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米国の関与問う声 新型コロナウイルスの発源地をめぐって

 新型コロナウイルスの世界的なパンデミックを乗りこえるには、世界各国が情報を共有して一致協力した対応をとることが不可欠である。だが、アメリカのトランプ政府のようにこれを機に、対立する諸国への経済制裁を強め、コロナ感染に立ち向かう世界の国々を困難に陥れ、政治的な優位を確保しようとする動きも露骨になっている。こうしたなかで、中国の武漢から始まったコロナショックだが、この新型ウイルスの発源地がどこであったのかについて探究、糾明する動きが活発になっている。

 

 アメリカのトランプ大統領やポンペオ国務長官が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と呼んで、中国に謝罪するよう求め、中国側からの反発を招いてきた。

 

 当初、武漢の生鮮市場から41人の原因不明の肺炎患者が発生したことから、この市場が新型コロナウイルスの発源地とみられてきた。しかし、このウイルスがSARSコロナウイルスと同じグループに属していることが判明したうえ、最初の患者と市場や、その他の患者との間につながりはいまだに確認されないままである。世界の科学者はいずれにしても、新型コロナウイルスの正体を突き止めることが、新型ウイルスを撃退するうえで不可欠であることからその発生源を突き止めるために奮闘している。

 

 WHO(世界保健機関)をはじめ、世界の専門家の間では「中国は新型ウイルス感染症との戦いで多くの経験を積み重ねており、それと十分に交流し情報の共有をおこなうことが絶対に必要だ」「この状況下で中国との敵対を煽ることは、世界が協力しあって感染対策で効果をあげる努力を阻むもの以外のなにものでもない」「スペイン風邪や2009年の新型ウイルスは米軍や北米から発生したが、アメリカが謝ったことがあったのか」などの発言や批判が圧倒している。

 

2014年に米国が生産 パキスタン元外相

 

ハールーン・パキスタン元外相

 こうしたなかで、パキスタンのハールーン元外相が3月末、動画発信で「新型コロナウイルス蔓延の舞台裏には、アメリカ政府が控えており、このウイルスは2014年にアメリカがイギリスの支援を得て生産したものだ。その後中国・武漢市に運ばれたことを示す、いくつかの根拠が存在する」と語ったことが注目されている。ハールーン元外相は、国連パキスタン代表を歴任した人物であり、国際政治の面からも、この発言を軽く受け流すことはできないと見られている。

 

 元外相はそこで、「このウイルスの生産・研究調査の認可は、シリア戦争での新型化学兵器・生物兵器を利用しようと、2006年にアメリカのある企業に対して出されており、その8年後の2014年にコロナ生産にいたった」「アメリカは、中国の経済発展を食い止めるためにあらゆる手段に訴えており、このウイルスを武漢市に持ち込み、これによって経済面でのライバルである中国への対抗を試みた」とものべている。さらに、「新型コロナウイルス・COVID19」という命名の由来として、アメリカの疾病予防対策センター(CDC)で製造されたことをあげている。

 

 この発言を単なる陰謀論として一蹴することはできない。そこに米疾病対策センターのレッドフィールド所長みずからが米下院公聴会(3月11日)で、「新型コロナウイルスは、米保健衛生当局により究明されている。だから、そのウイルスの発生源は中国ではない」「新型ウイルスによる致死率は中国以外の地域でより低い可能性がある」と発言したことと重なる部分があるからだ。同所長はまた、アメリカ国内で発生したインフルエンザによる死亡者の一定部分が、新型コロナウイルス検査で陽性であったことも明かしている。

 

 レッドフィールド所長の発言を受けた形で、中国側のウイルス発生源をめぐる言動が活発になった。中国外務省の趙立堅報道官が、「発生源は思い込まれているような湖北省武漢市ではなく米軍が持ち込んだ可能性がある」との見解をツイッターに投稿。保健当局の専門家チームの鍾南山・主任が記者会見で、「ウイルスの発生源が中国だという証拠はない。米軍が中国・武漢市に新型コロナウイルスを持ち込んだ可能性がある」と発言した。習近平が、発生源を突き止めるよう指示したことも伝えられている。

 

 在仏中国大使館はツイッターで、「昨年9月以降、インフルエンザによるとされた(米国での)死亡例2万件のうち何件が、新型コロナウイルス感染症(COVID19)によるものだったのか?」「米国は新型コロナウイルスによる肺炎を、インフルエンザによるものだとごまかそうとしたのではないか?」とあいつぎ投稿した。さらに、「米メリーランド州のフォート・デトリック基地にあるアメリカ最大の生物化学兵器研究所が昨年7月、突然閉鎖され、その後アメリカ国内で一連の肺炎や類似の症状が現れるようになった」ことも明らかにしている。

 

克服の為発源地究明が急務

 

 これらと関連して、政治的専門家、ジャーナリストの間でも、次のような事実との関連でアメリカに説明責任があるとの指摘も出されている。

 

 2001年にアメリカが「化学兵器及び生物兵器に関する条約」から突然脱退し、この条約を履行する監視機関の活動を阻止しようとして、秘密裏に生物化学兵器研究を進めてきた。昨年10月、アメリカは世界的な疾病の流行に備えて「イベント201」という演習をおこなったが、これにCIA(中央情報局)の副長官が参加している。その一カ月後、中国で原因不明の肺炎の症例が確認され、その3カ月後には新型コロナウイルス感染がパンデミックとなった。

 

 また、昨年10月18日から27日まで中国・武漢で開催された第七回軍人ワールドカップで、世界最大の軍隊として369人の選手を率いる米国チームが金メダルを一つも獲得できないという、常識的にもありえない結果となった。そこにどのような体調不良などの原因があったのか、不明確なままである。

 

 さらに、マイク・ペンス米副大統領が報告で、新型コロナウイルスに関するすべての情報公開を自分と調整しておこなうよう求め、データを隠して独占しようとしてきたことも大きな疑惑を広げている。

 

 これに関連して、中国での感染拡大が世界的に波及しようとしていた時期に、WHOのテドロス事務局長が、アメリカやEU、日本などの対応を次のように批判していたことを押さえておく必要があるだろう。同事務局長は、次のように訴えていた。

 

 「WHOは中国国外の感染者については、完全な症例報告書を38%しか受けとっていない。高所得国のなかには、不可欠なデータのWHOとの共有で大幅な後れをとっているところもある。こうした国に対応能力が欠けているのが理由とは思わない」「より良いデータがなければ、われわれが流行の動向や今後もたらしうる影響について評価を下すことも、確実に最適な勧告を出すことも非常に困難だ」と。

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