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再エネによる国土破壊を止めよう 全国再エネ問題連絡会が各地の住民運動をつなぐ全国大会 温暖化対策と称して命を脅かす本末転倒

 全国再エネ問題連絡会は7月22日、第2回全国大会を兵庫県西宮市の夙川公民館で開催した。会場とオンライン参加をあわせて約230人が参加した。同連絡会は、政府が「地球温暖化対策」として進めるメガソーラーや大規模風力発電の建設は、二酸化炭素吸収源である森林を大破壊し、水源を枯渇させ、土砂災害を誘発し、低周波音による健康被害を引き起こすなど、本末転倒の事態を招いていることを明らかにし、国内外の投資家への利益誘導で進む再エネ乱開発をみんなの力で止めようとネットワークを広げてきた。2021年7月に連絡会を結成して以降、各地で住民たちが次々と声を上げ始め、現在までに北海道から九州まで49の住民団体が参加している。第2回大会では、各地のとりくみが生き生きと報告され、お互いの経験に学び合って、再エネによる国土破壊を止めるためによりいっそう奮闘することを決意する場となった。

 

再エネ問題連絡会の第2回全国大会(22日、西宮市)

 はじめに開会の挨拶に立った同連絡会共同代表の佐々木浄榮氏(長崎県・宇久島の生活を守る会)は、「現在、“地球温暖化”“CO2削減”の大号令の下に、行き過ぎた再生可能エネルギーの推進が全国各地でおこなわれている。元に戻らない貴重な自然環境、生活や命を守る防災を犠牲にしてまで、そんなにたくさんのメガソーラーや風力発電が必要なのか。私たち全国再エネ問題連絡会は、手遅れになる前に、行き過ぎた再エネによる乱開発を止めようと全国各地の住民が集まって2021年に結成された。みなさんの力を結集し、現在の異常な再エネ推進に警鐘を鳴らそう」と呼びかけた。

 

 次に基調講演として、山梨大学名誉教授の鈴木猛康氏(防災推進機構理事長)が「増災――日本列島崩壊に至る再エネ開発」と題して講演した。鈴木氏は、藤原京から平安京まで100年で4回の遷都や、豊臣秀吉の「武庫山の樹木伐採許可」から説き起こし、「為政者による開発や法制度が、後世に大きな災害となって人々を苦しめることを増災という」とのべた。山梨県甲斐市の菖蒲沢メガソーラー事業が山の斜面の広葉樹林を皆伐したことで、熱海市土石流災害の13倍の土砂が下流の住宅街を襲う危険性があることなど、全国各地の実情を報告した【次号掲載】。

 

 また、同連絡会共同代表の室谷悠子氏(日本熊森協会会長)は「国の再エネ規制はどう進んだか?」について報告した。

 

 室谷氏は「現在の法律ではメガソーラーも大規模風力発電も止められず、手続きを踏めばつくることができるというのが大前提になっている。そこで連絡会として法規制を求める運動をやってきた。各省庁をまたぐ検討会ができ、規制の検討がされて、再エネ特措法の改正(FIT・FIPの認定要件の改正)などがやられた。しかし、これでは再エネは止められない。国有林では現在28の風力発電の計画があり、計画実施面積を足すと21万9000㌶と、東京都の面積をこえる大きな森林開発が進んでいる実態がある。これは2020年に当時の菅首相が2050年までのカーボン・ニュートラル(脱炭素)をうち出し、翌年の森林・林業基本計画に“カーボンニュートラルの実現への貢献”という項目が追加されたからだ。大事なのは、地域の人が腹を据えて声を上げ、地域を挙げた運動にすることだ。それにより事業をストップさせる例も各地で起こっている。日弁連でも再エネ問題のプロジェクトチームができ、問題にとりくんでいる」とのべた。

 

宮城、兵庫、京都… 住民運動により中止も

 

三重県青山高原に林立する風車

 続いて全国各地からの報告に移った。

 

猪股弘氏

 宮城県加美郡加美町の「加美町の未来を守る会」共同代表の猪股弘氏は、次のように報告した。

 

 「奥羽山脈の山の中、限界集落の地区に2年前、突然風力発電計画が持ち上がった。仲間とともに地域の公民館で60人ほどの勉強会を開いた。私たちより早く、近くの風力発電を考える会のメンバーが署名活動を始めていた。知れば知るほど、風力発電がとんでもないものであることがわかった。現在加美町には、5事業・155基という風力発電計画が持ち上がっている。そして、すでにJREという企業が4200㌔㍗の風力発電10基の建設を始めている。多くの住民が知らない間に進んでいた」

