いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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破綻したブッシュの戦争政治 イラク・アフガンで敗北   ベトナム戦と同じ結末

 ブッシュ米政府が「9・11事件」を機に始めた「反テロ戦争」は、アメリカのいいなりにならない政府を力ずくで転覆し、世界のエネルギー資源を支配して、世界をアメリカが制覇しようとするものだった。またこれと並んで進めた構造改革、市場原理主義のグローバル化は、各国市場を開放させてアメリカの多国籍企業による世界経済支配を狙ったものだった。だがこの戦略は今や音を立てて崩れ、ブッシュ政府は内外で、救いがたい政治危機の泥沼にはまっている。世界は今、15年前の “冷戦” 崩壊後の新しい段階に入っているが、その人民勝利の原動力となったのは、イラクやアフガニスタン人民が武器をとって侵略・占領に反対したことであり、いかに凶暴な侵略者が力ずくで襲いかかっても、人民に打ち負かされるだけだという真理を今1度鮮やかに証明した。

 レバノンへの武力侵攻も失敗
 アメリカが大うそをついてイラクを侵略してから3年半がすぎた。アメリカは、大量殺人兵器を使って、イラクを廃虚とし、66万人もの民間人を殺りくした。それはイラク人民の強力な反米抵抗斗争を巻き起こし、米軍だけでも2800人近くを戦死させた。とくに今年に入ってから、米軍に対する攻撃は1週間に800回から900回に及び、9月末から10月の「ラマダン(断食月)攻勢」で米軍死者は90人と開戦以来最大を記録した。1日平均4人が死んでいる。
 イラク西部のアンバル州は、すでに反米武装勢力の支配するところとなり、米軍は地方都市の支配をあきらめて、首都バグダッドに部隊を集中せざるをえなくなった。7月末から米軍を増派し、かいらい軍と「掃討」作戦をやったが、惨たんたる敗北に終わっている。アーミテージ前国務副長官は9月末、「われわれが勝利しつつあるとは思わない。現状が長期化すれば敗北につながる」ことを認めた。ブッシュ大統領も先日、ラマダン攻勢が「ベトナム戦争でのテト攻勢と同じだ」といわざるをえなくなった。テト攻勢はアメリカがベトナムで敗北する転換点であったことは、よく知られている。
 アメリカが「反テロ戦争」を最初に仕掛けたアフガニスタンでは、5年を経て反米抵抗勢力が再結集し、ゲリラ斗争が新たな発展を見せ、占領支配は根元から揺らいでいる。旧タリバンなど反米勢力はすでに南東部を実質統治し、首都カブールに迫っている。
 アメリカはNATO(北大西洋条約機構)軍を8000人から2万人に増やし、この7月から、南部6州の治安権限、NATO軍に移譲、「掃討」作戦にかり出したが、死傷者を急増させただけだった。NATO各国に兵員増派を求めたが、いずれも尻込みしたため、やむなく駐留米軍2万人の半数をNATO軍に組み入れててこ入れしたが、徒労に終わっている。イギリスの新聞は、「タリバンの政権奪回は時間の問題だ」といわざるをえなくなっている。
 イラク、アフガンで袋小路に追い込まれたブッシュ政府は7月なかば、忠実な手代であるイスラエル軍をレバノンに侵攻させた。アメリカの供与した最新鋭の飛行機を使った全土の空爆、戦車を先頭にした地上侵攻も、レバノン人民を屈服させることはできなかった。反対に、「中東最強の軍隊」はゲリラ攻撃で惨敗し、しぶしぶ撤退せざるをえなくなった。イスラム抵抗勢力ヒズボラは、宗教・宗派を超えた圧倒的支持を得て、反イスラエルの武装斗争を堅持している。
 イスラエルのレバノン侵攻は、アメリカがイランとシリアに圧力を強める一環であった。両国がヒズボラ支援をしているとの口実で、イランにウラン濃縮活動を停止させること、シリアにはレバノンを支援しないことを迫るものだった。だが、レバノン人民の勝利でそのもくろみはことごとく破産し、かえってアラブの団結と勝利感を強めた。

