いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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戦争情勢に抗う結集軸つくる れいわ新選組・山本太郎 参議院選に向け連日の全国行脚

 代表である山本太郎が衆議院議員を辞職し、6月22日公示の参議院選(7月10日投開票)への出馬を表明した「れいわ新選組」は、4月中旬から関東、北海道、東北、東海、近畿、中国、九州・沖縄へと連日連夜の街頭演説を展開している。5月に入ってからは、静岡・浜松、名古屋・金山駅前、大阪・梅田、広島・本通り商店街、福岡・小倉駅前、博多駅前、熊本・上通アーケードと、連日各地の街頭で人々との直接対話を続けている。来たる参議院選で、膠着した政治状況に風穴を開けるための全国行脚と位置づけており、この国が抱える課題について有権者との旺盛な論議をくり広げている。この間の山本太郎代表と有権者との街頭でのやりとりの一部を紹介する。

 

「空白の3年」暴走許さぬ力を

 

街頭で対話をする山本太郎代表

 山本太郎 現在、ゴールデンウィークを使って全国を回っている。私は昨年10月の衆院選で衆院議員になった。比例東京ブロックでれいわ新選組に投じていただいた票で議員になった。ところが、もう辞職(4月19日付)して、次は参院選とはどういうことか? と思われる方が多いと思う。これには理由がある。

 

 私たちれいわ新選組は衆議院に3議席しかない。たった3人で衆議院での活動はかなりハードルが高い。特に国会の中で一番重たい審議である予算委員会は、全閣僚が出席し、NHKの中継も入り、直接総理大臣に質問を突きつけることができる。ここに私たちには一議席も与えられず、議席をもらえるように交渉し続けていたが叶わなかった。最終局面で、野党第一党の立憲民主党が私たちに委員外質疑として15分の質問時間を与えてくれるということになったが、これが潰された。

 

 誰が潰したかといえば、自民党と公明党だ。おかしな話だ。自民・公明から15分を恵んでもらうわけではない。彼らとは関係のない政党がれいわ新選組に15分あげるといって、「それでは立たせていただきます」と質問を準備したところ、これが潰された。「そんなことは許さない」と。

 

 国会は言論の府だ。言論の府において言論弾圧がおこなわれているこの状況を見れば、次の参議院選(6月)が終わった後の3年間は国政選挙がおこなわれない空白期間だ。つまり、政治権力はフリーハンドで暴走する。たとえば、消費税の増税、社会保険料の値上げ、憲法改悪、グローバル企業に対して日本を切り売りするような貿易協定のようなものも進んでいくだろう。そればかりでなく、好戦的外交を用いて、下手をすれば戦争の当事国にさえなってしまう可能性もある。それを鑑みたとき、3年間の政治的な空白期間ができるというのは非常に危険な状況だ。

 

 衆議院において自分たちの言論が保障されている場合であれば、大きな声で抗う方法がある。でも自民・公明によって私たちの言論が潰されることが起きた。これに対してマスコミは騒がない。この口を封じられた状態で空白の3年間、大きな声を出して皆さんに警鐘を鳴らす、ブレーキをかけるということを国会内だけでやっていくことは難しい。ならば、参議院でより大きな勢力を持つしかない。

 

 現在、れいわ新選組は参議院に2議席ある。ここにもう1議席、また2議席持てれば、予算委員会に議席を持てる。合計で5議席になれば、本会議場での代表質問権も得られる。もっと増えて、参議院で10議席を得られたら法案提出権が手に入る。だとするならば、空白の3年間の暴走に抗うためには、国会で最も空気を読まない、与党からも野党からも嫌われる存在である勢力を拡大する以外にない。

 

 そう考えて自分の議員バッジを外し、参議院選挙に打って出ようという判断をした。比例東京ブロックの議席には、比例名簿次点だった櫛渕(くしぶち)万里元衆議院議員がくり上げ当選する。私は比例区ではなく、選挙区で出る。選挙区についてはしかるべき時期に発表したい。

 

 質問(神戸)  与党側はどんな手段を使って、れいわの発言権を潰したのか?

 

 山本 潰し方は簡単だ。議院運営委員会(議運)というのがある。それぞれの委員会や国会全体をどう回していくかを協議する場だ。そこに各党は委員を出せる。ただし、一定数の議席を持たない勢力は議運に入れない。私たちは入れない。議運では、全会一致でなければ前に進まないというルールがある。そこで、自民党・公明党が、予算委員会にれいわ新選組の質問時間をもうけることに反対した。そういう手続きのもとで私たちの発言権は奪われたわけだ。

 

 質問(熊本) 山本代表の選挙区はどのような基準で選ぶのか? 野党が競合する選挙区から出るのか?

