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下関市議選 議会全体には不信任の票 投票率は過去最低を更新

トップ当選は制裁された安岡克昌 本池涼子は堂々の当選

 

 下関市議会議員選挙が3日、投開票を迎えた。定数34に対して41人が立候補した今回の選挙は、投票率が過去最低を更新した前回選挙(45・47%)よりさらに低調なものとなり、43・37%を記録した。全有権者から見たときに、半数以上が棄権するという低調ぶりで、新市議会全体はとても信任されたとはいい難いものとなった。そのなかで、民主主義と生活を守る下関市民の会が擁立した長周新聞記者の本池涼子(無所属新人)は3135票を獲得し、上位当選を果たした。

 

 当日有権者数は22万3050人で、そのうち投票者数は9万6744人。棄権者数は12万6306人にのぼった。投票率は39人が立候補した2015年の前回選挙で50%を割り込み過去最低となったが、今回はさらに2・1ポイント下がり、きわめて選択肢の乏しい選挙であったことを示した。

 

 下関市は少子高齢化と人口減少が全国に先駆けて進行しており、その影響は各産業での人手不足や経済規模の縮小など、さまざまな分野に深刻な影響を及ぼし始めている。市財政も「あと五年で財政破綻を迎える」といわれる状況のなかで、5年後、10年後を見据えてこの現実にどのように対応し、市を立て直していくのかが問われている。

 

 こうしたなかでおこなわれた今回の選挙は、現職が8人引退して新人が14人立候補し、当初からかつてないほど顔ぶれが一新する可能性が指摘されてきた。本来であれば新鮮さをともなって各陣営が舌戦をくり広げ、投票率が上がって当然の選挙だったが、前哨戦から相変わらずの低調さで進展した。ポスター掲示板が設置されるまで市議選があることを知らない市民も多いなど、「静かな選挙だ」「候補者が回ってこない」「あの候補者は本当に実在するのか」など各所で話題になっていた。熱心に名前を売っているのは本人だけで、熱意を持ってとりくむ支持者や陣営の姿が見えないのが特徴だった。

 

 選挙戦に突入して以後も、各陣営の選挙カーは名前の連呼ばかりで、堂堂とみずからの政策を市民に訴える者は見当たらず、これまでにも増して内容の乏しい選挙戦がくり広げられた。選挙カーを一度も見ない候補者もおり、最後まで「だれが何をしたいのかわからない」という声は全市で共通したものとなっていた。

 

 市民のなかで「低レベル選挙」という評価が定着しているが、その原因は現職から新人に至るまで、何らかの組織を抱え、低投票率に抑えて組織票で勝ち抜ける選挙構図を最後まで徹底したことにある。政治不信のうえに乗っかって、投票率が下がれば下がるだけ、組織票の強みが増す構図だ。

 

 そのなかで本池涼子陣営は、選挙期間を通じて全市内約90カ所で街頭演説をおこない、人口減少が全国最先端で進む下関において、個別利害の奪いあいではなく、市民全体のために市政を機能させること、産業振興策を講じることが待ったなしとなっており、山積する課題に対して、市民の声をつなぎ、いかなる権威に対しても遠慮せず是是非非を貫くことを訴えた。「あきらめから何も生まれないのであれば、みんなの力でこじ開けにいこう」という訴えは大きな共感を呼び、確かな力を示した。

 

 全有権者の半数にそっぽを向かれ、市民から浮き上がった新市議会がスタートする。今回の選挙結果は、安倍一強体制のもとで安倍・林の支配におもねり、二元代表制の建前すら放棄した下関市議会のありように、市民が不信任を示したものとなっており、このことは当落にかかわらず41陣営全体の責任として突きつけられている。

 

 なお、前回市長選の怨恨で安倍派から攻撃を受け、自民党下関支部から公認をはずされていた林派の安岡克昌が前回選挙よりも1000票以上上乗せしてトップ当選を果たした。

 

当選が決まり万歳する本池事務所

 

街頭演説90回 本池涼子が訴えたこと 

 

 民主主義と生活を守る下関市民の会が推薦した本池涼子は、選挙期間中に市内全域を走り回り、不特定多数の有権者が集まる商業施設やスーパー前、駅前、下関市役所前をはじめとした街頭から、延べ90回の演説によって訴えを届けた。場所によって内容は多少異なるものの、その中心となった内容を紹介する。

 

 

◇---◇

 

 市議選も本戦に突入しました。この選挙を迎えるにあたって、私は一人でも多くの方方との出会いを求め、生まれ育ったこの下関の街を走り回ってきました。若い世代のみなさんや、子育てで忙しくされているお母さん方、職種や年代を超えたさまざまな方と出会い、下関市政に何を思っていらっしゃるのか、その暮らしの実状や、地域の抱えている問題について、膝をつき合わせてお話をする機会を得ることができました。