 イランや朝鮮への制裁孤立・制裁で動かぬ各国 
 ブッシュ政府は、アフガンを侵略、タリバン政府を転覆したのち、イラクと並んでイラン、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を「悪の枢軸」と呼び、その核開発を「核兵器保有」を狙うものとして経済制裁を騒ぎたてた。
 だが今日、レバノンでの失敗もあって、イラン制裁のもくろみは完全に行き詰まっている。アメリカ主導でイランにウラン濃縮活動の停止を迫った8月31日の期限がすぎても、中国、ロシアも英独仏もブッシュに従って制裁に動こうとしない。いずれもイランとの交渉継続を優先すべきだとして、アメリカは国際的に孤立している。
 イランが国連安保理の警告決議に動じず、平和目的の核開発の権利を主張、交渉には応じるとしていることに対し、国際世論の支持は高まっている。9月、キューバで開かれた第14回非同盟諸国首脳会議は、キューバ、ベネズエラなど反米諸国が主導し、イランの核開発は「奪うことのできない、すべての国に与えられた基本的権利」を明言したイラン支持声明を採択した。
 朝鮮に対してはこの間、7月のミサイル発射には国連安保理の警告決議、10月の核実験には国連憲章7章による制裁決議と、連続して戦争をあおる決議を日米主導で採択した。小泉前政府は「敵基地先制攻撃」を叫び、核実験には衆参両院が全会一致で経済制裁強化を決議した。そして安倍政府閣僚が「核武装」発言をするようになった。「日共」の看板を掛ける修正主義集団も、排外主義の正体をすっかり暴露し、日米支配層の別働隊の姿をあらわした。
 だがこれに対し、圧倒的多数の人民は「経済制裁は戦争の道」「臨検は戦争の引き金だ」「アメリカこそ核兵器を日本から持ち去れ」と、かつての戦争体験を呼び起こして、日本がアメリカの盾となって原水爆戦争の道へと突っ走ることに断固反対した。
 日本政府がアメリカの指図で第二の朝鮮戦争をあおることに対し、「韓国」では米軍再編とからむ平沢米軍基地拡張や韓米自由貿易協定反対の大衆運動が高揚した。そのもとで、盧武鉉政府も「先制攻撃論は朝鮮半島の緊張を激化させるもの」と表明した。
 核実験に対する制裁問題も、安倍政府は跳ね上がって独自の経済制裁、臨検への自衛隊参加などを準備しているが、中国やロシアは制裁実施のポーズをとりながらも、追い詰めるのでなくあくまで6者協議への参加が重要として、足並みは乱れている。
 ブッシュ政府は、東アジアから中東に至る地域を「不安定の弧」と称して、米軍再編、日米軍事統合など戦争態勢を強化してきた。しかし、近年同地域でのイラク、アフガン、中東、朝鮮などで起こっている反米斗争の新たな発展は、アメリカの「反テロ戦争」の戦略がことごとく破綻し、もはや隠しようもなくなっている。イラクやアフガンの人民戦争が示す通り、本当に力を持っているのは人民であり、アメリカがいかなる暴力を持っても押しつぶすことはできないことを示している。