 

 山本 極力それ(野党同士の潰し合い)は避けたいと思っている。ただし、複数人区においてはすべての政党が切磋琢磨する、いわば「仁義なき戦い」だ。野党としての仁義があるとすれば一人区だ。熊本のような一人しか勝てない場所での与野党対決にわざわざ入り込むことはしない。一方で、複数人区では、多くの政党が手を挙げる方向性を示している。複数人区は自由競争だ。そこに立つことまで否定されると、立候補自体を否定されることになる。私たちは、既存政党ではダメだ、新しい旗を揚げるんだということで、3年で5人の国会議員を生み出した政党であり、その自由競争の場に自分自身も挑んでいくつもりだ。

 

専守防衛を貫く 生活安定こそ安全保障

 

 質問(熊本) 参議院選の中心争点には何を据えるのか?

 

 山本 私たちは2019年に旗揚げしたときから、消費税の廃止を訴えてきた。そんなことは無理だろ、と思われているかもしれないが、これは廃止できる。なぜか? 消費税はあなたの社会保障や老後(保障)とは関係のない税金だからだ。

 

 消費税収の73%は法人税を減税した穴埋めに使われている。つまり、あなたの社会保障のほんの一部と、あなたの老後とほとんど関係のない消費税を、「みんなのためだ」といって搾りとり、組織票や企業献金をくれる人たちにご恩返しするための財源だ。この消費税はやめなければならない。その中心争点は今回の選挙でも変わらない。

 

 一方、その経済問題以外で多岐にわたる問題にどういうアプローチをとっていくのか。その筆頭はおそらく国防、安全保障問題だろう。

 

 国防に関して、日本は徹底した専守防衛と平和的な外交を貫く以外にない。国会の中では、核配備、核共有、敵基地の先制攻撃能力を持つ、持たないみたいな声が出ているが、これはすべて無理だ。なぜか? 国連憲章というものがある。

 

 結論からいうと、日本は世界から保護観察的な立場に置かれているということを忘れてはいけない。それを飛びこえてしまうと、国連安保理の許可無しに他国が日本を攻撃することが許されてしまう。国連憲章には旧敵国条項(53条、107条)がある。第二次大戦の戦勝国側がコントロールしているのが国連であり、彼らがかつての旧敵国(日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの7カ国)に対して定めた足かせだ。

 

 内容を簡単にいえば、戦勝国側で決めたことを旧敵国が覆すことはできないということだ。旧敵国が不穏な動きをしたさいには、安保理の許可なく強制行動(武力行使など)ができる。つまり日本があやしい動きをすると、それを理由に攻撃ができるということを国連は許している。こんな足かせをつけられている状況で核配備、核共有、敵基地攻撃みたいなことは実現不可能であり、戯言だ。できないことを承知でいっているのか、知らずにいっているのか。いずれにしてもたちが悪い。

 

 では、敵国条項は削除できるのか? 1995年12月11日に採択された国連総会決議では、「可能な限り近い将来の適切な時期において、これらの敵国条項を憲章から確実に削除するために、憲章108条の改正手続きに従って、国連憲章を改正する手続きを取る」としている。五大国を含めた155カ国が賛成した。だが、これだけでは削除できない。

 

 敵国条項の削除には、国連憲章の「改正」が必要になる。しかも削除に必要な議決は、二段階ある。第一段階は、国連総会において改正案を採択する。これには総加盟国(193カ国)の3分の2(129カ国以上)の賛成が必要だ。

 

 第二段階では、採択された案を発効するために、5大国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)を含めた加盟国の3分の2における議会(国会)での批准が必要とされている。5大国(安保理常任理事国)が反対すれば実現不可能だ。その現実を見た時に、世界の中で日本は保護観察という立場に置かれていることを考えながら国をどう守るかを考えなければいけない。

 

 国防というのなら、これまでとブレない方がいい。徹底した専守防衛だ。それに加えて徹底した平和外交だ。それ以外に方法はない。でなければ日本に対して付け入る隙、攻撃する隙を与えてしまう。その考え方に基づいた国防を語っていかなければ私は意味がないと思っている。

