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「ミサイル基地はいらない」 萩市むつみでイージス・アショア配備に反対する住民集会

むつみ演習場に向けて行進する参加者たち(28日、萩市むつみ)

 ミサイル防衛イージス・アショアを陸上自衛隊むつみ演習場(山口県萩市)に配備する計画の撤回を求める住民の会(森上雅昭代表)は10月28日、「羽月・宇生賀 水めぐり平和パレード」をおこない、萩市やむつみ地区、隣接する阿武町宇生賀の住民、女性グループ・四つ葉サークルのメンバー、県内各地から約250人が集まった。イージス・アショア配備計画予定地は、阿武・萩の水源地で標高560㍍の阿武火山群のなかにあり、田畑と人をはじめとするすべての生き物を潤してきた源だ。パレードでは、改めて配備計画予定地やその周辺の水源地を歩き、豊かな自然と農地を守るため反対の力をより強めようと地元住民が中心となって開いた。

 

 最初に萩市むつみコミュニティセンターでパレード出発集会を開いた。むつみ羽月地区の農業者・大田一久氏は、「私は演習場の真下で生活している。演習場のある高俣地区は、280世帯のうち95%の方から反対署名をもらった。そして住民説明会でも命の尊さを訴えたが、防衛省からは何の反応もなかった」と語り、地元だけでなく全県的な反対の声を強めていくことに期待をこめ、参加者に協力を訴えた。羽月の水源地は70~90㌶の田んぼに水を供給しており、イージス・アショア配備によって水源が汚されることを強く危惧しており、「人の命、農作物の安全にかかわる切実な問題だ」と訴えた。

 

 つづいて宇生賀中央自治会長の吉岡勝氏は、地元16自治会と4農業法人が配備撤回を求めて町長や議長へ請願書を提出し、町議会や町長が反対を表明した経過をのべた。住民のなかには説明会や現地説明会を何度聞いても「納得いかない」という声が根強く、29日から始まる水文調査(15㍍のボーリング等により井戸等に影響がないかを調査するというもので、簡易水道水源や井戸をもうけている家を訪問し、井戸の形状や水量・水位を確認し水質検査をおこなう)をそのまま実施させるわけにはいかないとの声が上がり、自治会長や女性グループ4人が全戸を一軒ずつ歩き、調査に協力しないよう説明して回ったとのべた。その結果、宇生賀地区全体で調査に協力しない方向でまとまったと報告した。

 

 つづいて山口大学経済学部教授の立山紘毅氏は、先日開かれた防衛省の「電波の影響」についての説明会を聞き、「防衛省の都合だけで話しているように思えてしかたがなかった。地元の人が不安に思っていることに答える気があるとはとても思えない。水源調査や地盤調査なども、ミサイル基地にとって都合がいいかどうかの調査だ」とのべ、人人が地域で営営として築いてきた生活を発展させるために、みなで協力してイージス・アショアを阻止することを訴えた。

 

 その後、徒歩パレードと車列パレードに分かれて行動した。徒歩パレードは「羽月の名水」をスタートして、むつみ演習場までの約2㌔の道のりを行進した。先頭には、阿武町宇生賀の女性グループ・四つ葉サークルの女性たちが立ち、その後に続いて「ふるさとを守れ」「ミサイル基地はいらない」「イージス・アショア計画撤回」のムシロ旗や幟、手づくりのプラカードなどを持参した人たちが続いた。隊列はのどかな田園風景のなかを進み、むつみ演習場の側で「ふるさとを守ろう」「イージス・アショア配備撤回」のシュプレヒコールを上げた。

 

むしろ旗を掲げてパレードする参加者も

 徒歩パレードの一向は車列と合流し、参加者全員で阿武町宇生賀の農地の中央にある親水公園に移動し、最後の集会をおこなった。ここでイージス・アショアに真っ先に反対した女性グループの前会長の原スミ子氏が登壇した。「私たちは右でも左でもない、表でも裏でもない。これまで国に反対したこともない。ただこの農地を守るために生活し地域をつくってきた。ところが突然イージス・アショアの候補地として、むつみ演習場が挙がった。私たちの地域のよさがIターン、Uターンの方に少しずつわかってもらえた矢先のことだ。私たちは真っ先に反対の声を上げ、その後16自治会と4つの農事組合法人が阿武町議会に計画撤回の請願を提出し、9月20日に町議会議員全員で撤回の採決がなされ、花田町長が撤回の意志を全国に発信した。そのとき、私は小さな3300人町民が大きな家族になったと感じた。にもかかわらず防衛省は配備ありきの住民説明会をくり返している。“国防”“抑止力”などといわれて、私たちは心が折れそうだ。でもこの怒りは今まで経験したことがない怒りだ」と切切とのべた。

 

