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れいわ新選組が事務所開き 決意新たに衆議院選に向け活動を開始

 れいわ新選組は17日、赤坂見附に開設した新事務所(党本部)で事務所開きをおこなった。赤坂見附駅から徒歩2分の場所に立地する新事務所前には、事務所開き30分前から支援者の行列ができ、会場内に入りきれない多くの人たちが玄関前の路上に設置された中継モニターを視聴した。事務所内は熱気に溢れ、参院選で巻き起こした旋風を衆議院選での躍進に向けてさらに拡大していくため、決意新たに全国に乗り出していく出陣式となった。

 

 挨拶に立った山本太郎代表は、選挙後初の全国ツアーを北海道から開始し、18日の北海道利尻島を皮切りに、9月末まで道内を一周しながら意見交換会や街頭記者会見を展開していくことを明らかにした。「年内に選挙があるということを前提にして、まず東京から離れたところからおこなっていく。この7年間の政治で破壊されてきた数々。その犠牲になりうる地方を代表する地域が北海道だと思う。TPP(環太平洋経済連携協定)、日米FTAに加え、国がインフラに対して責任を持たず、鉄道という市民生活の足が切られていくなど、日本中で起きている問題が凝縮されている地だ。ここから全国ツアーをスタートする」と宣言した。

 

れいわ新選組公式サイトより

 さらに、消費税廃止を実現させるうえで、次期衆院選では野党連立による政権交代の道を模索していることをのべ、「ただ野党が塊になるだけでは弱い。そこで消費税5%という共通政策で政権交代を目指して全力でたたかい、その先の消費税廃止を目指す。その共闘がかなわなければ単独で100人立てることになる。その場合、選挙区・比例の重複立候補者には供託金が一人あたり600万円。100人立てれば入場料だけで6億円が必要となる。選挙にかかるその他の費用を含めれば20億円が必要だ。10月20日解散という説さえあるなかで、お金の心配だけでなく、ポスター掲示や街頭演説、横に横に広げていくことを短時間で進めていかなければいけない。力を合わせてやりましょう」と呼びかけた。

 

 事務所開きには、党所属議員の木村英子、舩後靖彦両参議院議員、れいわ新選組から参院選に立候補した辻村ちひろ、渡辺照子、三井義文の3氏も駆けつけた。

 

 辻村氏は「現在、台風によって千葉や報道されない伊豆諸島でもすごい被害が出ているが、この政権にはまだ災害対策本部がない。国民のことを見ていない政治がこれからも続く」とのべ、今後も沖縄辺野古や長崎石木ダムなど国策事業の現場に赴いてたたかうことを明かした。

 

 渡辺氏は「これからが勝負だ。敵は大きいが、ひゆるむことなくたたかいたい。私は主に女性の貧困や派遣法問題にとりくんでいるが、消費税が10%になればどうなるか。私も90歳の母の介護をしているので増税前に紙パンツを買いたいが、お金がなくて駆け込み需要も起きない。この政権を倒すまで頑張る」と力を込めた。

 

 三井氏は、住居のある千葉県が台風被害の渦中にあることに触れ、「何日も停電が続き、猛暑だったので夜中にタンスを開けたら昼間の熱気が出てきた。布団で寝れば、さながら岩盤浴だ。こんなときになぜ組閣などやっているのか? 自民党支持者でさえ、ふざけるなと言っていた。“安定と挑戦”といっているが、自民党だけを安定させるわけにはいかない。政権交代で自民党にも想定外を味わってもらおう」と呼びかけた。

 

 山本代表は、政府の災害対応の遅さについて「災害ボランティアによると、地震については国は割と迅速に動き、支援も手厚くするが、豪雨災害や台風災害はかなり軽く見ている。それは毎年必ず起こるから、一度手厚くするとずっと手厚くし続けなければならないというのがベースにあるようだ」とその理由をのべ、れいわ新選組としては18日に、舩後議員から内閣府に対して非常用電源の確保(情報共有のための防災無線やライフラインの確保)、圧倒的に多いにもかかわらず現状では支援がほとんどない「一部損壊家屋」にも手厚い政府保障をすること、防衛省には「一部損壊」で雨に晒されている家屋へのブルーシートによる応急手当(技能のいる高所作業)を自衛隊の手でおこなうことを要請していくことを報告した。