 

 安全保障は多岐にわたる。たとえばエネルギー安全保障、食料安全保障、皆さんの生活(国内)の安全保障だ。国内の安全保障でいえば、日本は世界で25年間唯一成長できていない国だ。格差は開き、生活が苦しいという人たちが50%をこえ、母子世帯では86%をこえる日本の現状を見るならば、安全保障問題で最も注力しなければならない分野は、国内の経済政策であると思う。

 

 考えてみてほしい。経済力が弱っている国で軍備だけ増強して戦えるだろうか? 無理だ。日本はかつて経済力で世界を圧倒した力を持っているのだから、その衰退させた力をとり戻していくことが何よりの国防ではないかと思う。それに見合った専守防衛策を進めていくべきだと思う。

 

長期化する露ウ戦争 隣国として独自外交を

 

山本太郎の街頭演説に集まった人々(5日、小倉駅前)

 質問(神戸) ウクライナ問題についてさまざまな情報が飛び交っている。私はウクライナ側に立った情報がほしい。

 

 山本 それならテレビを付けたらいい。全部ウクライナ側に立った報道がおこなわれているから。私たちから特に新しい情報が入るというわけではないと思う。

 

 ロシアとウクライナが戦争状態にあるが、できれば一刻も早くこれを止めたいと皆さんも願っていると思う。一刻も早く止めなければいけない。では、そのために何が必要か? 停戦の合意だ。

 

 今回の状況で一番悪いのはロシアだ。武力をもってウクライナ領内に軍事侵略をおこなったということが一番問題がある行動であり、最も強い言葉で非難する必要があると思う。私たちも含めて、それをしている。一方で、ロシアをつるし上げて追い込んで、この戦争が終わるのか? 残念ながら時間が掛かりすぎる。

 

 たとえば経済制裁は、何年単位でやっていくのか。数十年かかったらどうする? 効果が出るまで少なくとも5年、10年は当たり前にかかる。経済制裁は長期戦だ。その間、ウクライナの人々の命が奪われることを許容できるか。それに加えて経済制裁でロシア国内においても、戦争に反対し、プーチンいい加減にしろ、という声をリスク承知で上げている人々の首も絞まっていく。さらに世界各国の経済状況も悪化していく。一番早くやらなければならないのは、日本政府として、一刻も早い停戦の合意をカードにするという気持ちでかかわることだ。

 

 しかし、現実におこなわれているのは「けしからん」の一点のみ。世界と足並みを揃え、あるいはもう一歩踏み込んで制裁するという日本側の姿勢は非常にまずい。そんなことをやっていたら、いつまでも終わらない。

 

 停戦合意するためには「悪」とされているロシアのプーチン側の言い分も聞かなければダメだ。でなければ停戦合意などできない。両者の話をすり合わせていくのが停戦であり、それが一番重要なことだ。

 

 目の前にロシアがある日本という国において何ができるかといえば、交渉のカードになりたいという意志を示しながら、ロシア側に「日本の話なら聞こうか」と思われる立ち回りをしなければいけないと考える。もちろん侵略行為については最大限の非難をするが、その一方で世界と足並みを揃えながらロシアを追い詰めるような行動をともにやっていけば、交渉相手にはならない。日本は日本独自の立ち回りをしなければいけないと考えている。

 

改憲急ぐ自民党 緊急事態条項の危うさ

 

 質問(広島) 政府与党は改憲を進めようとしている。そこには緊急事態条項が盛り込まれている。それについての見解は?

 

 山本 自民党は憲法改正を党是としている。彼らのアイデンティティーでもあるという。現行憲法には緊急事態条項はない。2012年に自民党が出した憲法改正草案のなかに新設されたものだ。草案の内容は、人々の権限や権利を制限し、逆に権力者がやりたいことをどんどん進めていけるようにするものだ。

 

 そのなかでも一番危ないのが緊急事態条項だ。その中身は「緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる。ほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」というものだ。つまり、内閣だけで法律と同じ力を持つルールがつくれる、予算も内閣が自由に決められる、地方自治体を下部組織のように扱える、という非常に危うい3点だ。

 

 三権分立としての立法(国会)、行政(内閣)、司法(裁判所)を一つにしてしまうのが緊急事態条項だ。つまり法律を作る国会を形骸化させ、権限のすべてを内閣が握る独裁条項といえる。たとえこの権限を握る者たちが良心的であったとしても、権力は移り変わるので、下手をすると大間抜けがトップに座ることもある。そのときにこのような魔法の杖を渡してしまうというのは非常に危険だ。

