いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

中尾市長の公約破棄に怒り沸騰 下関市政巡る記者座談会 非常識登用する背後勢力

    下関市民は先の市長選挙で燃えた。4期14年の安倍代理江島市政を打ち倒し、中尾市政を発足させてから2カ月が経過した。ところがこの間、あるかぽーと開発計画や満珠荘再開で江島計画の継承、合併した旧四町総合支所の14課削減を打ち出すなど、立て続けに公約破棄がおこなわれ、選挙での市民との約束がことごとく裏切られている。それにたいして「ダマした」「詐欺だ」との怒りの世論が噴き上がっている。中尾市政2カ月の情勢をめぐって記者座談会をもって論議した。
  あるかぽーとを芝生にするという公約破りをやったあと、満珠荘を老人休養ホームとして再開するという公約も破棄し、満珠荘利用者の会との話し合いの場では中尾氏が逆ギレをして席を立つということになった。その翌日から下関市民の会は宣伝カーを繰り出して、中尾市長は公約を守ること、そうしないなら詐欺であり、市民をだまして当選したのは無効だから即刻やめることを訴えて回った。その翌日から2週間ほど宣伝カーを回している。
 本紙も号外を発行して旧市内、旧郡部まで配布している。豊浦、豊北、豊田、菊川町にもまいた。この反響がすごい。駅前でも市役所前でも彦島でも、旧4町でもみんながジッと聞き耳を立てているし、寄ってきて号外を受け取っていく。「選挙詐欺ではないか」「どういうつもりか」と話題になる。公約破棄にたいして市民の怒りは相当なものがある。江島市政末期以上の怒りではないか。
  公約違反という事実は、みなが認めるところだ。方方で「身の変わりが早すぎる」と話題になる。唐戸市場でも「意気地なしなのだ」「元元“長いものに巻かれろ”が体質なのだ」と語られる現状がある。
  市民は驚いているし、怒りはひどくなっている。みんなが安倍代理の江島市政で苦しんできて、それをやっと引きずり下ろして下関を変えようと真剣に選挙をやった。下関をよくするという公約を出したので投票したのに、それはウソであり、市民をダマして利用したとなって怒りは少少ではない。人をだまして裏切ったものに対する怒りは尋常ではない。江島前市長に対する怒り以上になる。人格を疑うという意見が強い。

 公約放棄し江島案踏襲 満珠荘署名も無視 
  「幸せです」「運がいいです」の、宗教じみた挨拶運動を市役所内でやりはじめたと思ったら、あるかぽーとは芝生公園ではなく江島案の踏襲で大和リースとの交渉を再開。山銀やJRの駅前開発利権も動きはじめた。満珠荘も老人休養ホームではなく江島市長時代の構想をほぼ引き継いだ民間委託で動きはじめ、9万人署名を突っぱねた。支所機能強化・充実を叫んでいたのが、4総合支所から14課削減を打ち出す始末で支所機能の縮小だ。選挙ではウソの公約だけではなく、市民派候補といってカンパまで取っていた。それは900万円ほど集まったと話されている。
  市民の大多数は市民の会の宣伝カーはどんどんやってくれというし、本紙にも「どんどん書いてくれ」「長周だから書けるし、ガンガンみんなに知らせてくれ!」といってくる。その期待はかつてない。公約を実行させるということだ。実行せざるをえないように全市民的な力で縛り上げることだ。「実行しないのなら辞めなければならない」ということだ。
  江島市政を倒すための14年間の難儀な思いがみんなのなかにはある。老人福祉は切り捨てられるし、教育もバンバン予算削減や効率化、ダンピングで中小企業はさんざんだし、いろんなところが頭にきていて、やっと倒したと思ったら江島市政の踏襲で突っ走りはじめる。程度が悪すぎる。
  あれほど選挙で総合支所の機能強化、権限委譲、「元に戻す」などと叫んでいたのが、7月1日から14課削減するというのもみなを驚かせた。機構改革については、小泉構造改革のもとでプランが出来上がっている。中尾市政にかわって見直すべきだったのだが、中尾市長本人の意志で江島市長の案とは違った形の14課削減を決裁した。市役所業務の実情などわからないのに、直ちにやろうとする。旧町の職員たちは「大変なことになりますよ」と進言したようだが聞く耳を持たなかった。税務と福祉が1つの課に合体したり、あり得ないことだらけだ。課長や係長クラスはてんてこ舞いになるといわれる。選挙では、旧郡部の有権者を前に「江島案を許してよいのか!」と演説していた。それが支所充実どころか縮小というわけで、4町住民が怒るのは当然だ。
  市庁舎も耐震をすると損するかのような数字を出している。根拠はなにもない財政部長の数あわせといわれるが、耐震・大規模改修に104億円かかるという数字だけが踊っている。だから建て替えした方が得だという誘導の姿勢が歴然としている。新下関地区で進行している地質調査・設計業務にはストップがかかっていない。市役所界隈の不動産は叩き売りみたいな安値で市場に出され、新下関地区の地価はうなぎ登り。業界は庁舎移転を前提にしたかのような動きだ。市庁舎の公約だけは守るといっていたが、全部投げ出す気配だ。市長が決めるのだといった調子。
  あるかぽーと問題も、港湾局としては市長交代に伴って「白紙撤回」を含む4パターンを中尾市長に示していたといわれる。ところが市長の選択としては白紙化ではなく、江島市長案をもとにした業者との交渉再開であった。公約破棄については、職員が1番見ていてわかっているし、驚いている。