 また「この地域に眠れなくなった人がいる。先日、署名に歩いたところ、ある80歳の方が“日本はよそから撃ってこられるような悪いことをしているのか”といい、“長生きをするもんじゃあない”とポツリといわれた。私は一日も早く、“イージス・アショアはないよ”といってその方を元気づけたいと思っている。この100町歩の田んぼが毎年9月には一面稲穂で黄金色となる。平和の色だ。平和の色がいつまでも続くように、また子どもや孫、兄弟、親戚みんなが安心して帰れる、安心して訪れることができるよう願っている。アショアはいりません」とのべると参加者から連帯の拍手が起こった。

 

発言する四つ葉サークルの原スミ子氏

 続けて、阿武町議で農事組合法人「うもれ木の郷」の組合長である田中敏雄氏は、「私たちは、これからの農村は個人だけもうかるのではなく、みんなが豊かにならなければなくなるんだという強い信念のもとに、平成9年に農家が大切に守ってきた農地を全部協同で出資して、農事組合法人を立ち上げた。そうすることで後継者が育ち、新しく農業をする人もできると思い、これまでがむしゃらに走ってきた。自分たちが一生懸命働いてきたからこそ思いが強い」と熱い思いをのべた。

 

 そして「新規就農、Iターン、Uターンを促すには自然が大切だ。私たちはこの自然を大切に守りながら安心・安全な農産物をつくってきた。これも国防ではないかと思う。国民の食料を自信を持ってつくっている、そんな矢先に唐突にイージス・アショアの話があった」「今、この地域は女性の頑張りがあり、四つ葉サークルのみなさんが地域のために努力を重ねてきた。そして今回真っ先に女性たちが反対の大きな声を上げ、“男は何をしているのか”といわれるぐらいに、強い力で引っ張ってくれた。その後、われわれも一緒になってやろうと4つの農事組合法人と16自治会が反対の請願を出した。ところが防衛省はそんなことはなんとも思っていない。私たちも心が折れそうになることがある。だが今日このように、多くの方がうもれ木の郷に来ていただき本当に心強く思う。一人一人は小さな力だが、連携をとって声を国に届ける活動が地域を守ることになると思う。みなさんと一緒にイージス・アショアの配備撤回を強く求めていきたい」と力強くのべた。

 

佐賀からもメッセージ

 

 またこの集会に対して、佐賀のオスプレイ配備に反対する住民の会代表の古賀初次氏が寄せた次のようなメッセージが紹介された。「私たちは有明海でノリを養殖し、佐賀平野で農産物を生産し生きてきた。海と大地に育まれ生きてきた。四年まえに有明海に隣接する佐賀空港に自衛隊オスプレイ17機が配備される計画が防衛省から発表された。漁協関係者は反対で立ち上がった。当時佐賀県のことは佐賀県で決めると公約していた山口知事は、8月24日に着陸料100億円で佐賀空港への受け入れを表明した。後日、この日が萩市でのイージス・アショア配備計画の第3回住民説明会の前日だったことを知り、これは防衛省と山口知事の一体となった萩での住民の分断攻撃だと感じ怒りを新たにした。安倍政権が地域住民の生命財産を犠牲にして進める軍事基地化に対して、私たちは平和の空、安心できる大地、宝の海、命の水を子や孫につなぐために連携して闘おうではありませんか」。

 

 萩や阿武だけでなく全県や全国とつながった運動の広がりに確信が広がり、会場全体は高揚感に包まれた。最後には萩市議でイージス・アショアに反対する浅井朗太氏のギター演奏で「ふるさと」を合唱した。

 

参加者全員でシュプレヒコール

 集会の司会を務めた四つ葉サークル会長の中原智恵子氏は、「今日の集会をへて反対の気持ちがより強くなった。地域が分断されてはいけないという思いも強くなった。みなさんの力を借りてイージス・アショアに反対し豊かな故郷を守っていきましょう」と呼びかけ閉会した。

 

 宇生賀地区の女性は、「たくさんの人が集まりとても心強く感じた。これからも頑張りたい」と語った。同地区の50代の男性は、「この問題は萩市、阿武町だけの問題ではない。日本人の税金がアメリカの兵器を買うために湯水のように使われ、社会福祉が削減されている。日本はミサイルが飛んでこなくても、食料自給率が低く、すでに危機と隣り合わせだ。広く関心が広がるようになってほしい」と今後の運動に期待を語った。

 

 集会を終えて、配備撤回を求める住民の会代表の森上氏は「むつみや阿武の地元の人の呼びかけで実現した。この美しい故郷を見てもらいたいという思いがあり、最後の集会は宇生賀を会場におこなった。稲刈りも一段落し、来週は農業祭りが始まるというので、今日この日に開催となった。偶然にも明日から水文調査が始まり、住民が一致して拒否することになっている。今日は全国の運動とつながりはじめたことを実感できた」と語っていた。

 

 また住民の会がイージス・アショア配備反対の一つの理由に、「水源を守る」ことをあげていることについて、萩市越ヶ浜の漁師から「山の水を守ることは海を守ることにつながる。ぜひ頑張ってほしい」という激励の連絡が届いたことものべていた。

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