 

 「そこで町の人たちに風力発電とはどんなものかを知ってもらうため、自分たちでニュースレターをつくり、雪の中を一軒一軒、町内1500戸を配って歩いた。今年5月まで5回にわたってニュースレターをつくり、加美町から加美郡全体に新聞折込なども含めて広げていった。なんとか風力発電を止めたいという一心で今日まで走ってきた。町長や議会、県知事に陳情書を提出し、署名は県内外から2万6000筆が集まった。町長は“町は中立だから”“国や県が推進しているから”というが、私たちの活動は止まらない。やはり議員任せでは町は動かないことも学んだ」

 

 「現在私たちは、JREの10基の風車について、加美町とJREの地上権設定契約が違法・無効であるとして、加美町長を相手どって住民訴訟を提起している。議会の議決のないまま事業者に過大な便宜をはかる内容の契約で、これでは事業終了後の原状回復や、万が一風力発電で事故が起こった場合の対処を事業者に求めることができなくなるからだ。同様の内容の住民監査請求は却下された。私たちはみんなの生活を、未来を守るためにやっている」

 

山地弘純氏

 次に兵庫県新温泉町の「新温泉町いのちをつむぐ会」・山地弘純氏が登壇し、次のように発言した。

 

 「兵庫県北部の過疎地域でお寺の住職をしている。山間部の尾根沿いに高さ150㍍、4500㌔㍗の風車を21基建てる計画が持ち上がった。寺のある熊谷という谷あいの村を四方向から包むような計画だ。事業者はエクイスエナジーというシンガポールに本社を置く外資系ファンドで、それが日本につくった合同会社NWE09インベストメント。だがこの事業者はすぐにヴィーナエナジーに買収された。それについても住民は強い不信感を持っている」

 

 「私たちが気づいたのは、2018年2月に環境アセス方法書が提出されたときで、その年の6月にいのちをつむぐ会を結成した。2019年3月に、熊谷を含む4区が区の会議で風力反対を採択し、今後調査に協力できない旨事業者に通知した。以後は調査がストップして現在まできている。今日も会場に来られている北海道、秋田、島根のみなさんに助けていただきながらここまできた。初めは情報も限られ、個々に活動しているけどつながっていない心細い状況だったが、徐々に仲間が増えて署名活動を開始し、町長に計画の白紙撤回を求める嘆願書も提出した。町長も“風力発電事業は必要ない”ときっぱり断っている」

 

 「事業者はまだあきらめていないようで、最近また説明会がしたいといってきている。町長も任期が切れる。国の再エネ推進圧力に屈せず、白紙撤回まで頑張る体力がみんなに残っているかどうかが課題だ。そのなかで放置されたままの人工林に対して“皮むき間伐・樹らめき”を実施している。女性でも子どもでもできる、全員参加型の森林再生プロジェクトだ。間伐によって大地は再生し、森は蘇り、保水力は上がり、伐採した木はいろんな形で活用している。反対活動はしんどいものだが、みんなが楽しみながら、減災を考えながら活動している」

 

永井友昭氏

 三番目は京都府京丹後市の市議会議員・永井友昭氏で、次のように報告した。

 

 「2年前、丹後半島に巨大風車50基の計画が持ち上がっていることを知った。具体的には、太鼓山ウィンドファーム2500㌔㍗×4基に続いて、昨年春に前田建設工業が丹後半島第一風力発電(4300㌔㍗×12基)、同第二風力発電(4300㌔㍗×15基)が持ち上がり、夏頃に自然風力による磯砂山風力発電(4200㌔㍗×14基)が持ち上がった。実際に現場を見て歩いてみると、事業者自身が本当に歩いたのかと思うほど急峻な尾根筋で、深い谷に崩れているところもあった」

 

 「地域の人たちが一番最初に動き始めた。“市は美しいふるさとづくり条例にもとづいて、審議会でこの問題をとりあげろ”として、事業者との個別の話し合いを拒否した。“これまでも私たちは陸の孤島で困っていた。そこにこんなものをつくられたらとんでもない”という意見だった。“丹後の自然と暮らしを守る会”ができ、署名運動を開始した。説明会でも反対意見が圧倒し、市議会は“市民の懸念が払拭されないかぎり、事業の中止や事業規模の縮小を含め、必要な事業計画の見直しをおこなうこと”という厳しい内容の答申を出した。そのなかで自然風力は“事業性を担保した事業計画は極めて困難”と判断し計画を中止した。地元の人が声をあげ、審議会がつくられ、いろんな市民団体のいろんな活動があってここまできた。最後まで頑張りたい」

