いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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密着・れいわ新選組全国ツアー in 滋賀・岐阜

 れいわ新選組の山本太郎代表は、第1次全国ツアーの最後となる8、9日に滋賀県草津市のサンサンホール、岐阜県大垣市のソフトピアジャパンセンターでおしゃべり会をおこなった。両会場とも県内外から大勢の参加があり、世代をこえて質問や意見が活発にのべられた。生活に密接する質問から現在の日本の根本問題である日米関係などの質問を通じ、現状をどう変えていくのか、自分自身になにができるのか、どのようなたたかいをみんなでしていくのか、について熱い交流となった。

 

■滋 賀

 草津市のサンサンホールには市内外から約400人をこえる人々がつめかけた。山本代表へ参加者から、高齢者の足について、日米貿易協定について、企業献金に対する考え方、公務員の天下りについてなどさまざまな質問が出された。山本代表はそれらの質問に答えながら、れいわ新選組の掲げる経済政策や実行するにあたっての財源について説明した。


 ある女性は「消費税をゼロにしても法人税が上がれば雇用が搾られたり、会社の株式が下がったりといったデメリットもあるのではないか」と質問。これに対して山本代表は次のように答えた。


 20年間にもわたってデフレが続き成長していない日本で失われたものは需要(消費)と投資だ。人々は将来に不安がありお金を出さない、もしくは出す状態にないという人も多い。これでは企業側も大きく投資ができない。景気を良くするためには経済規模を大きくしなければならない。GDP(国内総生産)は個人消費・民間投資・政府支出・純輸出(輸出―輸入)で構成されるが、このなかで最も割合が大きく6割を占めるのが個人消費だ。景気を良くするためにはこの個人消費がもっと喚起されなければならない。今よりもお金を使えるという状態にするためには、強制的に物価を引き上げてきた消費税をやめるべきだ。これによって実質どんな効果があるのか。消費税をやめるには26兆円の財源が必要だが、これはみなさんに対して政府が26兆円支出するのと同じことだ。当然物が売れるようになり、民間投資も喚起していくことになる。


 26兆円を補う財源についてだが、税金の場合だとバブルのときよりももうかっている企業からまっとうな税率でとることだ。海外に逃げるのではないかという話だが、企業が海外に行く理由は20年間デフレが続いている日本の現状にあり、海外の方が現地や周辺で需要があるからだ。税制・融資等の優遇措置があるから海外に行くというのはあるが、これは8・7%だ。GDPの6割を個人消費が占める内需国で消費を大々的に喚起していくという政策が必要だというのは企業側が一番良くわかっている。私がやりたいのは法人税の累進化で、もうかっているときには税率があがり、もうかっていないときには下がる。もうかっているときには今より税率は上がるかもしれないが、国内の景気が内需でしっかりと回るならこれは乗るしかないだろう。国が本気で経済政策で底上げをしようという姿が見えないから海外に出る企業が多いが、そこに向きあって、エンジンをフル回転させることを進めるなら企業側は乗っていくと思う。


 別の女性は「琵琶湖の水は近畿地方の飲み水だが福井県の原発が事故になれば汚染されてしまうのではないかと不安だ」と意見をのべた。


 これに対し山本代表は、「大飯原発から琵琶湖までが30~40㌔ということを考えると事故を起こしたときに影響があるに決まっている。水が汚染されるというのは非常にまずい話で、これを止めていくということを立地自治体だけにまかせていい話ではないというのは当然だ。たとえば、滋賀県の知事などが、水源を持つ自治体として他の近畿圏の首長と交渉していくべきだ。関西電力に対して原発の稼動を認めない方向に持っていく必要性がある。生命・財産を守るのが政治の役目だ」と答えた。


 限られた時間のなかで一生懸命に挙手する若い世代の姿も多く、「次の衆議院選のたたかい方と、中学生の僕にもできることを教えてください」(中学生)、「れいわ新選組が掲げている米軍基地の建設中止と移転に対して自衛隊がどう埋め合わせをしていくのか、防衛費について教えてほしい」などの質問が次々に出された。

 