 

 その後、山本代表が一般参加者やメディアからの質問に答えた。以下、主なやりとりを紹介する。

 

 質問 台風が頻発する要因としても地球温暖化が深刻化していると思うが、気候変動に対する山本代表の考えを聞きたい。

 

 山本 地球温暖化が深刻であるという認識はある。一方で、地球温暖化説はウソだという話もある。そこで地球温暖化防止のマイナス要因として、火力発電や石炭火力などがあげられているが、確かに地球温暖化をかんがみれば発電においても技術革新が必要だと思っている。だが、火力をまったく使わないのは無理だと思う。また、自然エネルギーか、原発かという二極論も耳にするが、それも違うと思う。今の主力は間違いなく火力であるが、より環境負荷が少ないものを選択し、さらにその技術革新を進めるために国が投資していくというのが本来のあり方ではないか。


 そうはいいながらも日本は台風の通過点であり、それに対する備えが必要だ。災害が起こってもそのまま放置され、今回も東京から1時間で行ける場所に食料がないという状況まで起きた。海に囲まれた房総半島には、指示さえ出れば自衛隊でも海上保安庁でも船を出して食料を送ることは可能だ。自衛隊は一時間あれば数百人分の食事が作れるキッチンカーも所持している。そういうものをフルに活用できる体制を作らなければいけない。西日本豪雨からずっと解決されない課題がいまも続いている。国が人の命を守れなければ話にならない。

 

 質問 野党共闘に向けた協議が進んでいるようだが、現段階でも単独で100人擁立という可能性は残っているのか?

 

 山本 先日の共産党との協議は、共産党側から将来の野党連立に向けた話し合いのテーブルにつくような誘いがすべての野党に対してやられていたので、まだどこも動きがないなかで、一番小回りのきく私たちれいわ新選組がそれに応じたということだ。


 消費税廃止にせよ、5%にせよ、その財源論をめぐって各党のアイデアを出し合って議論し、それを有権者に提示して一番合理的な方法を見いだしていくことでしか前に進まない。それ以外の政策についても、野党が力をあわせて政権交代が実現したときに、どんな未来があるのか、自分たちの生活がどう変わるのかを有権者がより具体的にイメージすることができるようにしなければ選挙では勝てないと思う。だが、これがうまくいくかどうかはわからない。また、別のやり方で政権交代への道筋が話し合われる可能性もある。選挙にまで話がまとまらないこともある。「消費税5%」で野党がまとまらない場合は、政権交代を諦めていると考えるしかない。まだ何も決まっていないので選択肢として単独でやる可能性は残っており、その割合は現在のところまだ五分五分だ。

 

 質問 安倍政府は、国会閉会中に日米FTA(二国間貿易協定)を発効に向けて進めているが、どのように対応するのか?

 

 山本 まだTPPについて理解されている方も少ないのが現状だ。FTAではTPP以上に食われていくのは間違いない。これは選挙の前から、もっといえばTPP協議がはじまった2013年からわかっていたことだ。だが自民党が選挙に勝ち、5月にいっていた「選挙後のサプライズ」の中身としてトウモロコシの話などが出てきた。よく、なぜ声を上げないのか? といわれるが、すべてが密室で決まっていくことで、出てくる情報は一部だけだ。入口が分かりにくければそれ以上は理解されない。だから、この国の現状をよりわかりやすく知ってもらうために、入口として消費税廃止を最優先課題に掲げている。もちろんTPPもFTAもRCEPも、日本市場を外資に明け渡す不平等なメガ交渉はやめるべきだと思う。それぞれがその問題意識を回りに広げていくしかない。

 

 日本はもう十分に自由化されており、これ以上の自由化はみなさんが食われていくことになる。今回のFTAについて政府にも一応問い合わせて、為替条項(為替操作による円安誘導の禁止)は入らないという公式回答は返ってきているが、秘密交渉だから実際のことはフタが開かなければわからない。

 

 質問 沖縄の名護市からこの場所に参加するためだけに来た。ぜひ全国ツアーのなかで名護でも講演会をやってもらいたい。

 

 山本 10月20日解散の場合は北海道を回るように全国を細かくは回れないが、アクセスに時間が掛かる地域から回りたいと思っているので沖縄に行くことは確実だ。ぜひ名護にも行きたいと思っている。

 

 質問 ツイッターで発信しているが、全国に放射性物質を含んだ(原発事故による)汚染土のバラ撒きがされようとしている。幼稚園や公園、公共施設にもバラ撒こうとされている。非常に危険な状況だと思うが対応できないか?