 

 四番目に、山梨県北杜市の「太陽光パネルの乱立から里山を守る北杜連絡会」・坂由花氏がビデオレターで報告した。

 

 ビデオレターでは、山梨県北部に位置し南アルプスを臨む北杜市は、2013年に市長が全国に先駆けて太陽光発電施設を受け入れたが、その市長は太陽光発電関連会社の未公開株を保有していたことが明らかにされた。

 

 また、山梨県内の太陽光発電施設のうち約3割が北杜市に設置され、メガソーラーは18件、大規模発電を小分けした分割案件も多数、市内には約2300件の太陽光発電施設があることも報告【写真参照】。

 

山梨県甲斐市菖蒲沢の第三太陽光発電所

 そのために山や傾斜地を切り開き、土砂災害警戒区域にも設置されており、道路に水があふれ土地の陥没も起きていることや、投資目的での転売がくり返され、住民説明会で事業者が住民を恫喝、暴行を加える事件も起きていることなどが報告された。

 

長崎や北海道からも 低周波による健康被害

 

有吉靖氏

 大会は後半に移り、長崎県佐世保市の医師・有吉靖氏が登壇した。

 

 有吉氏は「長崎県の宇久島には、今、合計10万㌔㍗の巨大風車群を建てる計画があり、合計48万㌔㍗という日本最大のメガソーラーの工事がすでに始まっている。宇久島は4㌔×7㌔しかないので、風車病になった人は逃げるところがない。風車病とは、めまい、動悸、頭痛などを起因とする睡眠障害症候群だ。風車病の一番難しいところは、みんなが風車病になるわけではなく、なる人は3~5%で、個人差があることだ。しかし私たち医者からすると、風車を止めたら、それまで辛かった人が改善したとなると、それは風車が原因と見る。その当たり前が通らないのが環境省だ」とのべた。

 

 そして20ヘルツ以下の超低周波について、風車が風を切るたびに低周波音が発生すること、人間の耳が感知する音より超低周波音の方がより気持ちの悪い音になることを、会場で実験的に示した。

 

佐々木邦夫氏

 続いて北海道風力発電問題ネットワーク代表の佐々木邦夫氏(石狩市)が、「私も以前は再エネが原発に代わる新しいエネルギーだと思っていたが、家のすぐ側で小型の風力発電が稼働し始めると夜眠れなくなり、頭痛やめまいがし始めた。それ以来、風力発電について調べ始めた」として、次のように報告した。

 

 「北海道では、陸上風力発電だけ見ても、現在稼働中のものが324基、出力合計52万4850㌔㍗。現在計画中が1751基、出力合計724万7029㌔㍗で、これがすべて稼働し始めたとすると、合計2075基、出力合計777万1879㌔㍗になる。これに今計画中の洋上風力をあわせると、3000基以上にもなる。石狩湾では10事業者が、それぞれ100~250基の洋上風車を建てる計画を出している」

 

 「日本最北端の宗谷管内を見てみると、163基の風力発電が動いている。アセスにかかっているものをあわせると、京都府と同じ面積の中で700基の風力発電が動いてしまうことになる。宗谷管内には利尻・礼文国立公園があり、ラムサール条約湿地や自然度の高い地域に大きな計画が進められている。陸上風力は最新のもので4300㌔㍗、高さ160~170㍍だが、最近では陸上で7000㌔㍗、高さ210㍍という巨大なものもあらわれている」

 

 「北見市常呂地区では、崩壊危険地区の上に風車の工事が始まっている。風車の巨大なブレードを運ぶため、風車に向けて森林を伐採して大きな道路をつくっているが、脆弱な土地なのですでに崩れている。風車の基礎も大きく、深さ30㍍、幅40㍍で、これが山の尾根につくられている【写真参照】。この先20年間ももつのか、非常に不安になる」

 

風力発電のための道路を作るために山林を大規模に伐採(北海道北見市常呂地区)

 「稚内では、酪農家が牛を放牧しているところから160㍍のところに、4300㌔㍗の風車が15基、その横にも19基が稼働している。新規就農者がやめざるをえない状況がある。頭痛がする、めまいがする、テレビが映らなくなった、携帯が使えなくなった、など多くの声を聞いている」

 