■岐 阜

 大垣市では会場のソフトピアジャパンセンターに約300人以上の聴衆がつめかけ、山本代表の言葉に真剣に耳を傾けた。


 最初に挙手した男性は国民年金について質問。税金で補填している現状と今後ますます収入が減ることの不安を口にした。


 山本代表は、「年金は破綻しない。もらえる額がどんどん少なくなるだけだ。私はこの年金制度自体を変え、根本的に生存を保障する制度にしたいと思っている。今の生活保護は全部失う前提でなければ受けられない仕組みになっている。しかし全部失ってからでないとライフラインにつながれないというのはまずい。なにもかも失って生活保護を受け、立ち上がるまでにはかなりの時間がかかる。つまずく前に手を差し伸べ、生存を保障するという制度に変えていく必要がある。もちろん今まで積み上げてきた年金は返していく必要がある。財源は税以外にも新規国債の発行が必要だと思っている。景気の良いときには税でまかない、悪くなれば新規国債の発行でという二階建てでまわしていく必要があると思う」とのべた。

 

 また「どんなことがあっても手を差し伸べるから不安を持たないでください、というスタンスで国が運営されるのなら、みんなが自信をとりもどすのではないか。生きていて怖くない。今は自分は価値のある人間だということを示さなければいけない地獄のような社会になっている。苦しいのは自己責任だということが極まってしまい、人間の価値を生産性ではかるようになった。自分は価値があるのだと証明するために人まで殺したのが相模原事件ではないか。人の価値は“生きてていいんだよ”というのが最低のベースにあり、それが認められる社会を目指したい。綺麗事だというのは簡単だが、そういう政治を獲得したい」と答えた。


 続いて、参加者から対米自立についての質問に対して、山本代表は「外国の軍隊が日本に駐留し続けているということはよその国でもあることだが、少なくとも自国のルールに従ってもらうということがベースになければだめだ。残念ながら日本国内のルールは守られず、アメリカ国内でできないことがあるから日本国内でやるんだという数々の訓練もある。日本国内の好きな場所に、米軍が望めば基地をつくることができる。米軍が望めばどのような訓練もできる。自国でできないことを他国でできるということは、これは植民地でしかない。この状況を変えていかなくてはならない。国家主権ということを考えれば自分たちが独立をしていかなくてはならない。米軍がいるということをすぐに解消できないのであれば、米軍には日本国内の法令を遵守していただくということが絶対的に必要だ。そのためには日米地位協定の改定も必要だ。経済的にもアメリカから望まれればなんでもやるという状態だ。海外からいわれたことで右往左往するような状況では国家の主権はないに等しい」とのべた。


 また例として北方領土をめぐるロシアのプーチン大統領の発言を紹介し、「日本の領土の問題に関して米国の了解を得ておく必要があるというおかしな話だ。日本は独立国家ではなく植民地のままなのだということがよくわかる。経済的にも国家運営も私たちは日本の国のためにやっていく。一足飛びにはいかないが、少なくとも自主独立を将来的に勝ちとれるような動きをしていく」と答えた。

 

 別の男性は、地方で地盤をつくっていくために地方議員を今後どうしていくのかと質問した。


 これに対し山本代表は、「地方議員にれいわ新選組の看板を背負ってもらうということは、地方の政治のなかにもう一つしがらみをつくっていくことになる。それよりも、たとえば無所属で、市民にとってどうなのかで判断してやっている方々とつながっていけたらいいのではないか。それぞれの地域で国政政党の看板をかつぎ、その下部組織のような状態ではなく、究極は地域政党的な動きになっていけばいいのではないかと思っている。それこそが国政の判断に左右されるのではなく、地元の意志を吸収できる人たちではないか。いきなりれいわの看板で選挙をたたかってもらうことではなく、地元を尊重していくグループがつくられる流れになればいい。ある意味では、組織をつくらないことによってこれまで既存の政党がおこなってきたような票の固め方にはならないかもしれない。これまでと同じではなく違う力の集まり方を目指すほうが良いのではないか。ボランティアについても、一人一人が主体的に動いてどう広げていくのかを一人一人に考えてもらいたい。私たちが地方のボランティアにお願いしているのは“ポスターを貼ってください”ということだけ。そこからどう広げていくのかは一人一人が考えていく必要がある。なにを考えているかわからない有象無象が急激に増えていくことが権力側からすれば一番怖い。一人一人が主体として、どう広げていくか、なにを変えていくのかを考えていくことだ」と答えた。


 ほかにも参加者からは、非正規雇用になっている図書館司書について、低投票率について、エネルギー政策について、歴史教育についてといった質問、さらに「将来政治家になりたいが、太郎さんはなぜ政治家を目指したのか」(小学生)などの質問もあった。

 

下から繋がり政治動かす  参加者の声

 

 参加者のなかには、この間地道に地域で活動を続けているボランティアをはじめ、選挙を前後して初めてれいわ新選組を知り、生の話を聞きたいと参加した人、知人とともに足を運んだ人などさまざまだが、山本代表のいう経済政策を自身のなかに落とし込み、地域で活動を広げていこうという思いが共通して語られていた。


