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狙撃兵 教え子を再び戦場に送るな

 自民党がホームページに「学校教育における政治的中立性についての実態調査」というコーナーを設け、「子どもたちを戦場に送るな」と主張し、「中立性を逸脱した教育を行う先生方がいる」と記したうえで、そうした「不適切な事例(教師)」を直接通報させる入力フォームを設置していたのが問題になっている。まるで密告制度のような教育への政治介入に批判が高まり、ページはひとまず削除されたが、逆にこれが「子どもたちを戦場に送ろう!」と主張する教師なら自民党は表彰でもするのだろうか? という考えが頭をよぎった。そっちの方がはるかに気狂い沙汰で、鳥肌ものである。
 かつての大戦で教育は天皇制軍国主義によって蹂躙され、「お国のため」「天皇陛下のため」にたたかうことが誉れなのだと叩き込む、為政者の支配の道具として戦争動員にフル活用された。「送るな!」は、そうした戦争の痛切な体験から、二度とくり返すまいと教師たちが戦後出発を誓ったものだ。これは日教組だけが専売特許を許された言葉ではなく、一般の教師や父母、社会にとってもまったく異論のない、当たり前の思いを代表したものだった。
 教育基本法は「教育は不当な支配に服することなく、国民に対し直接に責任を負うべきものである」と明確に謳っている。教育への政治介入、不当な支配を許してはならないというものだ。今回の自民党の密告制度は政治介入そのもので、改憲する前から彼らは前のめりになっている。国会質疑で安倍晋三が「やい! 日教組!」といって誹謗中傷するのを真に受けて、党内出世レースの真っ只中にある末端議員どもが摘発に乗り出しているものだ。この矛先は日教組以上に教師全体に向けられている。「オマエたちもあいつらみたいに通報されて生け贄になりたいか?」の恫喝である。日教組だけならすっかり変質してしまい、今さら弾圧するまでもないのである。
 戦後71年が経過し、60歳以下の現役教師はみな「戦争を知らない大人たち」になった。このなかで「戦場に送るな!」の当たり前の主張がはばかられ、権力の政治介入に腰が引けて「戦場に送ろう」派が調子づくような流れに屈服することはできない。というか、仮に自民党若手に代表されるような右巻きの「戦場に送ろう」派が我が子の担任になったら、それこそモンペ(学校や教師に文句をいいに来る親)どころではおさまらない親たちが爆発的に増えて、今以上に教師とのバトルが白熱し、学校は機能不全に追い込まれるのが現実だろう。教師は黙っても親は黙らない。                             吉田充春

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