 

 緊急事態の宣言下では、両院議員の任期延長も可能にするという。「選挙前に大きな災害が起きたときはどうするのか? もし衆参ダブル選だったら国会が空白になるではないか? だから国会議員の任期を変更することも含む緊急事態条項が必要なのだ」という理屈に騙されてはいけない。そういうことをいいながら、半永久的に自分たちが議員で居続け、権力者で居続けることを防ぐために現行憲法は次のように先回りしている。

 

 参議院は3年に1度、半分ずつ改選されることになっている。つまり衆参ダブル選挙になっても参議院の半分は国会に残っており、そこで緊急的なとり決めができる建て付けになっている。そのためにあるのが参議院の緊急集会だ。緊急集会は、「参議院は衆議院の解散と同時に閉会となるが、閉会中に国会の議決を要する緊急の問題が発生したときに、参議院が国会の権能を暫定的に代行する制度」とされている。

 

 緊急集会は、通常の国会と異なり、会期は存在せず、内閣の請求により開催され、緊急の案件がすべて議決されたときに終了する。ただし、参議院の半数だけで採られた措置は、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意を得る必要がある。
 だから「災害時に国会が空っぽだったらどうするのか? 緊急事態条項で議員の任期延長を可能にするべきだ」という論理はデタラメだ。

 

 何か危機的な問題が起きたときに、さまざまなことを前に進めようとすることを火事場泥棒という。与党は今、火事場泥棒的感覚で憲法の改正を進めようとしている。

 

 2018年3月24日に明らかにされた条文イメージ(たたき台素案)での改憲重点は次の4項目だ。

 

 ①自衛隊の明記について
 ②緊急事態対応について
 ③合区解消・地方公共団体について
 ④教育充実について

 

 このうち本丸はたった一つ、「緊急事態」だ。他はダミーだと思っても構わない。一つの改憲項目だけを問えば、その内容を深掘りすればするほど有権者に、その本当に危ない内容の情報が行き渡ることになる。だから項目を増やして、いろんな議論で薄めていくという手法だ。

 

 危ないことが起きたときに、いきなり権限を渡して「なんとかしてくれ」ということは無理筋だ。事前にいろんな可能性があることを勘案し、議論して立法化していくことが基本中の基本だ。このような危険なものは前に進めてはいけない。

 

 現在、憲法改正の国政における優先順位は低いと思う。今一番やらなければならないことは経済対策だ。25年以上、この国は不景気だ。その原因である経済政策の誤りのうえにコロナが襲ってきて、戦争まで起きている。そんなときに憲法改正を何よりも優先するという考え方自体がおかしい。今は地盤沈下した人々の生活を底上げすること、事業の継続が難しくなっているところにしっかりと下支えをしていくこと、それが最も優先されるべきことだ。

 

円安進行への対処 貧弱なコロナ支援拡充

 

 質問(広島) 日本の円安について聞きたい。

 

 山本 円安がどんどん進行するなかで、皆さんの不安が増している。そこで、これを止めるために国内の金利を上げなければいけないという空気があるが、それは間違っている。それを鵜呑みにして国内で金利を上げれば、25年で地盤沈下し、コロナによって不安定になっている人々の生活や事業の継続は厳しさを増し、地獄を迎えることになる。必要なことは日本の価値を上げることだ。つまり、日本を好景気にすることだ。

 

 現在進行しているドル高、円安の要因として、アメリカでの長期金利が昨年11月ごろから1・5%をこえて今年の五月初めには3%台にまで上昇している。一方、日本の長期金利は0%台をミミズのように這い続けている。なぜこのような状態になるのか? 日本の価値が下がり、相対的にアメリカの価値が上がっているからだ。もし皆さんが投資する側なら、一般的に、価値の低いものを売って、価値の高いところを買っていこうとしないだろうか? つまり円を売ってドルを買う。では、どうしてアメリカの金利がこれほど上がり、日本の金利は低い位置で推移しているのか。

 