 選対は中尾批判に反発 市民に対立する流れ 
  大多数の市民が中尾市長批判をやれといっているなかで、長周や市民の会が中尾批判をやるのにたいして感情的になって反発する流れがある。「批判が早すぎる」「しばらくは見守らないと」「書き方がきつい」などいっている。理性的にはなにもいえない。そのまんまの事実、本当のことをいっているだけだからだ。これは議員では異儀田、松村正剛議員が代表格。そのほか副市長になった吉川氏をはじめとする中尾選対にいたグループ。最近では文化人グループの1部にもその空気が伝染している。文化振興財団出身の吉川副市長効果と思われる。いわゆる「市民派」と自称する勢力が中尾市長の与党になって市民に対立する流れだ。利害関係者が中心だ。
  長周新聞の批判が早すぎるのではなくて中尾市長の公約破棄、裏切りが早すぎるのだ。中尾擁護で文句をいっているわけだが、それは中尾選対にいた部分だ。かれらは市民に約束した公約を守るように監督するのが投票した人に対する責任だし、役目のはずだ。そうではなくて、市民を裏切る中尾を擁護するというわけだ。市長の権力に魅力を感じる流れだし、汚れを感じないわけにはいかない。あるかぽーとも満珠荘も、総合支所も江島がやるのは反対だが、中尾がやるのは賛成というのではインチキもいいところだ。
  中尾市長がためらいもなく公約を破棄して江島市政の計画を継承するのは、林派、安倍派がそれを要求しているのが最大の要因であるのは明らかだ。そして山銀とか、JRとかサンデン、三菱や神鋼などの大企業が箱物続行を要求している。これらの背後勢力が、誰が市長になっても手下にするという関係だ。市民のなかでも、安倍を倒さなければ下関は変わらないという世論が強まっている。
  衆議院選挙を前に自民党の宣伝カーが回っているが、教育基本法を変え学校が見違えるようになったとか、防衛省への昇格など安倍氏が総理の時やったことを手柄として宣伝して回っている。総理を放り投げした反省などない。それを聞くのとあわせて市民の怒りは募っている。
  議会が悪いから中尾がやれないという。関谷議長、長公明議員などが江島路線継承で騒ぎ立てる。「守る会」として松村、異儀田、田辺議員などが保守会派に入って公約破棄の応援団をやる。

 公職意識はまるでなし 権力や金力に卑屈 
  中尾市長の姿勢を見てみると、自分が公約を違反することについて後ろめたい感じがない。満珠荘利用者の会の人人は、実際に対面して話をしてみて、聞く耳のなさと開き直りを実感したし俄然やる気に火がついている。「ごめんなさい」の態度でない。「公約違反ではない」「片隅に置いている」のだと開き直っている。安倍、林事務所とか議会とかに締め付けられて仕方なくやっているという雰囲気ではない。自分自身がすすんで安倍、林事務所の側に積極的に立ち、確信を持って人人の意見をはねつけているという姿勢だ。
  「すみません」がいえない人物のようだ。唐戸市場では小野元社長の甥っ子といって、みんなから甘やかされ威張ってきたといわれている。中尾氏の場合、夜は勉強の時間にあてて良いというので、30年間税理士になるための時間を保証されていたという。30年がんばって税理士になったと自慢しているが、税理士になるために30年もかかったのは自慢することではないという世間の意見があるのは理解できないようだ。
  選挙期間中に林派や汚れ選対の引っ張りがあって、市民交流センターに顔を出さないという理由づけをしていた。しかし実は中尾氏自身の意志だったということだ。ワシの代理は松村正剛だといって、市民の会の新春の集いによこそうとした。汚れ選対とまさに同質だったということだ。選挙後の公約破棄の動きがそれを証明している。
  選挙中に経営者の目線で市政を運営するといっていた。経営者目線というのが、市職員を使用人扱いで「幸せです」「運がいいです」の大合唱をやらせる。総合支所の縮小を強行しようとする。「ハートフーズ」という唐戸市場の子会社を黒字にしたのを自慢していたが、市民のほとんどが聞いたことのない「ハートフーズ」という会社の経営をモデルに市政を運営するというのではムチャな話だ。黒字にしたのはリストラだったから、市役所もリストラだというのだろう。すぐれた経営者とは市民は誰も思っていないのに、「ハートフーズ」のレベルでオレは経営者だと威張る。
  本音は相当のコンプレックスなのだろう。それが経営者になっただけで嬉しくてしょうがなかった。それが市長というすごい権力まで手にしたのだから天まで舞い上がっているのだろう。安倍先生、林先生に頼りにされ、山銀などの大企業とおつきあいをする。それで「私におまかせください」といった調子なのだろう。唐戸市場では「意気地なしなのだ」とか「長いものに巻かれろなのだ」といわれるが職員や市民に対しては威張って、権力や金力には意気地がないのだ。
  市民に選挙で選ばれた公職という意識がない。江島市長もそうだったが、輪をかけてひどい。選挙で掲げた公約は守らなければならないという民主主義社会のルールなど、へのカッパだ。「市長になるために生まれてきた僕」といった感じだ。これは下関を相当に荒廃させる。林派、安倍派から選挙過程で、ハチャメチャやりそうだというところが見込まれたんだろう。だから安倍も江島から乗り換えた。しかし大衆の恐ろしさをわかっていない。

