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「いつまで検討中なのか? 今すぐ被災者救う施策打て」 被災者生活再建支援法の見直し急務 れいわ新選組・山本太郎の国会質問

 れいわ新選組の山本太郎参院議員は1月29日、自民党の裏金問題を受けておこなわれた参院予算委員会の集中審議で、元日の発災から約1カ月たちながらも被災者の多くが置き去りにされている能登半島地震への対応に関して、この間全国で起きた自然災害での被災者が直面している問題点を挙げ、早急な被災者生活再建支援法の改正と災害救助法の運用見直しを岸田首相に求めた(持ち時間8分)。質疑の要旨は以下の通り。

 

国会で質問する山本太郎議員(1月29日、参院予算委)

かけ声だけで繰り返される被災者の放置

 

 山本 能登半島地震後、総理は「被災者の皆さんが1日も早く元の生活がとり戻せるよう先頭に立つ」とご発言。この言葉に嘘はないか?

 

 岸田首相 当然、嘘はない。

 

 山本 岸田政権下での主な自然災害は11件。激甚災害は9件。これらの災害においても被災者が1日も早く元の生活に戻れるようにやってきたということでよいか。イエスかノーかで。

 

 岸田首相 政府として対応すべきことをたえず検討し、実施に努めてきた。

 

 山本 岸田政権下で起きた自然災害では、今でも生活再建できていない被災者が大勢いる。能登半島は去年5月にも大規模地震に襲われ、珠洲、能登、輪島などで住宅被害が1417棟。昨年5月、被災直後の声――「とり壊しをすすめられたが、自宅再建には1000万円以上かかりそう。年金暮らしでは無理」。発災から約半年後、昨年11月の声――「自宅を建て直すメドが立たず、どうしようもない」。頭を抱える被災者。

 

 業者不足、資金不足などの理由で家の修理や生活再建が進まぬまま、仮設住宅で元日を迎え、再度被災された方もいる。

 

 能登半島以外でも各地の被災者が住宅再建を断念。地元を離れることを余儀なくされている。

 

 2022年8月、青森豪雨災害。青森県で800棟をこえる住宅被害。発災から半年後、23年1月の報道によると、ある地区ではほとんどの住民が住宅再建を諦めた。

 

 23年7月、久留米豪雨災害。福岡県の住宅被害は6569棟。全壊した我が家、解体の着手には半年かかる。亡き夫と一緒に選んだ土地での住宅再建を諦め、地域を離れた。

 

 23年9月、台風13号、福島県。集中的な被害を受けたいわき市の住宅被害は約1800棟。豪雨から1カ月後の声――「移転新築で数千万円。現在地での再建でも1000万円かかる。この歳で借金はできない。先のことは決められない」。

 

 総理は先週、私の質問に対して「過去の災害でも最大限努力をしてきた」とご答弁。ここまで紹介してきた事例は、岸田政権下で起きた災害被災地だ。総理大臣として最大限努力したと豪語する災害対応の結果だ。テレビ、ラジオをご覧の皆さん、これは他人事ではない。今後必ず来るといわれる首都圏直下、南海トラフ。次に切り捨てられるのはあなたかもしれない。

 

貧弱すぎる国の被災者支援 全壊でも建替のみ300万円

 

土砂災害に見舞われても「半壊」以下の扱いでは微々たる支援しかない(昨年7月、久留米市)

 山本 災害であなたの家が全壊。被災者生活再建支援法でお金が支給される。ただし、被害の度合いと再建方法によって金額は変わる。住宅再建なら最大300万円(全壊)、補修だけなら最大200万円、賃貸に移るなら150万円。先ほどの被災地事例は、国からの支援が少なく、経済的余裕もないから自宅再建を諦めて地域を出ると判断した人々だ。

 

 野党が「300万円を600万円に…」と法案を提出した。これが実現しても住宅再建は無理だ。本質的な改善は後ほど提案する。

 

 (生活再建支援法では)災害で家が壊れた場合、6つのカテゴリーに分類される。全壊(300万円)、大規模半壊(250万円)、中規模半壊(150万円)、半壊、準半壊、一部損壊。金額はあくまで住宅を建て直す場合にもらえる最大額。補修や賃貸に移る場合は、さらに少なくなる。半壊、準半壊、一部損壊では、住宅再建のための支援金は一切出ない。

