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F35を100機追加購入 米軍需産業が防衛予算をつかみ取り

 安倍政府は、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35を最大で100機追加購入する検討に入った。1機が130億円ともいわれるF35戦闘機は、ロッキード・マーチン社など米国の主要軍需メーカーが共同開発したもので、製造技術から販売まで同企業体が握る。安倍政府は昨年の朝鮮半島情勢の緊迫に乗じて、自衛隊が保有するF15の後継機としてすでに42機を三沢基地(青森県)へ導入することが決定しており、追加分をあわせると140機を超える。トランプ大統領の「バイ・アメリカン!(米国製品を買え!)」の要求を丸呑みしたもので、増税の一方で湯水のように米国軍産複合体に血税を注ぐ姿があらわになっている。

 

ロッキード・マーチン製のF35戦闘機

 F35の自衛隊への採用が最初に決まったのは2012年度の2機。それから追加購入を重ねて42機となり、契約額は当時1機当り96億円だったのに対し、17年度は147億円へと大幅に上昇した。今回うち出した100機を加えて、142機となれば購入総額は2兆円を超える。さらに将来的に航空自衛隊が運用しているF15(200機)すべてをF35に更新した場合は、3兆円規模に膨れあがる可能性もある。

 

 米国政府が一方的に価格を決定することができる「有償軍事援助(FMS)」による調達であることが価格上昇の理由だ。価格の決定権をもつのは米国政府であり、契約額や納期時期にも拘束されない「言い値」がまかり通る。維持費もF15に比べて1・6倍も高く、国内企業へのライセンス生産も認めていないため、日本政府は膨大な出費をしながら部品調達からソフト保全に至る運用上の管理をすべて製造元の米ロッキード・マーチン社に縛られることになる。

 

 安倍政府は今年3月、年度末のどさくさに紛れて、F35Aを「20機以上」追加購入することを12月に閣議決定する5カ年の中期防衛力整備計画に盛り込むとアナウンスしていた。この「20機以上」が「最大100機」へとかわり、さらに垂直離着陸が可能なF35B、沖縄本島への地対空ミサイルの配備を決定するなど矢継ぎ早に米国製の巨額兵器の購入手続きを進めている。

 

 FMSによる米国製兵器の購入費は、2011年度が432億円(当初予算)だったところから、第二次安倍政府が発足した15年度には約10倍の4700億円(同)へと一気に急増し、今年度は約5000億円。そして来年度予算への概算要求額は6917億円にまで膨れ上がっている。

 

 昨年11月、来日したトランプ大統領が安倍首相との首脳会談後に「安倍総理は軍用機や航空機、農産物など数十億㌦にのぼる米国製品の購入を約束した」とのべ、SNSにも「すでに大量の軍関連やエネルギーの注文が来ている!」と得意気に投稿して物議を醸したが、一連のゴルフ外交の裏で進められた約束の中身はこのことだったのを暴露している。

 

 また、防衛省が山口県萩市と秋田県秋田市への配備をうち出しているイージス・アショア(地上配備型迎撃ミサイルシステム)は2基で6000億円を超える見通しとなった。同システムの主な構成品であるレーダーもロッキード・マーチン社製の導入を決め、防衛省は当初の取得費を1基当り約800億円と試算したが、来年度の概算請求では同1237億円に膨らんだ。すべてFMSによる購入であり、価格の決定権は米国政府の手に委ねられている。

 

 イージス・アショア2基の30年の維持・運用費には2000億円かかる見込みで、1発当り100億円ともいわれる迎撃ミサイルの購入費やミサイル発射装置購入費、建屋の整備費、発射実験費用などは、政府が示す総費用には含まれていない。それらを加えると最終的に1兆円を超える可能性も指摘されている。

 

 安倍政府になってから6年連続で増加してきた防衛費は、30年度予算には5兆1911億円と過去最高額に膨れあがった。その大半が米国製兵器の購入費用であり、この日本の防衛予算の増額と比例して米国の軍需産業が過去最高の株高を更新していることがすべてを物語っている。口先で「国土防衛」を唱えながら、湯水のように税金を注いで米国の兵器市場を潤わせる一方で、日本全国の被災地ではいまだ数万人が仮設住宅で暮らし、水道や道路などインフラの復旧費用すら捻出できない自治体が数多くある。「邦人保護」とは無縁であるばかりでなく、国民生活や国土の安定に使うべき国費を蝕む浪費であることを示している。

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