 その原因の一つは、コロナ対策の違いだ。アメリカは、コロナ対策費や今後のインフラ整備も含めて800兆円を支出、あるいは支出を決定している。現金給付は3回おこない、いろんな分野で国民への救済策がうたれている。それだけでなく、この先のインフラ整備で雇用を生み出すことまで含めて800兆円だ。これは政府の通貨発行によって実行している。ドルを刷って必要なところに投じているのだ。一方の日本は25年間も経済不況にある、先進国で唯一の国だ。成長もせず、賃金も上がらないどころか下がりっぱなし。日本の価値はずっと低いままだ。コロナでも大したお金も出さず、コロナ対策費の30兆円程度さえ余らせて批判される体たらくだ。

 

 なぜ使わない? 余っている予備費12兆円を流し込めば、息も絶え絶えの中小企業は息を繋ぐことができるし、生活に困っている人たちも底上げできる。流したお金が社会に回り、景気を良くするという循環を自分たちで止めているのが現政府だ。

 

 800兆円投じたアメリカでコロナ以前よりも景気が上向いているのは、社会にお金が回っているからだ。日本では社会にお金が回らない状態が25年も続いたところにコロナ禍、さらに隣国が戦争まで始め、ずっと低金利なのはあたりまえだ。アメリカでは逆に社会にお金が回りすぎてインフレが進むという懸念があるため、インフレを必要以上に進ませないために社会にお金が流入しづらくする必要が出てくる。そこで金利を上げれば、お金を借りる人に若干のブレーキが掛かる。つまり、アメリカは好景気由来の金利上げだ。だが厳しい状態の日本で金利だけ上げたら、より人々の首が絞まる。

 

 だからやるべきことは日本の価値を上げることだ。国には通貨発行権がある。アメリカも含めて自国通貨を持ち、変動相場制の中にある国は、自分たちでお金を作り出せる。社会にお金が回っていないとき、必要な分を足していく。その財源は税ではなく、通貨発行だ。国がお金を作り出していくことを積極的にやらなければいけない。この円安を止めるのであれば余計にそれが必要だ。

 

 「よりお金を増やせば円安が進むのでは」という人もいるが、800兆円出したドルの価値は上がっているのが現実だ。日本の価値は低いままだ。この危ない円安の流れを止めるためには、しっかりとした財政政策で実体経済の底上げをしていくほかない。日本の現状を打開するために必要な政策をうてば、おのずと為替も安定していく。そのために私たちは消費税廃止を訴えている。それは無理ではない。それを誰がやらせるのかといえば、この国に生きている皆さんだ。

 

 50%の人々が投票を捨てている一方で、一生懸命選挙をたたかい、自分たちに我田引水し続けているのが資本家たちだ。消費税を上げた分、法人税を下げてもらう。自分たちのコストである労働者を搾り、不安定にさせ、利益を上げるということを、国のルールを決める国会でやり続けている。この国のオーナーである皆さんが、政治にかかわるか否かが非常に重要な分岐点だ。

 

既存政党揺さぶり 首絞める政治を変える

 

 質問(広島) 若い人たちが大卒であっても安い給料で長時間働かされている。結婚して子育てしたり、高齢の親たちを支えるためには収入がなければ厳しい。

 

 山本 この問題は、全世代横断的に抱えている問題だと思う。年収200万円以下のワーキングプアは非常に多い。この状況をつくったのも政治だ。「これまで頑張ってこなかった自分が悪い」という空気に落とし込まれているが、これは構造的な問題だ。低賃金問題でいえば、労働環境の破壊が進んだ。雇用の流動化という言葉のもとにどんどん働き方を壊し、いつでもクビにできるような非正規雇用がいまや全労働者の4割にもなった。

 

 それは非正規の人にとってプラスなのか? 正社員と変わらない仕事をしているのに収入は低く、コロナ禍でも自分たちだけは出社しなければならない。そんな働き方で誰が得をしているのかといえば資本家だ。人間の労働力をコストカットして使えば、当然利益が上がる。

 

 では、この国を動かしているのは誰か? 有権者の皆さんがこの国のオーナーだ。だが、みんなではない。そのうちの50%が投票に行かず、残りの30%程度の人たちに支持された人たちが何十年もトップに立ち続けている。その自民党のバックボーンは、経団連などの資本側だ。彼らがもうけるためには2つのコストカットが必要だ。

 

 一つが労働者。これをより安い労働力として使わせろ、ということで進んだのが非正規化であり、それが頭打ちになって、次にやったのが外国人労働者を長期間大量に入れるための入管法改正だ。国内で外国人労働者と日本の労働者を奴隷労働で競わせるためだ。

 