 大津市から来た女性は、「れいわ新選組に早く政権をとってほしいと思った。私は団塊の世代だが、この世代は学生時代に学生運動を経験したり見てきた人が多く、政治には関心が強い。しかしこの数年は票の入れ先がなく、形ばかりの野党にあきらめていた。そのときにれいわが出てきて、パワーのある訴えにこの人なら任せられると思い、以後応援している。今後の課題は山本代表一人状態にするのではなく、仲間を広げみんなで政治を変える力にしていかなくてはいけない」と語った。


 日野町から子どもを連れてきた母親は、「もっといろんなことが民主主義的に決まっていかないと昔のままでは駄目だと思ってきたので、小さな町の共産党vs自民党のような政治構図に興味が持てなかった。れいわ新選組に出会い、地域のママさんとつながって活動しているが、太郎さんの話を聞けば聞くほど大変なことがこの日本で起きており、それがなにも問題にならずにスルーされていることがよくわかる。普段からユーチューブでも見ており、生で聞いてみたが新しいことというよりも、これからどうしたらいいのだろうかと思ってしまった。だからこそ質問への答えのなかにもあったようにやっぱり草の根の動きが大事なのだと教えてもらった。帰ってからまた頑張ります」と話した。


 自衛隊員の家族は、「誰のどんな質問にも言葉を選びながら応えてくれる、本当に国民派の政治家だと感動した。3・11の原発事故後、福島原発の収束作業にかかわる人や避難者などいろんな動きを見るなかでこのままではいけないと思うようになった」とのべ、「現場の自衛隊員はみんな本当に一生懸命働いているが、なんといっていいのかわからない重苦しさがある。不祥事も明るみに出たが、なにも生産しないのに税金を使っているということからか、重たいものを抱えている。自衛隊員はなり手が少なく人手不足なのだが、それに対して政府は“カッコいい自衛隊”を見せて募集している。そうではない、というのが私たちの思いだ。今日、太郎さんの話のなかに自衛隊の話も出たが、自衛隊員の本来の役割と明るい活躍の仕方があるのだと教えてもらった。自衛隊員は上の命令が絶対で断れない。だからこそ家族が守ってあげないといけない。理不尽な動きに対して私たちが屈したらいけない」と思いを語っていた。


 派遣労働者の男性は、「話を聞いて、やっぱり自分たち目線だと思った。派遣会社で働いているが、年金をもらいながら働く高齢者でなければ生活が成り立たないだろうという現場に若い人が働いており、社会保険に入れず国民健康保険の人もいて、厳しい生活をしている。昨年7月の選挙の投票日の数日前にれいわ新選組のことを知り、“ここしかない”と思って以後応援している。逆に考えるとテレビしか見ない高齢者などは自分で選択することもできないということになる。そのような人たちに一人でも知ってもらうためにポスター貼りを頑張ろうと思う」と語った。


 愛知県日進市から来た女性は、「原発事故のあと、放射能の影響を懸念する声に対し“風評だ”という声も強まって、“実害vs風評”のような論争が起きていた。論争を聞いているとよくわからなくなっていたが、あとになって放射能の実害があることと、みんながだまされていたのだと知った。すごく怒りがわいた。隠されているいろんな真実をみんなに知らせなくてはと思い、SNSを始め、地道に活動を続けている。原発事故しかり、消費税しかり、国はすぐに国民をだます。そんな社会はもう終わらせないといけない」とのべていた。

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この記事へのコメント

  1.  いつも密着取材ありがとうございます! 
     今日は、太郎さんのボランティアの方たちとの交流会があり、その一部分をご報告させていただきます。場所や詳細については書くことができませんが、参加者8人のうち何と3人が、長周新聞の定期購読者でした!びっくりです。お一人は、もう何年も前からの愛読者だそうで、お宅にある長周新聞を何部か持参されて、配られました。つい数か月前に取り始めた私などは「尊敬します!」と思わず言ってしまいました。
     自己紹介のあと、日本の現状、自分の抱える問題、いろんな話題で花が咲きました。こんな心地のよい空間があるだろうか?と思いました。
     何といっても問題は、若い人が置かれている状況です。職がない、食べていけるまともな報酬を得られていない、不安定な仕事で心が傷ついている。
     太郎さんが初めて「政権を取って、そんな日本を変えよう!」と言ってくれたのです。れいわを強く大きくするために、お互いに頑張ろうと励まし合いました。
     れいわのボランティア活動は、こんな楽しい集まりです。ぜひ一人でも多くご参加ください。
     

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