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下関でも戦争想定の体制作り  港にはフェンス・相次ぐテロ訓練  朝鮮制裁の臨検港指定も

 北朝鮮による核実験を契機に、 “日本列島戦場化” 体制を強化する動きが強まっている。90年代から周到に準備してきた有事体制を、ここぞとばかりに興奮して推進するさまが露呈している。下関市では昨年からテロ対策訓練などが頻繁におこなわれるようになったが、安倍政府は今回の核実験問題とかかわって、周辺事態と認定すれば下関港を臨検を行う指定港にする方向で検討をはじめている。関係する機関では「ほんとうに戦争をやりかねない」と危惧(ぐ)する声が高まっている。市民の知らないところで、核兵器や生物兵器、ゲリラ攻撃など、「武力攻撃」を想定し、市役所をはじめとした各組織の体制整備も進められている。

 各部局代表を緊急招集・「核実験」の対処も突出
 核実験後、安倍首相にならった江島市長は各部局の代表者らを招集して緊急ミーティングを開くなど、ボルテージが上がりっ放しだ。「下関市ではどのような事態が想定されて、各部局はどのように対応するか」「大気汚染の状況はどうか」。第1回ミーティングで市長が出した“宿題”に沿って各部は情報を持ち寄り、20日には第2回会合が持たれる予定となっている。
 市役所7階でミニ閣議ばりの大騒ぎをやっているわけだが、鼻息が荒い市長の背後では、下関を軍事的な重要拠点にする事態が進行している。軍事衝突を誘発する臨検の港となれば、緊張が高まることは必至だ。
 近年、政府が有事体制を強化するなかで、下関においても具体化が露わとなってきた。もともと関門地域が狙われる動機などないのに、近年は、米軍艦船が好き放題に利用できる港になり、テロ対策として港にフェンスを張り巡らせるなどした。利用価値のはっきりしない沖合人工島は鉄門が設置される予定で、軍事利用されるのではないか、という憶測すら飛び交う。関釜フェリーでは市民を動員したテロ対策訓練、あるかぽーとでは海上保安部と県警が連携したテロ対策訓練といった調子で、「武力攻撃を受ける街」づくりは他の自治体よりも突出して進められてきた経緯がある。
 こうした動きと連動して、各自治体は今年度末までに国民保護計画をとりまとめることになっており、下関市は2月末から準備を進めてきた。武力攻撃やテロを想定した組織・体制の整備や対処、国、県、警察、自衛隊、消防などとの連携強化、情報収集体制の整備、住民避難の措置などを具体化するものだ。度重なる訓練は、国の進める方向を先取りしてアピールした格好となった。

 戦争の対応詳細に規定・市国民保護計画原案 


 8月に原案が公表された下関国民保護計画の大部分は、消防庁が作成した、マニュアルに沿ったもので、武力攻撃事態への対応を詳細に練っているのが特徴となっている。下関市の地域特性として、有人離島が存在することや、自衛隊基地が存在すること、六連島に石油コンビナート(石油の貯蔵・取扱・処理量は26万9000㌔㍑)があることなど、6点を配慮項目として列挙。対象とする事態は、着上陸侵攻、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空攻撃、核兵器・生物兵器・化学兵器による攻撃を想定し、その対処や、被害の概要をあげている。
 緊急事態になった場合、市各部の任務や事態レベルに応じた体制、国、県、自衛隊、県警、医療機関、交通機関などとの連携の方法や手段などが124ページにわたって綴られている。いわば戦時の挙国一致体制を準備しているものである。今後は県への答申をへて、3月までに正式決定するスケジュールとなっている。
 なお作成のための協議会は下関市、下関市教育委員会、下関消防局をはじめ門司海上保安部下関海上保安署長、九州地方整備局下関港湾事務所長、国土交通省山口河川国道事務所長、陸上自衛隊第17普通科連隊長、海上自衛隊下関基地隊司令、下関市内の、5つの警察署長、山口県下関県民局長、山口県下関土木建築事務所長、山口県下関水産振興局長。民間からは、NTT西日本山口支店長、中電下関営業所長、サンデン交通・常務取締役、山口合同ガス・支店長代理、下関市医師会長、豊浦郡医師会長、NTTドコモ中国山口支店長、山口県LPガス協会下関支部長、山口県トラック協会下関支部長、山口県防衛協会下関支部長、下関市連合自治会長、下関市連合婦人会副会長、下関市消防団長、株式会社コミュニティエフエム下関・代表取締役、株式会社ケーブルネット下関・取締役社長の総勢32名で構成されている。
 アジア貿易の玄関口でもある関門地域は、日中戦争でも、それ以前の日清・日露戦争でも、アジア侵略で重要拠点となった地域だ。下関には軍事要塞がおかれ、戦中は写真撮影も厳禁されるほど緊張した街だ。佐世保と並んで対北朝鮮、対中国を睨んだ拠点にされる方向で事態は動いており、戦争政治の動向に市民の注目は高まっている。