 グローバル化の破綻も露呈・中南米で顕在化 
 アメリカが「反テロ戦争」とともに進めたグローバル化の破綻も、とくに中南米で見られるように顕在化している。
 中南米は歴史的にアメリカの「裏庭」と呼ばれ、アメリカの世界支配の足場とされてきた。だが近年、そこでは反米・反帝世論と運動が勢いよく発展し、アメリカの支配をうち破って、民族の利益を守り人民の生活を豊かにすることを掲げた政府が相次いで誕生している。
 その先頭に立つのは、ベネズエラのチャベス政府である。1998年に誕生した同政府は、アメリカ支配からの独立、親米腐敗政治の打破、新自由主義反対、富の平等な分配を訴え、貧困人民の圧倒的支持を得ている。中南米の共同市場創設、エネルギー資源の共有などによってアメリカ主導の米州自由貿易圏に反対する動きは、中南米諸国人民に支持されている。
 チャベス政府はキューバとの反米団結を強め、石油を安価でキューバに提供する一方キューバの援助で、下層人民への無料医療や識字教育をおこなっている。これにならって、今年1月発足したボリビアのモラレス政府も、天然ガスの国有化、コカ生産の奨励をうち出し、キューバとの貿易協定を結んで貧困人民の生産と生活を安定させる政策を実行に移している。とりわけ多国籍企業に奪われていた富を人民の手にとり返す政策が、大きな支持を受け、アメリカのさまざまな転覆策動を退けている。
 中南米では、この3国を軸にしながら、アメリカの支配から脱却し、民族の利益を守ろうとする政府が相次いで生まれている。ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイなどがそうである。また、エクアドルのように同国に油田権益を持つアメリカの石油大手との契約を破棄し、その権益を接収する政府もあらわれている。これらのことは、社会主義的な政策が広範な人民に支持されることを示している。
 第2次大戦後、アメリカは反共を掲げた米州機構を通じて、中南米を支配し、多国籍企業による天然資源の略奪をはじめ人民の血と汗を搾りとってきた。その結果として生じた累積債務の解消と称して、国際通貨基金(IMF)や世界銀行による新自由主義を押しつけ、あらゆる富の強奪、人民の貧困化を欲しいままにしてきた。
 だが今日の中南米は、アメリカの米州自由貿易圏に反対し、中南米の共同市場を創設して相互に有無相通じる経済関係を築く新しい力が圧倒するようになっている。昨年の米州機構首脳会議で、米州自由貿易圏に反対する意見が圧倒し、ブッシュは孤立して大恥をかかされた。今年9月に開かれた非同盟諸国首脳会議(118カ国参加)では、「非同盟運動の再生」がうたわれ、アメリカの戦争政策や新自由主義に反対し、パレスチナ、レバノン、イランなどを支持する宣言や声明が採択された。

 米政府は空前の政治危機に・支配層内部も大分裂 
 イラクやアフガンでの泥沼、レバノン侵攻の失敗などで、ブッシュ政府は空前の政治危機におちいり、支配層内部からも不満が噴出している。
 米上院の情報特別委員会やCIA(米中央情報局)までが、ブッシュ政府のイラク開戦の理由がウソであったことを指摘した。16の情報機関が合同でまとめた「国際テロ」に関する秘密報告も、イラク戦争でイスラム「過激思想」が地球規模で拡大したとして、ブッシュの「世界はより安全になった」という主張を明確に否定した。
 近くおこなわれる中間選挙でも、イラク問題が争点となり、野党民主党は自分がイラク戦争に賛成したことを棚に上げて、ブッシュのイラク政策を批判し、与党共和党のなかでもそれに同調するものもあらわれるなど、支配層内部も大分裂をきたしている。
 アメリカ人民のイラク戦争に反対する斗争は、中南米などの新自由主義、グローバル化に反対する斗争とも結びつき、国際的連帯を強めている。反戦団体や労働者、イラク帰還兵、イラク戦死者遺族など広範な人人が一致して、イラクからの米兵撤退を要求、イラク戦費を人民の民生向上に回せなど生活と結びついた運動を起こしており、これに移民労働者が合流している。
 アメリカの反戦運動では、「9・11事件」そのものがブッシュ政府の謀略ではなかったのかとの批判が起こっており、真相究明の動きが強まっている。事実、ブッシュ政府中枢にいた複数の人物からも、先にイラク戦争のシナリオがあったと暴露されている。帝国主義の戦争屋が巨大独占資本の利潤追求のため、あらゆる陰謀・謀略をめぐらすことも忘れてはならない。それは過去のアメリカのことでなく、現実にこれからも起こりうるとみなければならない。

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