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有明海とノリ養殖が抱える問題と解決方法 「宝の海」いかに守るか 佐賀県議会で研究者2人が解説

 佐賀空港へのオスプレイ配備が問題となっている佐賀県で、9月29日に県議会で佐賀空港・有明海問題対策等特別委員会が開かれた。そこで有明海の研究をしている佐賀大学農学部の川村嘉応特任教授と藤井直紀特任助教授が参考人として招致され、現在有明海やノリ養殖が抱えている問題やその解決方法について発言した(データの提供は両教授より)。

 

有明海のノリ漁(佐賀県)

■佐賀大学農学部特任助教授   藤井 直紀

 

 物質の循環のことを栄養塩といって評価する。海の中の栄養塩というのは、陸上、大気、あるいは外洋から流れ込んできて水中の濃度が決まってくる。また水中で生き物がいろんな活動をしていくなかで、粒子状になって下に沈降していったり、そこから溶出をしていったり、さまざまなバランスのなかで栄養塩の濃度が決まっている。

 

 富栄養の海なのか、貧栄養の海なのかという評価の指標になっているのが全窒素という値だ。全窒素というのは粒状物の窒素と溶存態の窒素を含めたものをいう。ノリの栄養として使うのは溶存態の窒素だ。空港の沖合である有明海の東側はここ20年ほどの値は横ばいで、ちょうどいい0・4から1の間の値にあり、溶存態の窒素も比較的多い。しかし鹿島の方では、全窒素の値自体は0・4~1の間で比較的窒素としてはあるものの、溶存態の窒素が低く、特に冬期は非常に低い。平均値を見ると鹿島の観測点と空港の沖合の観測点では、8月でも2月でもあきらかに空港の沖合の方が高い。どちらを見ても高いということは東側の海域の方が栄養が高い海域で、一方で鹿島の海域は栄養の低い海域ということになっている。

 

 海底で一番問題なのは、夏に起こる低層の貧酸素水塊というものだ。貧酸素水塊というのはどこの沿岸域でも起こりやすいものだ。夏になると上が温かい水、下が冷たい水になって混ざりにくくなる。混ざりにくくなると底に酸素が供給されることがないため、低酸素になりやすくなる。有明海の場合はそれに加えて6月、7月になると大雨が降るので淡水である河川水がたくさん入り込んでくる。淡水が流れ込んでくると塩分の低い物と高い物で今度はまた混ざりにくくなる。温度でも塩分でもまざりにくい状態なので、下が非常にとどまってしまう。それで貧酸素が起こる。海の構造上貧酸素になりやすいところと、干潟にたくさんある有機物が酸素を分解してなくなるという二つの部分で、有明海は貧酸素が非常に強くなってきている。これがいつ解消されるかというと基本的には秋だ。水温が表層と底でだいたい一緒になるくらいの秋に解消される。あるいは台風が起こると風で擾乱が起きるので海底の水が巻き上げられて表層に行って混ざり、酸素が供給される。

 

 次に赤潮の状況を話す。この植物プランクトンは栄養と適度な温度と光があると増えることができる。有明海の場合はこの植物プランクトンが大量発生することが頻繁に起きる。これは有明海に限ったことではなく、閉鎖性海域の富栄養な海では当然起こりうる現象だ。

 

 有明海は年間を通して、さまざまなエリアでさまざまな種類の赤潮が発生している。赤潮というのは複雑で、赤潮が発生する、植物プランクトンが大量発生するというのは、海の生産力があるということの評価の一つでもある。しかしノリにとっては栄養塩の競合相手なのでどうしても減らしたいものではあるが、植物プランクトンは貝類などほかのものがエサにして使えるので生産力があるというのは非常にいいことだともいえる。

 

 またここ最近は、夏になると集中豪雨が起きる。ここ数年でも数十年に一度という雨がかなり起きている。豪雨によって淡水がたくさん有明海に流入する。淡水が大量に流入してくると、海のなかの水の塩分が下がってくる。これが生き物にとっては苦しい状況になる。それから水と一緒に大量に入ってくるのは土砂だ。これもかなり影響がある。干潟の上に土砂が乗って大変なことになる。それから大量の漂流物や漂着物なども毎年除去しなければならない。このように生物や漁業にとっては集中豪雨というのは非常に大きい被害だといえる。しかし豪雨によって海の環境ががらっと変わるが、これによって生き物がどう変わるのかはまだ研究事例が足りず、どこまで影響が出ているのかはわからない。