 「臨検」準備を本格化  核武装発言も飛び出す
         

 安倍政府が16日、朝鮮船舶への「臨検」実施にむけ、基本計画立案作業を本格化させた。日米政府が具体化する「臨検」は航行中の全朝鮮船舶を対象に、突然、銃を突きつけ威嚇射撃して停船させ、積み荷を調べてだ捕したり、船長に行先変更を命じるなど、露骨な軍事挑発と他国の国家主権侵害が内容。それは朝鮮を軍事包囲して、捨て身の反撃に出る状態まで追い込み、いったん軍事衝突すれば「正当防衛」を掲げて報復戦争に乗り出す、米軍の狡猾なシナリオに基づいている。
 さらに自民党の中川昭一政調会長が「日本の核武装」をぶち上げ、久間防衛庁長官も「米軍が攻撃されれば正当防衛で応戦する」と公言した。安倍政府がすすめる「臨検」や「周辺事態」認定の動きは「核実験への制裁」どころか、アメリカの下請になり日本を核戦争に引きずり込むとんでもない意図を暴露している。
 麻生太郎外相は16日の衆院テロ防止・イラク復興支援特別委員会で「現実問題として作戦計画を行動に移すまで最低2週間」と公言。守屋武昌防衛次官は「これまでの各種訓練をつうじて任務に対応できる体制を整えている」と強調し、「臨検」体制を11月にも整える方向を示した。
 政府は第1段階として核実験問題を、「周辺事態」と認定して自衛隊が「臨検」をすることを検討。準備している「基本計画」は米軍への給油、給水、港湾施設の提供などを盛り込む方向。また、海自が「臨検」をするときは、東シナ海は佐世保基地(長崎県)、日本海は舞鶴基地(京都府)から護衛艦を派遣し、イージス艦も派遣することを検討している。
 周辺事態法にもとづく「臨検」は相手船の船長の同意が必要という制約と、自衛隊は「正当防衛」のときしか武器使用ができない制約がある。このため防衛庁は日米両軍の護衛艦が共同対処することを準備。その内容は自衛艦を前面に立てて対応させ、銃撃されれば米艦船が後ろから武力攻撃して停船させる「二段構え」。前面にたって攻撃や銃撃を受けるのは自衛隊員か自衛艦、後ろにいる米兵と米艦船は攻撃を受けなくてすむ配置である。
 またボルトン米国連大使は「検査のほとんどは港か陸上で行われるだろう」とのべ「臨検」は各国の港湾や施設で行うよう要求している。安倍政府の対処方針は臨検場所として、佐世保港と下関港を指定港にする方向。これも軍事衝突をひき起こすのは日本の港を舞台にし、米国本土は無傷というものである。

 防衛庁長官が発言・米軍攻撃されれば応戦


 こうしたなかで、防衛庁が中心になってつくっている自衛隊の対処方針概要では、海上自衛隊と米軍の実施海域を日本海や東シナ海の公海上に個別に設定。朝鮮に近い海域は米軍が担当すると明らかにしている。米軍が臨検をやれば、海自の護衛艦、哨戒機P3C、哨戒ヘリコプターのほか、航空自衛隊の空中警戒管制機AWACSを急派する方向である。海自が不審船を発見した場合は護衛艦が停船を要求。小型船などでおこなう、立ち入り検査は海自特殊部隊の「特別警備隊」投入を検討している。この動きと関連して久間章生防衛庁長官は16日の衆院テロ防止・イラク復興特別委員会で「日本と米国の艦艇が連れ立っていた時に相手が襲ってきたら、日本が一緒になって防御するのは正当防衛が成り立つんじゃないか。日本は武器等防護の規定に基づき反撃せざるを得ない」とのべた。「米軍が攻撃された」となれば、大喜びで自衛隊が自動参戦するものであり、「防御」ではなく、「攻撃」を意図していることをあらわしている。
 中川政調会長もテレビ番組で「核があることで攻められる可能性は低いという論理はあり得るわけだから、議論はあっていい」と「核武装発言」をした。大きな批判が出たため翌日にあわてて「私は非核三原則をいじるとは一言も申し上げていない。私はもとより核武装反対論者だ」と否定したが、核武装をして攻撃をしかける凶暴な意図を自己暴露するものとなった。
 こうしたなかで18日、ライス米国務長官が来日し安倍首相、麻生外相と会談する。ヒル米国務次官補は「貨物検査の問題は、詳しくとり組まなければならない。ライス長官が来日時に専門家を連れてくるので、綿密に協議できるだろう」と強調。「臨検」は米国の要求であり、実務レベル協議で「臨検」実施にむけてハッパをかける意図を浮き彫りしている。

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