ、多くの生徒が悔しさ、怒りを募らせている。
 これほどの教師が去り、4月から学校はどうなるのか、中・高校が今後どうなっていくのか不安も広がっており、「自分たちのときはまだ学校はあるのだろうか。大丈夫だろうか」と語りあわれている。
 子どもを育てる教育の場で、教師も子どもたちも、これほどの思いをしなければならない学校とは何なのかを考えさせる離任式となったようだ。

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