 

 これまでは貧酸素や赤潮などが問題だったのだが、新たな問題として集中的な災害も海にすごく影響している。ここも新たな課題として考えていかないといけない。

 

 このような状況のなかで水産業はどうなっているのか。

 

 現在有明海にはどれくらいの人が働いているのか。1998年から2018年までの20年にかなりの漁業者、あるいは経営体が減っている【グラフ①】。海面漁業もノリ養殖も減っている。このなかで漁業としては2004年から2018年までの漁獲情報は全体的に減っている状況にある【グラフ②】。とくに減っているのは貝類だ。魚類の方は変動しながら減ってきている。その他の生物が増えているが、これはクラゲ漁だ。クラゲ漁は中国が買い始めた2011年、2012年から増え始めてそれが持続している。それから増えているのはエビ類だ。貝や魚が減りつつあるなかでクラゲやエビが増えているのが現在の有明海の状況だ。

 

 貝というのは非常に重要で、有明海にはいろんな干潟があり、干潟がネットワークを組んでいる。子どもを産むと流れていろんな干潟についたりする。この崩れた干潟のネットワークを何とかしなければならない。資源管理も必要だが、豪雨の影響も大きく、ここをどう考えるのかが課題だ。あとは干潟の状況だ。アゲマキが復活しないのは干潟の状況がある。どう干潟を改良していくのか。

 

 有明海の環境は、ここ最近の極端な気象現象による影響が大きい。大雨が降って塩分が低下すると生き物が急激に減ってしまう。ここをどう解決するのかというのが最近の課題になってきている。また水温の上昇によって生き物の種類や分布が変わっていくため、ここに対してもいかに干渉していくかが大切だ。

 

 冒頭で栄養の話をしたが、陸から流れてくる栄養をどれくらい漁業として使っているのか。有明海全体で年間約3万㌧の窒素が入っている。そのうち漁業としてわれわれがとりあげているのは、最近では394㌧とかなり少ない。わずか1・3%だ。広島湾の場合は10%くらいある。つまり魚や貝類がもっととれる海ということだ。そこには干潟の改良などいろんなことが必要だ。ちなみにノリは3万㌧のうち1156㌧とりあげており、しっかり機能しているといえる。

 

 人間活動と気候変動によって今後底の酸素は非常に少なくなる。これを解消するために、そこの栄養を生産力に上げていこうというのが今の行政的な考え方だ。貝類を養成するというのはここに繋がっていて、今二枚貝の養成事業をたくさんしている。

 

 しかし貝類だけを復活させようというのはむつかしく、われわれはどこを目指すのか、どういう海にしていくのかが大切だ。

 

■佐賀大学農学部特任教授 河村 嘉応

 

 藤井先生が環境のことを広く話されたので、私はノリを中心にどのように変わってきているのか、県との共同研究などをおこなって、ノリ養殖や有明海に向けての研究もやっているので、そのようなことを具体的に話していきたい。

 

 全国のノリ生産の変動を見ると、2000年頃の100億枚をピークにそのあとどんどん下がっていき、現在65億~70億枚まで下がっている。平均単価も昭和50年代の前半をピークに下がっている。一時上がったのがまた下がり、現在11円か12円で推移している。

 

 次は全国ノリの主産地と県別生産金額を示したもの【グラフ③】だが、丸の大きさが生産枚数を示している。1965年の頃は約25億枚くらいで、その頃でも佐賀県はかなり大きな生産をあげていた。

 

 1995年になると約101億枚。この頃は佐賀と兵庫で1、2位を独占しており、半分くらいがこの2県で、有明海で40%から50%の生産をあげていた。2020年度は64億枚でかなり生産枚数が減ってきている。

 