 最後に佐々木氏が、「小樽余市の風力発電計画が6月に中止になった。住民たちが小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会を立ち上げ、自然災害の危険性や低周波音による健康被害などを訴え、署名活動も広げてきた。そのなかで小樽市の泊市長が記者会見を開き、“市民の総意として是認できない”とのべ、大手総合商社・双日が中止を発表した。環境アセス準備書まで進んでいても止めることができたということを、みなさんに伝えたい」とのべると、会場から大きな拍手が送られた。

 

安田秀子氏

 同じく北海道風力発電問題ネットワーク副代表の安田秀子氏(石狩市)が、北海道の洋上風力発電について次のようにのべた。

 

 「石狩湾は国の洋上風力促進区域指定で“有望な区域”に選定された。国が主導してやるということだが、問題は自然環境や生活環境への影響を考慮せずに促進区域が決まっていることだ。促進区域が決まってから事業者を公募して、公募された事業者が環境アセスをやることになる。また石狩市では、大規模な洋上風力計画なのに、議会にも環境審議会にもかけず、市長や関係部局が決めている。今後、国が法定協議会をつくるが、そのなかに一般市民は入れない」

 

 「それとは別に、今進んでいるのが石狩湾新港洋上風力発電で、事業者はグリーンパワー・インベストメントがつくった目的会社だが、同社は五月にNTTとJERAに買収された。7~8月にかけて、8000㌔㍗の風車を14基建てるものだ。すでに海岸には3000㌔㍗級の風車が19基回っている状況で、累積影響を非常に懸念している。今、海岸の工業団地では、従業員を募集するときの面接で“あなたは低周波音は大丈夫ですか?”という質問がされている。冬、風車の風下で、めまいや頭痛、吐き気が起こり、寝込んだ人もいる」

 

熊本・水俣から 水源や山林荒らす開発

 

中村雄幸氏

 報告の7人目は、熊本県水俣市の「ちょっと待った! 水俣風力発電」代表の中村雄幸氏が登壇した。中村氏はまず、「私たちがとりくんでいる水俣風力白紙撤回の署名に、毎日毎日、全国からたくさんの署名やメッセージが届いて勇気づけられている。こういう場で発言したことはないが、今日はお礼のつもりで発言する」と前置きした。

 

 そして、「水俣市はピーク時の人口5万人が、今では半分以下となり、毎年20の事業所が閉鎖し、400人減っている。水俣病は1971年時点で被害者は150人で、そのうち48人はすでに亡くなっていた。それが今、隣の鹿児島県とあわせると3万8000人の被害者が認められている」とのべた。

 

 「なおかつ1600人以上の人が救済を求めて裁判をやっている。67年経って全貌はまったく見えていない。環境破壊のしっぺ返しがどれほど大きなものかということだ」とのべ、続けて風力発電について次のように発言した。

 

 「水俣市内では、水俣で一番高い大関山にJREが15基。水俣市の南の鬼岳周辺では、Jパワー(電源開発)が30基。ここは水俣特産のお茶の栽培がさかんなところだ。下の方には温泉街が続いている。さらに日本風力開発が19基の計画を出している」

 

 「水俣市では水を土台にして私たちの生活がある。これは水俣市のある市民団体が沢を一本一本源流までたどって、それを地図に起こしたものだが、これだけ毛細血管のように水俣市全域に水が行き渡っている。そして二つの川があわさって水俣川になり、海に注ぐ。いいたいことは、水俣市に降った雨だけで、水俣市の生活用水、農業用水、工業用水が全部まかなえる。そのうえ対岸の離島・御所浦に日夜、送水している。それほど水の豊かなところで、昔は“水の都”といわれた。問題は、大関山のあたりは国有林と水源かん養保安林、鬼岳のあたりは県有林と水源かん養保安林、土砂流出防止保安林に指定されている。その大関山と鬼岳に風力発電を建てるというのだから、“息の根を止める”という言葉があるが、私たちにとってはまさに“水の根を止める”ということになり、暮らしが立ちゆかなくなると危惧している」

 

 中村氏は最後に、「現在、水俣の山は荒れており、雨が降ると土砂災害も頻繁に起こる。そこに風力発電を建てるとどうなるか。多くの市民にこのことを知らせ、もし第三回全国大会があれば、きっといい知らせを持っていきたい」と結んだ。

 

 報告の最後に、山形県鶴岡市の「ラムサール湿地近接風車建設に反対する会」の草島信一氏がビデオレターを寄せた。大会アピールを、全国再エネ問題連絡会共同代表の安藤哲夫氏(宮城県)が読み上げ、再会を誓って終了した。

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