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“民設民営”の新下関学校給食センターが竣工 4月から22校7300食の提供開始も課題山積

竣工した新下関給食センターの外観(16日、下関市)

 下関市で16日、新下関学校給食センター(建設費約40億円)の竣工式と内覧会がおこなわれた。新下関学校給食センターは、2024(令和6)年4月稼働を予定する民設民営の給食センターで、1日最大8000食の調理能力を持ち、4月スタート時は22校7300食の提供をおこなう予定だ。またこの施設を使った付帯事業として、高齢者への配食サービスを実施する。事業者は下関アグリフードサービス株式会社(広島駅弁子会社、資本金1億円)。

 

 竣工式には広島駅弁関係者や広島アグリフードサービス、建物を建設した広成建設や中西製作所、大旗連合建築設計株式会社、日本政策金融公庫広島支店、広島信用金庫、もみじ銀行、広島銀行など広島勢が顔をそろえたほか、行政関係者や議員など約60人が参加。内覧会には、行政関係者や議員、保護者、納入業者、地域関係者などが訪れ、オールハサップの施設を見学した。

 

14台の蒸気回転釜が並ぶ調理室。1釜で1000人分を調理するという。

 下関アグリフードサービスは、2024年4月から15年間、給食提供業務をおこなう契約を下関市と結んでいる。下関市からは建設費、保守管理費、運営費、役員報酬を含めた運営委託費が約101億円支払われることとなっている。2月には先行して付帯事業である在宅高齢者への配食サービス(コープやまぐちと連携)を開始する予定で、山口県内約4000食を見込んでいる。

 

 下関アグリフードサービスによると、総勢で200人の従業員を雇用する予定で、うち給食業務に携わる従業員は140人。正社員は広島市五日市地区の民設民営の学校給食センターにかかわってきた約10人が下関に来る。外国人研修生が約10人で、約110人のパート従業員を雇用しているという(南部調理場などこれまで下関市の学校給食調理場で働いていた人の受け入れは4人)。学校給食に携わるスタッフの採用は終了している。

 

 下関市は、南部学校給食共同調理場の老朽化を口実に、行政関係者のみで新センターに民設民営方式をとること、自校式も含む22校を集約することを決め、一昨年まで栄養教諭をはじめ学校関係者を排除したといわざるを得ない形で計画の具体化を進めてきた。昨年になって、危機感を持った学校側からの提案でワーキンググループができ、準備が進んできたが、民設民営であるため、食育や給食業務全般を担ってきた栄養教諭が22校に配置されるかどうかも決まらないまま今年を迎えている。なかでも、アレルギー除去食の提供が始まるにあたって、提供までの人員面を含めた安全体制が重要だが、その保障はないままだ。

 

 オールハサップ対応の「衛生的」な施設は完成したものの、子どもたちの教育的観点や学校現場の受け入れ体制から考えたとき、対応が後手後手に回っている部分が多く、課題は積み残されている。安全でおいしい給食が提供されるのかどうか、保護者や市民は注目している。

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