 なぜこんな無茶をやるのかといえば、見ている方向が違う。彼らは自分たちに組織票や企業献金でバッジを付けてくれた人たちにご恩返しをする。その結果、労働環境の破壊が進んでいった。

 

 私たちは、この低賃金問題を解決するためにも、国がしっかりと底支えをするべきだと思う。消費税を廃止すれば、雑な言い方をすれば毎日が10%オフだ。1万円のものを買って払う税金1000円がなくなる。その1000円が別の消費に回れば、それが誰かの所得になる。国は、この循環にずっとブレーキをかけ続けてきた。

 

 他にも、外的要因で国内経済が低迷している。国内はデフレなのに、海外に依存している輸入品が値上がりして輸入品はインフレになって行く。これに対して皆さんの負担をしっかり軽減していかなくてはいけない。輸入物価の上昇を消費税減税や廃止によって相殺していく。やれることはたくさんある。通貨発行権を使って給付金を配ってもいいし、ガソリン税もゼロにもできる。

 

 逆に、やれることをなぜやらないのか? これをやっていかなければ、小さな事業所もどんどん潰れ、生活の地盤沈下は止まらない。目前の対処療法だけではダメで、多くの人々が夢や自信が持つことすら奪われてきた社会を根本から立て直す必要がある。奪ってきた責任は政治にある。だから「政治のせいだー」で留まるのではなく、その中に入って変えてやろうということで私も芸能活動を横に置いて政治の世界に飛び込んだ。壊れていく社会で芸能活動をやっても、それは持続可能ではない。まずみんなが健康で経済的にも安定している社会をつくらないといけない。そのためには、この国のオーナーである皆さんの力を借りるしかない。今の政治を放ったらかしにして、私は関係ないということにしてしまったら、最終的にみんなの首が絞まる。

 

 冒頭いったように、現在ですら少数政党への言論弾圧がおこなわれているなかで、参院選後に訪れる空白の3年間は労働環境を壊し、憲法を変え、一定のグローバル企業だけに得をさせる日本の切り売りがフリーハンドで進められる可能性がある。下手をすれば好戦的で挑発的な外交を続け、戦争当事者になる可能性すら現実味を帯びている。さまざまな要因を考えたとき、れいわ新選組として参議院で大きな勢力をつくるしかない。この空白の3年という期間を、与党側に一番嫌われる存在であることに加え、野党側からも嫌がられるくらいの力を発揮していくために、自分もバッジを外して参議院選を戦うことを決意した。

 

 あなたの手の中に握られた選挙権をどうか握りつぶさないでほしい。圧倒的に資本が勝ち続け、一部の人間たちだけが勝ち続けるような社会が継続されるなら、この国は持たない。だが、みんなの力を合わせたら180度違う社会がつくれる。おもしろい国を一緒につくろう。あなたが困ったときにも真っ先に駆けつけるような国をつくろう。

 

 

・れいわ公認候補予定者の決意 (4 月16日以降

 

■1%の政治を99%のための政治へ


             比例・全国区  長谷川ういこ

 

 2011年の東日本大震災と福島原発事故をまのあたりにし、「原発をなくしたい」と立ち上がった。私たちが初めて開催したイベント「脱原発と再生可能エネルギー」に、「自分も勉強したい」と駆け付けてくれたのが、山本太郎さんだった。

 


 脱原発にとりくむなかで、政治を変えなければ何も変わらないということを痛感した。しかし、脱原発を訴えた政治勢力は負け続けた。それは財政破綻論にとらわれ、経済の回復を、デフレ脱却を、軽視していたからだ。私たちが勝つためには、経済に強くなる必要があると考え、立命館大学教授の松尾匡さんに声をかけて積極財政の政策を研究し始めた。


 ちょうどそのころ、山本太郎さんから松尾匡さんに、経済について教えてほしいと連絡があり、そこで積極財政を学ぶ勉強会を4回開催した。これがれいわ新選組の柱である積極財政政策につながっている。私は、れいわ新選組が結成されたとき、日本でもようやく積極財政をうち出す政党が誕生したと希望を持った。


 そして私は、昨年の衆議院選挙ではれいわ新選組の公約「脱原発! グリーン・ニューディール」の政策立案にもかかわった。グリーン・ニューディールとは、大規模な公共投資によって、社会と経済のシステムを大きく転換し、気候変動がもたらす災害の被害を防ぎ、雇用を生み出し、格差や貧困などの経済的な不平等をなくすための計画だ。


