山口県漁協と、信漁連、県漁連は4月28日、山口市のホテルでそれぞれ臨時総代会・総会を開いて、両連合会の事業や財務・資産を9月1日に山口県漁協に譲渡し、その後両連合会を解散することを決定した。県漁連、信漁連の総会では、不参加漁協のうち3漁協が「譲渡方式」に反対したほか、棄権した漁協もあった。
信漁連の抱える100億円超の欠損金を山口県漁協にかぶせ、自民党林派が犯した信漁連問題の責任を闇に葬ることとセットで、この2年来、水産庁、農林中央金庫、二井県政が合併を進めてきた。今回の事業譲渡決定で、信漁連は県下の全漁協に負担をかぶせ、表舞台から退場することとなる。
合併プログラムではこれまで、信漁連、県漁連を山口県漁協に統合し、一体化する方式を「包括承継」としてきた。だが不参加の13漁協が会員脱退しない状況では実質的に行き詰まっていた。二井県政、農林中金は計画の枠組みを変え、「除名決議」「一会員状態」など必要ない「事業譲渡」方式を編み出し、話をいっきに動かしてきた。
両連合会の処分については、13漁協が反対すれば3分の2に届かなかったため、信漁連へ各漁協が拠出してきた出資金(億単位)について、これまで15%(現在18%)しか戻さぬと豪語していたものを、信用事業廃止と信漁連からの任意脱退を約束するなら、50~62・5%を戻すと条件提示。岩国市漁協など県東部の五漁協を甘言で崩して議決権を動かし、残りの不参加漁協を攻め立ててきた。
宇部岬漁協などは約1億4000万円の信漁連出資のうち約1億2000万円が毀損し、その出資のために信漁連から借り入れた約1億2000万円も返済する(相殺は認めないと県政は指導してきた)となると、あわせて約2億4000万円ちかい負債が発生することとなり、漁協壊滅に追いこまれるようなものであった。ヤクザもサラ金も顔負けのやり口である。合併するとしても組合員の負担は100万円を超えるといわれており、大量の脱退者をうみ出しかねないと危惧(ぐ)されている。
山口県漁協傘下の浜では、わずかこの1~2年のあいだで、増資や協力金などの負担に耐えかねて大量の組合員が脱退していった。一方の不参加漁協も、信漁連再建として拠出させられてきた金を巻き上げられて、身に覚えのない負債をかるっての単独運営となっている。そのなかでも「絶対に合併はしない!」と揺るがない漁協も複数ある。
力ずくで信漁連を解散させ、各漁協を解散させたとしても、なにも「解決」はしていない。無謀な沿岸漁民淘汰を敢行する水産行政、原因をつくった自民党および林派・二井県政、その狛(こま)犬になって暴走をくり返してきた一部漁協幹部らにたいする怒りはうっ積しており、なにより漁業破壊にたいする漁民のたたかい、漁村から発せられる訴えは黙殺できないものになっている。