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日米FTA容認に踏み込む 日米首脳会談 トランプの勝利宣言が意味するもの

 安倍首相は26日午後、ニューヨーク市内のホテルでトランプ大統領と日米首脳会談をおこない、農産品を含むすべての物品を対象にした二国間の新たな関税交渉を始めることで合意し、実質的な日米FTA(自由貿易協定)容認姿勢を明確にした。従来から国内向けには「日米FTAは拒否する」としてきていたが、トランプの要望をそのまま受け入れ、トランプに「いい取引ができた」といわせるような軟弱外交ぶりを見せた。

 

 今回の貿易交渉では、トランプの自動車への追加関税を「脅し」にして譲歩を迫る手法に安倍首相は完全に屈服した。トランプは米国の対日貿易赤字の8割を自動車・同部品が占めていることを槍玉にあげ、追加関税を課すと圧力をかけてきていた。安倍首相はトヨタなど大企業の利益を守るために、農漁業を犠牲にすることを選択し、実質的な日米FTAの協議に応じることを容認した。

 

 二国間協議でのトランプの狙いは農産品、なかでも米国産牛肉の関税引き下げだ。安倍首相は「環太平洋経済連携協定(TPP)の水準までしか関税を引き下げない日本の立場を米側も尊重することを確認した」とした。だが、アメリカが牛肉などに関し、TPP水準以上の関税引き下げを迫ってくることは必至だ。

 

 日本の牛肉関税は米国産に対し38・5%だが、TPP加盟国には最終的に9%まで引き下げる。トランプが2017年にTPPを離脱したため、米農業団体は対日輸出がオーストラリアなどTPP加盟国よりも不利になると不満を示していた。トランプは日米FTA交渉に入ることでTPP以上の市場開放が勝ちとれると宣伝してきた。さらに今回の安倍首相の譲歩につけ込み、トランプが再び自動車への追加関税の「脅し」を持ち出して新たな譲歩を迫る事態も十分想定される。

 

 日米首脳会談の結果を受けて国内で反発が広がるなか、安倍首相は会談後の記者会見では、「包括的なFTAとは異なる」ことを強調した。また日本政府としても、新関税交渉の呼び名を「日米物品貿易協定(TAG)」といいかえて国内世論の反発をかわそうと懸命だ。だが日米首脳会談を受けての共同声明ではTAGの議論完了後に「他の貿易・投資の事項も交渉をおこなう」と明記しており、今後の交渉が実質的なFTAへの入口になるとの扱いだ。

 

 また共同声明で「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの内容が最大限であること」を米側が「尊重する」と明記したとして、安倍首相は「農産物については、今までわれわれが認めたもの以上は認められないという日本の立場は理解していただいた」とのべた。だがトランプは会談で対日貿易赤字の削減を強調しており、今後の交渉で牛肉など農畜産品のTPP水準以上の市場開放へ圧力を強めるのは確実だ。

 

 トランプは26日の記者会見で「日本は長年、貿易問題を議論しようとしなかったが、やる気になった。ものすごくいいディール(取引)がまとめられると確信している」とのべた。ライトハイザー米通商代表も26日、新関税交渉についてFTAも視野に入れていることを示唆した。

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