 

 山本 これは以前から国会でも取り上げているが、国は最終処分量を減らすために汚染土の基準を下げて公共事業で使おうとしている。そのための見返りとして補助を出すようなことまでやっている。これを止めるには、その土を使って事業がおこなわれる自治体の人たちがそれを止める行動をしなければならない。いままで国会でさんざんやったが何一つ止まっていない。消費税だけでなく、すべてが止まらない。すべての人に直接ふりかかる消費税を入口にして世論を広げて政権を奪取し、国がやろうとしているすべての乱暴狼藉を全体的にコントロールしてやめさせる以外にない。

 

 汚染土壌、TPP、FTAなどいろんな問題意識をもっている人たちが、ただネットで拡散しているだけではなにも変わらない。リアルに人と繋がって、より多くの人に一緒にやっていく気持ちになってもらわなければなにも変わらない。横に広げて政権交代する以外にない。政権交代してもそれは同じだ。間違った政権に対しては、何度も何度も下から動かして政権交代をしていく。水道民営化、カジノにしても国を通過しているのだから、その先の自治体レベルで力を合わせてたたかっていくことが重要だ。そのようなたたかいの局面になっていく。国の種子法廃止に対して、自治体レベルで条例を制定して種子を守る動きもはじまっている。

 

 質問 消費税10%を容認するような政党、組合はいらないという言葉が印象に残っている。その連合が労働組合として立憲、国民民主党を支援している。このような党と連携共闘していくことができるのか?

 

 山本 労働者の代表であるべき労働組合(連合)が消費税10%に上げろというのは、「ちゃんと使えばいいじゃないか」という考え方があるのだと思う。だが、多くの人たちが生活困窮に追い込まれた現実をもう一度見つめ直すべきだと思う。逆進性が強く、収入が低い人ほど負担率が上がる消費税増税が労働者や国民に納得されると思うだろうか。この考え方の相違がどこで埋まるのかはわからない。だが、人々が本気で望んで動けば組合の考え方など関係のない話だ。マレーシアでも消費税は廃止しているのだから。

 

 選挙後、与野党問わず多くの国会議員が非公開で接触を求めてきた。そのなかで連合について聞くと、選挙でのマンパワーで頼りにしているようだ。だが、れいわ新選組では大きな組織がなくても一人一人が動いている。一般の人たちと一緒に世の中を変えていった方が早いのではないか。連合といっても、傘下の労働組合がすべて同じと考える気はないが、消費税で国民が困窮してお金が出せなくなり、消費が動かなければ製造業も成り立たない。その労働者の組合なのに、なぜ消費税増税を認めるのかは理解できない。これは考え方の相違だ。だが、選挙の人手や資金ほしさのためにその組織に頼っていかなければいけないというのは発想の貧困だろう。一人一人とつながって政党が作れることをれいわ新選組が示している。

 

 ただ、それをいう私自身が落選している以上、まだその言葉に強い説得力をもてない。プラットホームとしてはまだ弱いと見られている。参院選でいただいた228万票、これがいまの私たちに与えられた評価だと思っている。これからどれだけ広げていけるか、どれだけ議席を獲得し、どれだけ影響を与え、どれだけ永田町を揺さぶれるのかによって、私は地殻変動が起きると思っている。国会議員が信じ込んでいる常識を覆すような状況を見せつけるチャンスが次の衆議院選になると思う。みなさん一緒に目にものをみせてやりましょう。

 

会場に入りきれず、路上に設置されたモニターを視聴する人たちも多く見られた

 

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この記事へのコメント

  1. 山本 博美 says:

    早速17日のれいわ新選組の事務所開きの記事をアップしていただきありがとうございました。

    皆さんの熱気が伝わって来ました。

  2. とても詳しくて良い。

  3. 和佐田光晴 says:

    れいわ新選組が核になり他野党を引っ張り自民公明維新と対決出来るパワーになってほしい。

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