 

 そのなかでみなさんが共通して語られていたのは、衰退著しい下関への危機感でした。かつては水産業を基幹産業とした商業の街として賑わっていた下関ですが、近年は年間2900人ペースで人口減少が進んでいます。年間2900人というと、市長及び議員の任期4年間で、およそ1万2000人ペースです。これは合併した旧豊浦郡の町が一町失われるほどのひどい規模です。

 

 合併時点では総人口は30万人といわれていました。それが10年以上たってみると戦後初の25万人台へと減っています。人口減少数は東北の被災地を除くと全国ワースト4位ともいわれています。全国に1741ある地方自治体のなかで、いかに抜きんでて人口が減っているかをあらわしています。

 

 そのなかで空き家や廃屋が増え、同時に現役世代の都市部への流出にともなう人手不足も深刻なものになっています。産業や暮らしをどう維持していくのかが切実な問題になっており、このままいけば5年先、10年先の下関はどうなってしまうのだろうか、という思いを多くの方方がのべられていました。

 

 人口減少がよその都市と比較しても著しいという事実は、よその都市と比較して、いかに定住するための条件が悪くなっているのかという問題を突きつけているように思いました。人口が減少すれば、経済活動の規模も当然縮小してしまいます。お医者さんであれば患者数、お寺さんであれば檀家さんの数、企業さんであれば取引先や対象とするお客さんの数が減り、飲食店といっても同じです。下関市役所も税収を失うことを意味します。

 

 個人の努力ではどうしようもない、抗うことのできない大きな変化が伴っているなかで、「どうにかならないだろうか」から一歩踏み込んで、どうするべきなのか、解を積極的に求めていくことが、これからを担う私たちの仕事なのだと思っています。

 

 年配の方方に伺うと、戦中に要塞都市だった下関は、戦後は水産都市として復興を遂げ、東洋一の水揚げを誇ったこともあったといいます。その主力だった以西底引きがなくなってからというもの、下関大丸の元となった大洋漁業は本社を移転し、漁港市場界隈の衰退は著しいものになり、関連産業に従事していた人人の暮らしにはずいぶん大きな影響があったといいます。第一次産業である水産業が栄えたことによって、サービス業や飲食業といった第三次産業が発達し、彦島や長府地域の製造業も高度成長とともに伸び、都市として発展することで周辺人口も吸収していたといいます。

 

 産業とは何か、私自身、もっと厳密に勉強しなければなりませんが、下関で暮らしていくためにはまず仕事があることが大前提です。家族を養い、子育てや親の介護を安心してできる環境がどうなっているのか、街の来し方をあるがままに捉え、これからを考えなければならないと思いました。

 

 地域コミュニティーを維持し、教育福祉をはじめ市民生活を支える行政機能を維持し、そして産業振興策をなにがなんでも講じていかなければならない――。これが下関市が直面している喫緊の課題だと思っています。こうした閉塞感を打開するために、リーダーシップを発揮すべき行政や議会はどうあるべきなのか、それこそ存在意義が問われています。新庁舎をはじめとした箱物を作ってさえいればいいというようなことでは、歯止めをかけることはできません。ましてや議場で寝てばかりいるというのでは話になりません。

 

 先の市長選を皆さん覚えておられるでしょうか。市政の主導権をどの政治派閥が握るかを巡って、まさに個別利害がぶつかり合っているような光景でした。下関市政はどちらの国会議員事務所のものでもなく、「下関市民の暮らしのためになければならないものだ」という当たり前の道理が、どこかに置き去りにされてはいないでしょうか。

 

 誰を見て政治をしているのか、行政や議会にかかわる以上、曖昧にしてはならないと思います。馴れ合いや惰性を基本にした右へ倣えではなく、あくまで是是非非を貫き、下関市政に民主主義を貫いていく――チェック機能としての役割を果たしていく――。私はこのことを皆さんにお約束します。国政であれ、市政であれ、個別利害の代理人ではなく、「公」のために働かなければなりません。

 

 夫婦共働きの家庭が増えるなか、急増している児童クラブの体制や保育行政を充実させること、トイレットペーパー代まで父母負担というような、他市からみても驚くように少ない教育予算を充実させること、少子高齢化と空洞化が著しいなかで、もっと地域に分け入って実状を捉え、子ども食堂や高齢者世帯の支援にかかわることなど、やるべき課題は山積しています。個個バラバラの状態で放置されるのではなく、人と人をつなぎ、具体的に市民生活の困難や実状を把握し、解決に向けて能動的に動くことが求められていると思います。