 

 ただし、災害救助法から応急修理費用は出る。これはトイレ、お風呂など必要最小限度の修理費用を支援するもの。半壊で最大70万6000円。準半壊で34万円。

 

 半壊とは? 2年前の8月、北日本豪雨。自宅の1階ほぼすべて40畳ほど床上浸水。浸水の深さ20㌢だったので「半壊」扱い。半壊は最大70万円出るが、それでどうにかできる話ではない。一番軽い被害とされる一部損壊には、応急修理費用も出ない。

 

 一部損壊とは? 地震や台風などで屋根瓦がずれる。隙間から雨漏りするとカビが大量発生する原因になる。修理費用は状況で変わるが、200万、400万円はざら。屋根が全部吹っ飛んだレベルでない限り、多くの場合、一部損壊で応急修理費用も出ない。

 

 2019年、山形沖地震。それから2年たっても屋根をブルーシートで覆ったままの家に住む80代女性。「私もおじいさんも高齢で、工事費の自己負担が経済的に難しい」という。政府は特例で屋根の支援をしたこともあるが、基本自腹で直せ、金がないなら屋根にブルーシートだ。

 

 「コミュニティを守れるのだろうかという不安。この不安にも応えなければなりません」――これは先日の総理自身の言葉だ。しかし実際はできていない。それどころかコミュニティを壊す状態になっている。

 

 「被災者のために何でもやる」ともおっしゃった。だったら、さっさとやってほしい。被災者生活再建支援法を早急に改正してほしい。ケチな上限金額を定めないでほしい。全壊から一部損壊に至るまで、住宅、生活再建にかかる費用の8割を国が支給する。残り2割は自治体、義援金などでカバーする。過去の災害にも遡って支援できる仕組みづくり。総理やっていただけますか? やりますか、やりませんか?

 

 岸田首相 被災者生活再建支援法を改正するという提案については、先日も答弁したが、能登半島に合った追加策を今検討している。追加策をやる。

 

 山本 もうすでにやろうとしているといっているが、それは小粒だ。数百万円上乗せしたって家なんて建たない。それでみんな困っている。いろんな被災者、あなたが総理だった時に起きた災害の被災者たちだ。だから家の修繕は金額の上限を決めるのではなく、かかる額の多くを国が持つという約束をしないとコミュニティは壊れていく。

 

 そして、もう一つ。そういったものが成立運用されるまでの間、閣議決定ですぐやれることがある。明日閣議がある。明日あなたに動かせることがある。災害救助法の運用変更だ。現在、援護の期間を数値や日数、いわゆる「定量」で決めている。これを自治体や国でその都度調整するというのがまずいのだ。毎回、被災地そして被災者を消耗させている。状態、フェーズで見る「定性」でみる規定に変えてもらいたい。さらに支給金額の大幅増額。適用範囲の大幅な拡大。これを明日の閣議で決めていただきたい。要は政令でできることをいっている。やっていただけないか。

 

 岸田首相 今回の災害特有の事情等に配慮して追加策を考える。これは今検討を進めている。しかしそれに対して具体的にどういった全体の対策を用意するのか。先日もパッケージを用意したが、政府としてはさまざまな対策全体として地域をどれだけ盛り上げられるか、そういった点から政策を総合的に判断する。

 

 山本 「検討する」「考える」って、いつまでやっているのか。もう答え出してなきゃダメなのだ。今もすでに前にあった災害の被災者たちは困っている。あなたが総理の間に起きた災害だ。だから明日できることをやってくれといっているのに「考えてる」「検討する」。だから、いつなのか? 答えが出るのは。明日やれることをやってほしい。総理であるなら。

 

 岸田首相 先日の閣議で復興のための生活・生業支援パッケージをとりまとめている。その中に支援のメニューを並べている。すでに実行に移っている。

 

5万棟を超える家屋が被害に遭った能登半島地震の被災地(1月6日、山本氏撮影)

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