 この原因は全国的な色落ちと食害だ。温暖化で水温が高く、瀬戸内海では黒鯛が沖に移動せずにノリを食べている。ちなみに佐賀は黒鯛はあまりいないがカモがいる。現在は佐賀県を含めた有明海でノリの60%くらいの生産をあげている。

 

 生産金額は生産枚数とほぼ同じような傾向で、最近は600億円や700億円くらいの生産しかあがっていない。これはノリが売れなくなったとか、購買力の低下などがある。コロナによって東京のビジネス街で食べていたおにぎりがテレワークによって売れなくなったという影響もある。そして数年前まで5億枚といわれていた高級品種の需要が、今では2億枚で十分だともいわれている。

 

 佐賀県の漁業者の現状について。実張り枚数は、柵数をどれくらい張っているのかということだが、佐賀県は一番多いときは43万枚くらい張っていたが、今は30万枚くらいになっている【グラフ④】。行使者数も昔は2600ほどあったのが今は758まで落ちている【グラフ⑤】。行使者数が減っているので持ち柵数は逆に増えており、持ち柵数が一行使者当り400枚くらい。持ち柵数は500枚くらいが限界で、そうすると生産の限界がくる。後継者不足や雇用の問題もあり、10年後には行使者数が600台くらいに下がることが考えられる。

 

 ノリの生産を左右する環境は、水温、降水、透明度、栄養塩、COD(有機物指標)である。佐賀地方気象台における過去100年間の平均気温は、10月は一度くらい上がっており、1月の一番寒いときも四度くらいだったものが、今は平均で6度から7度近くまで上がっている。気温がかなり上がっている。有明海は浅い海のため、水温と気温は非常にパラレールに変動する。有明海奥部の水温はおよそ50年間で10月から12月は一度、1月から3月は2度上昇している【グラフ⑥】。これが非常に問題になっており、採苗日の決定にかかわってくる。温度が高いと病気被害が甚大となるため、生産枚数は低くなる。できるだけ水温が下がって採苗して養殖も低いときにやりたいというのが基本的な考え方であり、今は21度から22度のところで作業をしているが、水温が上がってきているのでこれからどんどん採苗日が遅れてくる可能性がある。

 

 次に雨の降り方だが、昔に比べると今は1・3倍くらい激しい雨が降っている。佐賀地方気象台によると11月という一番ノリの主な生産期に、20㍉以上の降水回数が4回もある。これがなぜいけないのかというと、塩分(比重)濃度が低ければ生産枚数が下がる。佐賀の場合は赤腐れ病という猛威を振るうものがある。短期に水が入ってくると比重が一気に下がり、赤腐れ病は水が好きだから一晩で流れてしまうこともある。昔はしとしと雨が降ればノリは豊作だといわれていた。実際今もそうだ。水が入ってくるというのは栄養塩が入ってくるということだ。しかし一気に降ると貝類がもたない。貝類がとれなくなるとノリは困る。貝はプランクトンを食べてくれるので、貝がなくなるというのはノリにとっては非常に影響が大きい。だから貝は絶対必要なのだ。

 

 私も佐賀市内に住んでいるが、いつも雨が降って水に浸かる。強制排水をしているのでわれわれは助かるのだが、強制排水はもう少しゆっくり出すなど工夫をしてもいいと思う。もちろん人間が一番なのだが、一般的にいえばダムで止めておくとかクリークのなかの遊水池を利用するなどすると生物やノリの負荷軽減、生産に与える影響が減り、有明海も豊かになっていく。

 

 次に透明度の話をする。透明度というのは例えば船から底を見てどれくらい透き通っているかを示す指標だ。透明度が大きいということは海が澄んでいるということだ。有明海は1~2㍍だが、これは1972年からの50年間で50㌢ほど上昇している。これは有明海全域だ。1・7㍍くらいから2・3㍍くらいに上がっている。透明度が上昇するということは、光の好きな珪藻類が増える。珪藻類が増える=色落ちになる。ただ珪藻類が増えるのがすべて悪いわけではなく、貝や魚の資源であるからそれも必要だ。その辺りの調和が大事になる。しかしノリにとっては非常に厳しい。

 

