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名護沿岸にオスプレイが墜落

名護沿岸に墜落し、大破したオスプレイの機体(14日)

 沖縄の名護市沿岸で13日夜、普天間基地所属の垂直離着陸機オスプレイが浅瀬に墜落し、大破した。この事故で搭乗していた米兵5人のうち2人が怪我をし、病院へ運ばれている。米軍によると事故機は沖縄本島の東方約30㌔付近を飛行しながら空中給油機から給油を受けるさいに、オスプレイのプロペラが給油ホースを切り、そのときにプロペラが破損して機体が不安定な状態となったという。普天間基地へ戻ることをあきらめキャンプ・シュワブを目指したもののたどり着けずに、名護市の浅瀬に墜落したというもの。また同日に別のオスプレイが普天間基地で着陸のさいに機体から前輪が出ずに胴体着陸をしていたことも明らかになっている。

 70年続く侮蔑的な占領状態

 沖縄県の安慶田光男副知事は翌日にキャンプ瑞慶覧を訪れ、在沖米軍トップのニコルソン4軍調整官に事故に対する抗議をおこなった。しかしニコルソン4軍調整官は事故機のオスプレイの操縦士を「彼はヒーローだ。住宅、住民に被害を与えなかった。感謝し、表彰すべきだ」といい放った。副知事が「オスプレイも訓練もいらないから、どうぞ撤去してください」とのべると「政治問題にするのか」などと声を荒げて机を叩いたという。その姿に副知事も「植民地意識丸出しだ」と批判している。これに対して沖縄県民の怒りが噴き上がっている。
 宜野座村に住む男性は「オスプレイはいつかは落ちるとは思っていた。宜野座の上空もオスプレイは私たちの生活など関係なく毎日のように飛び回っているから今回の墜落は他人事ではない」と話した。宜野座村の城原という部落ではわずか300㍍ほど離れた地点にオスプレイの発着訓練場があり、搭乗者の顔が見えるほどの低空飛行でオスプレイのつり下げ訓練がおこなわれているという。「何度も抗議したが、議員も村長も事故が起きればそのときは補償金をもらえばいいと思っているから、聞こうともしない。だから数日前に県議会や嘉手納の防衛局にも抗議に行った。その直後にこの事故だ」といった。また、ニコルソン4軍調整官が「感謝するべきだ」とのべたことに対して「これは沖縄だけでなく日本全土に対する開き直りだ。日本人の命や憲法よりも日米地位協定、日米安保が上と思っている。これでは日本はアメリカの属国だ」と怒りを語った。
 宜野座村には名護市辺野古にまでまたがるキャンプ・シュワブが存在する。男性は「沖縄返還から40年以上もの間、軍用地料と補助事業で適度に金と仕事を与えられ続けて、飢えることもなく反抗することもないようにされてきた。基地に依存させられて骨抜きにされてきたのだ」と語る。そのため宜野座での選挙では、これまで基地推進派が強いとされてきた。しかし選挙のたびに宜野座村内の家を一軒一軒回り、「いつまでも基地に依存している村でいいのか」「これからの沖縄がどうあるべきか」を訴えてまわったという。近年では基地反対派が多数を占めるようになり、選挙でも結果がひっくり返っていった。「沖縄県民は名護市長選、県知事選以来、何度も基地反対の思いを突きつけている。平和は金にかえられるものではない。最高裁の判決では敗訴が決まったが、これからも何回でもたたかっていく。最後には必ず勝つことができる」と強く語った。
 宜野座村に住む別の男性は「オスプレイの事故は私の区でも大きな話題となっている。民間地に墜落していたら大惨事になっていた。現在もヘリが上空を飛んでいるが、心配で夜も眠れない状況だ。区では防衛局に対して抗議に行くことになっており、誰もが怒り心頭に発している。この墜落事故の前には、オスプレイが吊り下げ飛行を宜野座村内でやり、そのことについて抗議をした矢先に事故を起こした。さらには事故を起こした米軍の4軍調整官が、“感謝しろ”といっている。区民が“事故を起こすな”“飛ぶな”といっているのに、墜落して本来なら謝る側が、“沖縄県民は墜落を感謝しろ”といっている。“われわれ米軍が守ってやっているのだ”という態度だ。事故や演習などやりたい放題やっておいて、抗議してもすぐにまたくり返す。オスプレイに関する抗議を、区が10回以上にわたって防衛局におこなっているが、何回抗議をしても変わらない」と激しい怒りをのべた。
 住民のなかには毎日鳴り止まないオスプレイの轟音によって体調を崩す人も出ているという。「この度の事故の前には四日連続で昼夜問わず訓練がおこなわれて、ヘリパッド近くの住民は体調を崩して朝起きることができないほどすさまじいものだった。“撤退の抗議をするべきだ!”とみな怒っている。今回の事故で村内でも怒りの声が充満している」と、米軍の沖縄県民に対する侮辱に対して怒りを語った。
 沖縄市の嘉手納基地近くに住む女性は「オスプレイが海に墜落したと聞いて職場の同僚とも“乗っていた人は無事だったのか”と心配していたのに、ニコルソン4軍調整官の“海に落ちたことを感謝するべきだ”というような報道が入ってきて、怒りで体が震えるほどだった。普段、米軍がどれだけ沖縄県民や日本人を上から見ているのかがよくわかった。今でも沖縄はアメリカの植民地だ。日本を守るためといって基地を沖縄をはじめとした日本中に置いているが、その基地のために日本人、沖縄県民が危険な目にあっている。今年の4月にも若い女性が海兵隊によって殺された。これだけ基地はいらない、平和を返せと訴えているのにまだわからないのか。海に落ちたから、住民が誰も怪我をしなかったからいいというものではない」と憤りを語った。沖縄市でも最近は毎日のように昼夜を問わず夜中の1時、2時まで上空をオスプレイが飛び回っており、夜中にオスプレイの轟音でたたき起こされるのも1度や2度ではないと話す。

