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祝島 前例ない漁業権剥奪の手法 三分の二同意なければ無効

 上関原発計画にかかる祝島の漁業補償金受けとりを巡る問題で、祝島漁民の3分の2の同意もなく漁業権が消滅することなどないこととあわせて、そもそも祝島漁協(現在の祝島支店)が交渉のテーブルにもついておらず、総会議決すらしていない、同意の判すら押していないのに、2000年に107共同漁業権管理委員会が妥結した漁業補償交渉を有効扱いし、後付けで同意をとっていこうとするインチキな漁業権剥奪の手法が暴露されている。「補償金を受けとったのだから漁業権消滅に合意した」という前代未聞のこじつけ「同意」であるが、全国的に見てもこのような漁業権剥ぎとりは前例がない。いかに山口県の水産行政がまともでないかを示すものとなっている。
 知事が公有水面埋立許可を出した後の3年間、中電が海面に手を付けられなかったのは、祝島の漁業権が消滅していなかったからにほかならない。山本繁太郎知事が埋立許可を延長するかどうか悩んだふりをしているのも、延長を認めたところで祝島漁民が引き続き3分の2の同意をせず、漁業補償金を受けとらないなら、これまでと同じように中電は海面に手も足も出せないからである。
 本紙『漁業権消滅は3分の2の同意が不可欠』の紙面を読んだ全県の漁業関係者のなかでは、「地先の漁業権を持っているのは四代、上関だけにしても、影響補償がかかわってくる107共同漁業権の変更について、祝島の代表者の判すらないまま、管理委員会の長の判子だけで決まるわけがない」「マスコミ報道だけ見ていると、総会での3分の2の同意をとったのかと思っていたら、事実がまるで違うから驚いた。手続きを幾つも飛ばして、いきなり受けとりを求めるというのは順序がひっくり返っている。漁業権を議題にして総会をしないことには、いくら“受けとります”を過半数獲ったところで意味はない」「最終的には受けとりの際に一人一人の組合員が署名捺印を迫られる。21人が受けとりを拒否し続ければ延長戦だ」など、さまざまに語られている。
 書面同意については、上関でも配分の際に、朝一番に真っ先に漁協玄関前に判子を持って並んでいたのが「反対派」の岩木町議だったことが語られている。通常の手続きを踏んでいるのだ。

 人の財産勝手に査定し没収 漁業権騒動の実態

 祝島で起きている漁業権騒動をわかりやすく見てみると、人の財産(漁業権)を中電が勝手に査定して、それを平生町漁協の山根組合長(当時)という他人が祝島の合意もなく勝手に契約合意し、中電が祝島にお金を振り込んで拒否され、金を受けとったら「合意した」といって財産を没収していくのと変わらない。暴力団絡みの不動産乗っとりや会社乗っとりと比べてもはるかに悪質で、当事者を飛びこえたところで他人が勝手に強奪劇をくり広げてきたに過ぎない。祝島が断固拒否したことから、「埋め立て工事をするぞ!」といっていた中電も上げた拳の下げ方に困る事態となり、3年間右往左往して免許失効の期限を迎えていた。
 この間、祝島の切り崩しで攻勢をかけてきたのは山口県の水産行政にほかならない。反対派組合長の不正を締め上げて漁協合併に誘導したのも県水産部で、その後は反対派崩れの新興の推進派をとり立て、彼らが柳井の飲み屋で大西組合長らに飲ませ食わせでもてなされ、推進派に寝返っている状況についても熟知していた。そのように祝島の状況について情報収集した上で、「40人は推進票がとれる」と見込んで挑んだのが2009年の支店総会だった。ところが予想に反して反対35、賛成33で退けられた。翌2010年の支店総会では反対43、賛成15と反対が強いものになり、組合員四七人が「県漁協は中電に補償金を突き返せ」と署名捺印した連判状を提出するなど、島民のなかでの原発反対の力は弱まっていないことを示していた。水面下で各個撃破の切り崩しが展開され、それに対して反対派幹部たちが崩れるに任せているという異常な状況のなかで、婦人を中心に島民全体の力を強め、対抗してきたのが実態だ。
 今回、唐突に開かれた漁協総会の「部会」では、補償金の受けとりの是非を巡って、無記名投票という形式によって反対21、賛成31という結果になった。これを漁業権消滅のための3分の2同意にすり替えるのもムリな話で、票数そのものも足りない。いくら超法規の県政といえども、「補償金受けとり=漁業権消滅」などというヤクザ顔負けの財産強奪が、全国的な前例として認められるわけがない。鼻先ニンジンで補償金配分をぶら下げながら、いずれ漁業権を議題にした総会を開催し、3分の2の同意をとり付けることが十分に予想される。さらに配分協議の3分の2同意がなく、県漁協が勝手に振り込むというのもあり得ないことである。
 抜き打ちでおこなった補償金受けとり採決によって、むしろ長年にわたって島民を欺き、補償金吊り上げのために反対の仮面を被って推進してきた島内の魑魅魍魎をあぶり出す結果になった。祝島では、反対派組織の愛郷一心会に協力的でないという理由で、初期の頃に推進派に追い立てられ、旧来の推進派は苦労を重ねてきた。そうした人人にはできない芸当をやっているのが、人を散散銭ボイト呼ばわりしてきた新興の推進派勢力で、彼らが30年の島ぐるみのたたかいを売り飛ばすことへ、強烈な怒りが渦巻いている。
 多くの島民は反対運動に献身的に力を注ぎ、多額のカンパも捻出しながら支えてきた。この苦労を水の泡にする裏切りについて、尋常でない怒りが高まっている。肝心な局面でいつも敗北に導いていく反対派幹部についても同じで、もともとが上関で漁業補償金を真っ先に受けとりに行った岩木町議の仲間なのだ。補償金を受けとって「反対」だけ口にする。漁業権という譲れない問題について開けて通して、「反対」だけ叫んで全国カンパを依頼するという、反対派商売のインチキについても問題にしないわけにはいかない。原発建設を阻止したいという島民の願いを裏切り、孤立させ敗北していくからである。
 原発建設という国策をめぐって、金力、権力をフル動員した圧力に屈せず、祝島の島民たちが頑強なたたかいを堅持し、瀬戸内海漁業を守り、郷土を廃墟にする原発建設に対して全身全霊をかけてたたかっていることが、瀬戸内海沿岸をはじめ、全県、全国で共感を呼んできた。祝島の実情が知らされた県下の浜では「祝島は負けてない」「同意ではない。反対で最後まで頑張れ!」という声が高まっている。
 福島事故の反省もなく、山口県で安倍晋三――山本繁太郎知事ら懲りない面面が新規立地の一点突破をはかろうとうごめきはじめたなかで、国策に対してたたかう力は全県、全瀬戸内の漁民、岩国、広島など全国との団結が要である。しかし、全国で反対世論が強いからといって漁業権のような重要な権利を手放していくなら、新規立地のゴリ押しに道を開いていくことになる。
 権力、金力がぐるになって原発を認めさせ、漁業をつぶす政治が、いまや原発輸出や企業の海外移転、国内空洞化など国をつぶすところまできて、真の国益を守るたたかいとして上関は全国的な注目をあびている。祝島の漁業権問題にせよ、追いつめられているのは中電、国、県であり、「上関原発計画の終焉」に追い込むか、ズルズルの延長戦に持ち込むかの分岐点にきている。反対運動もイカサマを乗りこえて前進するところにきた。

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