 色落ちの話をすると、昔は色落ちがなかったとか、珪藻がなかったという言葉をときどき聞くがそうではなく、昔から色落ちは発生している。色落ちは栄養塩がなくなることで発生する。佐賀の場合だと珪藻が増えて色落ちになる。昔も今も1月から1月中旬には色落ちが始まっており、色落ちのなかで生産がされてきている。平成10年に施肥というのが入り、それでカバーしながらどうにかやっているというのがノリの現状だ。

 

 栄養塩がなぜそれほど生産枚数を左右するのかというと、色落ちノリは3円以下、あるいは廃棄になる。色がないと生産としては成り立たない。1993年に酸処理が入ったが、それ以降は栄養塩がたくさんあれば生産が上がる。ノリの生産は病気が酸処理でほぼ克服されたため、栄養塩によって維持される生産体制になっている。栄養塩をいかに補給するか、維持するかというのがノリの今の大きなテーマだ。だから雨はやはりいる。雨がないと栄養塩は入ってこない。

 

 色落ち対策を今まで色々とやってきたが、できることなら赤潮、つまり珪藻の発生予想をどうやってするのか。これは佐賀大学の研究テーマでもあるが、有明海にクロロフィルaの測定機器を入れれば、植物プランクトンの持っている色素であるクロロフィルaがどこが多い、どこから増えているというのがわかるようになる。それから従来通り二枚貝の増殖や色落ちしにくいノリ品種の開発などをしなければならない。これからは後継者不足など生産性の限界があるのでシステム船の導入など省力化技術を考えていかないといけない。また水温上昇や透明度の上昇、雨の降り方など環境の変化もある。水温が上がってきたことで採苗日は遅くなるし、2、3月の水温上昇ももっと今より早くなるかもしれない。そうなると養殖期間が短くなるため、それをどうやって有効に使うのか。今二期作でやっているものを一期作にして、貝を並列でやるなどもっと効率よく、生活していくための方策として考えていかなければならない。

 

有明ノリの出荷作業(佐賀県)

■国策に翻弄される有明海  質疑応答より

 

 委員 窒素で年間3万㌧入っているが漁業としてとりあげている割合が1・3%しかなく、干潟の改良をということだったが、栄養をうまく回す意味での干潟の改良を具体的に教えて欲しい。

 

 藤井 有明海でも貝類をしっかりとれれば10%近くの回収率というのが得られるだろうと思う。基本的に有明海の貝類はアゲマキにしてもサルボウにしても貝類のなかでは比較的強い生き物だ。しかし最近は回復をしてこない。そこには土壌環境が大きく影響している。例えばアゲマキはある海域では調査に行くとわりといる。しかしそれが成長できなかったり、途中で死滅したりしている。それはどれくらい貝が潜れるのかということなどにかかわってくると思う。土壌を改善しなければならないのだが、その改善方法がむずかしい。昔アゲマキをとっていた頃はわれわれは干潟によく行っていた。干潟に入ると人々が踏みつけて干潟を耕耘してくれる。干潟というのは蓄積するというのが癖なので、酸素を供給させながら土壌をうまくしていかないといけない。それと貝類もいるから貝類が穴を掘ってくれていた。それが今はほとんどいないので掘ってくれる人や生物がいない。

 

 それから江戸時代から長く見ると、潟上げというのをしていた。潟上げというのは干潟の泥を農業に使う。干潟はどうしても成長するもので、今はどんどん蓄積をする方向で、干拓をするということがない。だからその干潟の管理をどうしていくのかは重要だ。

 

 委員 空港沖と鹿島沖での観測点の栄養塩の濃度の違いの原因はなんなのか。これは諫早湾の堤防の閉め切り前もそうだったのか。そしてノリの生育は栄養塩によって維持されるということだったが、ということは鹿島の方が生育が悪いということになる。それに対する対策はないのか。また今の有明海の再生のために諫早湾の開門調査の有効性をどう思われるのか、逆に開門が有明海に与える影響はあるのか。

 

 藤井 栄養塩の濃度の違いというのは有明海の構造上の問題がある。陸から栄養塩が供給される大きな部分は筑後川のため、どうしても東側の海域の方が栄養塩が多い。そして有明海の流れも基本的に東から西に流れる。だから東の方で栄養が使われてしまうと西の方ではすかすかになってしまう。