 

 一人一人の市民の皆様の思いを束ねて議会に届ける――。そのためにはいかなる権威にも遠慮せず、あからさまに物申していく決意と覚悟が必要なのだと自分にも言い聞かせています。一人よがりではなく、人と人をつなぎ、みんなの思いや力と一緒になって市民のために献身する、そのような政治姿勢を貫きたいと思います。あきらめから何もうまれないのであれば、みんなの力でこじ開けにいきましょう! そのために力を貸して下さい! 若輩者ではございますが、本池涼子、全力で挑んで参ります。皆様の暖かいご支援、何卒よろしくお願いいたします。

 

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安岡での演説

 

 安岡・横野沖に洋上風力発電の建設計画が持ち上がってから、既に5年もの歳月が経過しました。この間に、10万人を超える反対署名が集まり、市議会は全会一致で反対決議をあげています。昨年は前田市長も「進めるべきではない」と議会の場で地元首長としての見解をのべています。

 

 住民のみなさんが安岡、横野の暮らしを脅かすことは許さないのだと一致団結して声をあげ、1000人を超えるデモを何度もとりくみ、このように毎月地道な街頭行動によってアピールしておられることが、行政や議会を動かしている原動力なのだと、確信しています。

 

 それにしても、議会も行政も反対の立場を明確にしているのに、どうして前田建設工業は撤退しないのでしょうか。この計画は遅れに遅れているとはいえ、いったいどこまで引きずるつもりなのでしょうか。その度に、住民の皆さんや反対する者を裁判に訴えるというのでしょうか。もともと静かに暮らしていただけなのに、どうしてよそからやってきた側から裁判で訴えられたり、洋上風力ができる前から暮らしを脅かされなければならないのか、これほどおかしな話はないと思います。

 

 まず第一に、洋上風力発電については、原発のように地元自治体や周辺自治体の同意を必要とする制度設計になっていないこと自体、問題ではないでしょうか。生活環境が様変わりするだけでなく、低周波音による健康被害すら問題になっています。そして下関ひびき支店に所属する漁師さんたちの生活の糧である、海を台無しにすることがわかっているのに、住民同意もなく、その意志を飛び越えて事が動くなど、あってはならないことだと思います。

 

 私は長周新聞社の記者として、山口県の東に位置する、上関町の原発建設計画の取材チームに加わっていた時期がありました。いまでこそ原発計画は中断状態を余儀なくされていますが、全国最後の新規立地ということもあり、祝島の島民のみなさんに対して、漁業補償金を受け取れと何度も攻勢がかけられていた時期でした。

 

 島に暮らしておられる漁師さんをはじめ、70代から80代のおばあちゃんたちが、子や孫のため、豊かな瀬戸内海や郷土を守るために、身体を張って座り込みをやり、着工工事を阻止するさまを、この目で見て取材してきました。それは安岡のみなさんの姿とも重なるものがあります。上関原発建設は計画浮上から既に37年が経過しますが、1基もつくらせていません。福島事故があり、安全神話は過去のものとなりましたが、「クリーンでエコ」「地球に優しい」などといわれていた原発が、福島県の浜通りに暮らしていた何万人もの人人を故郷から追い出しました。「地球に優しい」といいながら、人間には優しくありませんでした。

 

 「エコでクリーン」「地球に優しい」。洋上風力もどこか同じイメージをともないながら持ち込まれたものですが、少なくとも安岡・横野沖洋上風力を巡っては、つくる前から人間には優しくない、住民に対して横暴であるということを、何か事あれば片っ端から裁判に訴えられるという出来事を通じて感じています。

 

 国策に抗うことがどんなに大変なことか、それは身をもって体験した方にしかわからない苦労がともなっているのだと思います。しかし、あきらめない、屈服しない力が横につながり、下から世論を盛り立てていくことが大切なのだと、安岡や横野のみなさんの、身体を張った行動から教えられています。

 

 私はいま、市議選をたたかっています。泣いても笑っても今日が最後。地元で風力反対を貫かれてきた福田市議の健闘を祈ると同時に、私自身も議場で風力反対の旗を振ることができるよう、全力でがんばって参ります。

 

 市民の暮らしを脅かす者とは年齢や男女の別なく、身体を張って対峙する。良いことは良い、悪いことは悪いと是是非非をはっきりと物申す、そのような市議になれるよう、壁にぶつかっていく所存です。みなさんの温かいご支援を何卒お願い申し上げます。

 

安岡地区での街頭演説

 

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