 切実な全国団結の課題 戦争阻止の大運動を

 戦争体験者たちのなかでは「高江も辺野古もただ基地建設に反対しているのではなく、戦争を身近に感じるから反対しているのだ。また戦争になったら、前の戦争での犠牲は何のためだったのか」といって毎日のように高江や辺野古での抗議行動に出かけているという。「今は米軍も日本政府も当面オスプレイの飛行は禁止するといっているが、建前だけで数日すればまた同じように飛び回るだろう。裁判では翁長知事の敗訴が確定したが、それでも翁長知事は絶対に新基地はつくらせないといっているし、私たち県民がそれを支えて後押しするしかない。絶対に負けるわけにはいかない」と語った。
 那覇市に住む男性は、「起こるべくして起きた事故だ。オスプレイは日本に配備されることが決まった当初から危険だというのは指摘されていたし、だからこそみんなが反対していた」と話す。2012年に普天間基地にオスプレイが配備されるさいには、10万人以上の県民が集まって抗議集会が開かれた。「政府やメディアは“着水”や“不時着”といってごまかしているが、あれだけ大破したのを見るとどう考えても墜落だ。オスプレイが墜落したことも許されないが、その後の“海に落ちたことを感謝しろ”というニコルソン4軍調整官の言葉は絶対に許されないものだ。侮辱を感じる。この米軍の態度を、明けて通している日本政府の姿勢にも憤りを感じる」と語った。
 またオスプレイは現在、米軍普天間基地に海兵隊のMV22オスプレイが24機配備され、2021
年までには空軍のCV22オスプレイ10機が横田基地に配備される計画となっている。自衛隊でも19年度以降に17機のオスプレイを購入して、現在佐賀空港に配備する計画が進んでいる。男性は「オスプレイは沖縄の米軍基地だけでなく、自衛隊でも購入しようとしているし、全国に配備する計画だ。沖縄だけではなく、日本全国が危険にさらされている。今こそ沖縄と本土が一緒になって立ち上がらなければいけない。本土が立ち上がれば、沖縄の基地反対運動も今以上に発展する」と語った。
 この事故を機に、さらにオスプレイ反対、米軍基地撤去の運動を力強いものにしていこうという決意も語られている。
 那覇市に住む30代男性は「オスプレイは那覇市内の国際通りの上空でも、浦添市の上空でもどこでも飛んでいる。今回墜落したのは海上だったが、民家の上や市街地でも平気で飛びまわっている状況で、自分の知っている人たちの上に落ちたらどうなるかと考えると怒りがわいてくる。今回の件で“飛行停止”といっているが、ほとぼりが冷めればすぐにでも飛行を再開するのが米軍のやり方だ。事故を起こしても謝罪せず、“感謝しろ”という。この問題は沖縄だけの問題ではない。山口県の岩国基地や全国にオスプレイは飛んで行っているし、全国の問題だ」と訴えた。
 宜野湾市内のある自治会長は「このタイミングでオスプレイが墜落した。幸いなことに住民には死傷者が出なかったが、全国にオスプレイの危険性を知らしめることになった。“パイロットの判断が沖縄の人を守った。感謝されるべき”というニコルソン四軍調整官の発言には県民の誰もが非常に怒っている」と話した。
 宜野湾市の上大謝名は、オスプレイの進入路の真下にあり、住宅地からフェンスを隔ててすぐ側に誘導灯があり、夜の10時まで毎日のように訓練しているという。「オスプレイの超低音で住民の健康被害が懸念されているが、いつ墜落するかと恐怖を日日感じている。政府も最高裁判決も何としてでも新基地建設を沖縄県民におしつけようとしている。東京でもオスプレイが飛び交い、佐賀空港にもオスプレイが配備されようとしている。普天間基地もオスプレイもアメリカ本国に持って帰ることが一番だ」と話した。
 北谷町に住む、元基地労働者の男性は「米軍は沖縄の人を人間とは思っていない。ニコルソン調整官の発言は、占領意識丸出しだ。沖縄は今でもアメリカの植民地だ。もし、オスプレイが基地内の学校に墜落したら何というだろうか。日本政府はオスプレイの墜落を不時着などといってごまかしているが、県民の意識とかい離している。くやしくて涙が出そうだと知人がいっていたが本当にその通りだ。アメリカのいいなりになる日本は世界から笑いものにされている。フィリピンの大統領も米軍基地はいらない、出ていけとはっきりいっているではないか。最高裁判決にしても三権分立はウソだということだ。裁判所も信用できない。それに反して県民の米軍基地に反対する世論、力はだんだん大きくなってきている。オスプレイが墜落したその日、嘉手納基地でも爆音が異常に激しくなっていた。大規模な訓練があったのではないか」と語った。
 沖縄市に住む男性は「最高裁判決では敗訴がすでに報じられているが、県民は予想されたことと見ており、ガックリくるものではない。今回のオスプレイ墜落で県民はますます奮起する。日米政府の筋書き通りに事は進まない。10年先、20年先を見通して、県民の運動を継続しなければならない」とのべた。

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