 市民の力を侮る勘違い 安倍氏の選挙も注目 
  中尾はかなり勘違いがひどい。頭の中と現実のかい離がひどい。市民を裏切って天に舞い上がっているが、江島市政が市民にたたきのめされた施策をそのまま継承するのだから、はじめから終わりを宣言したようなものだ。とくに満珠荘署名運動が軸になって市民運動全体を活性化させて無投票流れは覆された。そののち3人がダミーになって江島当選を画策もしたが、敵内部の矛盾もあってついに江島市政は打倒された。それなのに江島市政が倒れた要素を中尾市政があからさまに引き継ぐのだから、それは早死に願望というほかない。しかも公約をたくさん並べて人をだまして選挙をしているから、江島以上にみなが腹を立てている。市民大衆の力への恐れがないのだから悲劇だ。これでいったら客観的な評価は一期持つかどうかだろう。
  全国的な視点で見ると、麻生政府の15兆円補正の線をあらわしている。大恐慌のもとでの大企業の予算わけどりを担当する市長のモデルといえる。みだりに社会常識があっては困ると背後勢力が見なしているのだと思う。
  副市長になった吉川氏は注目だ。泉田選挙の折に助役念書事件があったが選挙をやって1500万~1600万円近い給料をもらう市役所最高ポストをもらったというのは、利益誘導、公職選挙法違反の証拠になりうる。中尾市長は公約違反の大選挙破壊だが、旧泉田派の吉川副市長が公約違反の番頭役をやるというのではその犯罪性は大きい。
  江島が続投するより安倍代議士にとってはダメージになる様相だ。江島よりも市民をだました分、程度の悪いのを代理市長にしたわけで、市民の怒りは安倍、林代議士に向かざるをえない。安倍選挙も10万票を切るどころか8万票ともささやかれている。そこに「教育基本法を変えた手柄」などを自慢する宣伝をしているわけで、人人は総理放り投げの反省がないことへの注目度を高めている。そこに中尾ダメージが加算される。
  安倍代理江島市長打倒の市民の力は、そのまま安倍・林代理中尾市政打倒の力になってあらわれている。ここで下関市民の会の役割が非常に大きい。中尾市長の裏切りにたいして間髪を入れずに街宣カーを回していることへの共感と期待は以前には見られないほど強烈だ。
  市民の会や満珠荘利用者の会の運動がなかったら、市民の声を形にして江島打倒には行き着かなかった。これが中尾与党になって見返りを求めるというのではなく、市民を裏切り公約を破棄するなら即たたかうという姿勢を堅持し少人数の者の特定の利益ではなくあくまで30万市民の利益のために無私の精神で活動することへの信頼と期待は段階を画するものとなっている。
 中尾陣営とその背後勢力は、市民の会の運動をなんとかつぶしたがっている。「街宣車はやめろ」とか「しばらく見守れ」とか「兵頭議員はいいが長周と一緒にやるのがいけない」とかいって圧力をかけている。これは市民の会の宣伝が大きな効果を上げており、市民の会への市民の期待がひじょうに大きなものになっており、公約裏切り潮流が恐れているからだ。
  中尾市長は市民に約束した公約は必ず実行しなければならない。江島市長を倒した市民運動の力を一段と強めて、中尾市長を縛り上げなければならない。勘違い市長に市民の力を思い知らせることだ。

関連する記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。