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「桜田問題外の変」に思うこと

 以前から問題発言や頓珍漢な答弁をくり返していた桜田義孝五輪相(千葉県選出)がついに辞任に追い込まれた。今回は、自民党の高橋比奈子衆院議員(岩手県選出)の政治資金パーティーに出席し、「復興以上に大事なのは高橋さん」などと発言したことが引き金となった。

 

 2020年の東京五輪は「復興五輪」を標榜し、政府あげて誘致の段階から東日本大震災をフル活用して、塗炭の苦しみのなかから立ち上がっている日本--を世界へ向かってプロモーションしてきた。その五輪担当大臣が、こともあろうか「復興以上に大事なのは高橋さん」などと口にしてはばからないのである。とぼけていると同時に、復興や被災地への思いはその程度であることを赤裸裸に暴露するものだった。口をついて出てきたその言葉は桜田某の嘘偽りのない本心なのだ。そのようなとんでも発言を受けて、大きな拍手で盛り上がっていた会場の参加者たちも含めて、醜悪至極の一言に尽きる。

 

 福島第一原発の爆発事故に見舞われた福島、同じく地震と津波に襲われた宮城、岩手ではあれから8年を迎えてなお、まともに復興が進んでいない。延延とゼネコンによる盛り土や造成がくり返され、そこで暮らしていた住民たちを置き去りにしたまま時だけが過ぎて今日に至っている。東京五輪が決まってからは資材や工事に従事する作業員が東京の五輪関連施設の建設工事に奪われ、後回しにされているのが実情だ。「復興以上に大事なのは高橋さん」と同じで、「復興以上に大事なのは東京五輪」を政府が実行しているのである。被災地をお涙頂戴の慰みに利用し、時たま思い出したように24時間テレビで「花は咲く♪」を歌ってみたり、実際に花が咲いているのは五輪特需にわいている東京だけであったり、ひどい話である。

 

 国民の苦難に思いが至らないような者が大臣や政府の要職に就き、平然と今回のような発言をする。一強体制で緊張感がなくなり、弛緩した状態は相当に深刻といえる。国民の生命と財産を守り、その暮らしを保障するのが政府の役割のはずだ。そのためにガッポリと税金を取り立てていく。ところが東北の被災地だけでなく、熊本や土砂災害に見舞われた広島、岡山、愛媛など、被災地は年を追うごとに増え、いずれの地域も国による温かい支援が望めず、住民たちは自助努力に委ねられてもがいている。目の前で困っている国民のために働かない者が、一方で「国防」を叫び、武器購入だけは熱心であることなど、欺瞞に満ちた社会であることを痛感する。武蔵坊五郎

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