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米軍と連動し宇宙監視システム整備 山陽小野田市にレーダー設置計画

 米国防総省が「宇宙軍」創設法案を3月1日に議会へ提出するなど、宇宙空間の軍備増強を急ぐなか、日本でも「宇宙状況把握」(SSA)システムの整備計画が動いている。安倍政府が3月27日に決定した平成31年度防衛予算では、SSAシステム取得費に260億円を計上した。2022年度までに宇宙監視専用レーダーを山陽小野田市(山口県)に配備し、運用システムを府中市(東京都)に設置する計画である。しかも新設する宇宙監視レーダーは、米軍が主導する世界的な宇宙監視体制構築の一環で、他国の衛星監視や除去が任務だ。米軍の宇宙監視に日本を巻きこんでいく動きが加速している。

 

 防衛省は2022年度に新設する宇宙監視部隊の動きと連動して、専用レーダーを海上自衛隊山陽受信所(山陽小野田市)に配備する計画を進めている。同レーダー配備については「運用中の人工衛星とスペースデブリ(宇宙ごみ=運用を終えた人工衛星やロケットの部品など)の衝突を防ぐための措置」と説明してきた。しかし実際は宇宙空間で増えた宇宙ごみ(デブリ)の監視だけでなく、他国の人工衛星を攻撃する「キラー衛星」も監視することが明らかになっている。

 

 宇宙空間には1957年以来、7000超(日本は約200機)の人工衛星が打ち上げられている。それに加えてロケットの残骸もあり、スペースデブリが増え続けている。このスペースデブリは秒速7~8㌔の速さで飛び回っているため、レーダーで動きを事前にとらえ、ぶつからないように衛星軌道を修正する役割は重要な意味を持つ。通信機器と直結する通信衛星、位置情報を把握する測位衛星などが破損すれば、国民生活に大きな影響を及ぼすことになるからだ。

 

 だが防衛省が計画するレーダー設置は「ロシアや中国がキラー衛星の開発を進めている」「宇宙空間の平和利用を妨げる物体を監視する」と主張し、他国の衛星を監視・追尾し、ある場合は除去する体制をつくる軍備強化が狙いである。そのため自衛隊や文科省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2016年以後、米戦略軍が主催するSSA多国間机上演習「グローバル・センチネル」に毎年参加してきた。アメリカはすでにドイツ、フランス、カナダ、豪州などと連携して各大陸ごとにレーダー施設を配備し、世界的な宇宙監視体制の構築を進めている。日本への宇宙監視レーダー配備はアジア地域唯一のSSAシステムとなる。それは米軍が日本を拠点にして、中国やロシアをにらんだ宇宙空間監視を本格化させることを意味している。防衛省の公開資料では「グローバルなSSAネットワークを有する米軍とも情報を共有」と明記している。

 

 さらに2017年には防衛省とJAXAはSSAをめぐって協力協定を締結した。航空幕僚監部(空幕)とJAXAも、SSAシステムの設計・整備にむけた技術連絡会設置などを規定した協定付属書を締結しており、2017年11月からは空幕から航空自衛官をJAXAに派遣し具体化を進めてきた。こうして防衛省の予算だけでなく、文科省の宇宙関連予算も使えるようにして宇宙監視体制構築を急いでいる。

 

監視施設を各地に設置

 

 現在、日本に設置しているSSA関連施設は、美星(びせい)スペースガードセンター(光学観測施設、岡山県井原市)、上斎原スペースガードセンター(レーダー観測設備、岡山県鏡野町)、筑波宇宙センター(データ解析システム、茨城県つくば市)の3カ所である。これに加えてDSレーダー(探知距離約4万㌔㍍、複数目標を同時追尾することが可能)を山陽小野田市に配備し、レーダー情報分析・運用部門を空自府中基地(東京都)に配備する計画が動いている。

 

 防衛省が配備候補地を山陽小野田市の自衛隊基地にしたのは、同県が東経131度で、赤道上の同110度から160度にかけて多い静止軌道帯の衛星を監視しやすいこと、周辺に民家が少なく、新たに土地を取得する必要がないからだという。そのために防衛省は山口県と山陽小野田市に設置方針を伝達し、広範囲な監視網を構築する軍事施設設置に乗り出している。防衛省は2023年から実運用を開始する青写真を描いている。

 

 山口県下では米軍岩国基地に厚木基地の米軍艦載機部隊が移転し、萩市では長距離攻撃ミサイルであるイージス・アショア配備計画が動き、全県を米本土防衛に動員する動きが露骨になっている。こうしたなかで、米軍の指示に基づき、他国の衛星を監視・除去する軍事態勢の強化が進行している。安倍政府が昨年末に決定した防衛大綱は「安全保障上の脅威が多様化している」として、陸・海・空に加えて宇宙空間等の軍備強化を進めることを強調した。山陽小野田市へのレーダー配備はこうした日本全土の米軍事基地化と連動している。

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