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大阪府警 vs れいわ新選組・山本太郎 都構想反対の街宣を警察が妨害

 「大阪市廃止と特別区設置」(都構想)の是非を問う住民投票が告示された12日、れいわ新選組の山本太郎代表が大阪市中央区道頓堀でおこなった「都構想」反対の街頭演説において、大阪府警南署の複数の署員が演説を中断させ、解散・撤去を要求するという騒動が起こり、市民の話題を集めた。

 

 れいわ新選組は、告示前から大阪市内各地で「あかん! 都構想」と銘打ちゲリラ街宣を連続的におこなってきた。この日は午前10時半から、グリコの広告で知られる道頓堀戎橋の上で街頭演説を開始し、マイクを使って「都構想」の中身について解説。「大阪市を廃止し、新しく四つの特別区をつくると、橋下元知事の“大阪市が持っている権限、力、お金をむしりとる”の発言通り、大阪市民は確実に損をする」とのべた。

 

 現在の大阪市の自主財源8500億円は四特別区になれば約2500億円に減り、残りの6000億円は府が召し上げたうえで4000億円は改めて四区に分配するが、残りの2000億円は府に流れる仕組みであることをのべ、「それは大阪府が大阪市からカツアゲし、旧大阪市をおこづかい制にしたうえで残りをネコババするものにほかならない」と強調。そして大阪府が集約した財源は、大阪維新の唯一の経済政策であるIR(カジノ)やインバウンド開発などの巨大事業などに回されることが濃厚であり、「大阪市民が損をする可能性があるからこそ住民にジャッジを委ねている」と呼びかけた。

 

 演説開始から15分が経過したころ、私服警察を含む南署の署員7、8人が駆けつけ「警察です! 今すぐやめてください!」とスピーカーで叫び立てて演説を中断させた。山本氏が「中止させる理由と法的根拠を聞かせてください」と尋ねても「ここでいう必要はない!」「あなたと議論する気はない」「今すぐやめろ!」とくり返し、街宣スタッフにつかみかかったり、両手を広げて歩道を塞いだため現場は騒然となった。やりとりの一部始終はネット中継で全国に拡散された。

 

 

 山本氏は「私たちは道路交通法七七条にもとづき、通行の妨げにならないようにおこなっている。政治活動は基本的に自由であり、憲法で保障された表現の自由と道交法に基づいておこなっている」と主張。戎橋は繁華街の中心にあるものの当時の人通りはまばらで、街宣設備は人の通らないスペースに設置しておこなわれていた。

 

 その後、警察側は「許可がない」として撤去を求め、譲らない山本氏に実力行使を辞さない姿勢を見せながら威圧を続けた。遠くから演説を聞いていた人々も「なにごとか?」と見守り、「警察はなぜ邪魔をするのか」「妨害に負けるな」との声も飛んだ。

 

 れいわ新選組関係者によると、当初は告知による街頭宣伝を予定していたので道路使用許可を南署に申請したものの「通行の妨げになる」「街宣車を入れてはいけない」といわれたため、人が集まらないよう事前告知をしないゲリラに切り換え、通行に支障をきたさない状況であることを確認したうえで街頭演説をおこなった。

 

 許可行為を定めた道路交通法第七七条では、第一項第四号で「一般交通に著しい影響を及ぼすような通行形態又は方法により道路を使用する行為」について許可を求めている。大阪府道路交通規則はこの規定に基づく手続きを定めたものだ。

 

 「政治活動の自由は最高法規である憲法でも認められており、基本的に公道において必ず許可が必要になるものではない。私たちは街宣にあたっては日頃より万全の備えと対応をおこなっており、当日の状況も『一般交通に著しい影響を及ぼす』ものではないことは誰の目にも明らかだ。この日の街宣が道交法七七条第一項四号の許可対象行為とならない以上、その適用はされないものと考える。むしろ最高法規と道交法に従った街宣活動を強硬に中止を求める南署の行為は、不当な公権力の行使といえる。現場でも『中止を求める法的根拠』を求め続けたが、南署は一切答えていない。答えられるはずもなく、それがすべてだ。なにかしらに忖度し不当な圧力を行使したもの以外にいいようがない」とのべた。

 

 「都構想」の住民投票をめぐる街頭活動では、5年前にも推進する「維新」の街宣活動は主要駅前や繁華街などでも大々的におこなわれたが、歩道は人で埋まり、周囲一帯が通行不能になるほどの騒乱状態を作り出していた。主張の内容や立場によって対応が異なる府警の判断基準にも疑問が生じている。

 

 また大阪府・市では「職員基本条例」などで職員の政治的行為を制限しておきながら、広報誌をはじめ政治的中立を原則とする行政機関が発する情報がすべて「都構想推進」のPRとなっており、「大阪維新の会」の広報誌にも「皆様の疑問に丁寧に答え」る連絡先として大阪市役所の電話番号が刷り込まれているなど、行政機関や職員の政治利用が公然とおこなわれ、市民が賛否を判断するための公正公平が担保されていないことに批判があいついでいる。

 

 現場を目の当たりにした市民からは「人垣どころか人通りすらないのに“危険だ、危険だ”といって問答無用で中止させる警察の焦り方は尋常ではなかった」「行政トップを牛耳る維新サイドからの指示で駆けつけたのだろう。よほど知られたくない情報だったのではないか」と語られている。

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この記事へのコメント

  1. 大阪南暑員の方々は次のことをお忘れになっているらしい。

    ●地方公務員法 第三十条
    (服務の根本基準)
     すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、
    且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

    ●警察法 第2条
    (警察の責務)
    警察は、(中略)交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
    (2) 警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、
    その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、
    いやしくも日本国憲法 の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を
    濫用することがあつてはならない。

    法律順守できない警察が、中止を求めるとは極めて恥ずべき事であると言えるでしょう。

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