 そんなとき、父が脳出血で倒れた。私は6歳と3歳の子どもを育てながら父を支える「ダブルケア」を担うことになった。そのなかで実感したのは、歳をとったとき、病気になったとき、国や自治体の支援を受けるためのハードルが、あまりにも高いということだ。


 日本は30年近くにおよぶ賃金の停滞と非正規雇用の拡大で、年金や貯金が少なく、老後に不安を抱える人が大勢いる。また、日本の教育・子育て支援は先進国最低レベルだ。加えて、長時間労働や保育園不足など、子どもを産み、育てる女性にとっても厳しい環境だ。私のようなロスジェネ世代は、経済成長など経験したこともない。


 歳をとっても、子どもがいても、病気になっても、障害があっても、生きているだけで価値がある社会を、何があっても心配しなくていい国を、希望を持てる未来をつくる。そのためにも、これまでの緊縮財政を積極財政へと、1%のための政治を99%のための政治へと、一緒に変えていこう。(グリーン・ニューディール政策研究会事務局長)

 

自由・平等の政治つくる大河の一滴になりたい


                埼玉県選挙区 西みゆか


 「 Nothing About Us Without Us」(私たちのことを私たち抜きで決めないで)これは、障がい者権利条約のスローガンだが、まさに、民主主義の意思決定「手続」を象徴するものだ。しかし、今の日本はどうだろうか?「いつのまにかトップダウンでいろいろ決まっているけれど、なんで?」「事前に意見聞いてくれないの?」「せめて理由くらい説明して」とすら、市民が声をあげる「手続」がない。


 「 No One Left Behind」(誰一人とり残さない)これはSDGsのスローガンだが、まさに、少数派の人権を保障する福祉国家理念を体現したものだ。しかし、今の日本はどうだろうか?「一部の犠牲のもと、皆安心したような気分でいるけど、それって正しい?」「私とり残されているけど、誰に助けを求めればいいの?」「結局皆も不安なままじゃない?」とすらいえない。見えない「皆」にバッシングされるかもと口をつぐんでしまう。


 多くの疑問があっても、何をいっても、何しても何も変わらない。それが30年近くも続くとあきらめが日常になる。しかし、コロナ禍で自分が実際に「切り捨てられる」側に立ったとき、どこにも訴えられない現実に直面した。それはものすごい焦燥感だった。


 そんな頃、食事をとりながらチャンネルを変えたら、18 歳の方々がオンライン参加する党首討論の最後の場面が映った。各党首が「政治とは何か」を18歳に訴える場面。つまらない話が続き、眠気がさしたその時「政治、皆さんがやるんですよ。一緒にやりましょう」と一段と大きな声が聞こえて食事中の私もテレビの方を向いた。それこそが民主主義だ。今の日本でそんなこといってくれる党首は誰? れいわ新選組の山本代表だった。私も参加したいと切に思った。


 私にもいいたいことがたくさんある。
 脱原発。原発の危険性は、3・11とウクライナ危機で、十二分に明らかになっている。脱炭素。誰しも気付いているはずだ。猛暑、豪雨、豪雪。四季がなくなっていること。直ちに自然エネルギーへ移行しなければならず、個々人のアイディアを国が大規模に採用すべきだ。


 30年近い不況。私たちはこのまま、賃金が上昇しない、需要が活発にならない状態で、外的要因で物価だけ上がって大丈夫なのか? 何故、国は活性化すべき消費に税金をかけているのか? 何故、積極的な公共投資で需要を活性化しないのか? 近い将来地震が来ると予想しているのなら、被害回避のための公共工事、被害対応のための公立病院等の増強を進めるべきだ。


 人権意識の向上。「障がい」は、「障がい者」ではなく、「社会」が作り出している。例えば、足に支障がある人が建物を利用しづらいのは、足に支障があることが原因ではなく、段差がある、エレベーターがないなど建物の状況に原因(社会的障壁)がある。LGBTQ+についても同様で、私たちが誰を好きになろうと、私たちが自分をどう認識しようと、全て自由だ。既成概念と異なるからといって別異にとり扱われる理由はない。自由平等は生まれながらにして全ての人が有している所与の人権だ。


 「政治、皆さんがやるんですよ。一緒にやりましょう」というれいわ新選組で、まず、大河の一滴になりたくて、立候補の決意を固めた。(弁護士)

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