 

 諫早との関連でいうと、この構造は諫早の堤防があってもなくても同じだ。貧酸素、栄養塩の循環の問題、赤潮や干潟の問題というのが基本的な元のベースの問題なのだが、そこに温暖化や気候変動の影響が加わった。これが諫早とどうかかわってくるのかというとむつかしいところで、諫早の開門調査がおこなわれると当然海の状況は変わってくる。しかし諫早が閉め切られて20年以上が経過している。実はこの20年の間に有明海の生き物も色々と対応してきた。諫早が閉まった状態で、生きていく対応をしてきた。もし開けて環境が変わった場合には、それにまた20年くらいをかけて対応していく必要がある。生き物というのは開けたから1年で変わるというのはむつかしく、長期の変化があるので見づらい。開門調査は物理環境自体は測定すれば変わったことがわかるが、生態系にどう繋がるかはわからない。

 

 委員 1998年頃から赤潮の発生件数が増えたということは、その前年の1997年に諫早は締め切られたので私個人的には因果関係があると思っている。西南部地区においては定期的に排水をする。その排水と同時に赤潮の発生を多くの人が危惧しているし、そのような事実もあると思う。そのことの因果関係について問いたい。また佐賀県は陸上自衛隊から佐賀空港の自衛隊使用要請があって今議論がなされている。現在農地として利用されている土地を基地としてコンクリートないしアスファルトで固めるという話に対し、多くのノリ漁師のみなさんが不安を持っている。それは排水される水の量と質だと思う。ノリに対してどう影響を与えるのか、見解を問いたい。

 

 藤井 難しい問題だが、栄養塩の環境を見ると有明海の北部海域に関しては遠くても筑後川の影響が大きい。それは太良に関しても同じだ。そこは変わらない。北部排水門が排水されたとき、基本的には南を伝って島原の方を通る流れの方が強い。排水の仕方にもよるが、大浦の南側の部分に関しては排水したときにどうしてもある程度の水が行くので影響があるが、その竹崎をこえた海域に関しては筑後川の影響の方が基本的には強い。なので漁師には北部排水門の排水が多いときには太良、鹿島もノリの生産が多いといわれるが、基本的には北部排水門が出るということは筑後川も流量が多いため、因果関係が分けられない。まったく影響がないとはいわないが、筑後川の影響の方が佐賀県海域では大きいと思う。

 

 赤潮に関しては1998年以降ふえたというが、因果関係を実ははっきりとはいえない。明らかにそのときに諫早湾の環境は大きく変わった。しかし内湾の植物プランクトンの動態については基本的には筑後を中心とした影響の方が強いのでこの因果関係は今のところはっきりとはいえない。時間的にはそうだろうということがあるかもしれないが、ただその因果関係を科学的に証明できるものがあるのかというとおそらくない。

 

 川村 オスプレイの排水についてだが、これは実験しないとわからない。しかし出さないというのが当たり前だと思う。

 

 議員 佐賀空港の建設時にもコンクリートアクの影響があったと漁業者から聞いている。漁業者はコンクリートの工事で出るアルカリの影響に対して懸念をされている。またPFOSなど泡消火剤の流出の環境影響がニュースになっているが、化学物質の危険性や海の関係性についてなにか知見があれば教えて頂きたい。

 

 川村 コンクリートアクがノリに及ぼす影響というのは研究としてされている。これは結論からいうとpHが8・4とか高くなればノリは障害を受ける。これは間違いない。しかし海の中はプランクトンがたくさん出ればpH8・4くらいはすぐになる。今いった試験というのは室内での試験だ。これが海にも通用するのかはわからない。そしてコンクリートアクについては有明海は堤防や橋を作るときなどずっとその話が続いており、養殖期間は工事をしないということで対応してきている。なかには堤防からコンクリートアクが出ているのではないかという人もいるが、科学的にそれは証明されておらず、工事の期間をどうするのかという議論をするしかない。
 それから界面活性剤については科学的に研究をしなければならないが、その前にそういうものを流さないというのが原理原則であるとは思う。

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